【香港】「商標出願実体審査基準」改訂施行(2025年1月2日)

香港知識産権署(HKIPD)は、2025年1月2日、商標出願に関する商標出願実体審査基準(Trade Marks Registry Work Manual)の絶対的拒絶理由に関する章を改正施行した。前回の改正は、2020年6月である。

今回の改正は、商標法第11条の登録拒絶の絶対的理由であり、以下の部分になる:
第 11 条 登録拒絶の絶対的理由
(4) 商標が次の場合,登録しない:
(a) 一般に認められた道徳規範に反する商標,或いは
(b) 公衆を欺く虞のある商標である場合。
(5) 商標が次の場合,登録しない:
(b) 商標登録出願が悪意である場合

(4) (a)項については、政治的よりは道徳的である場合と注意書きされたが、以下が明記された;
・国家の安全、主権、統一、名誉または領土保全、公共の安全または秩序、および個人の安全に反する可能性がある。
・明示的または暗示的に、不快、わいせつまたは法外な意味、行為または活動と関連または結びついている。
・許可なく、政府の指導者、当局または機関(中央人民政府のものを含む)のそれぞれの名前/紋章/ランドマークと同一または類似している。
・一部の国民に不快と思われる可能性のある、よく知られた悲劇やその他の衝撃的/不快な出来事への言及、或いはそれらと関連や結びつきがある。

(4) (b)項については、従来から商標が欺瞞的と見做している、製造/製造地/輸入元に加えて、輸出元を明示した。また、公式に認可を受けていないのに公式承認を暗示している場合も追加している。

(5) (b)項については、商標の使用が香港特別行政区における国家安全保障法および/または国家安全保障条例(規則A305)に違反する場合、本条項に基づき異議申立ができる例として追加した。

参照サイト:https://www.ipd.gov.hk/en/trade-marks/trade-marks-registry-work-manual/index.html
基準 https://www.ipd.gov.hk/filemanager/ipd/common/trade-marks/registry-work-manual/current/eng/Absolute_grounds_for_refusal_log.pdf

【香港】意匠出願料金値下げ(2024年3月1日より)

香港政府は、1月5日付、知的財産の活用を推進することを目的に、意匠出願の手数料を2024年3月1日より公示した。基本となる出願手数料は、香港ドル(HKD)785がHKD235(電子出願)と70%の値下げとなり、1回目の更新手数料もHKD790がHKD475と40%の値下げとなる。(1香港ドルは約18円)

サイト:https://www.ipd.gov.hk/en/designs/new-fees-of-the-designs-registry/index.html

【香港】著作権法改正施行(5月1日)

香港特別行政府は、2022年12月5日に改正を可決した2022年著作権改正法(版権条例、The Copyright Ordinance、Cap. 528)を5月1日より施行する。今回の改正ではデジタル環境における著作権保護を強化するために、以下の5点が主要なポイントとなっている。
(1) 排他的な技術中立的送信権を新設し、公衆に電子的に送信される著作物を保護;
(2) 上記の送信権侵害に対する刑事処罰の導入;
(3) 著作権の様々な使用をカバーする著作権保護の例外規定の拡大;
(4) 著作権侵害対策のためのオンラインサービスプロバイダー(OSP)に対するセーフハーバー規定の導入;
(5) 著作権侵害民事訴訟での追加の損害賠償とその考慮時効の追加。

送信権(communication right)は、日本では公衆送信権とされており、著作権者があらゆる送信形態で写真などを含む著作物を一般公衆に発信する権利であり、複製権とは区別され、従来の通信モードよりも幅広く他人が許諾なく送信することを制限する規定であり、2000年以降数多くの国で導入されている。刑事罰の対象は、映画の違法配信などのネットを利用した大規模な著作権侵害に限られ、4年までの禁固刑や5万香港ドルの罰金が科される。著作権保護の例外規定は、比較的広く追加されており、(i) パロディ、風刺、似顔絵、風刺画、(ii) 現在の出来事についてのコメント、(iii) 著作物の引用もオンライン学習、図書館、博物館、およびアーカイブの運営を促進するために広げられた。また、私的、家庭内での一時利用についても明確にされた。一方、著作権侵害対策にOSPにおける事業者の協力が得られるように、OSPのそうした活動に対する保護範囲を定めている。損害賠償では、立証難に対する対応と侵害者の提訴後の対応などを判断材料とすることが明確にされた。

参照サイト:https://www.ipd.gov.hk/en/copyright/legislative-proposals-and-amendments/copyright-amendment-ordinance-2022/index.html

【香港】改正商標条例公布(2020年6月19日)

香港特別行政府香港知識産権署は、6月19日付、改正商標条例(Trade Marks Ordinance 2020)を公布した。この改正ではマドプロに対応する部分、書式及びその他を含む、35の改正がされているが、マドプロ部分の5条及び第4部を除いて施行された。なお、マドプロについては、香港とWIPO間でのマドプロ加盟国手続きは未だ行われていないために、WIPOはこの件について、何らの公示も行っていない。
その他の部分では、
1.書類の送付先の変更、2.登録商標の変更、3.出願の変更、4.延長申請、5.譲渡、6.団体商標、7.優先権主張、8.分類、9.同意などによる使用、10.防御商標、11.相対的拒絶理由、12.更新と回復措置、13.不使用取消などがある。
また、第12A部の権利行使では、96A条から96L条で税関に被疑侵害品の査察やその他の権限を付与している。

参照サイト:公示 https://www.info.gov.hk/gia/general/202006/19/P2020061900203.htm?fontSize=1
改正商標条例:https://www.gld.gov.hk/egazette/pdf/20202425/cs1202024253.pdf
https://www.ipd.gov.hk/sc/intellectual_property/trademarks/registry/log_of_change_2020.pdf

なお、6月16日付、絶対的拒絶理由に関する改正審査基準が公示されている。

参照サイト:https://www.ipd.gov.hk/sc/intellectual_property/trademarks/registry/Absolute_grounds_for_refusal.pdf

【香港】改正特許法施行(2019年12月19日)

昨年より検討されていた特許法改正について、香港知識産権署は10月9日に専利条例(Patent Ordinance)と専利規則(Patent Rule)の改正がされたことをサイト上で公告した。なお、施行は、12月19日である。

改正特許法は、主に下記の点がポイントである。

  • 標準特許(Standard Patent)に、従来の中国、EP、イギリスの審査結果を登録する確認特許出願ルートに加えて、実体審査を伴う直接特許出願ルートである「原初登録特許」(Original Grant Patent、OGP)が追加された。OGP特許出願の概要は、
    ・他国の基礎をベースに優先的主張出願ができる
    ・基礎出願日から18か月で公開され、第三者は情報提供ができる。
    ・実体審査請求は出願日から3年間である
    ・審査意見に対する答弁期間は2か月(延長可)である
    ・中国の国家知識産権局で実体審査が行われる
    ・認可時に分割出願や補正は可能である
    ・登録後異議申立(1か月以内)或いは、無効取消請求ができる
    ・権利期間は、20年間である。
  • 短期特許(Short term Patent)の改正は下記の通り
    ・クレームに2つまでの独立請求項を含めることができる
    ・登録後、利害関係人を含め実体審査請求ができる
    ・権利行使前の実体審査を受ける義務が追加された
    ・被疑侵害者に対する特許番号通知義務が追加された

参考サイト:https://www.ipd.gov.hk/eng/intellectual_property/patents/NewPatentSystem_Leaflet_E.pdf
https://www.ipd.gov.hk/eng/intellectual_property/patents/New_Patent_System.htm