【中国】中国専利保護協会は「知識産権紛争調停管理基準」の批准を公示(12月6日)

国家知識産権局の外郭団体である中国専利保護協会(PPAC)は、12月6日付、団体標準として「知識産権紛争調停管理基準(T/PPAC 301-2019)」を批准したことを公示した。今後中国で調停(Mediation)が行われる場合に手順として参照されると思われるため、ご参考までご紹介する。

本標準は、原則、受理、対応、実施及び管理から構成されており、受理後は1-3名から構成される調停グループが対応し、通知、診断、方針策定の順に手続きが進められ、1か月以内(1か月の延長可)に調停を終えるような実施と管理が規定されている。

参考サイト:http://www.ppac.org.cn/news/detail-203.html

【中国】最高人民法院は「中国裁判所のインターネット司法(中国法院的互联网司法)白書」を公表(12月4日)

最高人民法院は、12月4日付、「中国裁判所のインターネット司法」白書を初めて公表した。これは中国の裁判所が初めて発表したインターネット時代の司法革新の発展を紹介するものである。

白書は中国語と英語の2ヶ国語版からなり、全文は、前文、本文、結語、付録の4部構成で、5つの角度から中国法院がなしたインターネット上での司法制度と管理効果を示している。英語版は58頁からになる。知的財産権と言っても、著作権の侵害や不正競争行為が主なポイントになっていることには、ご理解ください。

本文は、以下の7部の構成となっている。
1.インターネット司法の全体的な発展
2.インターネット専門裁判機構の建設推進
3.インターネット司法の利便性メカニズムの革新
4.インターネット司法オンライン訴訟メカニズムの完備
5.インターネット司法インテリジェントメカニズムの健全
6.インターネット司法協同統治メカニズムの深化
7.インターネット司法裁判規則体系の構築

付録は代表的で影響力のある典型的な判例10件が紹介されている。
①プラットフォーム事業者と店舗事業者間の消費者保障に関する事件
②インターネット放送でのライブブロードキャスト報酬に関する事件
③インターネットコンテンツの未許可利用による知的財産権等の侵害事件
④ブロックチェーン電子証明書の法的効果が初めて認定された事件
⑤インターネットサービスプロバイダの市場支配的地位の濫用が争われた事件
⑥苦情処理システムを悪用した侵害申立てによる不利益が争われた事件
⑦ビッグデータ資源を盗用し、同種事業使用する不正競争行為が争われた事件
⑧個人情報の漏洩がプライバシー保護の面から争われた事件
⑨携帯電話セキュリティアプリの評価が名誉侵害に当たるかどうかが争われた事件
⑩ネット上の広告を悪用した詐欺行為が認定された事件

参考サイト:https://www.chinacourt.org/article/detail/2019/12/id/4705187.shtml
https://www.chinacourt.org/article/detail/2019/12/id/4704040.shtml

【中国】「市場監督管理投訴通報処理暫定弁法」施行(2020年1月1日)

市場監督管理総局は、2019年11月26日に2019年第15回局務会議で、「市場監督管理投訴通報処理暫定弁法」を採択し、11月30日付、局令20号で公布し、2020年1月1日から施行することを公示した。

本弁法は、消費者権益保護法などの法律、行政法規に基づき、消費者が商品やサービスを利用した際に事業者と権益紛争が生じた場合(投訴)や事業者が関係の法律などに違反した疑いがある場合(挙報)することに対して、県クラス以上の地方政府の市場監督管理局が本弁法に基づき、事案を処理することを内容としている。本弁法成立を受けて、旧来の産品質量申訴処理弁法、工商行政管理部門処理理消費者投訴弁法、食品薬品投訴挙報管理弁法は廃止された。

投訴や挙報は、主に、インターネットでの事業を含めて、製品の不正、虚偽表示、広告宣伝違反など以外に、独占禁止、医薬品管理、知的財産などに関する不正や違反があった場合でも、適用されるが、専利行政執行弁法などのように各行政部門が他に関連する法規を定めている場合には、それに準じる。

なお、事案が市場監督管理局の職務権限外である場合、すでに裁判や仲裁など他の紛争処理が進められている場合、すでに3年を経過している場合、適切な提訴手続きがされていない場合、或いはすでに却下されているまたはその他状況がある場合は受理されない。

市場監督管理局は受理後7営業日以内に受理不受理を決定し、投訴については基本的に和解調停手続きを行い45日以内に集結する。法律等の違反が確認できた場合は15営業日以内に関連規定に従って処理しなければならない。特別の事由がある場合、15日間の延長ができる。

広告違反の通報をされることが多いため、日本企業は広告法の規定に違反してないことを十分留意することをお勧めする。日本企業が本弁法を利用する場合、模倣品や不正商品の虚偽表示や不正な広告に注目して、投訴や挙報を活用することになるが、現地の弁護士と対応策について、十分相談することをお勧めする。

関連サイト:http://gkml.samr.gov.ex2.ipv6.samr.gov.cn/nsjg/fgs/201912/t20191202_308963.html

ところで、市場監督管理総局は、「偽造・劣悪品の告発による違法犯罪活動の功労者奨励弁法」を改廃し、「市場監督管理分野重大違法行為通報奨励暫定弁法」を制定するために改正意見募集稿を公開した。この通報は製品の品質、食品、薬品、知的財産権、特殊設備、消費者の権益保護、価格などに関する法律法規対する違法行為に関するもので、匿名での通報が可能であるが利害関係人は利用できない。通報の対象のレベルによる奨励金が定められており、最高100万元の奨励金が支払われる。関連の奨励としては、4月に広東省奨励弁法をご紹介している。

関連サイト: http://www.samr.gov.cn/hd/zjdc/201911/t20191119_308625.html

【中国】改正「薬品管理法」施行(2019年12月1日)

国務院は、8月26日付首席令第31号を交付し、改正薬品管理法の施行を発表したが、12月1日に施行された。日本企業の医薬品は中国では安心、安全、効果から人気があるが、改正法には注目し必要な対策をする必要があろう。行政による職権査察が強化されることが予想される。

本改正には、3つの重点施策として、上場許可保有者制度、薬品トレーサビリティ制度、薬物警戒制度が導入され、ニセモノや劣悪な医薬品を配乗するために4つの新制度として、薬品管理と国民の健康と連結、医薬品開発から上市後までのリスク管理の堅持、医薬品開発時問題の指針堅持、薬品品質向上体系に法的管理することを示している。
また、以下の20の禁止行為が定められている。
1.経営許可証未取得
2.偽造薬品の販売
3.偽物と劣悪な薬品と知りながら保管や輸送の提供
4.販売許可証や承認証明書の偽造、変造、賃貸、貸与
5.虚偽の資料を提供した許可取得
6.一般薬(第三類薬品)の販売(124条)
7.未承認の医薬品輸入(124条)
8.未承認販売(125条)
9.GSP違反
10.トレーサビリティなし(127条)
11.薬品の不正ルート購入
12.非規範的販売行為(130条)
13.違法第三者医薬品ネットワーク
14.未登録輸入薬品
15.不良反応未報告(134条)
16.薬品リコール拒否
17.不合格者の任命(140条)
18.企業による収賄(141条)
19.企業担当、購買担当者の収賄
20.安全情報が変造された偽医薬品(143条)

違反に対する処罰は厳しくなり、偽薬の販売行為に対する罰金額は最低でも150万元となり、粗悪薬品の販売は価格の3倍から20倍にまで引上げらた。また、経営者に対する処罰は、責任者資格の終身禁業、ニセ薬販売で許可が取り消された企業は10年間は再申請ができない。

参考サイト:http://lawdb.cncourt.org/show.php?fid=152096

【中国】「外国地理的表示製品保護弁法」の改正施行(2019年11月27日)

国家知識産権局は、11月27日付、「外国地理的表示製品保護弁法」の改正を局令338号で公示し、即日施行した。本弁法は2016年3月28日に施行されたものであり、登録申請できる地理的表示は本国での登録があることを要件するが、本弁法の管轄部署も統合廃止された国家質量監督検査検疫総局から国家知識産権局になり、内容を6章36条と一部修正、追加し、改めて国家知識産権局が再公布したものである。以下は、変更部分の概要であるが、部門名称の変更や軽微な修正などは省略した。

  • 第4条(3)項を以下の通り修正する。「(3)上記の名称は中国では一般名称に属さず、且つ中国の地理的表示の製品名称など他の先の権利と衝突しない;」
  • 第6条を修正し、第3条とする。 「本弁法に基づき、中国で外国地理的表示製品の保護を申請する場合、当該所属国と中国とが締結した協定または共同参加の国際条約に従って処理、或いは対等の原則に従って処理しなければならない。」
  • 第8条を以下の通り修正する。「外国地理的表示製品を中国での保護を申請する者は当該中国駐在機構を中国での保護業務連絡先と指定することができ、また原産国または地域の公式中国駐在代表機構の従業員を中国における保護申請業務の連絡先或いは指定代理人と申請することができる。」
  • 第9条の申請必要提出書類から(4)項の「原産国または地域の地理的表示所管官庁が発行した当該製品を中国で登録及び保護することを推薦する公式文書及びそれ公証付き中国語翻訳文」を削除する。
  • 第15条前文を以下の通り修正する。「異議申立てに下記の状況がある場合、国家知識産権局は却下し、書面で異議申立人に通知し、理由を説明する。」
  • 第16条を以下の通り修正する。「異議申立を却下する場合、国家知識産権局は書面をもって異議申立人に通知しなければならない。異議決定に不服がある場合、通知の受領日から起算して30日以内に国家知識産権局に再審を申請することができる。国家知識産権局は申請の受領日から60日以内に決定を下すとともに、書面で双方に通知し、再審決定を最終審決とする。」
  • 第17条を以下の通り修正する。「公告期間が満了し異議なし、或いは異議交渉が合意、または異議裁定が不成立の場合、国家知識産権局は専門家による技術審査を実施する。」
  • 第24条を以下の通り修正する。「中華人民共和国地理表示専用標識は国家知識産権局の関連要件に従って実施される。
  • 第33条を以下の通り修正する。「中国で保護された外国地理的表示製品に以下に掲げる状況がある場合、国家知識産権局は取消すことができる。いかなる単位或いは個人も国家知識産権局に取消を請求し、関連証拠資料を提供することができる。
    (1)地理的表示製品が原産国或いは地域での保護が取消された場合;
    (2)中国域内での一般名称に属する或いは一般名称に変化した場合
    (3)中国の関連法律法規の関連規定に重大な違反があった場合。
  • 第34条を追加する。「取消請求に下記に掲げる情状がある場合、国家知識産権局はこれを受理せず、書面をもって請求人に通知するとともに理由を説明する。
    (1)明確な取消理由と事実がない場合;
    (2)単に製品が外国で一般名称である場合。
  • 第35条を追加する。「国家知識産権局が地理標識専門家委員会を組織し、取消請求を審議するとともに裁定を下す。取消す裁定の場合、国家知識産権局は公告公示する。取消さない裁定の場合、請求人と権利者に通知する。

関連サイト:http://www.cnipa.gov.cn/docs/20191128145755898271.pdf

【インド】特許審査基準の最新版公表(11月26日)

インド知的財産庁(IP India)は、11月26日付、特許審査基準( Manual of Patent Office Practice and Procedure)の第三版を公表しました。

英語版ですが、出願手続きを確認するには便利です。

参考サイト: http://www.ipindia.nic.in/newsdetail.htm?589
http://www.ipindia.nic.in/writereaddata/Portal/Images/pdf/Manual_for_Patent_Office_Practice_and_Procedure_.pdf

【中国】知的財産権の保護強化に関する意見(11月24日)

7月24日付、習近平総書記が主催した中央全面改革委員会第9回会議で、「知的財産権の保護強化に関する意見(関于強化知識産権保護的意見)が審議・採択された。11月24日に、この意見が発行され、2020年から2022年と2025年までに知的財産制度による保護を完成するための重要な内容、国際的な競争力強化のための方針として明確された。
以下は、その全文に基づき概要を要約でご紹介する。

(1)4つの約束

1.権利侵害懲戒レベルの強化
 特許法、商標法、著作権法、地理的表示などの関連法律を整備するとともに、懲罰的賠償制度の導入、賠償額上限をアップさせる。特に、違法所得の没収、侵害品の処分、行政ルートによる特別プロジェクトによる処分をさらに研究、重点的に実行する。悪意商標登録、非正常特許出願及び悪意訴訟などの行為を規制する。また、営業秘密などのビジネス情報の有効な保護を検討するとともに、刑法などの法律を整備し、刑事処罰を強化する。

2.証拠の標準を厳格に規範化
 知的財産権民事、刑事、行政事件の「三合一」の裁判機構改革をさらに推進、充実させ、裁判基準を統一する。また、行政ルートでの商標や特許審が判断基準を整備する。司法、行政、仲裁、調停などの異なるルートの証拠基準を規範化する。知的財産権民事訴訟証拠規則の司法解釈の制定、公証取得制度の研究などを進めて、権利者の立証困難問題の解決や挙証責任の負担軽減に努力する。

3.事件執行措置の強化
 知的財産権紛争の調停協議の司法確認メカニズムを確立し、健全化する。特に、信用情報での「ブラックリスト」を確立し、権利侵害企業名簿を社会に公開する制度を確立し、信用喪失情報を共同で懲戒するメカニズムを健全化するとともに、知的財産権保護にかかる重大事件の公開審理を段階的に確立し、国内での監督と検査を強化し、統一公平な法治環境の形成を推進する。

4.新業態、新分野の保護制度を確立
 新業態、分野に対して、特許、商標、著作権、植物新種、集積回路配置図設計などの保護を強化するとともに、医薬品特許保護期間延長制度の確立を模索する。スポーツ中継による知的財産権の保護を研究する。電子認証技術の普及・応用を強化する。クロスボーダー商取引での知的財産権保護ルールを研究し、プラットフォームの保護管理基準を制定する。
 企業における知的財産権保護マニュアルを作成し、契約書式見本、権利保全手続きなどの業務指針などを制定し、企業のリスク管理メカニズムや最適化を支援する。また、伝統文化、伝統知識などの分野の保護方法を制定し、漢方薬の知的財産権の保護を強化する。

(2)社会的監督と共同統治を強化し、優れた知的財産保護を確立
5.法執行監督レベルの強化
6.健全な社会統治モデルの確立。
7.専門的技術支援の強化。
 科学技術の研究開発を進めて、オンラインでの追跡、モニタリング、識別、検査システムなど技術的手段を通じて、知的財産権保護を強化する。技術調査官の制度を充実させて、技術事実の正確かつ効率的な認定を推進する。知的財産権侵害の鑑定能力強化し、損害評価制度を検討し、司法鑑定機構の専門化、規範化を強化する。

(3)連携メカニズムの最適化による知的財産権の迅速保護
8.登録確認・維持手続きの最適化
 審査期間の短縮と実用新案と意匠特許の川上での審査品質向上に注力する。重大な権利侵害事件の行政審判で遠隔地での審理利用を進める。行政での権利確認から司法保護まで連携システムで情報の共有や連携を高め効率アップを図る。
9.部門・地域を超えた事件の協働を強化
10.簡単な事件や紛争の迅速処理
 電子商取引などでは実用新案や意匠特許の評価書を有効活用する。ウェブサイトの管理の規範化を進めて侵害等の行為に打撃を与える。
11.知的財産権の迅速処理機関を設立
 重点技術産業集積地域には知識産権保護センターを設立し、迅速な審査、迅速な権利確定、迅速な権利維持をワンストップで提供する。また、紛争解決に調停を活用して紛争の早期解決を図る。

(4)外国と連携を図り、知的財産権保護環境を形成
12.国際的協力関係の強化
 今後国際的な展示会にブースを設けて、中国の知的財産権保護の状況を紹介する。一帯一路の重要な影響を十分利用し、連携国との審査結果などを共有することを進める。
13.内外の権利者とのコミュニケーションチャネルを改善
 内外の関連団体との交流を図り、内外の権利者の懸念事項に積極的に対応する。
14.外国での権利維持支援サービスの強化
 外国での知的財産権紛争警告、知的財産権関連法律改正などの情報サービスの拡充を図り、リスク防止、保険サービスの紹介、外国で中国企業の合法的権益保護支援を図る。
15.外国での協力と情報取得メカニズムを改善
 現地の大使館や領事館との共同により、中国企業の海外知的財産保護環境の改善を促進する。

(5)基礎的プラットフォームを建設し、知的財産権保護活動の支援強化
16.基礎的プラットフォームを設置
 全国知的財産権ビックデータセンターと保護監視情報ネットワークを確立し、登録、公告、紛争処理、事件の概要などの情報に対する統計モニタリングを強化し、プラットフォームの機能を充実させ、民間へのサービスレベル向上を図る。
17.専門人材チームの設置
18.資源投入と支援レベルを強化

(6)組織の実行力強化による業務実施を確保
19.組織の指導力強化
20.徹底的実行
21.評価制度の強化
22.奨励や激励の強化
23.宣伝や誘導の強化

参考サイト:
http://www.cnipa.gov.cn/zscqgz/1143991.htm
http://www.cnipa.gov.cn/zscqgz/1144081.htm

【中国】特許権侵害紛争行政裁決モデル構築業務の通知(11月14日)

国家知識産権局弁公室は、11月14日付、特許権侵害紛争行政裁決モデル構築業務の通知(国知弁発保字〔2019〕40号)を関連地方政府の知識産権局に送達したことを11月19日に公示した。 

この目的は、国務院の「行政裁決制度の健全化に関する行政判裁決業務強化に関する意見(以下、意見)」(中弁発〔2018〕75号)を貫徹し、特許権侵害紛争の解決における行政の判断が「分岐弁」の役割を十分に発揮し、社会の安定と調和を確実に維持し、法治政府の建設を推進し、事業者環境を最適化するためにあり、行政判断は多元化している紛争解決の重要な方法として、効率が高く、コストが低く、専門性が強く、手続きが簡単であるという利点があり、矛盾のある紛争の迅速な解決に有利であるため、第18回四中全会は「社会での矛盾のある紛争の予防解決メカニズムを健全化し、調停、仲裁、行政裁決、行政再審査、訴訟などの有機的な結合、相互に調和した多元紛争解決メカニズムの充実」「民事紛争解決での行政裁決制度の健全化、行政機関の同種管理活動の密接な連携機能強化」と提出しており、「法治政府建設実施要綱(2015~2020年)」は、「関係行政機関は法に基づく行政調停、行政裁決業務を展開し、矛盾する紛争の適時効果的解決」を要求している。また、国務院弁公庁が発行した「矛盾多元的解決メカニズムの整備に関する意見」は、「行政裁決制度を健全化し、行政裁決の適用範囲、裁決手順と救済ルートを明確にし、行政機関が行政管理活動と密接に関連する民事紛争解決機能を強化する」と規定しる。この一連の活動は行政判断制度の健全化と行政判断の強化の重要な指針となっている。

「意見」は「知的財産権侵害紛争と賠償の紛争」を行政が判断する業務の重点として明確に指摘し、特許法第60条の規定に基づき、地方政府の知的財産権局は、特許権者または利害関係者から特許侵害行為の処理を請求された場合、それは典型的な行政判断に属するとし、各知識産権局は専門性をもって、その特許侵害紛争行政裁決の経験に基づき、特許侵害紛争行政裁決制度をさらに健全化し、特許侵害紛争行政裁決業務の強化やその職能を全面的に十分に発揮しなければならないと指摘している。

今回の通達では、2020年1月から12月の期間に、地方政府の知識産権局が地方の条例の適用として、「処理する」から「決定する」や「行政裁決を下す」に調整するよう指示されていること、行政ルートの利用の推奨すること、業務処理を革新し、特許評価書が提出された実案や意匠の場合や事前に口頭審理の準備ができている場合のスムーズな処理、また外部の技術者の活用、無効取消が提起された場合の審判部門との連携が指摘されていること、調停や行政指導の活用を推進すること、健全な業務処理を行うこと、行政能力向上するための適切なスタッフの配置や外部専門家の活用を求めている。

そして、この通達に関連して、11月22日付、具体的な手続きや判断、処理手法をまとめた「特許権侵害紛争行政裁決指南」の意見募集稿が公示された。政府としては、毎年増加する特許権侵害紛争を行政ルートでも処理できるように、特許法改正を見据えながら外堀を埋める対策を順調に行っていると言える。

参考サイト:http://www.cnipa.gov.cn/gztz/1143845.htm

【台湾】特許法改正施行(2019年11月1日)

台湾経済部智慧財産局は、2019年4月16日に立法院で可決され、2019年5月1日に公布されたた、専利法(特許法)の改正を2019年11月1日から施行した。

主な改正内容は下記の通り。
1.意匠特許権利期間延長(法135条)
 従来の出願日起算13年から15年に延長。施行日に権利存続の意匠特許の権利期間は自動的に15年となる。
2.査定後の分割出願(法34、46、71、107、119、120条)。
 旧法では、特許査定書送達後30日以内に分割出願できるが、再審査の査定後は分割出願できないため、特許査定書或いは再審査の特許査定書送達後3ヶ月以内に分割出願が可能(法34条)。
 また、従来は実用新案では分割出願ができなかったが、登録処分書の送達後3ヶ月以内に分割出願が可能(法107条)。
 なお、意匠特許については、従来通り分割出願はできない。
3.無効審判の補充(法73、74、77条)。
 無効審判請求人の理由或いは証拠補充期限を、無効審判請求後1ヶ月以内から「3ヶ月以内」に改正(法73条)。智慧産権局が必要と認めた場合、通知日から1か月以内(法74条)。
4.実用新案の設定登録後の訂正請求と実体審査の実施(法118、120条)
 設定登録後に請求項の訂正を行う場合、実体審査を行う。
 訂正が可能な時期は
 (1) 実用新案登録無効審判が智慧産権局に係属中
 (2) 実用新案技術評価請求がされている期間中
 (3) 実用新案権侵害訴訟などが裁判所に係属中。

参照サイト:https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-704647-f3659-1.html
      https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-802903-7fa4e-1.html

【中国】2019年度特許出願(9月迄)発明特許出願は16%減少(10月21日)

2019年も年末になりましたので、中国の特許出願及び登録状況を確認しました。現在は9月末までの出願及び登録に関する情報が公示されていますので、各年度ともに9月までの件数を左の通りまとめました。各国ごとの情報は公示されないため、ここでは情報がありませんのでご了承ください。

発明特許出願は、前年度を16%も下回りました。 出願では、前年同月比で発明特許-16%と大きな減少を示している。外国からの出願は+7%である。実用新案出願は+78%と微増で想定より減少が少ないと考える。外国からの出願は+2%である。意匠出願も-0.1%減少、外国からの出願は+2%である。
 登録件数は、発明特許+8%、実用新案+4%と増加、意匠-1%と減少している。

参考サイトは下記の通り。http://www.cnipa.gov.cn/docs/2019-10/20191017162333864968.pdf

【中国】2019年上期商標出願評価報告、出願は微減

商標局は10月21日付、2019年度上半期の商標出願処理状況を分析し、出願件数343.8万件と対前年比-4.%減少している状況を報告した。

外国からの出願は、アメリカ26,421件、日本15,613件、イギリス12,152件、ドイツ10,776件、韓国9,079件、フランス7,073件が上位で、それぞれ増加している。

なお、登録件数は、351.5万件である。

商標局は各種審査を短縮する取組みをしており、それぞれ以下の期間まで短縮したと報告している。
登録審査            5か月
異議申立            12か月
却下再審            7か月
譲渡                  4か月
変更、更新         1か月

ところで、商標局は2019年4月1日から3か月間に渡り非正常商標出願24,145件を却下したが、その量は同期審査件数の1.2%、同期却下件数の4.2%を占めたと報告している。この内、悪質登録(悪意や先取り性質を含む)の性質の出願件数は8,656件と約36%、販売目的の先取り出願件数は15,489件と約64%を占めたと報告している。なお、販売目的の先取り出願件数は、4月の10,270件から6月には1,063件と減少している。

異議申立件数は76,696件(前年同期比+49.5%)、異議裁定件数は38,883件(同+21.4%)である。異議成立率(部分成立含む)は44.8%と前年同期比で約+6.7㌽増加した。

再審請求は、198,219件を受理し、前年同期比+55.4%である。その内、却下再審請求は172,521件、当事者系の複雑な案件は2,598件を受理した。

審判請求は、158,548件を受理し、前年同期比+33.6%である。3年連続不使用取消請求件数は47,626件(前年同期比+36%)で、査定件数は39,594件(前年同期比+34%)で、その内、取消登録商標は28,337件と71.6%を占めている。

参考サイトは下記の通り。http://sbj.cnipa.gov.cn/sbtj/201910/t20191021_307503.html

【中国】「商標登録出願行為の規範化に関する若干の規定」(12月1日施行)

国家知識産権局は、10月17日付、「商標登録出願行為の規範化に関する若干の規定」(国家市場管理監督総局令第17号)を公示し、12月1日の施行を明らかにした。予定より1か月ほど遅れることになったが、十分な対策を希望する。

意見募集稿に2条追加されたが、大きな変化はない。
参考サイト:
http://www.cnipa.gov.cn/zfgg/1143015.htm
仮訳

【ミャンマー】知的財産制度の導入スケジュール(10月16日)

本日のミャンマー商業省知的財産庁の説明によると、ミャンマーでの知財制度の導入は以下のようなスケジュールになる。

2019年12月末
知的財産庁と商標法の暫定導入(遅くとも2020年1月)
・知的財産部門の編成は下記の3部構成である
 知的財産中央委員会(IPCC)が政策担当
 知的財産庁(IPA)が組織上の上位組織(審判兼ねる)
 知的財産局(IPD)が特許(小特許含む)、意匠、商標の登録業務
・商標の正式施行前に警告通知登録済み商標(Cautionary Notice)救済の登録受理開始/暫定導入(Soft Opening)
・商標法に対する実施細則、審査基準を完成
・意匠法に対する実施細則、審査基準を完成
・著作権法に対する実施細則を完成

2020年6月(商標法暫定導入の6か月後)
・商標出願正式受理開始(Grand Opening)
・意匠出願受理開始
・著作権法発効
・特許法に対する実施細則、審査基準の完成
・地理的表示(GI)に対する実施細則、審査基準の完成

2020年12月
・特許受理開始
・地理的表示の受理開始

なお、WIPOの各条約に加盟 現状で審査官は36名であり、50名を増員する予定とのこと。 以上、ご参考まで。

【香港】改正特許法施行(2019年12月19日)

昨年より検討されていた特許法改正について、香港知識産権署は10月9日に専利条例(Patent Ordinance)と専利規則(Patent Rule)の改正がされたことをサイト上で公告した。なお、施行は、12月19日である。

改正特許法は、主に下記の点がポイントである。

  • 標準特許(Standard Patent)に、従来の中国、EP、イギリスの審査結果を登録する確認特許出願ルートに加えて、実体審査を伴う直接特許出願ルートである「原初登録特許」(Original Grant Patent、OGP)が追加された。OGP特許出願の概要は、
    ・他国の基礎をベースに優先的主張出願ができる
    ・基礎出願日から18か月で公開され、第三者は情報提供ができる。
    ・実体審査請求は出願日から3年間である
    ・審査意見に対する答弁期間は2か月(延長可)である
    ・中国の国家知識産権局で実体審査が行われる
    ・認可時に分割出願や補正は可能である
    ・登録後異議申立(1か月以内)或いは、無効取消請求ができる
    ・権利期間は、20年間である。
  • 短期特許(Short term Patent)の改正は下記の通り
    ・クレームに2つまでの独立請求項を含めることができる
    ・登録後、利害関係人を含め実体審査請求ができる
    ・権利行使前の実体審査を受ける義務が追加された
    ・被疑侵害者に対する特許番号通知義務が追加された

参考サイト:https://www.ipd.gov.hk/eng/intellectual_property/patents/NewPatentSystem_Leaflet_E.pdf
https://www.ipd.gov.hk/eng/intellectual_property/patents/New_Patent_System.htm

【インドネシア】内国人による文字商標出願に対する規制

DGIPによる公式発表はないものの、インドネシア内国人による外国語出願を規制し、インドネシア語以外の外国語の商標出願を受理しない実務が開始された模様である。これは、インドネシア言語に関する政令No.24/2009 を参照し、商標法第20条に基づく拒絶になるようである。

先取り商標出願が増加しているインドネシアでの実務には朗報である。詳細は、未だ公示されていないため、各現地代理人に照会ください。

ご参考まで。オフィシャル情報が確認できないため、無責任なアップですみません。