【アメリカ】PTABの裁定変更に関する覚書の公示(9月16日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、9月16日、アメリカ特許出願で発行された特許の請求項の有効性に関する審判手続きで、係争特許請求項に関する先行裁定に対する特許審判部(PTAB)による検討に関する覚書を発行した。

この覚書は、AIA審判手続きの特許審判部(PTAB)で係争中の特許請求項、或いはUSPTO、地方裁判所、アメリカ国際貿易委員会(ITC)で既に審理されている実質的に類似の特許請求項に適用される。PTABが、USPTO、地方裁判所、ITCの以前の事実認定や裁定と異なる事実認定或いは法的結論について、初期判断或いは最終的判断を下した場合、PTABは、審理開始決定或いは最終決定書において、異なる結果が正当化される理由を説明するしている。

従って、PTABの裁定を支援するため、AIA手続きの当事者は、37 C.F.R. § 42.8(b)(2)に基づき関連する有効性や特許性に関する判断の進捗状況をPTABに提供する必要がある。AIA審判手続にでのPTABの審理日程決定書で、この要件が当事者に通知されることになる。

参照サイト:https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/Memo_re_prior_findings_of_fact_and_conclusions_of_law_9_16_25.pdf

【アメリカ】PTAB審査用先判決例を追加(5月7日]

アメリカ特許商標庁(USPTO)特許審判部(PTAB)は、5月7日付、以下の先例判決1件を有益な線判決例として追加したと公示した。これは、地裁が既に対象となったクレームの全てが特許法第101条に基づき無効との最終判決を下している場合、審理を開始しないというものです。

Hulu, LLC v. Piranha Media Distribution, LLC, IPR2024-01252 & IPR2024-01253, Paper 27 (Apr. 17, 2025)

PTABは、先判決例(Precedential decisions)と有益な判例(informative decisions)を整理して審判業務に活用している。これらは法律出題毎に分類されており、以下のUSPTOのサイトで確認することができる。最近追加された情報は、Recently designated decisionsに掲載されている。対象から外された情報は、Archive (de-designated decisions)に振り分けられている。

参照サイト:https://www.uspto.gov/patents/ptab/precedential-informative-decisions

【アメリカ】PTAB 決定に対する長官レビューの最終規則施行(10月31日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、10月1日の官報で特許審判部(PTAB)の決定に対する
AIAに基づく長官レビュー(Director Review)の最終規則を公示し、10 月 31 日に施行する。最終規則は、USPTOが2024年4月に意見募集した規則案に多くの意見提出があったもののと概ね変わっていない。

長官レビュー請求対象の決定は以下の通り:
(1) Decision on institution 審理開始決定
(2) Final decision (defined as a final written decision in an inter partes or post grant review proceeding or a final decision in a derivation proceeding) 審判合議体による最終審理結果( IPR、PGR、派生手続きに関する審決)
(3) Decision granting rehearing of a decision on institution or a final decision 審理開始の決定或いは審決に対する再審理の決定
(4) Other decision concluding an AIA proceeding その他、AIA手続き結果の決定

最終規則では、IPR当事者系(Inter Partes Review)やPGR付与後(Post Grant Review)の決定、135 条に規定される派生手続きに関する決定や、IPR や PGR の請求却下なども長官レビューの対象となる点が明確化されている。また、長官レビューの請求期間が延長された場合、審判合議体の決定が確定しない点も明確にしている。

最終規則ではさらに、局長が自らの判断で(sua sponte)その決定の審査開始できること、当事者による請求のタイミングと形式を規定すること、基礎となるPTAB手続きに及ぼす影響に言及すること、CAFC控訴すべき期限を明確にすること、長官による審査委任などが規定されている。

なお、USPTOは、6月18日に特許審判部(PTAB)の手続きで、PTAB の審理パネルによる審決に関して、庁幹部からの独立性と公正性を高めることを目的としたPTAB 審決案の回付・レビューに関する最終規則を公示し、7月12日から施行しており、回付方法や手順を定めたほか、PTAB 幹部が審決発行前に審理パネルに連絡を取ることを禁止、長官はが個別事件の審理パネルの構成や再構成の指示や影響を及ぼすことなどの禁止が規定されている。

参照サイト:長官レビュー規則 § 42.75 https://www.federalregister.gov/documents/2024/10/01/2024-22194/rules-governing-director-review-of-patent-trial-and-appeal-board-decisions
回付レビュー規則 https://www.federalregister.gov/documents/2024/06/12/2024-12823/rules-governing-pre-issuance-internal-circulation-and-review-of-decisions-within-the-patent-trial

【アメリカ】USPTO特許審判部は口頭審理ガイド公示(8月31日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)の特許審判部(PTAB:Patent Trial and Appeal Board)は、8月31日付、現在の実務を反映した最新版の口頭審理ガイド(Oral Hearing Guide)を発行しました。

変更内容は次の通り
・アメリカ発明法(AIA)審判の完全バーチャル審理オプションの追加
・PTAB口頭審理公聴会の閲覧請求手続きの更新
・審判請求(ex parte appeals)手続きの明確化
・当事者の当該事件のみの承認(pro hac vice admission)手続きの明確化

参照サイト:https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/Revised_PTAB_Hearing_Guide_08_23_2023_.pdf

【アメリカ】特許審判請求にファーストトラックパイロットプログラムを開始(7月2日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、2020年7月1日付、特許審判部(PTAB: Patent Trial and Appeal Board)への査定系審判請求(ex parte appeal)において、早期審判試行プログラム(Fast-Track Appeals Pilot Program)を開始することを公示し、7月2日より施行した。
 審判請求人は、対象案件となる発明、意匠、植物特許の出願のアピールの迅速な審査を要求する請願を提出し、請願料400ドルを支払う。PTABは、アピール受理日から6か月以内に決定を下すことを目標に処理する。

USPTOは四半期毎125件の上限を定め、向こう1年間実施する予定である。

参照サイト:https://www.uspto.gov/patents-application-process/patent-trial-and-appeal-board/fast-track-appeals-pilot-program