【中国】「特許出願行為を規範化するための規定」(2024年1月20日施行)

国家知識産権局(CNIPA)は、12月21日、局令第77号により、「特許出願行為を規範化するための規定(规范申请专利行为的规定)」を2024年1月20日に施行することを公示した。本規定は、2007年の「特許出願行為の規範化に関する若干の規定」、2017年の「国家知識産権局の「特許出願行為の規範化に関する若干の規定」の改正に関する決定」と2021年「特許出願行為の規範化に関する方法」に代わる法規として施行される。

非正常特許出願行為は、第3条に以下のようにまとめられた。
(1)提出された複数の特許出願の発明創造の内容が明らかに同一、或いは実質的に異なる発明創造の特徴、要素の単純な組合せにより形成する;
(2)提出された特許出願には、発明創造の内容、実験データ、技術的効果に関する捏造、偽造、改変、或いは、従来技術や従来意匠の盗用、単純な置換、つなぎ合わせなどに類似する情況がある;
(3)提出された特許出願の発明創造の内容が主にコンピュータ技術などを利用しランダムに生成している;
(4)提出された特許出願の発明創造が明らかに技術改良、設計常識に適合しない、或いは劣化、積み重ね、不必要に保護範囲を減縮している;
(5)出願人が実際の研究開発の活動なく複数の特許出願を提出するとともに、合理的な解釈をすることができない;
(6)特定の単位、個人、或いは住所が実質的に関連する複数の特許出願を悪意で分散、前後、或いは異なる場所で提出している;
(7)不正な目的で特許出願権を譲渡、譲受、或いは発明者、設計者を虚偽に変更している;
(8)信義誠実の原則に反し、特許業務の正常な秩序を乱すその他の非正常な特許出願行為。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/12/21/art_526_189189.html
仮訳

【中国】「特許出願行為の規範化に関する弁法」を施行(3月11日)

国家知識産権局は、2月10日に意見募集した「特許出願行為の規範化に関する弁法」を3月11日付の国家知識産権局公告第411号により公示し、同日施行した。国家知識産権局は、これまで「特許出願行為の規範化に関する若干の規定」(国家知識産権局第75号局令)を出して出願行為の規範化を進めてきたが、非正常特許出願が引き続き存在し、1月27日に国知発保字〔2021〕1号による補助金制度の廃止、非正常特許出願行為を排除する施策を推進し、量から質の向上に向けた転換を進めるための一連の措置としている。

本弁法は全8条からなり、第2条に非正常特許出願の出願行為を規定した。これは規定の6種類の行為とほぼ同じ内容となっている。また、3条と4条には具体的な対応、5条には弁理士会に当たる全国専利代理師協会の自律的懲戒処分規定、6条に行政が把握した場合の通報義務が規定され、7条には刑事責任を言及している。

以下は、弁法が規定する非正常特許出願行為で、意見募集から1項目少なくなった。
(1)同時に或いは前後して発明創造内容が明らかに同一、或いは実質的に異なる発明創造の特徴或いは要素を簡単に組合せ変化させて作成した複数の特許出願の場合;
(2)出願された特許出願に発明創造内容、実験データ或いは技術的効果に捏造、偽造、変造、或いは従来技術または従来意匠の剽窃、簡単な置換、寄集めなど類似の情況が存在する場合;
(3) 出願された特許出願の発明創造と出願人の実際の研究開発能力及び資源の条件とが明らかに一致しない場合;
(4) 出願された複数の特許出願の発明創造内容が主にコンピュータプログラム或いは他の技術を用いてランダムに生成されたものである場合;
(5)特許出願の発明創造が特許性審査の目的を回避するために意図的に作成され、明らかに技術改良或いは設計の常識に矛盾し、或いは実際の保護価値がないように改悪、積み重ね、必要でない保護範囲を縮小する発明創造、或いはいかなる検索及び審査の意味もない内容である場合;
(6)非正常特許出願行為の監督管理措置を回避するため実質的に特定の単位、個人或いは住所に関連付けられる複数の特許出願に分散、前後或いは異なる場所から出願した場合;
(7)特許技術、意匠或いはその他の正当な目的を実施するため特許出願権或いは特許権を転売、或いは発明者、創作者を虚偽で変更した場合;
(8)特許代理機構、特許代理師、或いは他の機関或いは個人が他人を代理、誘導、教唆、或いは共謀し各種非正常特許出願行為を実施した場合;
(9)信義誠実の原則に違反し、正常な特許業務秩序を乱したその他の非正常特許出願行為及び関連の行為の場合。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/3/12/art_74_157677.html


【中国】大量な非正常特許出願の発生と処分

国家知識産権局が1月27日付で各地方政府の知識産権局、直属組織、各団体に通知した、通知した、国知発保字〔2021〕1号による非正常特許出願行為を排除の施策を受けて、2月末から大変な事態が各地で判明し、報告されている。なお、こうした事実は、主にSNSで紹介されており、インターネットでは公表されていないので予めご了承ください。

非正常特許出願については、現在のところ、江蘇省で出願人が10,495、代理人が309事務所、四川省で出願人が2,246、代理人が113事務所、江西省で出願人が946、代理人が101事務所、浙江省で出願人が8,300、代理人が242事務所に及ぶと報告されている。この4地域だけでも、出願人が21,987、代理人が765事務所に及んでいる。出願件数が発表されているのは四川省と江西省であるが、12,601件と3,469件である。SNS上では40万件に及ぶのではないかと紹介する投稿もある。

一方、上海市では、2019年12月に時計の意匠特許出願26件を代理した内容が非正常特許出願であるとして、その代理事務所「上海尚象専利代理有限公司」に対して、市場管理監督局が2月5日付で警告と罰金3万元(約50万円)の行政処罰を科している。

非正常特許出願については、当該出願を却下や無効取消とするほか、出願人や代理人には行政処罰や国家企業信用情報公示システムのブラックリストに掲載されることになる。

これは、補助金制度に名を借りた知的財産制度をないがしろにするもの以外の何物でもない。日本企業の現地法人は料金が安いからと言って、こうした正常出願をする代理人を使わないように十分な注意が必要です。