【中国】最高人民検察院による新型生産力の発展に貢献した典型事例の公示(4月2日)

最高人民検察院は、4月2日、高度な科学技術自立の加速と新しい生産力の発展の主導に関する第15次五か年計画の主要な決定、及び知的財産国家建設綱要(2021~2035年)の実施を徹底するため、3月25日に作成した新型生産力の発展に貢献した検察機関の典型事例6件を公表した。

本典型事例には、営業秘密侵害3件、外国企業への提供による営業秘密侵害1件、著作権侵害1件、商標権侵害1件が含まれ、ハイテク企業の知的財産権に関する司法保護に積極的に応え、イノベーションを重視する強い雰囲気を醸成することを目的としている。以下は典型事例の概要ですが、原文を確認して頂けると検察院が公安局との協働した事件対応が行われていることや被害者に対して業務管理の指導を実施していることも注目される。

事例1.張某氏など14人による営業秘密侵害事件(上海人民検察院第三分院)

張氏は、元の勤務先で無線周波数チップ開発部門の責任者をしていたが退職し、自ら会社を設立し元の勤務先と同様のWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)チップを開発するために元の勤務先から4名を採用した。更に、7名を追加採用するときに、元の勤務先の従業員と共謀するなどして、元の勤務先の技術情報をスクリーンショット、コピー、WeChat送信などの不正な手段で入手した。上海市公安局は営業秘密侵害で調査を開始し、検察院に移送し、起訴した。検察院は、技術秘密の認定、共同で行った不正な手段による取得を犯罪行為と認定、犯罪での合理的損害額などを確認し、上海市第三中級人民法院に告訴した。被告は、自発的に有罪を認め、刑罰を受け入れたため、中級人民法院は、張被告に懲役6年、罰金300万元、その他の被告には禁固が5年~執行猶予付きの懲役、罰金が150万元~20万元を科した。被告14名全員が控訴せず、判決は確定した。

事例2.張某氏が外国企業に営業秘密を提供した営業秘密侵害事件(浙江省杭州市人民検察院)

張氏は、元の勤務で先半導体集積回路分野の技術開発に従事した後退職し、元の勤務先の顧客を含む複数の海外顧客に有料コンサルティングサービスを提供し、元の勤務先の「具体的な生産工程データ」および「生産能力配分、生産計画、スケジュール」に関する営業秘密を漏洩し、2,760元の不正な利益を得た。張氏は、元の勤務先と機密情報保護同意書、競業避止契約書、秘密保持契約書などに署名していた。情報提供を受けた杭州市公安局は出頭を要請したところ、犯行を正直に自白し、有罪を認めたので、検察院に移送し、起訴した。検察院は、秘密の範囲を明確に確定し、営業秘密を不正に提供した罪で杭州市中級人民法院に告訴した。中級人民法院は、検察の意見及び量刑勧告を採用し、有罪とし、懲役1年6か月(執行猶予2年)及び罰金1.2万元を科した。被告は控訴せず、判決は確定した。

事例3.胡某氏と王某氏の営業秘密侵害事件(四川省広漢市人民検察院)

胡氏は、元の勤務先で圧延生産ライン設備に関する顧客関係およびプロジェクトの維持・管理を担当した後退職し、自ら会社を設立し、スケール除去装置及び元の勤務先の圧延生産ライン設備のスペアパーツとコンポーネント事業を行った。この事業のために元の勤務先の子会社で設計者であった王氏を雇い、王氏は元勤務先のPDM機密図面システムから前述の機器の製造図面を違法にダウンロードおよびコピーし、簡単な修正を加えた後、胡氏に提供した。胡氏はその図面に基づく製品を外注し、完成品を販売した。徳陽市公安局は情報を得て調査を開始し、王氏を営業秘密侵害で検察院に起訴した。検察院は、調査・起訴の過程で胡氏が営業秘密と知りながら使用した共謀罪の疑いから補足調査をするとともに、技術秘密の認定とドイツ企業への売上利益から損害額の確定を行い、広漢市中級人民法院に両名を告訴した。中級人民法院は、胡氏に懲役1年6か月(執行猶予3年)と罰金70万元、王氏に懲役1年(執行猶予2年)と罰金50万元の判決を下した。両被告は控訴せず、判決は確定した。

事例4.某科技有限公司、温某氏他3人の営業秘密侵害事件(山東省濰坊市浜海経済技術開発区人民検察院)

低毒性除草剤であるメトラクロール製造会社とその子会社の従業員の温氏らが勧誘を受けて入社した某科技有限公司で元の会社のメトラクロールプロジェクトの関連資料に基づきプロジェクトを適用するとともに、元の勤務先の従業員よりメトラクロールプロジェクトの技術情報と試作報告書を入手、事業を実施し126万元の利益を得た。濰坊市公安局浜海経済開発区支局は被害を受けた会社から通報を受けて捜査を行い、関連証拠を確保し、某科技有限公司、温某氏他3人を刑事告訴した。検察院は、当事者個人の契約状況、権利者の秘密保持措置、損害額などを確定し、濰坊浜海経済技術開発区中級人民法院に告訴し、被害会社も刑事付随民事訴訟を提起した。中級人民法院は刑事民事判決を下し、被告の某科技有限公司に営業秘密侵害罪で100万元の罰金、温氏らにそれぞれ懲役3年と15万元の罰金を科するとともに、被害会社に損害賠償800万元超(ライセンス相当額)を共同で支払うよう命じた。

事例5.謝某氏と王某氏の著作権侵害訴訟(深圳市南山区人民検察院)

某創新科技有限公司は、写真測量技術に基づいた3D再構築ソフトウェアをアカウント登録とアクティベーションコードの購入を条件として販売し、試用版も提供していた。王氏は同ソフトウェアの認証コードの制限を回避できるプラグインをオンラインで販売した。謝氏も試用版の使用期間を無制限に使用できるようにて販売した。その後、ソフトウェアのアップデートで利用できなくなり、謝氏は新たにアクティベーションコードを生成するプラグインを作成して販売を続け6万元以上の利益を上げ、王氏は謝氏からプラグインを購入し、被害会社の農業版アクティベーションコードと併せて販売し5万元以上の利益を上げた。深圳市公安局南山支局は、被害会社の事件捜査で、謝氏と王氏を逮捕し、コンピュータ情報システム破壊容疑で検察院に移送した。検察院は、刑法第217条第6項の「著作権者の許可なく、著作物、録音物、映像記録等を保護するために権利者が講じた技術的措置を故意に回避或いはは妨害する」行為に該当すると認定し、著作権侵害で両氏を深圳市南山区基層人民法院に告訴した。中級人民法院は合併審理し、謝氏に著作権侵害で懲役8か月と罰金6万元、王氏に懲役6か月と罰金6万元の判決を下した。両は控訴せず、判決は確定した。

事例6.羅某氏の登録商標偽造及び横領事件(重慶市九龍坡区人民検察院)

広州鋭某生物科技有限公司はsiRNA(遺伝子サイレンシング)及び過剰発現プラスミド製品製造、非コードRNA技術と医薬品開発を事業として、同社に営業技術者として入社した羅氏は会社の許可を得ずに蔡某氏から過剰発現プラスミド試薬を購入、会社の品番・名称・仕様などの情報を模倣したラベルを勝手に印刷し試薬管に貼り、会社の商標の付いた製品箱スに入れ偽造品として、関連会社を通じて複数の大病院及び研究機関に販売し、10万元以上を得た。その他、羅氏は職務上の立場を利用し、他人の名義で会社のブサイトから生物オ試薬を購入し、転売することで31万元以上を横領した。重慶市公安局九龍坡支局は、羅氏を逮捕し捜査を開始し、登録商標偽造品の販売及び横領の容疑で九龍坡区検察院に移送した。検察院は、侵害行為、違法所得額、資産差押えの上、登録録商標の偽造と横領罪で羅氏を重慶市九龍坡区基層人民法院に告訴した。人民法院は、懲役1年9か月、罰金18万元を科した。羅氏は控訴したが、棄却された。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/xwfbh/wsfbt/202604/t20260402_725211.shtml

【中国】「企業競業制限規則順守手引」の公布施行(2025年9月4日)

人力資源社会保障部弁公庁は、9月4日付、地方政府の関係部署に対して、企業が競合避止条項を法に基づきかつ法令順守するよう指導するため、労働契約法などの法律法規に基づき、実務経験を踏まえて策定した「企業競業制限規則順守手引(企业实施竞业限制合规指引)」を企業の指導に参考するよう通知(人社庁発〔2025〕40号)した。企業は、競合避止条項の範囲を科学的に確定し、実施手順を標準化し、従業員の権利義務を公平に合意することで、企業の営業秘密と従業員の選択権、労働権の双方をバランスよく保護しなければならないとしている。

手引は全25条からなり、会社と従業員が競業避止義務契約における経済的補償と違約金の交渉を合理的に決定するための指針として、以下のポイントに注意が必要である:

1.経済的補償の決定要素の明確化。会社は商業秘密の研究開発コストとビジネス上の価値、雇用就業範囲の限定、雇用期間中の賃金給与基準、従業員の求職活動やキャリア形成への影響などの要素に基づき経済的補償を合理的に確定しなければならない。

2.経済的補償基準と競業制限期間の適合性の明確化。会社が従業員に支払う月額経済補償は、通常、従業員との労働契約解除或いは終了前の12か月の平均給与の30%を下回らず、かつ雇用契約地域の最低賃金基準を下回らない。競業制限期間が1年を超える場合、月額経済補償は、通常、従業員の労働契約解除或いは終了前の12か月の平均給与の50%を下回ってはならない。(13条)

3.経済的補償の支払い方法の明確化。会社は競業制限期間内に現金で毎月従業員に経済的補償を速やか支払わなければならない。従業員に常時支払われない賃金や賞与にはすでに競業制限補償が含まれているとして支払いを拒否してはならない。

4.違約金の合理的算定方法の明確化。違約金額は、従業員により商業秘密が漏洩したことによる経済的損害と会社が従業員に支払った競業避止の経済的補償額に基づき合理的に確定しなければならず、通常、約定した競業避止の経済的補償総額の5倍を超えてはならい。(14条)

重要社員の退職時の競合避止条項は悩ましい問題である。秘密保持契約書だけでは十分でない場合に退職時の合意をする必要があるが、本手引はコンプライアンスの目的であり、法的拘束力があるかどうかは議論があると思料するものの、契約条件を確定する際に確認することをお勧めする手引である。

参照サイト:https://www.gov.cn/zhengce/zhengceku/202509/content_7040571.htm

【中国】北京法院の営業秘密侵害事件問答集と典型事例の発表(11月30日)

北京知識産権法院は、11月30日に記者会見を開き、「北京知識産権法院による営業秘密侵害民事事件の当事者訴訟問題の解答(北京知识产权法院侵犯商业秘密民事案件当事人诉讼问题解答)」(問答集)と営業秘密侵害10大典型事例を発表した。英語版も含まれる。

問答集は全5部61問からなり、概要は以下の通り、基本的知識が得られる。
第一部 営業秘密の概念とその法廷構成要件(1~13)
第二部 営業秘密の訴訟主体(14~15)
第三部 権利侵害行為(16~26)
第四部 民事責任(27~36)
第五部 手続き事項(37~61)

営業秘密10大典型事例は以下の通り
1.レーザークリッピング装置の営業秘密侵害事件
2.鶏卵新品種の組合せの営業秘密侵害事件
3.基板設計の営業秘密侵害事件
4.不動産ファイルデータソフトウェアの営業秘密侵害事件
5.製品端末消費者の営業秘密侵害事件
6.地図情報システムソフトウェアの営業秘密侵害事件
7.学生証IDの営業秘密侵害事件
8.データの営業秘密侵害事件
9.「なりすまし」営業秘密侵害紛争事件
10.顧客リストの営業秘密侵害事件

ファイルがダウンロードできない場合はご連絡ください。

参照サイト:https://mp.weixin.qq.com/s/-jXVqutucVuhFwLE-1GNjQ

【欧州】「EUにおける営業秘密訴訟の動向」(6月28日)

欧州知財庁(EUIPO)のの知的財産権侵害欧州監視機関(the European Observatory on Infringements of Intellectual Property Rights)は、6月28日付、「EUにおける営業秘密訴訟の動向(TRADE SECRETS LITIGATION TRENDS IN THE EU)」と題するレポートを公示した。

 本レポートは、2016 年 6 月 8 日の欧州議会および理事会指令 (EU) 2016/943第18条に基づき、2018 年に同監視団が発行した「EU加盟国における営業秘密訴訟のベースライン」を補完するもので、営業秘密の違法な取得、使用、或いは開示に関する訴訟傾向に関する新しい報告書であり、2017年1月1日から 2022年10月31日までの訴訟を対象としている。

新しい報告書は、EU における営業秘密訴訟の傾向の包括的かつ徹底した分析となっており、定量分析、定性分析、判例要約集の 3 部からなる。
 定量的分析は、2017年1月1日から2022年10月31日までの約700件の判決を統計処理し、事件数、法廷および主題、経済的観点について加盟国間の違いを示している。
 定性分析は、営業秘密の定義の解釈、違法行為、営業秘密指令に基づいて認められた措置、および比例原則に関する理論的な議論を示している。
 判例集は、加盟国の裁判所によって発行された営業秘密に関する選択された訴訟の概要を示している。 EUでの営業秘密訴訟の傾向はまだ発展段階であり、EU 司法裁判所は営業秘密指令の主要な条項についてまだ説明する機会がないため、この情報収集は訴訟の傾向を定義するための貴重なリソースとなるとされている。

参照サイト:https://euipo.europa.eu/ohimportal/en/web/observatory/-/news/new-observatory-report-on-trade-secrets-litigation-trends-in-the-eu
 報告書

【中国】 団体標準「企業営業秘密管理規範」の施行(2022年1月1日)

中国専利保護協会は、12月13日に意見募集した、団体標準としての「企業営業秘密管理規範(企业商业秘密管理规范)」(T/PPAC 701-2021)を12月31日に公示し、2022年1月1日より実施した。この標準は11章23ページからなり、企業における営業秘密管理手法に対する標準であり、中国の現地法人がどのような管理方法を導入するかを検討する際に、特に管理方法などは参考になる。和訳は用意していません。

内容の概要は以下の通り:
1.範囲
2.規範的引用文献
3.用語と定義
4.企業環境
5.指導
6.方針
7.支援
8.営業秘密の確定
9.営業秘密の管理
10.営業秘密紛争の処理
11.監督検査、評審及び改良
12.参考文献

参照サイト:http://www.ppac.org.cn/news/detail-354.html

【中国】北京知識産権法院は「営業秘密紛争立証基準」と典型事例を公表(10月29日)

北京知識産権法院は記者会見を行い、「北京知識産権法院の営業秘密侵害民事事件訴訟での立証基準(北京知识产权法院侵犯商业秘密民事案件诉讼举证参考)」を制定したことを発表するとともに、同法院での典型事例を公表した。

北京知識産権法院の説明では、2021年10月までに営業秘密侵害紛争の提訴は163件、その内訳は一審事件136件、二審事件27件で120件が受理され、審理された43件での原告勝訴は17件と40%を占めており、以下のような特徴があること報告された。
①係争企業の知名度が高く、比較的迅速に発展する業界と競争が激しい事業主体間で発生するため事件の影響が大きい。
②企業の従業員、元従業員に関わる案件が多く、北京知識産権法院での事件の93%を占める。関連従業員や元従業員は往々にして企業の高級管理者で勤務中に企業の重要な営業秘密情報を把握または接触できる。
③原告敗訴の主な理由は権利者の立証が不十分であるためである。これは侵害された商業秘密の隠蔽性、複雑性と関係するが、権利者の立証難の問題も強い。
また、権利者の立証難については、証拠保全措置、調査命令の発行などの方法で積極的に立証に努めることを推奨している。

「立証基準」は、 不正競争防止法、最高人民法院による商業秘密民事事件の審理における法律適用の若干の問題に関する規定」、北京市高級人民法院知的財産権民事訴訟証拠規則指南などの関連法律規定を参考に、営業秘密保護のための権利の基礎、権利侵害行為、民事責任、手続きなどについて58条からなり、以下のように構成されている。英文版もあるので、ご参照ください。
第一部 基礎となる権利に関する立証基準
1.法により起訴できる主体
2.営業秘密の法定条件
3.法定条件の抗弁事由
第二部 権利侵害行為に関する立証基準
4.権利侵害の主張方法
5.権利侵害行為の抗弁事由
第三部 民事責任の請求に関する立証基準
6.権利侵害の停止
7.損害賠償
第四部 手続きに関する立証基準
8.保全
9.調査命令
10.訴訟中の秘密保持措置
11.刑民事調整

北京知識産権法院での典型事例は以下の通り:
1.自動運転技術に関わる営業秘密侵害紛争事件 [(2017)京73民初2000号]
 元従業員で技術責任者が離職後、競合会社の役員に就任し営業秘密を侵害したとの提訴した事件で、最終的に原告が起訴を取下げた。
2.ゴルフ場営業秘密侵害紛争事件 [(2018)京73民終686号]
 金融機関のVIP顧客にゴルフ付加価値サービスを提供する商業秘密を元従業員が入社した会社で利用し利益を上げていることを提訴した事件で、経済損失と合理的支出の799万元の賠償が下された。
3.石油探査技術に関わる営業秘密侵害紛争事件 [(2017)京73民初1382号]
 石油ガス探査開発技術での石油微生物探査技術の一部である技術秘密が被告に侵害されたと証拠保全が申立てられ、被告のパソコン内のデータや紙書類などが証拠保全され侵害と認定された事件で、侵害停止と 経済損失と合理的支出の75万元の賠償が下された。

参照サイト:https://bjzcfy.chinacourt.gov.cn/article/detail/2021/11/id/6351057.shtml
英文版をご希望の方はご連絡ください。

【中国】不正競争関連十大典型事件の公示(7月16日)

国家市場管理監督局は、7月9日と7月16日に、2つの十大事件を公示した。一つは、江蘇省不正競争十大典型事件(反不正当竞争十大典型案例)、もう一つは、一般的方法のイノベーションによる不正競争対策(创新普法方式反不正当竞争案例)の十大事件である。ここでは、それぞれの事件のリストアップをご参考まで紹介する。

江蘇省不正競争十大典型事件
1.徐州清悦食器消毒服务有限公司のダンピング事件 (価格法第14条(2)、罰金40万元)
2.沈小凡の複数店舗での虚偽取引事件 (不競法第8条1項、罰金65万元)
3.蘇州祥生弘景不動産開発有限公司の虚偽宣伝事件 (不競法第8条1項、罰金80万元)
4.東台万堰不動産開発有限公司の不正懸賞付き販売事件 (不競法第10条、罰金8万元)
5.南通兆豊置業有限公司の虚偽価格取引事件 (価格違法行為行政処罰法、罰金25万元)
6.興市雲天生物科学技術有限公司の商業賄賂事件 (不競法第7条1項、罰金10万元)
7.顧紅興商業賄賂事件 (不競法第7条1項、罰金20万元)
8.江蘇龍君展覧服务有限公司の虚偽取引事件 (不競法第8条1項、罰金75万元)
9.江陰市欧姆機械設備有限公司の営業秘密侵害事件 (不競法第9条2項、罰金30万元)
10.常熟百進発電子商务有限公司の虚偽取引事件 (不競法第8条1項、罰金20万元)

一般的方法のイノベーションによる不正競争対策十大事件
1.帆拓社の営業秘密侵害事件 (第9条、罰金6.9万元)
2.某会社の他人の商品の包装と装飾の標識に便乗事件 (第6条(1)、罰金15万元)
3.上海某会社の商業虚偽情報流布事件 (第11条、罰金10万元)
4.某会社の商業賄賂事件 (第7条、罰金60万元)
5.杭州市での新型「ネット評価」架空取引事件 (第8条)
6.快速物流など会社の虚偽宣伝事件(第8条、罰金214万元)
7.优酷会社のネット強制的リンク先移動事件 (第12条2項、罰金30万元)
8.光通信モジュール営業秘密侵害事件 (第9条、検察移送)
9.玛氏箭牌糖果(中国)有限会社の不当懸賞販売事件(第10条、罰金30万元)
10.成都蜀粋坊食品有限公司の「張飛牛肉」の包装・装飾偽造事件(第6条(1)、罰金2.7万元)

中国国内でも多様な違法行為が不正競争の要因になっており、こうした事例を参考にすることは肝要である。営業秘密事件が取り上げられることが多いが、刑事を前提とすることを忘れてはいけない。なお、ひとりごとにそうれぞれの概要仮訳を掲載する。

参照サイト:http://www.samr.gov.cn/jjj/fbzdjz/202107/t20210712_332536.html
      http://www.samr.gov.cn/jjj/fbzdjz/202107/t20210716_332752.html

【中国】改正刑法に刑罰の追加(2021年3月1日施行)

最高人民法院と最高人民検察院は、2021年2月26日に、2月22日の最高人民法院審判委員会第1832回会議、最高人民検察院第13回検察委員会第63回会議で、「中華人民共和国刑法」の罪名の補充規定の確定(七)に関する法釈〔2021〕2号が採択されたことを公示した。改正刑法は3月1日より施行されており、同日に関連する罪名に関する司法解釈も施行されているが、これに追加する形で本司法解釈も施行された。

知的財産権関連で注意しなければならない追加された関連の刑法と罪名は、営業秘密、商標などに使用時の国名などや人名、遺伝資源などの収集活動であり、以下の通り:

1.第219条の1 (改正案(十一)第23条)
 国外のために盗取、偵察、買収、不法に営業秘密を提供罪;
 (为境外窃取、刺探、收买、非法提供商业秘密罪)
2.第299条 (改正案(十一))
 国旗、国章、国歌を侮辱罪(旧国旗・国章侮辱罪)
 (侮辱国旗、国徽、国歌罪)
3.第299条の1 (改正案(十一)第35条)
 英雄烈士名誉、栄誉侵害罪
 (侵害英雄烈士名誉、荣誉罪)
4.第334条の1 (改正案(十一)第38条)
 人類遺伝資源不法採集、人類遺伝資源材料密輸罪
 (非法采集人类遗传资源、走私人类遗传资源材料罪)
5.第341条1項
 貴重、絶滅危惧野生動物危害罪(名称変更)
 (危害珍贵、濒危野生动物罪)
6.第341条3項 (改正案(十一)第41条)
 陸上野生動物密猟、買収、運送、販売罪
 (非法猎捕、收购、运输、出售陆生野生动物罪)
7.第342条の1 (改正案(十一)第42条)
 自然保護破壊罪
 (破坏自然保护地罪)
8.第344条 (改正案(十一))
 国家重点保護植物危害罪(名称変更)
 (危害国家重点保护植物罪)

参照サイト:http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-288171.html

【中国】最高人民法院と最高人民検察院による知的財産権侵害刑事事件審理での法律解釈(三)の施行(2020年9月14日)

最高人民法院と最高人民検察院は、9月12日付、6月に意見募集した「最高人民法院と最高検察院による知的財産権侵害刑事事件の審理における具体的法律の適用における若干の問題に関する解釈(三)(最高人民法院、最高人民检察院关于办理侵犯知识产权刑事案件具体应用法律若干问题的解释(三))」(法釈2020-10号)が2020年8月31日に最高人民法院審判委員会第1810回会議を通過し、2020年8月21日に最高人民検察院第13次検察委員会第48回会議を通過したので,2020年9月14日より施行することを公示した。

本解釈は12条からなり、その対象は第1条から第3条に刑法に規定のある商標にかかる第213条、著作権にかかる第217条第1項、営業秘密にかかる第219条第1項1号(その他の不正行為)に関する処罰の適用、第8条と第9条に処罰内容、第10条には罰金の規定があり最大で500万元以下の罰金を規定している。なお、意見募集稿の第11条で重罰の対象となっていた外国への情報を提供するための侵害は削除された。

参照サイト:http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-254891.html
仮訳

【中国】最高人民法院による営業秘密侵害民事事件の審理に関する規定の施行(2020年9月12日)

最高人民法院は、営業秘密侵害民事事件の審理に関する「最高人民法院による商業秘密侵害の民事事件の審理における法律適用に関する若干の問題の規定(最高人民法院关于审理侵犯商业秘密民事案件适用法律若干问题的规定)」(法釈2020-7号)が2020年8月24日に最高人民法院審判委員会第1810回会議を通過したことを9月10日付公示し、9月12日から施行した。

最高人民法院の営業秘密侵害民事事件の審理に関する司法解釈は、2007年の「最高人民法院による不正当競争民事事件の審理における法律適用に関する若干の問題の解釈」でその法律適用について規定しているが、事件に対する法律適用を整合、完備させるために、新旧法律、新旧司法解釈の関係を適切に処理し、法律の統一した適用を容易にするため、2018年1月に本規定の制定作業を開始し、時代と共に発展する営業秘密保護に対する価値理念、指導思想、重要な意義、審判の考え方やルールなどの問題を研究し、広く各方面の意見を聴取するとともに、本年6月には「営業秘密侵害紛争民事事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈(意見募集稿)」を行った。本規定は、2007年の司法解釈における営業秘密に関する規定を吸収統合して整備したもので、全29条からなり営業秘密の司法保護に対する比較的全面的なものとなっており、主に、営業秘密保護客体、営業秘密の構成要件、秘密保持義務、権利侵害判断、民事責任、民刑事対応及び関連手順を規定している。

ところで、習近平総書記は第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラム開会式の講演で、「営業秘密保護を充実させ、法により知的財産権侵害行為に厳しく打撃を与える」と強調し、「中国共産党中央委員会による中国の特色ある社会主義制度の堅持と改善についての国家統治システムと治理能力の現代化を推進する若干の重大問題についての決定」でも営業秘密保護の強化をさらに強調した。近年の新技術、新モデル、新業態の急速な発展に伴って、営業秘密は知的財産権法制度の中で重要性が高まっており、特にハイテク分野の企業、科学研究院などの革新主体となっている。

侵害に対する民事責任は関心が持たれる分野の一つであるため、法律の規定に基づき複数の条項を通じて法律の適用を明確にし、権利侵害による違法コストの増額させ営業秘密の司法保護を強化している。例えば、
一、2007年に解釈された関連規定を踏襲し、侵害停止期間及び侵害行為により営業秘密が一般に知られた時の賠償額を確定方法を規定
二、権利者の申立に基づき、新会社が支配する営業秘密情報の一掃、再侵害行為が発生するリスクの低減、除去を規定
三、侵害による損害額の認定方法を規定
四、侵害による法定賠償を規定。懲罰的賠償については、他の司法解釈があるため規定はない。

参照サイト:http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-254751.html
仮訳

【台湾】営業秘密法改正(2020年1月15日施行)

台湾立法院は、2019年12月31日付、営業秘密法を改正を通過させ、2次的営業秘密漏洩を防止するための 通称「科学技術業条項」と呼ばれる捜査内容の秘密保持命令制度などが14条に追加新設された。施行日は2020年1月15日)この操作内容秘密保持命令制度は、裁判所(検察官)が捜査に関連した資料に接触した関係者に対する秘密保持義務の履行を命じるものである。台湾では半導体などの分野で従業員の転職時に営業秘密持ち去りが多発しているために、訴訟における二次漏洩を防止するために新設された。新設された概要は下記の通り。

裁判所は、基礎の前後にかかわらず、営業秘密の捜査対象に関与しうる被疑者、被告、被害、告訴人、告訴代理人、弁護人、鑑定人、証人、その他の関連者に捜査情報秘密保持命令を発することができる( 第14-1条1項)。
捜査秘密保持命令を受けた者は、捜査手続き以外の目的で当該情報使用、或いは第三者に開示することはできない( 第14-1条第2項)。
捜査秘密保持命令は書面或いは口頭で行うことができ、告知日から効力が生じる(第14-2条)
捜査秘密保持命令違反者は、3年以下の禁錮、台湾ドル100万以下の罰金、併科可。外国での違反も対象とする(第14-4条)。
事件訴訟手続開始後30日以内に、営業秘密保有者或いは検察官が秘密保持命令の請求をしない場合、裁判所は対象者の申立を受けて取消すことができる(第14-3条第5項 )。
外国法人は告訴、私訴、民事訴訟が可能で(第13-5条)、適用は相互主義となる(第15条)である。

ところで、台湾智慧産権局は参考情報を2つ公示している。
1.過去の裁判事例 2019年6月末までのもの(2020年12月19日付)
2.営業秘密管理マニュアルの第2版を公表している。台湾内での適用を判断する上で参考になる。

参考サイト:
裁判事例  https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-12-859444-73285-1.html
マニュアル https://www.tipo.gov.tw/tw/dl-254028-54154bdd6d20450099d6501258b531d0.html

【韓国】特許法及び不正当競争防止法の改正・施行(2019年7月9日)

2019年1月8日付で公布された、懲罰的損害賠償などを追加規定した改正特許法及び改正不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(不正競争防止法)が2019年7月9日に施行される。

1.懲罰的損害賠償制度の導入
改正特許法及び改正不正競争防止法では、故意の侵害行為と認められる場合に、認定損害額の3倍を超えない範囲で法院が懲罰的損害賠償額を認定できる制度を導入した。法院が損害賠償額を決定する時の考慮事項は下記の通りで、特許と実用新案が対象;
(1)侵害行為をした者の優越的地位、
(2)故意または損害の発生のおそれを認識した程度、
(3)侵害行為により特許権者が被った被害規模、
(4)侵害行為により侵害者が得た経済的利益、
(5)侵害行為の期間・回数など、
(6)侵害行為による罰金、
(7)侵害者の財産状態、
(8)侵害者の被害救済努力の程度。
(特許法第128条第8項及び第9項の新設、不正競争防止法第14条の2第6項及び第7項の新設)

2.実施料賠償規定の改正
改正特許法では、従前特許法の「通常」という表現により損害額が実損より低く算定されて不十分な補償となる問題点に鑑み、「合理的」と変更し、特許侵害などの個別・具体的な状況を考慮して損害額を算定するようにした。(特許法第65条第2項及び第128条第5項の改正)

3.具体的行為態様の提示義務の新設
改正特許法は、特許権侵害訴訟において、特許権者が主張する侵害行為の具体的な行為態様を否認する当事者が自らの具体的な行為態様を提示するように義務付ける立証の転換を規定し、当該当事者が正当な理由なく自らの行為態様を提示しない場合、法院が特許権者の主張する行為態様が真実なものとして認定することができるように規定した。(特許法第126条の2の新設)

4.営業秘密要件の緩和
改正不正競争防止法は、秘密管理性の規定から「合理的な努力」の表現を削除し、合理的な努力がなくとも秘密として維持管理されているのであれば営業秘密と認定するように要件の立証義務のレベルを緩和した。これまで2015年不正競争防止法の改正により「相当な努力によって秘密として維持」の表現が「合理的な努力によって秘密として維持」に緩和された経緯があったが、今回は当該表現を削除し、要件をさらに緩和した。(不正競争防止法第2条第2号の改正)

5.営業秘密侵害行為などに対する罰則の強化
改正不正競争防止法の規定する処罰対象行為は、
(1)不正な利益を得るか営業秘密保有者に損害を与える目的で、営業秘密を指定された場所以外に無断で流出させる行為、
(2)不正な利益を得るか営業秘密保有者に損害を与える目的で、営業秘密保有者から営業秘密の削除または返還の要求を受けたにもかかわらず、これを継続して保有する行為、
(3)切取・欺瞞・脅迫、その他の不正な手段で営業秘密を取得する行為、
(4)営業秘密侵害行為の事実を知りながら、当該営業秘密を取得または使用する行為。
(不正競争防止法第18条第1項及び第2項の改正)

6.罰則を大幅に加重
国外使用目的:15年(元10年)以下の懲役または15億(元1億)ウォン以下の罰金
国内使用目的:10年(元5年)以下の懲役または5億(5千万)ウォン以下の罰金
こうした罰則の拡大は、処罰の空白を防止する効果があり、刑事処罰水準の強化を通じて営業秘密の保護がより強化されると期待される。

改正法では、営業秘密侵害犯罪の類型を大幅に拡大したという点に最も大きな意味があり、追加された犯罪類型の一部(営業秘密を指定された場所外に無断で流出させる行為、営業秘密の削除・返還要求に応じない行為等)は、民事上の侵害行為の類型にも含まれていないため、今回の改正により刑事責任の対象範囲が民事責任の対象よりも広く拡張され、営業秘密侵害に対する制裁の強化でもある。
また、処罰の範囲の拡張より、営業秘密侵害事件が法的紛争事件として増加するだけでなく、営業秘密流出時の実務的な対応とその紛争の形態にも変化をもたらすことが予測される。例えば、営業秘密侵害の相手方に警告状を発送したが、相手方が応じなければ、別途刑事措置を取ることができる。また故意侵害の根拠として相手方が警告状に応じなかったことを提示することで懲罰的損害賠償を請求することも可能になるなど、これまでとは異なる紛争状況につながる可能性がある。

出典:Kim&Chang