【中国】国家知識産権局の2020年度重点事業の公示(3月5日)

国家知識産権局は、3月5日付、2020年度の知的財産行政における9つの重点事業を公示した。この中では、4と5に注目していただきたいが、特に、地方政府の実用新案と意匠特許出願に関する補助金や奨励の廃止を進めることには注目である。以下、抄訳でご紹介する。

2020年の知的財産事業の全体的な目標は、例年通り、知的財産権管理能力と管理水準を向上させ、知的財産権事業の継続的かつ着実な発展、高品質な発展を推進することにある。

1)党第十九期四中全会の精神を深く学習し貫徹。
「四つの意識」、「四つの自信」、「二つの維持」を堅持、実現、研究を深めて、知的財産権保護に関する中央の党中央の侵害処罰補償制度を構築する構想と措置を地方の活動にも積極的に展開し確実に実行する。

2)清廉な政府機関の建設を強化
形式主義、官僚主義を断固として配するためにリスク予防・抑制メカニズムを継続的に深化させ、機関紀律委員会の監督規律を進め、一体的な腐敗防止を推進する。

3)知的財産トップレベルの設計を強化
「第13次5か年国家知的財産権保護と運用計画」を総括評価し、「第14次5か年」計画の編成作業を行い、知的財産権強国との戦略綱要の有機的な連携を実現する。

4)「知的財産権の保護強化に関する意見」を真剣に実行
引き続き特許法、商標法、地理的表示法の改正を推進する。知的財産権保護センターを設立し、海外での知的財産権紛争に対応する指導を効率的に行う。商標権侵害判断基準を導入し、行政執行を確実に実施する。知的財産権基本法の研究論証を強化する。地理標識の専用標識や同製品の保護モデル地域の建設を推進する。特許権侵害紛争行政解決モデルを推進するために仲裁調停、共同懲戒、権利擁護など関連業務を総合的に実施する。

5)知的財産権の審査品質と審査効率の継続的向上
審査関係では、年末までに高いレベルの特許出願の審査期間を16か月以内短縮、商標登録出願の平均審査期間を4か月以内に短縮、実用新案と意匠の審査品質を向上させる。特許審査と検索システムのインテリジェント化等を推進し、集中審査、優先審査、特許審査ハイウェイ、審査延期モデルなどを整備し、多様なニーズに対応する。非正常特許出願と悪意ある商標先取り登録に対する効果的な対策を構築する。地方政府の実用新案と意匠特許出願に対する補助金や奨励制度を廃止させる。

6)知的財産権の運用の推進
知的財産権担保融資規模の拡大、知的財産権の証券化の試行を推進する。大学や中小企業での国家知的財産権試行モデルや知的財産権戦略を実施する。知的財産権の標準化を推進する。特許や商標の代理やブローカー行為の規範化を取り締まる。知的財産権サービス集積地区(クラスター)の建設を推進する。特許集約型産業の付加価値のための会計と発表のメカニズムの確立と推進を図る。ブランドや地理的表示の運用促進を図る。特許ナビゲーションと知的財産権の軍民融合を推進する。

7)知的財産権の公共サービスを強化
公共情報サービスの基幹ネットワークの建設を強化し、技術革新支援センター(TISC)と大学国家知的財産権情報サービスセンターを30か所新設し、地域の知的財産権公共情報サービスの一体化、均等化を促進し、サービスの利便性を向上させる。その他、基礎データの解放と共有、地方の窓口など総合的な公共サービスを推進、実現する。

8)国際的な協力関係の推進
2020年一帯一路知的財産権ハイレベル会議、第13回IP5局長級会議、中国アフリカ知的財産権部長会議を開催する。企業の外国における知的財産権獲得支援を強化する。

9)各事業の発展水準の強化
全国知的財産権宣伝週間、中国知的財産権年会、中国知的財産権保護ハイレベルフォーラム、中国国際特許技術と製品取引会などの活動を通じて、中国の知的財産権保護の成果を探る。小中学校の知的財産権普及教育を推進する。その他、若手幹部、地方知的財産行政管理者の育成、大学での知的財産学位の推進などを実施する。

参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/gk/gkgzyd/1146477.htm