欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、 2019知的財産侵害現状報告(2019 Status Report on IPR Infringement)の作成発行を去る6月6日付そのサイトで公示した。 これは、2018年に発表された「総合報告書( synthesis report )」の第2版と言えるもので、EUIPOとその協力パートナーのアンケートを含む調査結果に基づいている。ヨーロッパの企業、知的財産権侵害の経済的コスト、これらの権利が侵害される方法と経路、そしてこれらの侵害に対応して取られる行動などが分析されているので、欧州での状況を知ることができる。
内容は下記のような項目で整理されている。
1.ECONOMIC CONTRIBUTION AND THE VALUE OF IPR
2.WHY AND HOW ARE IP RIGHTS INFRINGED?
3.CONSEQUENCES OF IPR
4.ACTIONS TO COMBAT IPR INFRINGEMENT
5.CONCLUSION
個人的に内容は目新しいものではないが注目した点は、欧州企業の侵害対策平均的支出の聴取結果をまとめて報告している部分である。中規模企業でも1200-1300万円の経費を毎年かけていると言える。果たして日本企業にそのような予算を立てるのはどれくらいあるだろうか。知的財産担当者様にはこうした支出に経営者の理解を得る難しさがあることは、国際的には疑問、理解できない情況である。この状況は30年以上変わっていない、残念ながら知的財産後進国と言えるかもしれない、もしこうした予算を毎年計上しているようなら是非ご教示くださいm(vv)m。当方の理解を修正します。
ところで、この報告書の内容的は模倣品対策の状況が報告されているといえる。この内容ならば、2017年EU税関の知的財産権利行使報告 (Report on the EU customs enforcement of intellectual property rights: Results at the EU border, 2017) の方が模倣品対策状況はよく理解することができる。
参考サイト: https://ec.europa.eu/taxation_customs/sites/taxation/files/report_on_eu_customs_enforcement_of_ipr_2017_en.pdf