【中国】最高人民法院による営業秘密侵害民事事件の審理に関する規定の施行(2020年9月12日)

最高人民法院は、営業秘密侵害民事事件の審理に関する「最高人民法院による商業秘密侵害の民事事件の審理における法律適用に関する若干の問題の規定(最高人民法院关于审理侵犯商业秘密民事案件适用法律若干问题的规定)」(法釈2020-7号)が2020年8月24日に最高人民法院審判委員会第1810回会議を通過したことを9月10日付公示し、9月12日から施行した。

最高人民法院の営業秘密侵害民事事件の審理に関する司法解釈は、2007年の「最高人民法院による不正当競争民事事件の審理における法律適用に関する若干の問題の解釈」でその法律適用について規定しているが、事件に対する法律適用を整合、完備させるために、新旧法律、新旧司法解釈の関係を適切に処理し、法律の統一した適用を容易にするため、2018年1月に本規定の制定作業を開始し、時代と共に発展する営業秘密保護に対する価値理念、指導思想、重要な意義、審判の考え方やルールなどの問題を研究し、広く各方面の意見を聴取するとともに、本年6月には「営業秘密侵害紛争民事事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈(意見募集稿)」を行った。本規定は、2007年の司法解釈における営業秘密に関する規定を吸収統合して整備したもので、全29条からなり営業秘密の司法保護に対する比較的全面的なものとなっており、主に、営業秘密保護客体、営業秘密の構成要件、秘密保持義務、権利侵害判断、民事責任、民刑事対応及び関連手順を規定している。

ところで、習近平総書記は第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラム開会式の講演で、「営業秘密保護を充実させ、法により知的財産権侵害行為に厳しく打撃を与える」と強調し、「中国共産党中央委員会による中国の特色ある社会主義制度の堅持と改善についての国家統治システムと治理能力の現代化を推進する若干の重大問題についての決定」でも営業秘密保護の強化をさらに強調した。近年の新技術、新モデル、新業態の急速な発展に伴って、営業秘密は知的財産権法制度の中で重要性が高まっており、特にハイテク分野の企業、科学研究院などの革新主体となっている。

侵害に対する民事責任は関心が持たれる分野の一つであるため、法律の規定に基づき複数の条項を通じて法律の適用を明確にし、権利侵害による違法コストの増額させ営業秘密の司法保護を強化している。例えば、
一、2007年に解釈された関連規定を踏襲し、侵害停止期間及び侵害行為により営業秘密が一般に知られた時の賠償額を確定方法を規定
二、権利者の申立に基づき、新会社が支配する営業秘密情報の一掃、再侵害行為が発生するリスクの低減、除去を規定
三、侵害による損害額の認定方法を規定
四、侵害による法定賠償を規定。懲罰的賠償については、他の司法解釈があるため規定はない。

参照サイト:http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-254751.html
仮訳