【欧州】EPC審査と単一特許ガイドライン2026年4月版発効(4月1日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)が2025年12月2日決定し、2026年1月30日に改正版を予告していた、EPC審査ガイドライン(Guidelines for Examination in the European Patent Office)と単一特許ガイドライン(The Unitary Patent Guidelines)が、4月1日付発効した。併せて、PCT機関としての欧州特許庁における調査および審査ガイドライン(PCT-EPOガイドライン)も改正された。2026年4月改正版の発効により、2025年4月版は廃止されるとともに、これまで欧州特許ガイド(European Patent Guide)およびユーロPCTガイド(Euro-PCT Guide)に掲載されていた情報のほぼすべてがそれぞれのガイドラインに統合された。なお、改正部分は各ガイドラインの画面右上のShow modificationsを選択し確認できる。

●EPC審査ガイドライン2026年4月版での改正概要
今回は、審判部の審決と事務手続きの明確化のために全体に渡った修正が行われている。
特に、パートAの新しい章XII~XVでは、欧州段階への移行に関する詳細な情報が追加されたが、これらはユーロPCT手続きを扱っていた章E~IXに代わるもの。
パートB、F、Gは、審決G 1/23およびG 1/24を反映している。
パートA、C、Hの更新では、カラー図面について説明している。
パートFは、医療用途クレームの十分な開示に関する新しい章が追加されている。
パートHは、欧州特許条約規則80が裁量権のない規定であることを明確にしている。
パートD、E、Gは、証拠と立証基準に対する改廃を反映するために修正された。

参照サイト:https://www.epo.org/en/legal/guidelines-epc

●単一特許ガイドライン2026年4月版での改正概要
単一特許ガイドラインも判例と手続き上の変更により全章が改訂されたほか、単一特許保護部門の実務に関する説明や最新情報が追加された。具体的には、以前の第3章は、手数料に関する第3章と補償に関する第4章の2つに分割された。第3章には、更新手数料の支払いに関するより詳細な情報が記載された。また、第8章も改訂され、通知、期限の決定、口頭審理に関する詳細が追加された。

参照サイト:https://www.epo.org/en/legal/guidelines-up

参照サイト:https://www.epo.org/en/news-events/news/guidelines-2026-enter-force-streamlining-procedural-guidance

【欧州】EPO2025年度特許出願統計+1.4%増(3月24日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、3月25日付、 Technology Dashboard(旧Patent Index)を公示し、2025年の出願は、201,954件で+1.4%増加したことを公示した。EPO加盟国は、微増+0.4%、欧州以外では、中国(+9.7%)、韓国(+9.5%)、日本(+1.1%)が増加し、アメリカが▲1.6%減少した。

技術分野別にみると、特許出願件数上位10分野の半数で増加が見られ、モバイルネットワーク関連の発明を含むデジタル通信(+11.4%)、人工知能や量子技術を含むコンピュータ技術(+6.1%)、バッテリー技術を含む電気機械、装置、エネルギー(+5.3%)が顕著であるが、バイオ、医薬品の減少が注目される。

出願ランキングは以下の通りで、15位にソニー、19位にキャノンがある。

2023年6月に開始された単一特許制度では、2025年に34,357件の欧州特許が申請された、これは全体の約28.7%に該当し、前年の25.6%から増加した。2025年の欧州における単一特許制度の利用率は40.0%に達した。欧州以外の利用では、中国の利用率が2024年の17.8%から22.6%に上昇したほか、カナダ、オーストラリア、インド、イスラエル、香港特別行政区、台湾の特許権者における利用率は特に高く、欧州の利用率と同等かそれ以上の水準となっている。

参照サイト:https://www.epo.org/en/about-us/statistics/technology-dashboard-2025

【イギリス】コンピュータプログラム関連発明の特許適格性判断に新判決(2月11日)

イギリス最高裁判所(UKSC: The Supreme Court of the United Kingdom)は、2月11日、Emotional Perception AI Ltd社の人工ニューラルネットワーク(ANN: artificial neural networks)を利用した特許出願に対する拒絶査定不服行政訴訟において、従来のイギリス型の特許適格性判断アプローチを改め、EPO型アプローチを適用し、特許適格との判決(UKSC/2024/0131)を下した。ANNは、生成型AIなどほとんどのAIシステムの技術基盤となっており、今後の影響は大きいと思われる。

 本件の経緯は、イギリス特許庁(UKIPO)が係争特許出願を特許法に規定する非特許対象として拒絶し、審判でも同様の判断で拒絶する審決が下された。その後、審決不服の行政訴訟で高等法院(High Court, [2023] EWHC 2948(Ch))が従来のコンピュータプログラムと本質的に異なるとの判断を示し審決を覆す判決を下したが、控訴院(Court of Appeal, [2024] EWCA Civ 825)で改めて非特許対象と確認する判決が下された。このように紆余曲折した判断が、最高裁判所の控訴審で最終的に特許適格との逆転判決が下された。今後は、審査差戻で特許庁での係争特許出願の実体審査が行われる。

 係争特許出願は、GB 2583455A(出願人: MASHTRAXX LTD、出願日: 2019-04-03、出願番号:1904713.3)名称: 感情的知覚を反映するようにニューラルネットワークをトレーニングする方法、および関連するコンテンツを分類および検索するための関連システムと方法(Method of training a neural network to reflect emotional perception and related system and method for categorizing and finding associated content)、本願は2021年にEmotional Perception AI Ltdに譲渡された)である。
 発明の概要は、音楽や画像などに対する人間が主観的に「似ている」という感覚をAIで再現する方法で、音楽であればリズムや音色などの客観的な特徴を抽出し、ANNがそれらを数値ベクトルとして表現し、比較対象の楽曲とのベクトルの距離と説明文などに基づく意味的な距離との差をもとに学習し、両者が一致するよう重みづけやバイアスを調整し、その結果、AIが音楽の客観的な特徴のみから人間が主観的に「似ている」と感じる楽曲を見つけられるようにするもので、例えば音楽推薦などメディアレコメンデーションサービスの効率化・精度向上を目的としています。クレーム構成としては、請求項1がシステムクレーム、請求項4が方法クレームになっている。

 本件のポイントは、イギリスの特許法(Patents Act 1977)に規定する非特許対象(第1条(2)(c)項:コンピュータプログラム)がヨーロッパ特許条約に基づきヨーロッパ特許法を導入している情況がありながら、対象となるヨーロッパ特許法の規定(第52条(2)(c)項:同一文言)に基づく判断と同様にするべきか否かである。つまり、イギリスでは、Aerotel Ltd v Telco Holdings Ltd [2006]事件の判決に基づくAerotel アプローチを適用しており、EPO拡大審判部の審決(Enlarged Board of Appeal in 2021 (G1/19))に基づくアプローチを採用し、変更するべきか否かという点である。
 イギリスでのAerotel アプローチの判断方法は、当該事件で控訴院が示した4段階テスト(four-step test)、つまり、①適切なクレームの解釈、②実際の貢献(contribution)の特定、③貢献自体が全体として非特許主題(subject matter)に該当するか否か、④貢献が本質的に技術的なものか否かを確認するアプローチで、本件特許出願に対する実体審査、審判(2024年)では、例えば、請求項1はシステムクレームで、構成要件にANNやデータベース、通信ネットワークなど物理的装置が明記されているものの全体としてプログラムと認定されたのである。高等法院は、出願人の主張を認め判断を変えたものの、控訴院では、Aerotel アプローチを適用し、本件出願クレームをプログラムと認定し、非特許対象として、特許適格でないと審決を下した。

 最高裁判所での争点は、法的枠組みと特許性の判断であり、以下のように認定した。
 法的枠組みについては、従来のAerotelアプローチからEPC第52条の解釈を「あらゆるハードウェア(any hardware)」アプローチ と関連判例(G1/19など)に従った判断方法に準じるべきとした。つまり、「技術的貢献」や「新規性」「進歩性」の評価を先にせず、非特許対象かどうかを先に判断すべきで、「プログラム」は「技術性を欠く純粋なプログラム」であり、物理的装置や機械と結びついた「技術的手段を使用している(any hardware)のは発明と認められる」という原則的な考え方を採用し、「プログラムそれ自体(as such)」という除外事由を回避できるとした。
 特許性については、控訴院がANN自体を「情報処理装置」とみなしプログラムを有するコンピュータと判断したことに対して、最高裁判所はANNがコンピュータ上で実行され得ること自体は否定しないが、単に情報処理を行う装置全てを「コンピュータ」とするのは広義すぎると指摘し、ANNは従来のCPU中心のデジタルコンピュータに限定されない多様な計算機能を持つ「計算装置」と理解でき、プログラムとは単にCPUが命令を実行するものに限定されず、「データと計算方法」が結びつき機能を発揮する装置も含まれるべきだと認定した。そして、ANNに含まれるソフトウェア的要素(重み・バイアス・学習アルゴリズム)は単なるデータ以上に機械を制御する役割を持ち、それは抽象的なアイデア、プログラムそれ自体ではなく、物理的ハードウェア上で動作する技術的システムの一部であり、特に、学習済みANNは重みパラメータを含む具体的な計算構造を持ち、物理的装置上で実装されるため、ANNを用いた本件クレームは、単なる「コンピュータプログラムそれ自体」には該当しないとEPO型アプローチで認定した。

 この判決は、AI学習関連の特許性判断において、従来の「抽象的プログラム」を機械的に非特許対象として除外するのではなく、技術的性質・装置としての実質を重視する方向性を示したものと評価できる。また。この判決では、イギリスの裁判所は「EPO拡大審判部の決定および審判部の統一判例に間違いがある、或いは合理的な意見の相違の範囲を超えていると確信しない限り、それを尊重し従うべきである」とも指摘している。今後は、イギリスでの特許適格性判断がEPO型アプローチでなされることで欧州特許制度との整合性がとられることも意味している。なお、イギリスでの進歩性判断や評価の違いについては不確実な面があるので、そうした面ではまだ注意していく必要があるだろう。

参照サイト:https://supremecourt.uk/cases/judgments/uksc-2024-0131

【欧州】EPO出願料金値上(2026年4月1日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、2025年12月11日の業務理事会の決定(CA /D9/25)によりEPOの官費を2026年4月1日から値上げする。改定は、2024年4月1日以来と2年ぶりであるが、今回の改訂で出願費用などは据え置き、調査料、指定料、年金が中心で4-5%値上げしている。

EPOの官費で出願、審査請求、特許年金など法定期限のある手続きの料金は、改定日の2026年4月1日より3か月分(6月期限まで)を3月31日までに手続きすると改定前の安い料金の適用を受けることができるので、必要に応じて対応することをお勧めする。

主要手数料項目(料金ユーロ)現行改正後
1.出願料  電子出願135据置
 紙出願285据置
 超過頁(36頁~) 17/頁据置
 超過クレーム(16~50項)
 超過クレーム(51項~)
275/項
685/項
290/項
720/項
1.1 分割出願 第2世代235据置
2.調査料15201595
3.指定料 685720
4.審査請求料 19152010
5.登録10801135
6.特許年金 3年度
 4年度  
 5年度
 6年度
 7年度
 8年度
 9年度
 10年度以降各年
690
845
1000
1155
1310
1465
1620
1775
725
885
1050
1215
1375
1540
1700
1865
7.異議880据置
8.無効615645
9.アピール2015据置
10.再審請求34003570

詳細は下記でご確認ください。

参照サイト:https://www.epo.org/en/legal/official-journal/decision-administrative-council-11-december-2025

【欧州】UPCの「進歩性判断」を示す新判決(11月25日)

欧州統一控訴裁判所(UPC Court of Appeal)は、2025年11月25日、ヨーロッパ特許3666797の無効取消に関する第一審ミュンヘン中央裁判所による特許無効の裁定を覆し、特許有効との判決を下した。
 本裁定でUPCは、初めてUPCにおける進歩性判断の詳細な指針を提示し、UPCとEPO間で進歩性の判断に乖離があるという懸念を解消したといえる。
 また、このUPCの裁定は、医療用途請求項の解釈がEPOの判断に近いもので、新しい治療法が実際に「顕著な改善」をもたらすという高い基準を設け(医療用途請求項の厳格な解釈)、そして、「成功の合理的な期待」という基準を上げた。当業者は、PCSK9の細胞外作用経路に関する不確実性の中で、その高い基準を確実に越えられると合理的に期待できなかったため、特許の進歩性が認めた。これにより、単に「試してみる価値があった」という推測ではなく、「合理的に成功すると予測できた」という厳格な証明が必要であることが確認された。なお、医療用途請求項の解釈、追加事項、及び機能で定義された抗体の請求項の充足性についても見解を示している。

本件特許EP3666797
 プロタンパク質転換酵素ズブチリシンケキシン9型(PCSK9)に結合する抗原結合タンパク質、ならびに当該抗原結合タンパク質の使用方法および製造方法
 Amgen, Inc.がアメリカの特許出願を優先権主張し2008年8月22日に出願し、2023年5月17日に登録公告され、UPCの全締約国17カ国で発効している。なお、Sanofi社などによる付与後異議申立が未だ係属している。

無効取消経緯
 2023年6月1日、Sanofi社(関係会社3社)が取消訴訟をUPC中央部ミュンヘン支部に提起(ACT_459505/2023 UPC_CFI_1/2023)
 同時に、侵害提訴Amgen vs Sanofi/Regeneron(ACT_459916/2023)
 2024年7月16日 PCSK9抗体クレームに進歩性がないとして特許無効の判決

控訴裁判所の判断
1.医療用途請求項の解釈
 係争特許の請求項1は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化性疾患、または再発性心血管イベントといった特定の疾患の治療或いは予防におけるPCSK9抗体の使用に関し、控訴裁判所は医療用途形式の請求項が、請求項に記載された特定の疾患に対して抗体が治療的に有効であることを要求することを確認し、第一審の抗体がin vivoでコレステロールをわずかでも低下させれば十分であるという見解に同意せず、「患者の病状に顕著な改善が見られること」のEPOの医療用途請求項の解釈により近い判断を示している。
2.進歩性判断指針
 控訴裁判所は、EPOの問題−解決アプローチ(problem-solution approach)と多くの点で重複しているが同一ではないものの、違いがあっても、結果は同じになるべきであると判断を示している。この進歩性判断のアプローチは、UPCとして初めてのものあり、以下の3つのステップからなる。
 (1)客観的な課題(Objective Problem)の設定
 (2)現実的な出発点(Realistic Starting Points)の特定
 (3)当業者が請求項の解決策に到達するかどうかの評価
 (would (and not only: could)到達する可能だけでなく、蓋然性が高いかまで)
 このステップは、EPOの問題−解決アプローチと比較し①と②が逆転している。
 客観的な課題では、当業者が理解する技術的効果に基づき、課題の設定で、請求項の個々の特徴に焦点を当てるのではなく、請求項全体が先行技術に何を加えるのかを検討することを指摘し、より「包括的なアプローチ(holistic approach)」としている。また、後知恵を避けるため、課題に請求項にかかる解決策へのヒント(pointers)を含めるべきではないことを強調している。
 現実的な出発点の特定では、その文書が関連する技術分野に属し、かつ、有効な日付で客観的な課題の解決を望む当業者にとって関心のあるものと指摘していり。関連する技術分野には、同一或いは類似の問題が発生し、当業者が認識していると期待される分野のすべてが含まれる。EPOでは、主張された解決策に到達するための同等に有効な出発点として示された「最も近い先行技術」の文書からのみ進歩性が検討されるが、UPCではすべての現実的な出発点から進歩性が実証される必要がある。
 当業者が請求項の解決策に到達するかどうかの評価では、当業者が現実的な出発点から開始し、客観的な課題の解決を望んだとして、請求項の解決策に到達したか(到達できただけでなく)どうかを確定する必要があり、以下の両方が必要としている。
 ①当業者がヒントや動機付けにより、或いは日常的作業として、請求項の発明の方向へ次のステップを実施するであろうこと、
 ②当業者が客観的課題を解決するであろうとの成功の合理的な期待をもって次のステップを踏み出すであろうこと。
3.控訴裁判所の本件の裁定
 当業者がコレステロール上昇に関連する疾患を治療するためにPCSK9の活性を阻害する強いインセンティブがあり、PCSK9抗体への示唆も提供されていたという点では、第一審の判断に同意した。しかし、当業者はPCSK9抗体が治療的に有効であるという成功の合理的な期待を持てなかったであろうと判断した。この点は、EPOの異議申立部門の決定と一致する。PCSK9の作用機序に関する研究について、当業者はPCSK9抗体が治療的に有効であると合理的に予測できる段階に達していなかったと判断し、特に、抗体が細胞外でのみ作用するため、PCSK9の細胞外経路がその治療的関連性にどの程度貢献するかについての不確実性があり、これが合理的な期待を妨げると判断した。

 控訴裁判所の裁定は、クレーム解釈と進歩性の判断がUPCとEPOでほぼ同じ結果となるとの前提で出されたように理解でる。判決文では、124段で、「加盟各国の裁判所は、発明の進歩性を判断する際に、それぞれ異なるアプローチとガイドラインを用いている・・・、EPOの問題解決アプローチがフランス、イタリア、オランダ、スウェーデンなどで適用されているが、必ずしも唯一のアプローチとは限らない。ドイツや英国などは、より「包括的」なアプローチが用いられている。アプローチの違いはあるものの、これらはすべて、EPC第56条で要求されている進歩性の立証を支援するためのガイドラインに過ぎず、適切に適用されれば、同じ結論に至るはずで、一般的には同じ結論に至る。」と記載していることから、今後は第一審でも同様のアプローチが適用されると考える。
 なお、請求項に記載されていないとされる技術的効果についての具体的な指針が欠如している点が、この裁定の限界の一つであり、G 2/21に基づくEPOの基準を承認するか、あるいは、進歩性の観点から技術的効果とされるものが依拠可能かどうかの評価について、より明確な説明を与えるかどうかが今後は注目される。

参照サイト:判決文 https://www.unifiedpatentcourt.org/sites/default/files/files/api_order/Final%20decision%20Amgen%20v%20Sanofi%20and%20%20Regeneron%20signed.pdf

【欧州】EPOの「カラー図面」受理開始に関する通知(2025年10月1日施行)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、9月5日の官報で、カラーとグレースケールによる図面を使った特許出願を2025年10月1日より受理開始することを公示した。これは、2024年3月に管理理事会で採​​択された共通実務の関連部分に対応しており、EPOは長年にわたるユーザーからの要望に応え、デジタル化のメリットを活かすための継続的取組みの一環として、カラー及びグレースケールの図面を電子出願で提出する場合のみ受理を開始する。なお、国際段階のPCT出願には適用されない。

図面の作成については、EPC規則49(2)に基づき、2025年7月7日付EPO長官による申請書およびその他の書類の提出に関する決定の下記、第1条(2)(a)項に従い、図面は引き続き白黒で提出できるが、電子的に提出する場合はカラー図面及びグレースケール図面(以下まとめて、カラー図面という)も許容される。
(a) Drawings shall be executed without colourings in durable, black, sufficiently dense and dark, uniformly thick and well-defined lines and strokes. When filed by means of electronic communication, drawings may also be executed in colour or in greyscale, in durable, uniformly thick and well-defined lines, strokes or areas. They must also be sufficiently rich in contrast and suitable to be clearly displayed at a resolution of 300 dpi.

9月5日の官報によると、ヨーロッパ特許の直接出願、Euro-PCT出願の国内段階移行出願においてカラー図面を使用可能とし、以下のように説明している。
1.明細書、クレーム、または要約において、カラーまたはグレースケールを使用することは認められません。現行の実務に従い、カラーで提出された場合、当該要素は公開のために白黒に変換される。
2.明細書、クレーム、または要約において、図面の色の特有の特徴に言及しないことを推奨する。色の指定は必ずしも確実かつ客観的に識別できるとは限らないため。
3.ヨーロッパ特許出願(直接出願)は、カラー図面を含めることができる。これは、2025年10月1日以降に受理される分割出願にも適用される。ただし、分割出願におけるカラー図面はEPC規則76(1)の遵守を審査される。
4. EP移行するEuro-PCT出願は、原図面がカラー図面で提出され、その形式がPATENTSCOPEで入手可能で、かつ国際公開にその旨が記載されている場合、提出される翻訳文中の図面は原図面と同程度にカラー図面を含めることができる。
5.カラー図面と白黒の図面の組合せも許可される。
6.EPC規則56(3)または規則56a(4)に基づき、欠落部分或いは訂正図面を提出する場合、出願人は、優先権主張出願の図面の内容とその形式と正確に一致することを確認しなければならない。優先権主張出願の図面が白黒で提出された場合、そうした図面も白黒で提出する必要がある。
7.2025年10月1日以降カラー図面を含む直接出願は、カラー図面を含んで公開され、登録になれば、同様にカラー図面を含んで公告される。

参照サイト:https://www.epo.org/en/legal/official-journal/notice-5-september-2025

【欧州】モンテネグロ、ロンドン協定加盟(8月1日発効)

モンテネグロ政府は、4月5日に欧州特許条約(EPC)に基づく翻訳義務の軽減に関する協定(ロンドン協定)に加盟手続きを行い、23番目の締約国となり、2025年8月1日より発効した。従って、2025年8月1日より英語で手続きしたヨーロッパ特許出願でモンテネグロを指定し登録になった場合、明細書をモンテネグロ語に翻訳して提出する義務は免除されるが、クレームのみモンテネグロ語に翻訳し、提出することになる。

なお、2025年8月1日より前に登録になったヨーロッパ特許に本要件は適用されないため、異議など登録後の手続きで補正された場合には、免除は適用されない。

参照サイト:https://www.epo.org/en/news-events/news/montenegro-accedes-london-agreement

【欧州】EPO拡大審判部G1/24審決 EPC69条適用(6月18日)

ヨーロッパ特許庁拡大審判部(EPO The Enlarged Board of Appeal)は、Philip Morris 社の欧州特許EP 3076804(加熱式タバコ)に対する異議申立事件におけるクレーム解釈いて、技術審判部3.2.01による2024年6月24日の中間決定T0439/22による付託(G1/24)を受けて審理を行い、2025年6月18日、特許の保護範囲は請求項により決まるが、「請求項を解釈するために明細書と図面が使用されなければならない」と定めるヨーロッパ特許法EPC69条を尊重する審決を出した。

 本件特許は、加熱式タバコに用いられる加熱エアロゾル発生物に関し、請求項はエアロゾル形成材料の「集合体シート(gathered sheet)」を有するエアロゾル形成基質を含む加熱エアロゾル発生物を権利範囲である。
 異議申立人は、「集合体」の用語は、明細書での定義に基づき、EPC69条(1)項の「明細書と図面はクレーム解釈に用いられる」との規定に基づき、本件請求項を解釈し、先行例に基づき新規性欠如と判断すべきであると主張した。
 EPO異議部は、クレーム解釈で明細書と図面の開示を参酌するのは、EPC84条に基づき、請求項の不明確な記載を明確にする限定的な場合に限られると判断しました。
 EPC69条は特許性より侵害判断に関連しており、EPC84条は保護範囲よりは形式的要件に対応する性質があると言えます。統一特許裁判所(UPC)でのクレーム解釈も69条の適用した判決を出していることから、本審決では統一した判断が出されたことになる。

従って、EP実務において、クレーム解釈は明細書と図面の記載が重要な意味を持つことになるため、EP出願時のクレーム作成、そして紛争発生時のクレームを解釈に注意が必要である。当然と言えば当然の判断と言える裁定と言える。明細書やクレーム作成では、明示的定義だけでなく、当業者での暗黙的定義、さらに使用する技術用語の特定の解釈にも注意を払う必要がある。

参照サイト:https://www.epo.org/en/boards-of-appeal/decisions/g240001ex1
審決書 https://link.epo.org/web/case-law-appeals/Communications/G_1_24_Decision_of_the_Enlarged_Board_of_Appeal_of_18_June_2025.pdf

【欧州】EPO「2024年度年次業務評価」の公示(6月24日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、6月24日、「2024年度年次業務評価(Annual Review 2024)」を公示し、EPO戦略計画2028(SP2028)での持続可能性という目標である人材、技術、高品質な製品とサービス、パートナーシップ、財務の5つの推進力による達成の進捗状況を報告した。

注目される審査関係では、「品質行動計画2024(PGP2024)」を公表し、すべての関係者に目標とする品質活動の透明性を高めており、調査および意見書作成においては、アクティブサーチ部門(ASD)の26万件の調査成果について早期連携を強化し、より質の高い意見書作成を実現し、2024年の成果は予定を15,472件上回り、2023年比+6%増加した。全体として、2024年の調査、審査、異議申立事件の81.9%が期日通りに作成された。異議申立では、2,306件の審査され、異議申立特許比率は2023年の2.4%から22.1%に減少した。

単一特許制度は大きな成長があり、2024年に登録件数が28,000件を超え、全体の普及率は25%を超えた。ルーマニアが2024年9月1日に加盟した。11月には、EPOは単一特許ガイドの改訂版、単一特許ガイドラインの初版が発行された。EPOの単一特許ダッシュボードで最新状況が毎日更新されている。

参照サイト:https://www.epo.org/en/about-us/transparency-portal/general/annual-review-2024

【EU】EUIPO「生成AIと著作権」を発表(5月13日)

欧州知的財産庁(EUIPO)は、5月13日、広範な調査と分析の成果として「著作権の観点から見た生成AIの発展(The development of Generative Artificial Intelligence from a Copyright perspective)を発表した。
 著作権は経済の礎であり、クリエイター、企業、そしてより広い社会に大きな利益をもたらす。2022年のEUIPO-EPO共同調査によると、EUにおける著作権集約型産業の雇用は総雇用の6.2%を占め、これらの産業はEUの国内総生産(GDP)の6.9%である。その結果、著作権の状況に影響を与える可能性のある生成AIなどの新たなトレンドやテクノロジーを慎重に検討することが極めて重要である。
 生成AIによる生成物の複雑な問題に取り組むため、EUIPOが新たに発表した調査の目的は、生成AIの技術的機能、及び著作権と人工知能に関するEU規則の適用で、この調査報告は、技術的、法的、経済的側面を網羅し、EU著作権法の観点からその発展を詳細に分析している。調査では、机上調査、専門家インタビュー、技術的ソリューションと実践の詳細な分析を含み、相互に関連する3つの分野に焦点を当てている。
(1)著作権で保護された作品を生成AIモデルのトレーニングデータとして使用すること
(2)これらのシステムによる新しいコンテンツの生成とそれによる法的問題
(3)クリエイター、AI開発者、著作権エコシステムに対する広範な影響.

調査報告書は、8章425頁からなり、概要目次と注目の節は以下の通り
Executive Summary
1 Introduction
2 Technical, Legal and Economic Background
2.2 Legal Framework for Generative AI
2.3 Ongoing Legal Challenges and Litigation
3 Generative AI Input
4 Generative AI Output
5 Conclusion
6 References
7 Glossary
8 Annexes

いずれにしても、生成AIが利用する基礎情報を収集するスクレイピングと生成物に対する透明性が求められ、基礎情報である著作物に対する尊敬と配慮、出所の表示及び生成物にそうした情報の記録が求められる。運営者に対する規制を含む法的な枠組みと立法がないと著作権や著作隣接権は保護されないため、適切な対応を行政府には期待するところである。権利者の泣き寝入りだけは認められない。

参照サイト:https://www.euipo.europa.eu/en/publications/genai-from-a-copyright-perspective-2025

【欧州】EPO審判にAI活用開始(4月7日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、4月7日の通知で、5月から審査部と異議部でのビデオ会議による口頭審理の議事録を作成するために人工知能(AI)を活用するパイロットプロジェクトを開始することを公示した。これにより、口頭審理の議事録の質をさらに向上させ、より効率的に提供することを目指すとしている。EPOは、パイロットプロジェクトの結果を受けて、段階的に他の業務にも拡大することを予定している。これは、EPOの戦略的計画2028の一部となっている。

AI支援による口頭審理議事録の作成
 EPOは、審査の質と効率の向上を目的として、AIと機械学習を活用しており、主に分類、検索、機械翻訳で活用している。2025年5月から審査官による口頭審理の議事録作成でも活用を開始する。EPC規則124(1)に基づき、口頭審理の要点及び当事者の関連陳述を含む議事録を作成するが、審査官が議事録作成においてAIを最大限に活用できるよう口頭審理の全容を音声録音する。
 このパイロットプロジェクトは 2025 年末まで実施される。その後、運用状況の見直しを行い、審査部および異議部でのすべての口頭審理、ならびに受理部および法務部での口頭審理に段階的に適用する予定である。

参照サイト:https://www.epo.org/en/news-events/news/minutes-oral-proceedings-be-prepared-assistance-ai

【欧州】EPO2024年度特許出願統計(3月25日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、3月25日付、Patent Index 2024を公示し、2024年の特許出願は199,264件(前年比-0.1%)と僅かに減少したことを報告した。EPO加盟39か国の出願人の出願は、前年比+0.3%と増加したが、EU加盟27か国からの出願が-0.4%減少、EU域外からの出願も同様-0.4%減少した。

EPO加盟国の出願は全体の43.3%を占め、ドイツが引き続きトップで全体の12.6%を占める。増加した国では、アイルランド(前年比+4.4%)、スイス(同+3.2%)、イギリス(同+3.1%)、スペイン(同+3.0%)、フィンランド(同+2.7%)である。欧州域外からは、アメリカ(前年比-0.8%)、日本(同-2.4%)、中国(同+0.5%)、韓国(同+4.2%)となっている。

出願の多い技術分野は、コンピュータ技術、電機・装置、デジタル通信、医療技術、通信がであるが、出願件数が増加したのは電機・装置(+8.9%)でクリーンエネルギーやバッテリー技術が含まれる。コンピュータ技術(+3.3%)では機械学習やパターン認識などのAI分野を含まれる。輸送(+3.5%)とバイオテクノロジー(+5.4%)も同様に成長した。

出願ランキングトップ10は以下の通り、日本企業の10位以下は、パナソニック(17位)、キャノン(21位)、日立製作所(25位)となっている。

参照サイト:https://www.epo.org/en/about-us/statistics/patent-index-2024

【欧州】EPO「品質アクションプラン2024/2025」公表(3月13日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、3月7日に「品質アクションプラン2024」の結果報告、3月13日に「品質アクションプラン2025」の内容について公表した。EPOは、2023年に、品質ダッシュボードを解説し、業績評価指標(KPI)に基づき、品質とユーザー満足度に関する情報をサーチ・見解書、審査、異議申立、電子化に分けて四半期ごとに提供し、その透明性や実効性をあげるとともに、以来、品質アクションプランを毎年実施している。

品質アクションプラン2024について
 品質の継続的な改善が確認され問題の発見が審査で前年比2.7%、サーチで4.4%減少した。審査で貢献したのは、新規性や進歩性の評価の改善で、誤った評価が前年度サンプ調査で7.9% から6.8% に減少した。また、従属請求項と明確性の評価も改善したとしている。また、異議申立でも前年の11.5% から6% に大幅に減少していると報告している。そのほか、新規に審査官111人の採用、サーチにAIの活用を展開したことを報告している。

品質アクションプラン2025について
 2025 年の優先事項はすべて、2024 年の成果と、あらゆる規模の出願人との数多くの会議、EPO 常設諮問委員会 (SACEPO) とそのさまざまな作業部会、利害関係者品質保証パネル (SQAP) の活動、およびワークショップで得られたユーザーの意見に基づいたものとし、以下の優先事項をあげている:
・審査官が各自の技術分野の最新の動向を把握できるよう支援すること
・最新のAI技術を活用し、審査官の審査支援をすること
・アクティブサーチ部門がサーチと見解書の完全性と正確性の向上を支援すること
・出願審査、異議申立、情報提供などでの重点的に審査業務を調整すること
なお、具体的な審査手続きの目標処理期限と達成度を以下のようにあげている:
・タイムリーなサーチ 通常のサーチの90%を期限内に処理する
 EP出願 6か月以内、各国出願7か月、EuroPCT出願8か月
・タイムリーな審査 通常の審査の70%を期限内に送付する
 タイムリーな異議申立審査 未処理件数を5000件以内とし、70%を18か月以内に処理する
・認可査定目標 通常出願の75%を48か月以内に処理する
・分割出願に対する迅速手続き 80%を48か月以内に処理する
・その他

参照サイト:https://www.epo.org/en/news-events/news/quality-action-plan-2025
https://www.epo.org/en/news-events/news/quality-dashboard-2024-results

【欧州】EPO「特許審決要旨」2025年1版公示

ヨーロッパ特許庁審判部( EPO Boards of Appeal )は、毎月、最近の審決から重要な側面をもつ審決を選定し要約したものを審決要旨(Abstracts of decisions)として発行している。編集は法律条項ごとにまとめ、審決の言語で作成されている。

この度は、2025年1版が発行された。2023年から作成されており、各年度まとめた版も公示されている。

参照サイト:https://www.epo.org/en/case-law-appeals/publications/abstracts-of-decisions
2024年版 https://link.epo.org/web/case-law-appeals/publications/Compilation-Abstracts-2024.pdf

【欧州】欧州単一特許ガイド改訂版発行(11月15日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、11月15日、欧州単一特許ガイド(Unitary Patent Guide)の第3版の改訂版を公示した。改訂版は、2023年6月に発効した単一特許制度の改訂を反映しており、今回は、ルーマニアの加盟(2024年9月1日)、権利の回復、単一登録の延期請求手続き、許可申請(2024年11月1日以降)、MyEPOポートフォリオの新機能、手数料払戻
などが更新されている。

現在 EPO が認可登録しているヨーロッパ特許(EP)の1/4以上が単一特許(UP)に転換されており、制度導入以降、EPの4万件強がUP登録に転換されており、今年は 2.3万件を超えることがよそうされている。

なお、同日に、対ロシア制裁強化が公示されており、ロシアの個人や法人等の出願人はUP取得ができないよう受理しないことが最確認された。

参照サイト: ガイド紹介ページ https://www.epo.org/en/news-events/news/unitary-patent-guide-updated
ガイド https://www.epo.org/en/legal/guide-up/2024/index.html
ロシア制裁 https://www.epo.org/en/news-events/news/unitary-patent-legal-provision-implement-eu-sanctions-against-russia

【ルーマニア】統一特許裁判所協定(UPCA)発効(9月1日)

ルーマニア政府は、2024年5月31日に統一特許裁判所協定(UPCA)を批准する手続きをとっており、9月1日より発効し、18番目の加盟国となる。これにより、2024年9月1日以降に発効する欧州単一効特許(UP)はルーマニアを自動的にカバーすることになる。ヨーロッパ特許庁(EPO)は、これを受けて、2024年6月5日、単一効の登録を2024年9月1日以降まで延長して請求を受ける通知を公示していた。

 2023年6月1日に単一特許が発効して以来、EPOは3.4万件を超える単一効の申請を受け、3.3万件の単一特許を登録した。この制度には、欧州企業から高いニーズがあり、今年上半期の単一効の申請の63%がEP加盟国からなされ、32%以上が中小企業と個人発明家の申請である。また、今年登録になった欧州特許の約4分の1が単一効特許になっている。なお、ルーマニアの加盟により、1,000以上のユーザーが、登録を9月1日以降まで延期する申請をしている。

参照サイト:https://www.epo.org/en/news-events/news/unitary-patent-now-covers-romania

【欧州】EPOの引用文献すべて電子データへ移行(2024年10月1日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、7月31日、10 月 1 日よりEPC 及び PCTに基づく特許出願の調査および審査手続きで引用された特許文献を電子データでのみ利用可能にし、紙のコピーを今後は提供しないと公示した。

現在電子出願をしている利用者は全体の約 75% を占めているが、依然として郵送で手続きしている利用者も多いため、Espacenet を通じて引用特許文献にアクセスすることで年間 600 万ページ、両面印刷すると300万枚、積み重ねると185メートルで、ロンドンのビッグベンの 2 倍の高さにもなり、戦略計画 (SP2028) に沿ったペーパーレスのための重要なステップとしている。

参照サイト:https://www.epo.org/en/news-events/news/patent-literature-citations-going-solely-digital

【欧州】EP異議手続きの審査促進(2月22日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、2月22日、異議申立の対象特許に関連する侵害或いは無効訴訟が提起されたことを知らされた場合の異議申立手続きの審査促進について、追加の公示を行った。

 昨年 11 月に官報に掲載された通知 (OJ EPO 2023、A99) に加え、統一特許裁判所(UPC)、国内裁判所、或いは締約国の管轄当局において並行して侵害或いは無効訴訟が行われていると通知された場合、EPO は異議申立の審査を促進する。しかし、異議申立手続きがどのように促進されるかは、EPO が並行訴訟をいつ通知されたかにより決まる。
 EPOは、当事者の利益のみならず、裁判所や一般の利益の観点から同時並行の異議申立手続きの迅速な終結のために品質と一貫性を保ちながら法的確実性と手続きの効率を図るとしており、そのために、EPC の法的枠組みを尊重しながら、異議申立部門は可能な限り迅速な措置を講じ、特に口頭審理への召喚状を迅速かつ最小限の通知で発行すとともに、当事者の協力が不可欠と指摘している。

 そこで、適用される具体的促進措置は、EPO が並行する裁判手続きの通知をいつ受けたかによって異なるとしている。
・異議申立期間中 (EP特許付与後 9 か月)
 異議申立期間満了後、(通常の4か月ではなく)3か月以内に異議申立に対する反論が特許権者に求められ、特許権者の返答受領後2か月以内に召喚状が発行され、当事者は最小限の通知で召喚される(規則115(1) EPC)。

・異議申立期間終了後、異議申立に対する特許権者の応答前
 口頭審理への召喚状は、特許権者の応答受領後2か月以内に発行される。当事者は最小限の通知で召喚される(EPC規則115(1))。

・特許権者が応答後、召喚状発行前
 口頭審理手続の呼出状は、並行する手続に関する情報の受領後2か月以内に発行される。当事者は、最小限の通知で召喚される(EPC規則115条1項)。

・召喚状発送後
 口頭審理は可能な限り早い日に再スケジュールされる(時間の大幅な節約が条件)。

・決定宣告後
 決定と議事録は1か月以内に発行される。

これらの促進措置は即時適用され、係属中の訴訟にも適用されます。

参照サイト:https://www.epo.org/en/news-events/news/acceleration-opposition-proceedings-cases-parallel-court-actions

【欧州】EPO出願料金改定(2024年4月1日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、2023年12月14日の業務理事会の決定(CA /D16/23)によりEPOの官費は2024年4月1日からの値上げが1月31日付官報OJで公示された。前回は2023年4月1日で連続となるが、2025年は据え置きとしている。今回の改正では、出願費用などは据え置いているが、それぞれ微妙に増加している。なお、年金中小企業に対する30%の減免措置と一部の料金の廃止などを導入している。

EPOの官費で出願、審査請求、特許年金など法定期限のある手続きの手数料などは、改定日の2024年4月1日より3か月分(6月期限まで)を3月31日までに手続きをすると改定前の安い料金の適用を受けることができるため、必要に応じて対応することをお勧めする。

主要手数料項目(料金単位ユーロ)現行改正後
1.出願料  電子出願135135
 紙出願285285
 超過頁(36頁~) 17/頁17/頁
 超過クレーム(16~50項)
 超過クレーム(51項~)
265/項
660/項
275/項
685/項
1.1 分割出願 第2世代235235
2.調査料14601520
3.指定料 660685
4.審査請求料 18401915
5.登録10401080
6.特許年金 3年度
 4年度  
 5年度
 6年度
 7年度
 8年度
 9年度
 10年度以降各年
530
660
925
1180
1305
1440
1570
1775
690
845
1000
1155
1310
1465
1620
1775
7.異議880880
8.無効590615
9.アピール20152015
10.再審請求32703400

参照サイト:https://www.epo.org/en/legal/official-journal/2024/01/a3.html
https://www.epo.org/en/news-events/news/new-simplified-fee-system-supports-small-applicants-30-discounts