【アメリカ】USPTOはAI技術と特許の報告書を公示(10月7日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、昨年2019年8月27日付の官報(FR)において、AI技術と特許出願に関する一般からの意見聴取の公示を行った。その目的は、人工知能の発明の信頼性と予測可能性を促進するためのさらなる調査が必要かどうかを評価することであり、人工知能の発明に関する特許関連の問題に関する情報を収集することに関心を持ったためである。

人工知能(AI)は、さまざまなテクノロジーやビジネスでますます重要になってきており、そして、 AIの実行には常に何らかの形のコンピューターの実装が必要であるため、コンピューターに実装された発明(ソフトウェアなど)に関連する特許性の問題の多くは、AIの発明の議論に密接に関係している。AIの方法とシステムでは技術的な実装が異なるが、発明者や開発者だけでなくシステムの利用者による比較的高いレベルの開発とトレーニングに依存している。
USPTOは、AIの発明を数十年にわたって調査し、AIの発明に必然的に関連する多くの分野でガイダンスを発行してきているところ、今後、知財業界やAIの専門家と協力し、予測可能性を促進するために追加のガイダンスが必要かどうかを判断する必要性があるかどうか、そして、そのような発明に特許を取得することの信頼性とこの重要な領域内およびその周辺での更なるイノベーションを促進するための適切な特許保護のインセンティブが確実に実施されるようにすることもの必要性も考えている。

USPTOは、AIに関する専用のサイトを開設しており、そのサイトで上記の意見募集の収集結果を取りまとめ、10月7日付で公示した。意見募集は12の設問があり、2019年11月8日までに日本を含む99件のコメントが提供された。本報告書では、第一部は人工知能技術の特許に特化し設問ごとに回答を分析し、第二部は商標、著作権、営業秘密などの人工知能技術の非特許知的財産保護に特化してその回答を分析している。
 分析によると、パブリックコメントの大多数は、AIの定義を提供していませんが、現在の最先端技術は“狭義の”AIに限定されていることに同意し、それは明確に特定の分野(画像認識、翻訳など)で個別のタスクを実行するシステムとなっている。
 特許制度については、大多数は、AIがコンピューターで実装された発明のサブセットとして最もよく見られるので、現行のUSPTOのガイダンスは、AIの進歩を特許の主題としての適格性とコンピューターで実装された発明の開示を処理するためものと判断しており、特に複数のコメントは特定なAIの発明(ユーザー支援)などは35 U.S.C. § 112(a)の要件に対応するのは難しく、USPTOは更なるガイダンスを出すべきとしている。そして、AIの普及が進むことで、USPTOと裁判所が当業者によるの法的な仮想基準と特許権の有効性の評価することに影響及ぼすと考えている。
 その他の著作権、商標、企業秘密及びデータの分野について、大多数は、正しく調整されている考えているようであるが、既存のビジネスの原則がAIの進歩による知的財産法との間に残されたギャップを適切に埋めると考えている( 例:契約法、商法など)。
 これらは日本での考え方と概ね変わりはない様に思いますが、詳細はレポートをご参照ください。

 参照サイト:報告書 https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/USPTO_AI-Report_2020-10-07.pdf
 USPTO AI関連サイト https://www.uspto.gov/initiatives/artificial-intelligence