【欧州】統一特許裁判所2023年4月1日運用開始を発表(10月6日)

統一特許裁判所(UPC)準備チームは、10月6日付け、今後のロードマップを公示し、2023年4月1日よりUPC協定を発行させ、その日よりUPCの運用を開始し訴訟の受理を始める予定を明確にした。

説明では変更される場合があると条件が付いているものの、ロードマップ通りであれば、ドイツは今年の12月末までに統一特許裁判所に関する協定(UPCA)批准書を寄託し、サンライズ期間が開始する。そして、UPCは2023年1月からEP特許およびEP特許出願のオプトアウト申請を受付けることになる。

いずれにしても、ドイツの12月になるであろう手続き待ちとなるが、概ね、来年1月からのサンライズが始まる今後のスケジュールが見えたことになる。特に大量にヨーロッパ特許を保有している場合には、コスト負担、名義変更していない場合のリスク対策、将来の事業や侵害対策を含めて比較的短い期間に対応することを迫られることになるので、準備を怠らないことをお勧めする。

参照サイト:https://www.unified-patent-court.org/sites/default/files/upc_-exco-_upc_external_roadmap-v0.9_edit.pdf

【欧州】オーストリアがPAP批准手続き完了(12月2日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、12月3日付のニュースリリースで、オーストリア議会が統一特許裁判所協定(UPCA)の暫定適用に関する議定書(PAP)の批准手続きに関する手続きを12月2日に完了したことを報じた。これは、UPCA署名国からイギリスが離脱したことから現在でドイツ、フランス、イタリアの3か国をベースにEU加盟国13か国がPPA第3条の条件を満たす状態となり、新しい司法と単一特許制度(UPC)の開始に向けた非常に重要なステップでなる。
 オーストリアが批准書をEU理事会に寄託するとすぐに、すべての準備が完了するための暫定期間が始まり、UPCを設立するための最終的な準備措置を講じ、UPCの作業を開始できるなる。統一特許裁判所の最終準備作業が完了すると、ドイツがUPCAの発効はドイツが批准書を寄託してから3から4か月で統一特許裁判所と単一特許制度が稼働することになる。つまり、早ければ2022年末にはそうした状況が生じることになる。

 ドイツが2020年11月26日にUPCA批准の同意を含む法案に必要な資格のある過半数が採択してから1年が経ち、当初の予定より1年遅れで進捗が見られそうである。

参照サイト:https://www.epo.org/news-events/news/2021/20211203a_fr.html

【欧州】ドイツ議会はUPC批准法を承認(11月26日)

ヨーロッパ特許庁の入力リリースによると、German Bundestag (ドイツ連邦議会)は11月26日に統一特許裁判所協定(UPCA)批准の同意を含む法案に必要な資格のある過半数が採択したことを報じています。この法律が施行されるための次のステップは、Bundesrat(連邦参議院)に移され、連邦政府による連署と連邦大統領による署名がされ、連邦法官報に掲載されることになるが、一方で、憲法に基づく不服請求が出されており、法律の発効が遅れることが予想されます。

UPC協定の暫定適用に関する議定書(PAP)が発効するためには、ドイツに加えて、さらに2つの締約加盟国が議定書に署名する必要があります。しかし、EPOはこの採択を歓迎し、ドイツの批准手続きが完了すると、2021年にはUPCを設立するための最終的な準備措置を講じ、2022年にはUPCはその作業を開始できるとしています。この楽観的な見通しはどうなるでしょうか。

参照サイト:https://www.epo.org/news-events/news/2020/20201126b.html

【欧州】ドイツ連邦憲法裁判所はUPC法案に違憲判決(3/20)

ドイツ連邦憲法裁判所(Bundesverfassungsgericht,FCC)は、3月20日、長く待たれていた統一特許裁判所(UPC)法案批准がドイツ憲法に違反するとの請求に対する判断を行い、法案批准を無効とする判決を下した。これは、ドイツ議会でのUPC法案に対する多数決の採決が議員の2/3の承認の要件を満たしていないとするものである。実際の議会の投票は5:3(出席者不足)で決定されたと認定した。

既にご紹介の通り、EU統一特許裁判所(UPC)及び単一特許(UP)制度の開始を遅らせていた2つの課題の1つは、イギリス政府のスポークスマン Baylee Turner が 2月27日に 「イギリスはUP/UPCへの関与を追求しない」と発表したことで解決した。もう1つの課題は、ドイツのUPC協定批准に関するドイツ憲法裁判所の決定であったが、今回の違憲判決で、振り出し戻った。

ドイツはUPCに必須の署名国であり、憲法違反の立場をとったため、UPC準備委員会の運営は更に厳しいものとなった。新型コロナウィルスで各国分離、運営中断の状況もあり、UPCは更に遅れることになりそうである。 UPC準備委員会はドイツの批准とイギリスに代わる支所の設立が当面の課題となり、2021年を目指して何らかの対策が求められ、今後の対応が注目される。

参照サイト: https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/EN/2020/bvg20-020.html
https://www.unified-patent-court.org/news/federal-constitutional-court-decision

【欧州】欧州統一裁判所・単一特許制度のBrexitによる進捗(3月5日)

EU統一特許裁判所(UPC)及び単一特許(UP)制度の開始を遅らせている2つの課題の1つは、イギリス政府のスポークスマン Baylee Turner が 2月27日に 「イギリスはUP/UPCへの関与を追求しない」と発表したことで解決した。スポークスマンは、「EU法を適用し、CJEU(欧州連合司法裁判所)に拘束される裁判所に参加することは、独立し、自治のある国家になるという我々の目的と矛盾する。」とも述べている。

遅延のもう1つの課題は、2〜3か月以内に解決される可能性があるが、これはUPC協定をドイツが批准することを阻止しようとする個人の申立を受け入れるかどうかについてのドイツ憲法裁判所の決定である。そうした一部の個人の申立が裁判所に受け入れられる可能性は僅かであるが、裁判所はこの申立を真剣かつ全面的に検討しているようである。

イギリスとBrexitの発表の結果と残りのEU加盟国が新制度の構築に前向きの状況からすると、それらのEU加盟国はUPC協定でイギリスに関連する条項並びに医薬品を担当するUPC部門の支所の設置の規定を改訂する必要がある。おそらくはオランダかイタリアと目されている。

UPC準備委員会の最新のスケジュールによると、新しい裁判所の開設はUPC協定の完全な批准の約7か月後にできるため、イギリスの離脱によって生じた問題とドイツの裁判所が対応しなければならないた問題の解決が必要になる。ドイツの裁判所で大きな問題とならなければ、1、2回の合意によって問題を解決し、新たな展開が不要な場合、UPC及びUPは2021年に運用が開始できる可能性がある。加盟国による会議での批准が必要な場合は、2022年までに運用を開始しない可能性が高いと思われる。

欧州特許庁は、UPの特許付与はUPCの開始日に開始できるとしている。ドイツでの問題解決に注目することになりそうである。

情報提供:Fish&Richardson
https://www.fr.com/news/legal-alert-eu-unified-patent-court-unitary-patent-update-mar-2020/

【欧州】ドイツ司法省はUPCにBrexitの結果を待つと決定(8月14日)

ドイツ司法省は先週、統一特許裁判所(UPC:Unified Patent Court)に関する条約の批准を進める前に、ドイツとしてはイギリスが欧州連合を離脱する決定の結果を待つと公式に確認しました。司法大臣は、BrexitのUPCに対する影響をEUレベルで調査し、投票する必要があると述べた。従って、係属中の民事訴訟に対するドイツ憲法裁判所の決定が批准を求める場合、ドイツは自動的に批准をしない模様である。
 ドイツ憲法裁判所の事件は、裁判官報告リストの上位にあり、今のところ、2019年中に結審されることが予定されているが、その予定調整に対する拘束力はありません。口頭弁論の日程の発表は、口頭審理後3ヶ月以内になされなければならないので、おそらく今から数ヶ月以内になされ、審決日の予想が立つことになるだろうが、 8月の休日を考えると、決定はおそらく2020年初頭になる見込みである。
  2019年6月、UPC準備委員会は、裁判官の募集プロセスを再開すると発表しました。当初、UPCの実現が進んでいるシグナルとの推測がありましたが、そうではないことがすぐに明らかになりました。また、UPC裁判官になることを目指した一部の人はもはやその興味がなくなり、適切な資格を持つ他の人が興味を持ち始めているようである。

参照サイト:Fish&Richardson
https://www.fr.com/news/german-justice-ministry-to-await-brexit-before-proceeding-with-upc/