【中国】「人工知能+」知財情報公共サービスでの活用(6月27日)

国家知識産権局(CNIPA)は、6月27日、「「人工知能+」知的財産情報公共サービス応用シナリオの構築(人工智能+”知识产权信息公共服务应用场景建设)」に関する通知(国知弁函服字〔2025〕479号)を地方の知識産権局に出した。

本通知は、知的財産の創造、応用、保護、管理、サービスの全チェーンにおける人工知能技術の応用を推進し、価値の高い特許の育成を支援し、イノベーションと創造に役立ち、知的財産の転換と応用を促進し、知的財産権の保護を支援し、知的財産管理の効率を最適化し、知的財産情報の開発と利用を促進しするともに、知的財産公共サービスのデジタル化レベルを向上させることを目的としている。

 簡単にいうと、各地で、知的財産データベースとプラットフォーム構築の活用を促進し、知的財産情報公共サービス製品を複数形成し、「技術・資源・シナリオ・製品」の4in1公共サービスモデルを構築することで、企業活動を支援しようとするもので、以下の6項目を揚げていある。
(1) 高価値知的財産の育成・発掘
(2) イノベーションと創造へ貢献
(3) 知的財産の変革と応用の促進
(4) 知的財産権の保護支援
(5) 知的財産管理の効率的最適化
(6) データセキュリティ保護レベルの強化。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2025/6/27/art_75_200359.html

【日本】「AI関連発明の出願状況調査(国際編)」の公表(6月9日)

日本特許庁(JPO)は、6月9日、近年出願が急増しているAI関連の特許出願に関し、従前調査していた国内における出願状況に加え、日本含む国際的な出願状況調査を実施しましたとして、「AI関連発明の出願状況調査(国際編)」を公表した。

調査対象は、(1)AIコア、(2)画像・映像処理AI関連、(3)⾃然⾔語処理AI関連、(4)ニューラルネットワーク、(5)CNN関連、(6)RNN/LSTM関連、(7)深層強化学習関連、(8)Transformer関連の8分野である。分析対象は、日米中韓と欧州であるが、欧州は件数が少ないために、4か国に評価がまとまっており、日本の立ち位置がよく洗いだされ、中国と比較すると課題がよくわかる結果となっている。

参照サイト:報告PPT(3.7MB)https://www.jpo.go.jp/resources/report/gidou-houkoku/tokkyo/document/index/2025_report_ai.pdf

【中国】「AIの科学技術イノベーションと産業発展の促進に関する意見」の公示(4月25日)

広東高級人民法院は、4月25日、「高品質な知的財産権の活用による人工知能の技術革新と産業発展の促進に関する意見(关于以高质量知识产权审判工作促进人工智能科技创新和产业发展的意见)」を公示し、「最高人民法院による高品質な裁判による科学技術革新のサービスと保護に関する意見」を徹底し、科学技術イノベーションに対する司法保護レベルをさらに向上させ、総合的なイノベーション支援システムとメカニズムを構築し、AI産業の高品質な発展を支援、保護するために、広東省で裁判実務を踏まえ、本意見を公示した。広東省及びその周辺はAI技術イノベーションの集約地域であり、積極的な対応が求めらることから高級人民法院としての司法意見を公示した。


見は、全24項目であるが、以下はご参考に表題のみ、全文で詳細はご確認ください。
1. 知的財産権審判業務の政治的指導を堅持し、質の高い司法サービスにより、国の重要な科学技術イノベーション戦略の確実な遂行を保障する。
2. 安定した前進と正しい方向性を維持しながらイノベーションを求める業務基調を堅持し、AI科学技術のイノベーションと産業発展の向上と積極的な発展を促進する。
3. 広東・香港・マカオ大湾区における「一点二地」の戦略的位置づけに基づき、「AI+」技術と産業の融合とイノベーションを支援する。
4. 知的財産権裁判機能の役割を十分に発揮させ、AI技術のイノベーションと産業発展に対する法的保障を強化する。
5. AI技術のイノベーション成果の帰属紛争を適切に審理し、協働によるイノベーションと成果の共有を奨励する。
6. AI技術契約紛争を法に基づき審理し、技術成果の転換・応用のチェーンを円滑にする。
7. オープンソースAI関連紛争を適切に審理し、オープンで共有可能なイノベーションエコシステムを構築する。
8. AI関連データ権益紛争を法に基づき審理し、データ要素の乗数効果の発揮を促進する。
9. 生成AIコンテンツ所有権紛争を適切に審理し、生成コンテンツの性質と権利帰属を正確に定義する。
10. 生成AIコンテンツ著作権侵害紛争を法に基づき審理し、関係者主体の責任を適切に明確にする。
11. 技術応用における信頼性と制御性のための法的防御ラインを適切に構築し、生成AI合成コンテンツの標準化と健全性を保障する。
12. AI関連特許紛争を法に基づき審理し、重要なコア技術の法的保護を強化する。
13. AI関連技術秘密紛争を適切に審理し、産業のイノベーションエコロジーの健全な発展を維持する。
14. AI関連不正競争紛争を法に基づき審理し、技術イノベーションの市場秩序を効果的に維持する。
15. AI関連独占紛争を適切に審理し、市場主体のイノベーション活力を刺激する。
16. AI関連知的財産犯罪を厳格に認定し、産業発展のための法的障壁を構築する。
17. AI関連越境知的財産権司法統治に積極的に参与する。
18. AI知的財産事件訴訟手続きの規則を整備する。
19. AI事件の質と効率の向上のための業務メカニズムを整備する。
20. AI知的財産権関連法的問題に関する司法調査研究を強化する。
21. AI知的財産権の司法保護に関する広報・指導を強化する。
22. AI関連産業の総合的管理システムの構築を強化する。
23. AIの司法応用改革のイノベーションと技術保障を強化する。
24. AI分野における専門的複合型の裁判人材システムの構築を強化する。

参照サイト:https://www.gdcourts.gov.cn/gsxx/quanweifabu/guifanwenjian/content/post_1843333.html

【欧州】EPO審判にAI活用開始(4月7日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、4月7日の通知で、5月から審査部と異議部でのビデオ会議による口頭審理の議事録を作成するために人工知能(AI)を活用するパイロットプロジェクトを開始することを公示した。これにより、口頭審理の議事録の質をさらに向上させ、より効率的に提供することを目指すとしている。EPOは、パイロットプロジェクトの結果を受けて、段階的に他の業務にも拡大することを予定している。これは、EPOの戦略的計画2028の一部となっている。

AI支援による口頭審理議事録の作成
 EPOは、審査の質と効率の向上を目的として、AIと機械学習を活用しており、主に分類、検索、機械翻訳で活用している。2025年5月から審査官による口頭審理の議事録作成でも活用を開始する。EPC規則124(1)に基づき、口頭審理の要点及び当事者の関連陳述を含む議事録を作成するが、審査官が議事録作成においてAIを最大限に活用できるよう口頭審理の全容を音声録音する。
 このパイロットプロジェクトは 2025 年末まで実施される。その後、運用状況の見直しを行い、審査部および異議部でのすべての口頭審理、ならびに受理部および法務部での口頭審理に段階的に適用する予定である。

参照サイト:https://www.epo.org/en/news-events/news/minutes-oral-proceedings-be-prepared-assistance-ai

【アメリカ】著作権局は「Copyright and AI, Part 2:Copyrightablity」を発表(1月29日)

アメリカ著作権局(U.S. Copyright Office)は、2025年1月29日、人工知能(AI)システムにより生成された素材で構成された或いは組込れた作品の著作権保護に関する報告書を発表した。

この報告書は、同局が2023年に提供した著作権登録ガイダンスと概ね一致していますが、著作権保護の範囲を決定するには微妙で事実に固有の分析が必要となること、さまざまな方法で作品の作成にAIがますます使用されていることを確認している。

報告書は、2023年のガイダンス(Works Containing Material Generated by Artificial Intelligence, Mar. 16, 2023)と概ね同じ内容で、AIはますます使用されている情況からケースバイケース出判断することが必要であり、著作権保護の範囲を決定するには微妙な差異や事実に基づく分析が必要であることを認識しており、現段階で十分な回答を出すことができないため、今後も状況に応じた確認が必要で追加のガイダンスを発行することになるとまとめている。
 とは言え、本報告書では、「copyright protection in the United States requires human authorship」という著作権局の立場を繰り返し、現在の技術水準で著作権保護の適格性を評価する上での重要な区別は、AI ツールが人間の創造性を「支援 to assist」するために使用されているか、それとも「代役 stand in」として使用されているかであるとしている。また、著作権保護の対象となる作品の作成に AI システムを使用できるさまざまな方法を認識しているが、AI により生成された素材に追加の著作権或いは独自の法的保護を提供する新しい法律の制定の必要性は否定している。

報告書の目次は下記の通り
I. INTRODUCTION
A. Technology and Copyright
B. The Copyright Office’s AI Initiative
II. AUTHORSHIP AND ARTIFICIAL INTELLIGENCE
A. Technological Background
B. Legal Framework
C. Assistive Uses of AI Systems
D. Prompts
 1.Commenters’ Views
 2.Analysis
E. Expressive Inputs
F. Modifying or Arranging AI-Generated Content
III. INTERNATIONAL APPROACHES
IV. THE ARGUMENTS FOR LEGAL CHANGE
A. Providing Incentives
B. Empowering Creators with Disabilities
C. Countering International Competition
D. Providing Greater Clarity
V. CONCLUSION

参照サイト:https://www.copyright.gov/ai/Copyright-and-Artificial-Intelligence-Part-2-Copyrightability-Report.pdf

【中国】「AI関連特許出願ガイド(試行)」公示(12月31日)

国家知識産権局(CNIPA)は、12月31日、12月4日の「AI関連特許出願ガイド(人工智能相关发明专利申请指引)」の意見募集稿のごく一部を修正し、「AI関連特許出願ガイド(試行)」として公示した。公示には、よくある疑問として8項目に対する回答を提示している。

本ガイド作成の背景は、AIに係る特許出願が増加し、主要各国も同様の対応をしていることから、AIなどの新技術に対する知的財産権保護を重視している政府としては、AI関連の知的財産制度を充実させ、現在の特許審査基準をさらに明確に改良し、イノベーション主体が共通に懸念する中核問題を迅速に解決するために必要であるとしている。本ガイドの全6章25頁からなり、構成は以下の通り。
第一章 AI関連特許出願の一般的類型及び法律問題
1.AI関連特許出願の類型
1.1 AIのアルゴリズム或いはモデル自体に関する関連特許出願
1.2 AIのアルゴリズム或いはモデルに基づく機能或いは応用分野に関する関連特許出願
1.3 AIにより支援され発明に関する関連特許出願
1.4 AIにより生成された発明に関する関連特許出願
2.ホットな法律問題
2.1 注目を集める発明者の主体適格性
2.2 客体基準の理解に指導の必要性
2.3 十分な開示要件を満たすことに対する疑問
2.4 アルゴリズムの進歩性での貢献の早急な解決の必要性
2.5 AIの倫理問題には指導の必要性
第二章 発明者の認定
1.発明者の署名は自然人でなければならない
2.発明創造の実質的特徴に創造的貢献したものが発明者
第三章 発明で解決する課題に関する基準
1.請求項の技術案は、知的活動の規則と方法のみに関するものであってはならない
1.1 法律根拠
1.2 判断方法
1.3 請求項の作成と意見書への応答
2.請求項の技術案は技術的課題を解決するために自然法則に従った技術的手段を採用するとともに技術的効果を達成することを反映しなければならない
2.1 法律根拠
2.2 判断方法
2.3 請求項の作成と意見書への応答
第四章 明細書での十分な開示
1.発明の貢献の類型に基づき明細書に記載すべき内容を決定
2.さまざまな類型の発明貢献に関する出願書類の作成
第五章 進歩性判断
1.AIのアルゴリズムの特徴を技術的手段の構成部分にする
1.1 特定の機能或いは応用においてAIのアルゴリズム或いはモデルを適用する場合、アルゴリズムの特徴が技術案に貢献していることを考慮しなければならない
1.2 AIのアルゴリズム或いはモデルを異なる機能或いは分野のシナリオに適用するときに考慮すべき要素
2.AIのアルゴリズム或いはモデルとコンピュータシステムの内部構造の特定の技術的関連
3.AIのアルゴリズム或いはモデルと技術的特徴が共同でユーザー体験を向上させる技術的手段
4.審査意見の応答で注意すべき事項
第六章 AI関連特許出願の倫理問題

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/12/31/art_66_196988.html
FAQ&仮訳

【アメリカ】AIの特許適格性ガイドライン更新(7月17日発効)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、2024年7月17日から適用する人工知能(AI)を含む新しい技術イノベーションに対応するため、特許対象適格性(35 § USC 101)に関するガイドライン更新版を公示した。

この最新の更新版では、AI技術関連する発明を含む特許出願と特許クレームの対象適格性を評価する方法にさらなる明確さと一貫性を示すことを目的とし、以前のガイダンスに基づき新しい事例を3件含めており、クレームが抽象的なアイデアを述べているかどうか、またはクレームが抽象的なアイデアを実際のアプリケーションに統合しているかどうかなど以下の通り

■  Claims to “collect[ing] information on a user’s movements and location history [and] electronically record[ing] that data” (i.e., “creating a digital travel log”), Weisner v. Google LLC, 51 F.4th 1073, 1082 (Fed. Cir. 2022) (citation omitted). Under the USPTO’s guidance, this is an example of “managing personal behavior or relationships or interactions between people.”

■  A claim to “monitoring the location of a mobile thing and notifying a party in advance of arrival of that mobile thing [ ] amount[s] to nothing more than the fundamental business practice of providing advance notification of the pickup or delivery of a mobile thing,” agreeing with the district court that “business practices designed to advise customers of the status of delivery of their goods have existed at least for several decades, if not longer.”Elec. Commc’n Techs., LLC v. ShoppersChoice.com, LLC, 958 F.3d 1178, 1181 (Fed. Cir. 2020). Under the USPTO’s guidance, this is an example of a fundamental economic principle or practice.

■  Claims to methods for detecting fraud in financial transactions during a payment clearing process, including determining when there is a match between two financial records, sending a notification to a bank with authorization to process the financial transaction when there is a match, and sending a notification to a bank to not process the financial transaction when there is not a match,Bozeman Fin. LLC v. Fed. Reserve Bank of Atlanta, 955 F.3d 971, 978 (Fed. Cir. 2020). Under the USPTO’s guidance, this is an example of a fundamental economic principle or practice.

ガイドラインの更新版は、以下のURLで確認することができる。また、USPTOのAI関連情報サイトもご参考まで。

参照サイト:https://www.uspto.gov/about-us/news-updates/uspto-issues-ai-subject-matter-eligibility-guidance
AI関連情報サイト https://www.uspto.gov/initiatives/artificial-intelligence/artificial-intelligence-reports

【アメリカ】USPTO実務でのAIツールの使用に関するガイダンスの公示(4月11日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、3月11日付、USPTO実務でのAIベースツール使用に関するガイダンス(Guidance on Use of Artificial Intelligence-Based Tools in Practice Before the United States Patent and Trademark Office)を官報で公示し、特許や商標実務担当者、発明者、起業家などがUSPTO実務でAIが悪用されたり、チェックされないままに利用されたりすることによる、AIの使用によるリスクが発生しないように注意喚起するためのガイダンスとするとしている。

本ガイダンスは、USPTO 実務で AI を使用することで発生する可能性のある規則、方針、或いは問題点の網羅的なリストを提供することを目的としたものではなく、AI が発明プロセスの一部として使用された場合のAIの使用について個別に取り上げている。アメリカの特許実務では、先行技術を調査し、クレームを作成し、出願明細書のレビューを容易にし、特許出願の審査プロセスを自動化し、審査官の対応についての洞察を得るためにもAIツールを活用するなどAI依存度が高まっているため、そうしたAIツールを使用する際に懸念されるリスクとして、不完全や不正確な出力、重大な虚偽記載や脱落など十分な確認をしないことによる手続き上の問題のみならず、秘密保持や倫理問題が生じるのは当然であろう。

官報では、セクション II でUSPTO の既存の規則と方針の概要を説明し、セクション III でこれらの既存の規則と方針がUSPTO実務でAIツールの使用という文脈でどのように適用されるかについて説明している。 具体的には、セクション III(A) でUSPTO に提出する文書の作成におけるAIの使用、セクション III(B) でAIを活用した USPTO への文書提出、セクション III(C)でUSPTO のITシステムとの通信におけるAIの適切な使用について説明し、セクション III(D)でAIの使用に関連する機密保持と国家安全保障上の懸念を提起している。
II. The USPTO’s Existing Rules and Policies
 A. Duty of Candor and Good Faith
 B. Signature Requirement and Corresponding Certifications
 C. Confidentiality of Information
 D. Foreign Filing Licenses and Export Regulations
 E. USPTO Electronic Systems’ Policies
 F. Duties Owed to Clients
III. Application of the Existing Rules as to the Use of AI, Including Generative AI, Before the USPTO
 A. The Use of Computer Tools for Document Drafting
 1. All Submissions and Correspondence With the USPTO
 2.Additional Examples in the Patent Context
 3. Additional Examples in the Trademark Context
 B. Filing Documents With the USPTO
 C. Accessing USPTO IT Systems
 D. Confidentiality and National Security Considerations
 E. Fraud and Intentional Misconduct
IV. Conclusion

なお、アメリカでのAIが発明者になりうるかどうかの判断は、USPTOが特許法§100(f)(g)項に定義される発明者は自然人だけであるとして、Stephen Thaler博士のAI(DABUS)を出願人とする特許出願を拒否したことに対する異義申立を最終的に最高裁判書が2023年4月24日に棄却しているため、AIは発明者になり得ない情況であった。これを受けて、USPTOは、2024年2月13日にAI補助による発明者確定ガイド(Inventorship Guidance for AI-Assisted Inventions)を公示している。

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/04/11/2024-07629/guidance-on-use-of-artificial-intelligence-based-tools-in-practice-before-the-united-states-patent

【中国】「最高人民法院による人工知能の司法応用の規範化と強化に関する意見」の公示(12月9日)

最高人民法院は、12月9日付、「最高人民法院による人工知能の司法応用の規範化と強化に関する意見(最高人民法院关于规范和加强人工智能司法应用的意见)」(法発[2022]33号)を中国語と英語で公示した。これは、中国共産党第20回全人代での第14次5か年計画と2035年長期目標及び次世代の人工知能発展計画に基づいており、人口知能(AI)と司法活動の融合を推進し、スマート裁判所の建設、より高いレベルのデジタル解釈を進めるとしている。

意見は、以下の6項目から構成されいる:
1.指導思想(1項)
2.全体目標(2項)
3.基本原則(3-7項)
4.適用範囲(8-12項)
5.システム構築(13-17項)
6.総合保障(18-20項)

本意見では、人民のための公正な司法であるためにAIを導入することにより、全面的な業務支援を対象とし、2025年までにシステム改善を行い、裁判官の事務負担の軽減、腐敗の防止、管理レベルや社会的ガバナンスの向上を目指し、2030年までにモデルルールと実効を上げる司法での人工知能利用アプリケーションと理論的システムを構築することを目標としており、適用範囲は、審理業務、事務手続き、業務管理、多元的紛争処理、業務サービス支援をとしている。詳細は、英語版でご確認ください。

日本では裁判所での業務すらシステム化が遅れており、案件管理、証拠、ネットを活用した開廷審理、審理のビデオ録画などいつのことになるやら。中国でのAIの導入は現場の問題を解決する上で大きな支援となるであろう。もちろん、問題がない訳ではない。

参照サイト:https://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-382461.html

【アメリカ】USPTOはAI技術と特許の報告書を公示(10月7日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、昨年2019年8月27日付の官報(FR)において、AI技術と特許出願に関する一般からの意見聴取の公示を行った。その目的は、人工知能の発明の信頼性と予測可能性を促進するためのさらなる調査が必要かどうかを評価することであり、人工知能の発明に関する特許関連の問題に関する情報を収集することに関心を持ったためである。

人工知能(AI)は、さまざまなテクノロジーやビジネスでますます重要になってきており、そして、 AIの実行には常に何らかの形のコンピューターの実装が必要であるため、コンピューターに実装された発明(ソフトウェアなど)に関連する特許性の問題の多くは、AIの発明の議論に密接に関係している。AIの方法とシステムでは技術的な実装が異なるが、発明者や開発者だけでなくシステムの利用者による比較的高いレベルの開発とトレーニングに依存している。
USPTOは、AIの発明を数十年にわたって調査し、AIの発明に必然的に関連する多くの分野でガイダンスを発行してきているところ、今後、知財業界やAIの専門家と協力し、予測可能性を促進するために追加のガイダンスが必要かどうかを判断する必要性があるかどうか、そして、そのような発明に特許を取得することの信頼性とこの重要な領域内およびその周辺での更なるイノベーションを促進するための適切な特許保護のインセンティブが確実に実施されるようにすることもの必要性も考えている。

USPTOは、AIに関する専用のサイトを開設しており、そのサイトで上記の意見募集の収集結果を取りまとめ、10月7日付で公示した。意見募集は12の設問があり、2019年11月8日までに日本を含む99件のコメントが提供された。本報告書では、第一部は人工知能技術の特許に特化し設問ごとに回答を分析し、第二部は商標、著作権、営業秘密などの人工知能技術の非特許知的財産保護に特化してその回答を分析している。
 分析によると、パブリックコメントの大多数は、AIの定義を提供していませんが、現在の最先端技術は“狭義の”AIに限定されていることに同意し、それは明確に特定の分野(画像認識、翻訳など)で個別のタスクを実行するシステムとなっている。
 特許制度については、大多数は、AIがコンピューターで実装された発明のサブセットとして最もよく見られるので、現行のUSPTOのガイダンスは、AIの進歩を特許の主題としての適格性とコンピューターで実装された発明の開示を処理するためものと判断しており、特に複数のコメントは特定なAIの発明(ユーザー支援)などは35 U.S.C. § 112(a)の要件に対応するのは難しく、USPTOは更なるガイダンスを出すべきとしている。そして、AIの普及が進むことで、USPTOと裁判所が当業者によるの法的な仮想基準と特許権の有効性の評価することに影響及ぼすと考えている。
 その他の著作権、商標、企業秘密及びデータの分野について、大多数は、正しく調整されている考えているようであるが、既存のビジネスの原則がAIの進歩による知的財産法との間に残されたギャップを適切に埋めると考えている( 例:契約法、商法など)。
 これらは日本での考え方と概ね変わりはない様に思いますが、詳細はレポートをご参照ください。

 参照サイト:報告書 https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/USPTO_AI-Report_2020-10-07.pdf
 USPTO AI関連サイト https://www.uspto.gov/initiatives/artificial-intelligence
 
 

【シンガポール】AI技術の特許出願に6か月の早期審査導入(4月26日)

ユニークな知財制度を積極的導入するシンガポール知的財産庁(IPOS)は、新たな施策として、シンガポールを第一か国(最初の出願国)とするAI技術の特許出願について、強力な支援として、通常2年かかる実体審査を世界最短の6か月で実施する審査促進制度の導入を公示し、即日施行した。

IPOSの言うAI技術とは、人間の特性である、例えば、特定のタスクを達成するための感覚、理解、行動、および学習などをシミュレートすることに関連する一連の技術を指すとしている。特に、マシーンラーニング(機械学習)を事例に取り上げ、アルゴリズムと統計モデルを使用して、特定のタスクを実行する、つまり、明示的なプログラムがなくともコンピューターが決定できるものとして、画像認識、音声認識、自然語処理、自律システムを上げている。

IPOSでの審査促進制度は、今回のAI技術以外に、2018年4月に導入されたフィンテック技術がある(2020年4月25日出願までの期限付き)。また、12か月登録制度やPPHもある。なお、2020年1月1日以降の特許出願には修正実体審査を廃止することが2017年10月の改正で公示されている。

https://www.ipos.gov.sg/media-events/press-releases/ViewDetails/AIAI-launch/#_ftn7

https://www.ipos.gov.sg/protecting-your-ideas/patent/application-process/accelerated-programmes