【中国】2023年商標異議無効10大事件(4月26日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月26日、2023年の商標出願の異議申立と商標権無効取消の10大事件として、異議申立5件、無効取消審判5件を公示した。国家知的財産権局は知的財産権の源流保護をさらに強化し、商標審査の質と効果の向上を推進するとともに、商標出願秩序を規範化し、公平な競争市場環境を維持し、商標審査政策での審査基準、規則、モデルを持続的に整備するとしている。

1.「黄塔膏薬」商標第61172988号35類(滑県黄塔寺骨傷医院)異議申立事件
 本商標には9類に同一標章で河南省の老舗(老舗ブランド)と認定された先登録商標があり、かつ出願人も同一地域であり、市場での誤認混同を制止、無形文化遺産の商標保護で出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000125642号、条文13条、申立人:滑県骨科医院

2. 「只此青绿」商標第59222968号41類(福建匠心巧思文化発展有限公司)異議申立事件
 本商標の事件は同名の舞踊詩劇の名称として先に使用され既に高い知名度が認定され、悪意先取り登録行為を規制し、優れた伝統文化の発展で出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000021546号、条文32条、申立人:中国東方演芸集団有限公司

3. 「慢飞天使MAN FEI ANGEL及び図」商標第64310227号33類(姚娜)異議申立事件
 本商標の「慢飛天使」は障害のある児童に使用される特殊な意味や指定商品が白酒など強い酒類であることを総合的に考慮し、不良な社会的影響の規定を適用し、社会的配慮で出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000098977号、条文10条1項(8)号、申立人:中国貴州茅台酒厂(集団)有限責任公司

4. 「宝鲁日」商標第60172218号29類(内蒙古牛牛勇敢商貿有限公司)異議申立事件
 本商標は有名な農村生活記録ブロガーの名前であり、出願日前にすでにSNS上で多くのファンと再生数があり、一定の知名度を認定し先取り行為を規制し、農村経済の新たな発展に配慮し出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000012871号、条文32条、申立人:宝鲁日

5. 「白水畈」商標第60596619号31類(武漢市沁野実業有限責任公司)異議申立事件
 本商標の「白水」は「白水畈萝卜(白水産大根)」など湖北省農産物の地理的表示として使用されていることや出願人と地域の関係がないことに加え、このほかに大量な地理的表示に関する出願があるため悪意先取りと認定し、商標登録秩序を乱すと判断し出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000074081号、条文4条、申立人:咸寧市咸安区高橋白水畈萝卜協会

6. 「DEMARSON」商標第47589108号14類(泉州市弘康電子商務有限公司)無効宣告事件
 本商標の事件は複数の関連する会社がその関係を隠蔽し、申請人を含む多数の会社の商標と同一或いは類似する商標を大量に先取りや買い溜めしていることを認定し無効とし、商標の悪意先取りの取締りと抑止力を高めた。審決:商评字[2023]第0000070611号、条文44条、申立人:Demarson Company

7. 「蜂花佳人」商標第55926680号3類(滕州市業明蜜蜂養殖服務専業合作社)無効宣告事件
 本事件は有名商標の保護を求める適用要件を明確にし無効とし、企業の権利維持コストを下げ、民族ブランドの合法的権益の保護に意義がある。審決:不明、条文不明、申立人:不明

8. 「MASTRO’S STEAKHOUSE M及び図」商標第36365304号43類(天津津服教育信息諮詢有限公司)無効宣告事件
 本商標は類似関係にあり、商標代理機構と権利者の代表者などが同一と利害関係あり法律を回避する悪意のある登録行為がある認定し無効とし、本件以外にも大量の業務に関係のない商標登録があるため信義誠実の原則違反を判断した意義がある。審決:商评字[2023]第0000288394号、条文19条4項、31条、44条、申立人:Mastro’s Restaurants LLC

9. 「十万个为什么100000 WHYS及び図」商標第17085619号16類(上海少年児童出版社有限公司)無効宣告事件
 「10万のなぜ」は書籍、印刷出版物などの分野で長期的に使用されてすでに高い知名度と識別度があり商標の出所を区別する役割を果たすことができると認定し無効とし、有名図書ブランドの権利の安定性を維持した意義がある。審決:商评字[2021]第0000155297号、条文44条、申立人:四川天地出版社有限公司

10. 「铂金优选(プラチナ優先)」商標第52695434号など8件(奥倫潤滑油(無錫)有限公司)無効宣告事件
 一連の事件は、同業者でありながら申立人の国際的によく知られた商標を知りながら、類似する商標を出願登録している状況は正当化されるものではないと認定し、信義誠実の原則に違反し法律効果と社会効果の統一を図るためにも無効とした。審決:商评字[2023]第0000310547号、条文15条2項、申立人:奥倫国際貿易(蘇州)有限公司 POLSKI KONCERN NAFTOWY ORLEN SPOLKA AKCYJNA 

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/4/26/art_3382_6.html

【中国】2023年特許復審無効10大事件(4月26日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月26日、2023年の特許出願の再審(復審)と特許権無効の10大事件を公示した。復審で発明特許1件、無効で発明特許7件、実用新案特許1件、意匠特許1件を取り上げ、遺伝子工学、リチウムイオン電子、学際的テーマなどの先端的な技術分野での標準必須特許、抵触判断、優先権主張の認定、AIの発明者認定の是非などの問題を取り上げている。

1.「制御信号送信方法と装置」発明特許201110269715.3(華為技術有限公司)無効事件
 本件特許は通信分野の標準必須特許(SEP)に関し、進歩性の判断における請求項に関する技術的特徴の全体的な判断と従来技術の組合せの示唆の判断に典型的な意義がある。結果は有効維持。審決第562606号、請求人:小米通訊技術有限公司

2.「安全なリチウムイオン電池ユニット及び安全リチウムイオン電池パック」発明特許200610072849.5(首天恩経営管理有限責任公司)無効事件
 本件特許はパラメータに特徴のあるリチウム電池分野の特許明細書の開示要件で技術的効果や技術的手段が十分に開示されているか否かを判断するために模範的な役割を果たしている。結果は、無効取消。審決563221、請求人:深圳市比克電池有限公司

3.「ポリウレタン研磨パッド」発明特許201410448504.X(Rohm And Haas Electronic Materials CMP Holdings, Inc.ほか)無効事件
 本件特許は化学的分野と機械的分野の交差によるイノベーション成果に属し、化学調合成分及び物理的性能パラメータの特徴で限定された機械製品の請求項で、それら及びその他の特徴との間には相互作用がない場合、総合的に考慮する必要はなく明細書の開示内容に基づき特許の保護範囲を客観的に認定できることを確認したことに意味がある。従来技術に対応する技術的示唆がなく進歩性があると判断した。結果は、有効維持。審決564483、請求人:王某氏

4.「活性成分を放出制御できる分割可能なガレヌス製剤」発明特許200810213769.6(French Servier Pharmaceuticals)無効事件
 本件特許では当事者が補足的に提出する実験データを提出が問題となり、証拠提出責任、証拠の形式的要件と実体的要件である真実性、関連性、証明力などの複数の観点から審査する証拠規則を説明し、従来技術の否定的記述が技術的示唆の判断の障害となるかどうかの判断の指針を提供した。結果は、無効取消。審決59745、請求人:劉某氏

5.「配列操作のためのシステム、方法及び最適化された指導組成物のエンジニアリング」発明特許201380070567.X(Broad Instituteほか)無効事件
 本件特許ではPCT出願の出願人の一部が譲渡により変更された場合の優先権主張の判断に係り、後の出願人が優先権を享受できるかどうか判断基準を示した。結果は、無効取消。審決563732、請求人:ToolGen, Incorporated(KR)

6.「ポリ(アリーレンエーテル)共重合体」発明特許200680046261.0(High-tech Special Engineering Plastics Global Technology Co., Ltd.)無効事件
 本件では化学分野のパラメータの特徴が従来技術に開示されているか否かを判断するための典型例を示すとともに、無効手続きで特許権者の意見をどのように考慮するかについて示した。結果は、有効維持。審決560904、請求人:河北健馨生物科技有限公司

7.「複合装飾パネル」実用新案特許201920768950.7(譚校鋒)無効事件
 本件には関連侵害訴訟があり、有効な判決で確認された証拠がある場合、その事実を覆すに十分な反証が必要であるという司法解釈を適用し、無効審判での当該有効な判決で確認された事実をどのように判断するか、また覆す基準をどのように判断するかを明らかにする模範的な意義がある。結果は、無効取消。審決563521、請求人:梁某氏

8.「高速ダウンリンクパケットアクセスのための追加変調情報シグナリング」発明特許200780048958.6(Nokia Technologies Ltd.)無効事件
 本件特許では優先権を確認するときの「先願が後願と同一の主題を実質的かつ明確に記載しているか否か」の判断に関し、特許審査指南の関連規定に基づき優先権の基礎となる先の出願における技術的事実の記載の程度で満足すべき明確な記載の要件を確認した。結果は、無効取消。審決56283、請求人:OPPO広東移動通信有限公司

9.「スポーツシューズ」意匠特許201930327108.5(喬丹体育股份有限公司)無効事件
 本件意匠特許ではかかと部分にある係争意匠設計がロゴの役割を果たしているかどうかが焦点となる先行商標との抵触の判断要素と判断方法に関し、係争意匠は、客観的に商品の出所を識別する効果はなく、識別的使用ではなく装飾的使用であり、関係公衆に先行商標と混同させることはないと指摘した。結果は、有効維持。審決563861、請求人:Puma Europe GMBH

10.「食物容器と注意力喚起装置と方法」発明特許出願201980006158.0(DABUS, Stephen L. Taylor)拒絶査定再審請求事件
 本件特許の出願は、発明者をAIのDABUSとして、アメリカ、イギリス、EUなどで相次いで特許出願しており、AIが発明者名足りうるかである。再審決定は民法典の人格権の基本原則に基づき、公民としての民事主体のみが発明者としての民事上の権利の所有者となることができると中国で初めての判断を下したことに意義がある。結果は、拒絶査定有効維持。審決1373038

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/4/26/art_3382_4.html

【中国】2023年中国法院知財10大事件と50典型事件(4月22日)

最高人民法院は、4月22日、記者会見を開き、2023年度の知的財産保護状況を報告すると同時に、2023年の中国法院10大知的財産権事件と50典型的知的財産権事件を発表した。特許、商標、著作権、植物新品種、不正競争防止と独占などの知的財産権をカバーし、司法保護では以下のいくつかの特徴がある:
一、人民法院は質の高い発展というテーマを把握し、科学技術イノベーション成果を厳格に保護し、新たな質の高い生産力の発展に奉仕した。
二、社会の懸念に積極的に応え、一般大衆の合法的権益を確実に保護した。
三、新技術、新業態、新分野における審判規則を模索し、新経済と新推進力に貢献した。
四、平等な保護を強化し、市場化、法治化、国際化のビジネス環境を積極的に構築した。
五、連携協力を強化し、知的財産権の全チェーン保護を強化し、包括的保護活動枠組みを構築した。

2023年中国法院10大知的財産権事件
1.「西门子(シーメンス)」商標権侵害及び不正競争事件
 西门子股份公司、西门子(中国)有限公司vs寧波奇帅电器有限公司など[最高人民法院(2022)最高法民终312号]
 ポイント:商標権、商号などの虚偽表示、損害賠償算定のための証拠提出拒否隠蔽工作を妨害行為と認定、一審判決の1億元の賠償額を追認。
2.「拉菲(LAFITE)」商標権侵害及び不正競争事件
 Chateau Lafite Rothschild vs南京拉菲庄园酒业有限公司など7社[最高人民法院(2022)最高法民终313号]
 ポイント;被告が著名商標を真似た「拉菲庄园」をワイン類に悪意で登録し事業に利用した行為を不正協行為と認定、懲罰的賠償を適用し合理的支出を含め7917万元の賠償を命令。
3.「顔認識」発明特許権無効行政事件
 北京中科奥森科技有限公司vs国家知識産権局、Apple電脳貿易(上海)公司[最高人民法院(2021)最高法知行终556号]
 ポイント:対象特許CN100361135Cの無効取消手続き中の請求項の補正が記載範囲を超えかつ無効理由を克服する以外の補正がされたと認定し、差戻を裁定。特許審査指南の改正に反映されており、無効取消中の補正は無効理由に対応する範囲に限定される。
4.「丹玉405号」トウモロコシ植物新品種権侵害事件
 遼寧丹某種業科技股份有限公司vs凌海市農某種業科技有限责任公司、青島連某農業技術発展有限公司[最高人民法院(2022)最高法知民终2907号]
 ポイント:懲罰的賠償の基数が不明確という理由だけで法定賠償額を適用すること否定。
5.ナビゲーション電子地図著作権侵害及び不正競争事件
 北京四维图新科技股份有限公司vs北京百度科技有限公司など[北京市高級人民法院(2021)京民终421号]
 ポイント:地図を著作権での図形作品と認定し、権利者の挙証内容を確認した地図作品の典型的事件。
6.「データ」不正競争事件
 北京微梦创科網絡技術有限公司vs広州简亦迅信息科技有限公司など[広東省高級人民法院(2022)粤民终4541号]
 ポイント:悪意のある技術的手段を用いてサーバーのAPIにアクセスし不正に大量なデータを取得し転売したと認定した典型的事件。
7.医療機器ソフトウェア著作権侵害刑事事件
 劉某生、劉某[上海市第三中級人民法院(2023)沪03刑初23号]
 ポイント:刑法改正案(11)の施行後、技術的手段を意図的に回避することによる著作権侵害の典型的刑事事件。
8.「香菇多糖(レンチナン)」営業秘密侵害事件
 南京汉欣医药科技有限公司vs帝某製薬(江蘇)有限公司[江蘇省南京市中級人民法院(2019)苏01民初3444号]
 ポイント:漢方薬の営業秘密が技術協力契約に含まれ、被告の技術譲渡が秘密保持違反に該当すると認定された事件で、伝統的な技術保護に有意義な事件。
9.「小愛同学」起動用語ウェイクアップワードの不正競争事件
 小米科技有限責任公司vs陳某、深圳市雲某科技有限公司[浙江省温州市中級人民法院(2023)浙03民初423号]
 ポイント:AI搭載電子機器の起動用語「小愛同学」は商標登録などもされており広く使用され一定の影響があると名称と認定し、被告が「小愛同学」などの商標を大量に先取り登録し使用する行為を不正当競争行為と認定した事件。
10.「青少年模式(未成年モード)」不正競争事件
 深圳市腾讯計算機系統有限公司などvs北京愛某科技有限公司[天津自由貿易試験区人民法院(2022)津0319民初23977号]
 ポイント:原告が運営するアプリに保護者が設定できる未成年モードをブロックするアプリの提供が不正協行為と認定された事件。

〇2023年中国法院50典型知的財産権事件
1.知的財産権民事事件45件
(1)特許権帰属、特許権侵害及び特許権保護範囲確認紛争事件5件
(2)商標権侵害紛争事件9件
(3)著作権帰属、著作権侵害及び著作権非侵害確認紛争事件10件
(4)不正競争、独占紛争事件15件
(5)植物新品種、技術契約紛争及び司法処罰事件6件
2.知的財産権行政事件2件
3.知的財産権刑事事件3件

参照サイト:最高人民法院のサイトは日本から閲覧できないため参考サイト
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1797033257381021168&wfr=spider&for=pc

【中国】最高知識産権法廷成立5周年、10大影響事件と100典型事例(2月23日)

最高人民法院最高知識産権法廷は、2月23日、記者会見を行い、最高知識産権法廷が成立し5周年を終え、裁判所の判断基準がさらに統一され、裁判の質と効率も向上したとの総括、及び5年間の10大影響事件と100典型事例を発表した。

最高知識産権法廷の設立2019年1月1日以来5年間で技術系知的財産と独占禁止事件を8,924件受理、15,710件結審した。内訳では、特許権権利確認行政事件を3,943件受理、結審2,971件、植物新品種事件を481件受理、結審364件、営業秘密事件を437件受理、結審304件、独占禁止事件受理203件、結審146件などとなっている。また、外国の絡む事件を1,678件受理、1,198件結審し、全体の10%を占め、発明特許権利確認行政事件が約30%となっている。発明特許と営業秘密権利侵害事件での賠償は2,18億元、和解などを含む総額は6.58億元(約131億円)に達している。

 なお、民事再審事件の再審率19.6%、調停率37.0%と最高知識産権法廷設置前より高くなり、行政再審事件の再審率7.1%と同程度である。民行事件の差戻審理率はそれぞれ1.2%、0.15%と大きく減少し、最高知識産権法廷の積極的な活動を反映したといえる。
 一方、同時に発表された10大影響事例と100典型事例は、情報通信、人工知能などの新興科学技術分野から漢方医薬などの伝統技術分野と広く、国内外企業が関わるコア技術で高額賠償事件が増えており、事件の20%以上が外国企業が関与する発明特許、実用新案特許、植物新品種、集積回路レイアウト設計、技術秘密、コンピュータソフトウェアなどで、権利確認行政事件から権利所属、権利侵害を含む民事と刑事が関わる多様な種類の事件であり、裁判、調停、処罰など多様な諸方式が採られている。

〇10大影響事例
1.「メラミン」発明特許権及び営業秘密侵害事件(2020)最高法知民終1559号、(2022)最高法知民終541号
2.「金粳818」水稲植物新品種権侵害事件(2021)最高法知民終816号
3.「自動車ワイパー」の発明特許権侵害事件(2019)最高法知民終2号
4.「漢方薬自動調剤機」の発明特許権無効行政事件(2021)最高法知行終93号
5.中国初医薬品特許リンケージ事件(2022)最高法知民終905号
6.「バニリン(香蘭素)」営業秘密侵害事件(2020)最高法知民終1667号
7.「ゴム老化防止剤」営業秘密侵害事件(2022)最高法知民終816号
8.「Carbopol(卡波)」営業秘密侵害事件(2019)最高法知民終562号
9.「煉瓦協会」水平独占協定事件(2020)最高法知民終1382号
10.「コードレス掃除機」発明特許権侵害事件(2022)最高法知民終189号

〇100典型事例
(1) 科学技術イノベーション奨励事件 23件
(2) 保護レベル強化事件 22件
(3) 公平な競争の維持事件 24件
(4) 外国企業関与事件 18件
(5) 積極的司法実務展開事例 13件

参照サイト:https://ipc.court.gov.cn/zh-cn/news/view-2782.html
10大事件 https://ipc.court.gov.cn/zh-cn/news/view-2784.html
100件事件 https://ipc.court.gov.cn/zh-cn/news/view-2785.html
参照事件リスト

【中国】最高人民法院による2022年中国法院知的財産権10大事例(4月20日)

最高人民法院は、4月20日付、例年通り、中国法院知的財産権10大事例と知的財産権50典型事例を発表した。10大知識産権事例の概要は以下の通り:

事例1.「大头儿子(頭の大きい息子)」著作権侵害事件 (2022)最高法民再44号
 杭州大头儿子文化发展有限公司vs央视动漫集团有限公司
 【委託著作物、法人著作物及び特殊業務用著作物の判断基準、所有権証拠の分析・特定方法を明確化】

事例2.「ED-71製剤」発明特許侵害事件 (2022)最高法知民终905号
 中外製薬株式会社vs温州海鹤药业有限公司
 【2020年特許法改正で導入された医薬品特許リンケージ制度導入後の最初の事件、ZL2005800098777.6の保護範囲の確認】

事例3.「水道事業」市場での支配的地の濫用紛争事件 (2022)最高法知民终395号
 威海宏福置业有限公司vs威海市水务集团有限公司
 【独占禁止法上の支配的地位の濫用が公共サービスに従事する事業者の場合の指針】

事例4.「青花椒」商標権侵害事件 (2021)川知民终2152号
 上海万翠堂餐饮管理有限公司vs温江五阿婆青花椒鱼火锅店
 【識別力の低い文字商標の権利行使、一般語の公正な(説明的)使用の認定基準を明確化】

事例5.「検索エンジン妨害」不正競争事件 (2021)苏05民初1480号
 北京百度网讯科技有限公司(Baidu)vs苏州闪速推网络科技有限公司
 【特定の技術手段を利用し検索エンジンでの検索結果のランキングを妨害、操作する行為はネット利用者の合法的権益の侵害、健全で公平なインターネット秩序を混乱と認定】

事例6.「胖虎打疫苗(太った虎のワクチン接種)」NFTデジタル著作物ネットワーク送信権侵害事件 (2022)浙01民终5272号
 深圳奇策迭出文化创意有限公司vs杭州原与宙科技有限公司
 【ブロックチェーン利用したNFTデジタル著作物の法律的属性、取引モデル、プラットフォームの属性及び責任認定などを明確にし、事業者の注意義務違反を確認】

事例7.「龍井茶」商標権侵害行政処罰不服再審事件 (2022)沪73行终1号
 特威茶餐饮管理(上海)有限公司vs上海市浦东新区知识产权局
 【輸入茶葉に地理的表示の証明商標を付した行為(原産地表示違反)を商標権侵害として行政処罰した事件を正当と確認】

事例8.「都蜜5号(メロン)」植物新品種侵害事件 (2021)琼73知民初24号
 京研益农(寿光)种业科技有限公司vs新疆昌丰农业科技发展有限公司
 【植物新品種権の形式審査合格公告日から新品種権付与日までの仮保護期間での侵害認定】

事例9.「虚偽SNSユーザーインターフェース」不正競争事件 (2020)京0108民初8661号
 深圳市腾讯计算机系统有限公司(テンセント)vs郴州七啸网络科技有限公司など
 【SNSユーザーインターフェースを構成する同一のテンプレートや素材を提供した行為をユーザーに偽造、不正行為のツールを提供し、虚偽、欺瞞を実施するための条件を提供し、信義誠実の原則や商業道徳に違反する「黒灰産(ブラックマーケット、ネット詐欺)」行為で典型的不正競争行為と確認】

事例10.羅某洲、馬某など8名の「Airpods」登録商標偽証刑事事件 (2022)粤03刑终514号
 【デジタル経済環境下では、商標の使用を、商品、商品の包装或いは容器などの有形物に商標を使用することに限らず、商業活動において商品の出所を識別するために使用される行為まで対象を拡大】

2020年中国法院知的財産権50典型事例の内訳は以下の通り:
(1)特許権帰属、侵害事件 2件
(2)商標権侵害、契約事件 11件
(3)著作権帰属、侵害事件 9件
(4)不正競争事件     16件
(5)植物新品種事件    3件
(6)知的財産権行政事件  6件
(7)知的財産権刑事事件  3件

参照サイト:https://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-397162.html