【中国】「2019年中国ネット著作権産業発展報告」の公表(9月16日)

2020年9月16日、国家著作権局が主催する2020中国ネット著作権保護と発展大会が北京で開催され、国家著作権局ネット著作権産業研究基地が5月にまとめた「2019年中国ネット著作権産業発展報告」が公表された。

報告によると、中国でのネット著作権産業は引き続き安定的成長を維持しており、2019年に中国の市場規模は9584.2億元(約15.3兆円)に達し前年比29.1%伸びた。事業モデルは主に使用料、運営及び広告の収入の三要素であるが、広告などの収入は5057億元に達し、全体の52.7%、使用料は4444億元と全体の46.4%、運営収入は83.2億元と0.9%を占めている。事業内容としては、ネットニュースとゲームが依然として中国のネット著作権産業の中心であり、両者の市場規模の合計は63.7%を占める。ネット動画類は新たな成長期を迎えており、ネット動画、ネットショート動画、ネット中継の産業のシェアは29%に近づいている。

なお、報告書は9分野から整理されおり、デジタル閲覧、ネット動画、ネットアニメ、ネットゲーム、ネット音楽、ネットニュースア、ネット中継、ネットショートビデオ、バーチャル産業発展状況とハイライトである。

参照サイト:http://www.ncac.gov.cn/chinacopyright/contents/518/421425.html

【中国】商標評審部の2019年度行政不服訴訟の評価報告(6月19日)

商標局評審部は、2019年度の商標出願等の審判結果に対す行政不服訴訟に関する分析報告を行った。この結果は出願却下、異議や無効の申立てをした場合の個別の主張理由の効果を判断するためには有効な情報である。以下、報告の一部を要約で紹介する。

1.2019年不服訴訟情況
 2019年の商標局評審部の評審事件は33.7万件で、一審事件は14,292件である。一審のうち裁決件数は全体の4.2%を占め、対前年比はほぼ横ばいである。2018年の第二審控訴が5,643件あり、最高人民法院及び北京高級人民法院での聴聞或いは再審手続きが575件である。
 2019年の一審判決は大幅に増加し、16,080件(裁定545件含む)に達した。これは、2017、2018年度の一審判決が遅れていたために、北京知識産権法院が全面的に訴訟スピードを加速していることも理由の一つである。
 2019年の一審敗訴は4,008件、このうち事情の変更による敗訴事件は1,777件と敗訴総件数の44.3%を占める。これ以外の理由での敗訴率は13.9%と対前年比-1.5ポイントである。2019年の第二審判決は5,306件、内敗訴事件は1,631件、事情の変更による敗訴案件は658件である。再審判决及び裁定を受けた374件のうち、事情の変更の裁判事件は39件である。

2.主な特徴
(1)評審事件の一審の起訴率は安定、二審と再審の訴訟比率は明らかに増加
 2019年の第一審量は2800件近く増加したもの訴追率はやや減少した。評審事件の実際の一審敗訴率は増加していないが、商標登録確定の環境の大きな変化と事件量の激増が理由であり、司法機関との連携が課題である。
 第二審訴訟の割合が増加したのは、審査部の控訴メカニズムの調整によるもので、審理での錯誤や事情の変更による敗訴以外に、その他の一審敗訴事件は控訴の原則による。行政と司法の二審の判決が増えるにつれて、再審事件が増えているおり、再審取消の判決は全79件、うち39件は事情の変更による取消で、ほぼ逆転判決の半分を占めている。なお、一部の逆転判決事件は単純な商標の類似判定にのみ関わるものである。

年度評審数(万件)提訴数(万件)提訴率
2017年16.890.935.5%
2018年26.521.154.3%
2019年33.711.434.2%
2017-2019年評審件数&行政不服提訴件数推移

(2) 事件種別統計、無効宣告事件の敗訴率はやや減少、再審取消の敗訴率はやや上昇
 2019年に商標局評審部は取消再審の敗訴案件527件(含通用名称取消再審3件)を受け、その中で係争商標登録人が訴訟で新証拠を提出したことにより敗訴した事件が全部で212件ある。当事者は商標局での手続き中に立証が奨励される。新証拠よる敗訴を除き、手続き違反による敗訴は9件、行政機関が取消し裁判所が維持した事件は66件、行政機関が維持し裁判所が取消した事件は237件である。以上のデータから行政機関に比べて、裁判所の使用証拠の認定は明らかに厳格であることが分かる。

事件種別2019年度
判決総数
2019年敗訴数
(事情変更)
2019年敗訴率
(除事情変更)
2018年総数
敗訴/事情変更
拒絶査定再審9,9082,480
(1,738)
25%
(7.5%)
5,870
(1625/1286)
登録却下再審
(含異議再審)
28936
(7)
12.5%
(10%)
303
(33/5)
無効宣言4,208965(32)22.9%(22.2%)3,275(828/14)
取消再審1,675527(212) 31.5%(18.8%)1,186(354)
2019年第一審判種類別統計

(3)敗訴部分の原因比率と明らかな変化
 2019年は引証商標権者の取消と共存協議による敗訴件数が今年は大幅に増加し、拒絶査定再審事件が中心で無効宣告事件でも数件ある。これらの特徴は、当事者の95%以上が訴訟において新証拠を提出したことにある。その他の理由で上昇したのは、第10条1.7項、第13条、第15条である。

敗訴原因2019年2018年2017年
事情の変更§3044.3%42.4%28.4%
標識類似§911.1%16.2%21.1%
商品類似§134.4%6.2%5.4%
引用商標権者取消2.3%
共存契約2.7%2.0%
誤認混同§10.1.73.4%1.8%1.9%
顕著性§112.8%2.5%6.8%
馳名商標§134.3%3.9%2.3%
先取り登録§151.0%0.9%
不正手段§44.13.4%3.3%1.7%
不使用取消§49.212.8%13%12.6%
手続きその他1.6%2.5%3.9%
2017-2019年の具体的敗訴原因項目比

参照サイト:http://sbj.cnipa.gov.cn/gzdt/202006/t20200619_317155.html
http://spw.sbj.cnipa.gov.cn/fwtx/202007/t20200706_319409.html

【中国】「最高人民法院知的財産権法廷裁判要旨(2019)」の公示(4月16日)

最高人民法院知識産権法廷は、4月16日付、「最高人民法院知的財産権法廷裁判要旨(2019)」を公示し2019年度の技術類知的財産権裁判の特徴を要約するとともに、2019年に結審した事件の中から36つの典型的な事件を選出し、40件の規則を示し、技術類知的財産権分野での新しいタイプ、難解、複雑な事件を指摘している。以下、概要でご紹介する。

2019年技術類知的財産権裁判の主な特徴:
1.特許民事事件:クレーム解釈が主な課題で、従来技術、先使用権及び合法的出所による抗弁が最も一般的な抗弁事由である。
2.特許行政事件;進歩性判断が主な課題、司法の行政に対する監督機能をさらに強化する。
3.植物新品種事:法律問題がますます多様化し、技術的事実の究明と権利侵害の認定の難しい事件が増加している。
4.営業秘密事件:技術秘密の非公開性と権利侵害の隠蔽性が審理の難度を上げている。
5.コンピュータソフトウェア事件:契約約定の不明確と技術的事実の究明に難度がある。
6.技術契約:違約事実の審理が要点になっている。
7.管轄異議などの手続性事件の増加や多様化が顕著である。

(1)特許民事事件
1.機能的特徴の認定 【(2019)最高法知民终2号】
2.主題名称に記載されている効果、機能の請求項に対する実質的限定作用 【(2019)最高法知民终657号】
3.複数主体による方法特許実施の侵害判定 【(2019)最高法知民终147号】
4.従来技術による抗弁の認定における発明のポイントの検討 【(2019)最高法知民终89号】
5.先使用権による抗弁における「主要技術図面」の認定
6.販売者の合法的な出所による抗弁の審査 【(2019)最高法知民终118号】
7.販売者の合法的な出所抗弁成立時は権利者が合理的な支出を負担 【(2019)最高法知民终25号】
8.被疑侵害者が正当な理由なく侵害帳簿資料の提供を拒否した場合の損害賠償の算定
9.特許侵害行政投訴は侵害警告の範囲と条件を構成 【(2019)最高法知民终5号】
10.仮差止と部分的判決の処理関係
11.特許権侵害事件の審理期間中に請求項が無効と宣告された後の手続き処理 【(2019)最高法知民终161号】
12.特許権侵害事件の審理期間中に請求項の一部が無効とされた後の処理 【(2019)最高法知民终350号】
13.特許無効宣告行政手続中に自発的に放棄した請求項の特許侵害訴訟に及ぼす影響 【(2019)最高法知民终145号】
14.再審査手続の従来技術による抗弁での新たな証拠の処理【(2019)最高法知民申1号】

(2)特許行政事件
15.新規性判断における単独対比の原則 【(2019)最高法知行终53号】
16.進歩性と明細書での十分な開示などの法的要件の関係 【(2019)最高法知行终127号】
17.進歩性判断における発明が実際に解決する技術課題の確定 【(2019)最高法知行终32号】
18.進歩性判断における技術的示唆の認定 
19.進歩性判断における生物材料の保存の考察 【(2019)最高法知行终16号】
20.研究成果の科学的価値と進歩性断の関係 【(2019)最高法知行终129号】
21.実物の公開による従来技術の認定 【(2019)最高法知行终1号】
22.特許無効宣言手続きにおける請求項の具体的な補正方法の要件 【(2019)最高法知行终19号】
23.請求項の補正が原特許の保護範囲を拡大するか否かの基準 
24.国家知識産権局による新たな理由或いは証拠に基づく拒絶査定の条件と手続き 【(2019)最高法知行终5号】
25.無効取消手続きにおける全面審査の原則 【(2019)最高法知行终124号】

(3)植物新品種事件
26.品種審査と植物新品種権付与の関係 【(2019)最高法知民终585号】
27.繁殖材料の認定 【(2019)最高法知民终14号】
28.収穫材料と繁殖材料の属性を兼ね備えた植物素材の販売行為と植物新品種権侵害判定
29.植物新品種権の独占的実施許諾の認定 【2019)最高法知民终130号】

(4)営業技術秘密事件
30.営業秘密に関わる民刑事交差事件の処理 【(2019)最高法知民终333号】
31.技術秘密の侵害と特許権主張の合併審理 【(2019)最高法知民终672号】

(5)コンピュータソフトウェア事件
32.コンピュータソフトウェア開発契約書での開発標準の認定 【(2019)最高法知民终694号】
33.オープンソース協議の適用範囲とソフトウェア著作権侵害判定に対する影響 【(2019)最高法知民终663号】
34.コンピュータソフトウェア開発契約の開発者の履行遅延行為の認定 【(2019)最高法知民终433号】

(6)独占事件
35.カルテル紛争の仲裁性認定 【(2019)最高法知民辖终46号】

(7)管轄などの手続の事件
36.訴訟が繰り返される複数の関連案件を統括的に調整し、集中的に管轄する適用 【(2019)最高法知民终447号、470号】
37.関連のある特許権侵害非侵害確認の分散審理の調整 【(2019)最高法知民辖终1号、2号】
38.特許権譲渡条項を含む持分譲渡紛争の管轄 【(2019)最高法知民辖终158号】
39.管轄の連結点での部品の使用行為の認定 【(2019)最高法知民辖终201号】
40.管轄の連結点での情報ネットワーク侵害行為の認定 【(2019)最高法知民辖终13号】

参照サイト:http://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-225831.html

【中国】最高人民法院知識産権法廷は2019年度報告書を公表(4月16日)

最高人民法院知識産権法廷は、4月16日付、2019年の年度報告書を公表した。統計データによると、2019年の技術類の知的財産事件の受理は1945件、結審は1433件であり、約73.7%が年度内に完了している。平均審理期間は73日、管轄異議二審は29.4日、裁判官一人当たり39.2件を処理した。概要は以下の通りで、実用新案特許侵害事件が全体の47%、発明特許侵害事件が24%と高い比率を占めている。

上訴法院の上位は、北京(376件)、広州(297件)、上海(143件)、南京(107件)、深圳(96件)である。外国や香港、マカオ、台湾関連の事件は174件で、日本関係は15件である。

結審の1174件の内容を見てみると、原審判決維持が731件(62.3%)、却下が280件(23.9%)、調停71件(6%)、変更が92件(7.8%)と、判決の変更が比較的目立っていると言える。変更の内訳としては、民事二審が66件、管轄異議二審が21件、行政二審が5件である。

全体の特徴としては、以下の6点を挙げることができる。
(a)医薬、バイオ、通信、機械、農業林業など広い技術分野に渡っている。
(b)社会的影響が大きく、賠償額が1000万人民元を超える事件は17件、一億元を超える事件は3件もあり、また、標準必須特許、医薬特許などの先端技術と国民生活に関連するものである。
(c)当事者が異なる裁判所に多数の民事、行政事件を異なる手続きを行っているといった、手続きが交錯する事件が多かったので、裁判手続き、裁判基準、全体的な調停の取扱いを調整し、良好な結果を達成した。
(d)技術類の裁判は難度が高く多様な要素があるために係属期間が一般に長期化するが、平均73日と審理期間が比較的短期間で終えた。
(e)外国、香港、マカオ、台湾関連の訴訟が全体の8.9%を占め、一部の訴訟は当事者の国境を越えた訴訟の一部であり、外国での特許侵害訴訟と関係していた。中国と外国の当事者の正当な権利と利益の平等な保護に努めた。
(f)文書の提出命令を履行しない、製品を破壊し保全の邪魔をするなど原告に不利な状況でも司法保護レベルを強化し、権利者の勝訴率は61.2%を占めた。

特許民事事件の特徴
(1)クレーム解釈と均等の侵害判断事件が多い
クレーム解釈では、機能的特徴の認定、名称のクレーム範囲限定作用、寄付原則(明細書に記載がありながらクレームに含まれない技術的特徴の放棄)など難しい事件が多いが、おおむね均等の侵害判断に関連している。
(2) 合法的出所、従来技術、先使用権による抗弁が多い
合法的出所の開示による非侵害の抗弁(特許法第70条)の事件が一番多く、立証責任の配分、賠償責任の免除の範囲などに争点が集中している。
(3) 商業的権利保護を伴う訴訟が一定割合を占める
権利者は無審査登録の実用新案特許で全国各地に一定比率の商業権利を保持し、被疑侵害者の多くが小型販売店である。

特許行政事件の特徴
(1)ハイテク分野の事件が多い
技術分野では、機械分野が最も多いが、無効宣告事件では、電気分野と機械分野の案件数が並んで最も多く、通信技術、コンピュータなどのハイテク分野も多い。化学分野の数は多くないが、医薬、バイオ技術などの重要産業分野に集中している。
(2)進歩性判断の事件が多い
進歩性事件は92件で全体の約70%を占める。裁判所は、「三歩法」でて非明白性を判断し、ビジネス上の成功要因などの補助的判断要因の規範化、化合物、生物材料などの発明の進歩性などに取り組んだ。
(3)拒絶査定再審事件では個人出願人が多い
拒絶査定再審事件では、個人の出願事件が75%以上を占めており、ほとんどは進歩性や実用性がない。

参照サイト:http://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-225861.html

【WIPO】2019年の出願統計を公表(4月7日)

WIPOは、4月7日付、2019年度のPCT特許協力条約、マドプロ国際商標、ハーグ国際意匠の各出願統計を公表した。出願件数は、対前年比で PCTは+5.2%、マドプロは+5.7%、ハーグは+10.4%とそれぞれ増加した。

PCTは265,800件の出願があり、中国が初めてアメリカを抜いて、58,990件とトップに就いた。アメリカは57,840件、日本は52,660件、ドイツは19,353件、韓国19,085件である。

マドプロは64,400件の出願があり、アメリカがトップで10,087件、ドイツは7,700件、中国は6,339件、フランスは4,437件、スイスは3,729件で、日本は3,160件で7位である。 

ハーグは 5,886件の出願で、意匠数21,807件であり、ドイツがトップで4,487意匠、韓国は2,736意匠、スイスは2,178意匠、イタリアは1,994意匠、オランダは1,376意匠で、日本は1,152意匠で8位である。

参照サイト: https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2020/article_0005.html
こちらの分析もご参照ください。
https://www.wipo.int/edocs/infogdocs/en/ipfactsandfigures2019/

【台湾】2019年度特許商標出願統計

台湾智慧財産局は2月6日付、2019年の特許及び商標出願統計を公示した。特許は+1.3%、商標は+2.3%の増加となった。 日本からの特許出願(発明、実案、意匠の合計)が14,598件と引き続きトップ、2位はアメリカで7,437件、3位は中国で3,698件である。

種  別2019年2018年伸び率
発明48,26847,429+1.02%
実案17,58017,910-0.02%
意匠8,8048,082+1.09%
商標86,79484,816+2.3%

特許出願ランキング上位10社は下記の通り

会社名発明実案意匠合計
1 台湾積體電路製造股份有限公司 1333001333
2 阿里巴巴集団服務有限公司 818319850
3 APPLIED MATERIALS, INC. 632229663
4 QUALCOMM INCORPORATED 58200582
5 宏碁股份有限公司 40710850565
6 友達光電股份有限公司 532615553
7東京エレクトロン 49213496
8日東電工 402 01403
9 工業技術研究院 368143385
10 聯発科技股份有限公司 35060356

以下、 日本企業では東芝メモリー(299件)、富士フィルム(266件)が 続く。

参照サイト: https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-863837-57284-1.html
https://www.tipo.gov.tw/tw/dl-263972-81bb140bc1494b16b9968ae500b15d9a.html

【アメリカ】2019年度特許権取得ランキング

IFI CLAIMS は例年のアメリカ特許権取得ランキングを公表した。その情報からトップ10と50位までの日本企業を紹介する。

参照サイト: https://www.ificlaims.com/rankings-top-50-2019.htm

1International Business Machines Corp9,262
2Samsung Electronics Co Ltd6,469
3キャノン株式会社3,548
4Microsoft Technology Licensing LLC3,081
5Intel Corp3,020
6LG Electronics Inc2,805
7Apple Inc2,490
8Ford Global Technologies LLC2,468
9Amazon Technologies Inc2,427
10Huawei Technologies Co Ltd2,418
14ソニー株式会社2,142
16トヨタ自動車関連2,034
21パナソニックIP株式会社1,387
23セイコーエプソン株式会社1,345
27三菱電機株式会社1,244
28株式会社東芝1,170
31本田技研工業株式会社1,080
32株式会社デンソー1,052
35富士通株式会社1,008
37株式会社リコー980
40日本電気株式会社923
45株式会社村田製作所842
46シャープ株式会社819
49富士フィルム株式会社791

【中国】2019年度特許、商標出願統計速報、発明特許出願は9%減少(1月14日)

国家知識産権局は、1月14日、新聞発表会を開催し、2019年度の特許、商標などの出願、登録及び審査状況などを発表した。なお、国家知識産権局は、前身の専利局の創設から40年の節目を迎えた。

特許関係では、発明特許出願は140.1万(前年154.2万件、対前年比-9.14%)と減少した。発明特許出願登録件数は45.3万(前年43.2万件、対前年比+4.86%)と増加し、内中国国内は36.1万件(79.7%)である。中国企業の特許取得上位10社は、華為技術HUAWEI(4510件)、中国石油化工SINOPEC(2883件)、OPPO広東移動通信(2614件)、京東方科技BOE(2393件)、騰訊科技TENCENT(2146件)、珠海格力電器GREE(1739件)、聯想RENOVO(1706件)、中興通訊ZTE(1472件)、維沃移動通信VIVO(1388件)、中国石油天然气PetroChina(985件)である。
 PCT国際特許出願受理件数は6.1万件(前年比+10.4%。)、内中国国内は5.7万件で広東(2.47万件)、北京(7.2千件)、江蘇(6.6千件)。外国への特許出願件数は15.7万件と対前年比+6.0%と増加している。
 なお、受理後審査済みの特許出願は、発明特許出願102.3万件、実用新案特許出願198.1万件、意匠特許出願74.4万件となり、発明特許出願の平均審査期間は17.3か月以内とやや長くなった。
 特許出願拒絶査定不服審判請求は5.5万件、結審は3.7万件。無効取消請求6千件、結審は5千件である。
 外国からの発明特許出願は15.7万件と対前年比+6.0%と増加した。特許出願の上位3か国は日本(4.9万件、対前年比+7.9%)、アメリカ(3.9万件、対前年比+1.5%)、ドイツ(1.6万件、対前年比+6.4%)である。

商標関係では、商標登録出願は783.7万件(前年737万件、対前年比+6.34%)と増加した。商標登録出願登録件数は640.6万件(前年500.7万件、対前年比+27.94%)と増加し、中国国内は617.8万件(96.44%)である。2019年末の有効登録商標件数2521.9万件で、対前年比+28.9%である。
 中国人のマドプロ国際商標出願は6,491件で、2019年末までの中国人のマドプロ国際商標登録件数は3.8万件である。外国への商標出願件数は25.5万件と対前年比+4.7%と増加している。
 なお、審査済みの商標登録出願は825.3万件、商標登録出願の平均審査期間は4.5か月まで短縮された。
 商標登録出願異議申立件数は14.4万件で審査処理件数は9万件、商標審判申立件数は36.1万件で審決は33.7万件である。
 外国からの商標出願は25.5万件と対前年比+4.7%と増加した。商標出願の上位3か国はアメリカ(5.4万件、対前年比+5.3%)、日本(3.1万件、対前年比+21.2%)、英国(2.4万件、対前年比42.4%)である。

地理的表示関係では、2019年の保護商品が5件、地理的表示登録件数は462件、専用標識企業登録件数は301社で、累計は護商品が2,385件、地理的表示登録件数は5,324件、専用標識企業登録件数は8,484社となった。

集積回路配置設計関係では、登録出願件数は8,319件と対前年比+87.7%、登録件数は6,614件と対前年比+73.4%と増加した。

その他の統計では、特許侵害紛争行政裁決事件は3.9万件と対前年比+13.7%と増加した。集積回路配置設計権利侵害事件は2件である。2019年の知的財産権ライセンス料輸出入総額は370憶米ドル、特許と商標の担保融資総額は1,515億元(約2.4兆円)と対前年比+23.8%と増加し、特許担保融資総額は1,105億元、7,060プロジェクトと対前年比+30.5%と増加している。

参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/twzb/2019nzygztjsjjygqkxwfbh/index.htm

【中国】2019年度商標出願審判状況

商標局商標評審部は、12月27日付、2019年1月-12月の処理状況を公示したので、概要をご紹介する。

1.商標出願審判受理状況
2019年は累計360,996件を受理し、対前年同期比+15.17%。その内、拒絶査定不服審判が302,096件、同+10.86%。当事者系審判が58,900件、同+43.86%。
処理状況は、337,154件と同+32.82%である。

2.行政再審状況
行政再審査請求は1,018件を受理し、同+46.90%増、処理は936件で、同+52.2%である。

3.行政不服訴訟状況
行政訴訟は、一審の被訴事件14,292件、同+26.79%増。第二審被訴事件は5,643件、同+37.73%。再審請求の被訴事件は575件、同+38.22%である。

参照サイト: http://spw.sbj.cnipa.gov.cn/gzdt/201912/t20191227_309532.html

【マレーシア】商標法改正施行(2019年12月27日)

マレーシア知的財産庁(MyIPO)は、12月27日付、マドプロ国際商標条約への加盟発効及び国内商標法の改正施行を公示した。改正内容は下記の通り。

  • 保護対象を非伝統的商標に拡大
    音、色(単色或いは組合せ)、ホログラム、位置、におい、形状(商品自体かパッケージ)、動き、及び商標要素の組合せの出願が可能になった
  • 多区分一出願の導入
  • 団体・証明商標制度の導入と防御商標制度の廃止
  • 出願日認定の明確化
    従来の出願受付日から、未補完書類や外国語商標の翻訳や翻案がある場合、補完が完成した時点で、出願日が認定されるように変更となった。優先権主張のある場合、優先権主張日まで出願日(登録日と見なし)は繰り下がらない。優先権主張を伴う出願の場合、先願による排除権のみが機能する
  • 拒絶理由通知の明確化
    絶対的拒絶理由と相対的拒絶理由に分けた審査がされるようになる。また、当事者の同意書を審査に活用するコンセント制度を導入、但し無条件受け入れではない
  • 分割出願及び出願併合制度を導入
  • 登録証発行廃止
    簡便なシールを添付した認可通知が発行される。登録証が必要な場合は、別途有料で発行を請求することができる
  • 登録確定の推定期間の短縮
    除斥期間が7年から5年に短縮された
  • 不使用取消理由の追加
    商標が希釈化し一般名称となった場合、また、品質、性質や地理的出所などと誤認されるようになった場合も、不使用取消の対象となる。
  • ライセンス登録義務の廃止
    被許諾使用者の登録義務を廃止し、ライセンス契約書があれば第三者対抗要件となる。なお、ライセンス登録は可能であるため、ライセンス登録をお勧めする。
  • 商標権侵害の拡大解釈導入
    指定商品や役務の解釈を類似するところまで、禁止権を拡大解釈するように変更した。また、侵害行為者を侵害寄与や侵害関係者として、代行、保管、展示などの行為者も侵害行為者に含む。こうしたことから原告の侵害立証義務が少し緩和されると思われる
  • 模倣品対策の規定導入
    虚偽表示や誤認させる使用に対する罰金1万リンギットを規定した
  • 理由のない警告に対する救済の導入
    単純な警告から訴訟など具体的な権利行使に動く可能性が高い
  • 担保権の導入
    商標権も一般物件と同様に担保の対象となった
  • 弁護士依頼者間の秘匿特権の規定
  • 移行措置
    旧法中出願の係属中出願には旧法が適用されるが、新法の適用を請求する権利が出願には留保されている。

参照サイト:
商標法 http://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2019/12/ACT-815-TRADEMARKS-ACT-201.pdf
ガイドライン https://drive.google.com/file/d/1go_DlUdCQ3wpKM2oMhlR6yKjPzgA_63I/view

【中国】2019年上期の知的財産権出願・登録等の統計発表、特許・商標ともに出願減少(7月9日)

国家知識産権局は7月9日にプレス発表会で、2019年上期の特許、商標、地理的表示、集積回路配置設計の統計データを発表し、中国の知的財産権の発展傾向と行政の進捗状況を説明した。

1.特許
2019年上半年の発明特許の出願件数は64.9万件(前年同期比▲9.4%減)、登録件数23.8万件(前年同期比+9.9%増)であった。その内、国内からの発明特許登録は19.2万件、その職務発明は18.3万件で95.2%を占める。そして、国内の登録件数トップ3企業は華為技術有限公司(2314件)、中国石油化工股份有限公司(1595件)、OPPO広東移動通信有限公司(1312件)である。
また、PCT出願受理件数は2.4万件(前年同期比+4.9%増)、その内、国内申请2.2万件(前年同期比+2.8%増)で、上位の地域は広東省(9807件)、北京市(3179件)、江蘇省(1920件)である。
ところで、再審請求は2.3万件(前年同期比+22.9%増)、審決は1.7万件(前年同期比+11.0%増)、無効取消請求は28百件(前年同期比+12.8%増)、審決は29百件(前年同期比+18.9%増)である。
平均審査期間は、発明特許が22.7ヶ月(優先審査は20.5ヶ月)、実用新案特許が6.2ヶ月、意匠特許が4.0ヶ月、。特許再審請が11.7ヶ月、無効取消請求が5.0ヶ月である。

2.商標
2019年上半年の商標の出願件数は343.8万件(前年同期比▲4.1%減)、登録件数351.5万件(前値同期比+67.8%増)であった。6月末現在の有効登録商標件数は2274.3万件(前値同期比+35.3%増)である。
ところで、商標審判請求件数は19.8万件、審決は15.9万件であった。中国の出願人によるマドプロ出願件数は2849件。6月末現在のマドプロ国際登録商標件数は3.5万件である。
平均審査期間は商標出願で5ヶ月、譲渡で4ヶ月、却下再審で7ヶ月、その他の商標変更、更新、登録証発行などは1ヶ月以内と短縮された。

3.地理的表示
2019年上半年の地理的表示登録は116社、229件である。6月末現在の地理的表示の登録件数は5090件、対象製品は2380製品で、外国製品61を含む。

4.半導体設計配置
2019年上半年の出願件数は2904件(前年同期比+45.7%増)、登録証発行は2487件(前年同期比+52.0%増)であった。

5.知的財産権保護と運用
2019年上半年の特許及び商標の行政法執行件数は、虚偽表示で6529件、商標権侵害で1.15万件である。
2019年上半年の特許及び商標の質権設定融資額は583.5億元(前値同期比+2.5%増)、件数は3086件(前値同期比+21.6%増)であり、その内、特許は404億元、件数は2709件、特許件数は1.3万件である。

出願減少の一局面として、質の向上が目指されているとやビックデータとAIなどの分野の進展があるとの解説があるものの、悪意や非正常出願の対策が減少の原因であることが確認されている。一方、特許の質権設定の68.6%は1000万元以下の少額融資であり、ベンチャーキャピタルとなっている。これは積極的イノベーションと知的財産の関係が顕著であることも示されているので注目するべきである。

ところで、2019年1-6月の外国からの中国特許、商標出願はそれぞれ8.6%、15.4%伸びた。具体的には日本、アメリカ、ドイツが中国特許出願上位3か国で、それぞれ12.6%増、3.4%増、6.6%増となっている。商標出願ではアメリカ、日本、イギリスが上位3か国で、それぞれ13.6%、31.4%、56.9%と伸びた。

参照サイト
http://www.cnipa.gov.cn/zscqgz/1140467.htm
http://www.cnipa.gov.cn/twzb/2019ndsjdlxxwfbk/index.htm