【欧州】EPO見做し送達10日ルール廃止(11月1日発効)

ヨーロッパ特許庁(EPO)管理理事会が昨年10月13日に決定した、見做し送達猶予期間10日の廃止が2023年11月1日(水曜日)に施行される(当サイト既報済み)が、3月31日付の官報で適用の詳細が公示された。

 上記の決定により適用対象法文のEPC規則126(2), 127(2),131(2)は既に改正されており、EPOの送達する拒絶理由通知(OA)などの文書を従来の郵便に電子的手段を導入するため、EPOとの手続き期限の計算に影響を及ぼすことになり、従来は郵送のための見做し送達期間として、通知文書に記載の日付から10日後を送達日と見做し、法定期限の起算日としていたが、今後は、電子送達の導入により、文書記載日を送達日と見做し、郵送の10日の見做し猶予期間を廃止することになる。
 EPO内では、文書作成日を想定発送日(送達日)になるよう作業を行うことで、こうした変更に対応するが、いずれにしても、EPOは、電子送達の完成を自動的に認定する立場をとる。しかし、到達に不備や何らかの問題があり、特許出願人がEPOからの書類を受領していないときのために、EPOが送達に対する立証責任を負う保護措置が規定されている。つまり、出願人がEPOの通知が不達であるなどの事情があると申し出た場合、規定によるとEPOは以下の3つの保護対応をとる、
(1)EPOが電子送達を立証できない場合、再発行措置で、再発行日が送達日となる;
(2)EPOが電子送達を立証できたが、実際の送達が送達日より7日を超えていた場合、実際の送達日から7日を差引いた日を送達日とする、7日以内であれば送達日は変更しない;
(3)EPOが電子送達を確認できたが、問題の有無を立証できない場合、送達日に変更はない。

以下は、EPOが作成したOA対応(4か月期限)の現行と改正後の対応チャートである。


経過措置もあるが10月末日に発行されることはあまり考えられず問題とならないと思うので、省略する。注意しなければならないのは、自社が導入している期限管理システムがこの10日ルールを前提としたものであれば、システムの改良や運用の改善を行う必要があろう。

参照サイト:https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2023/03/a29.html