国家知識産権局(CNIPA)は、1月16日、2023年の特許、商標等の登録統計データを記者発表会で発表した。例年通り出願件数は含めず登録と全体動向を説明している。

発明特許登録件数は、92.1万件(+15.3%)と増加し、有効発明特許件数は499.1万件、中国の国内分は香港、マカオ、台湾を除く401.5万件で、目標としてる1万人当たりの保有高付加価値発明特許件数が11.8件と大きく伸びた。PCT出願は前年と同じ7.4万件であった。外国からの登録は10.1万件とやや減少した。
実用新案特許登録件数は、209万件(-25.5%)、意匠特許登録件数は、63.8万件(-11.5%)とそれそれ大きく減少した。なお、ハーグ意匠制度の中国人の出願件数は1,814件(前年1,286件)であった。
商標登録件数は、438.3万件(-29%)と大きく減少し、外国からの登録も13.4万件とそれぞれ20%以上の大きく減少した。マドプロ商標出願件数は6,196件(昨年5,827件)である。
地理的表示の登録は、13件、団体・認証商標の登録は、201 件で、累計は地理的表示2,508件、団体・証明商標が7,277件となった、企業総数は26,000社に達している。
集積回路配置設計の登録は、11,000件、累計72,000件となった。
記者会見で説明された2023年の特徴は以下の通り。
1.知的財産権保有量の増加
国内の発明特許有効数は、401.5万件と前年同期比+22.4%と初めて400万件を超え、高付加価値発明特許件数は166.5万件と41.5%を占め、前年比+1.1ポイント上昇した。国内の有効登録商標数は4404.7万件と前年同期比+8.4%増加した。
2.企業のイノベーション活動が活発。
国内の有効発明特許保有企業数は、42.7万社に達し、前年比+7.2万社。国内企業の有効発明特許保有件数が290.9万件となり、占有比71.2%と初めて7割を超えた。
3.デジタル分野のイノベーション続伸
国内の有効発明特許増で上位の技術分野は、情報技術管理方法、コンピュータ技術及び基礎通信プログラムで、それぞれ前年同期比+59.4%、+39.3%、+30.8%増加した。
4.質権設定が続伸
特許と商標の質権設定登記金額は、8539.9億元と前年同期比+75.4%増加した。登記品目は4万2000件と前年同期比+49.2%増加した。1000万元以下の質権設定は中小企業2.6万社に恩恵を与え、前年同期比44%増加している。
5.知的財産権の海外出願が安定的に続伸
PCT特許出願件数は、前年と横ばい、マドプロ商標登録出願件数は、前年同期比+6.3%増加した。
質疑応答で注目される内容は、知的財産権保護システムの構築に関するもので、以下のような説明がされている。
①知的財産権協同保護体系建設の持続的強化
知的財産権保護システム構築プロジェクト実施計画が制定され、新たに知的財産権保護センター8社、高速権利保護センター7社の設置が承認されて総数が112社に達した。すでに12万件の案件が受理され、特許早期審査請求の受理件数は23.9万件であった。センターに登録されている企業・事業体は約15万社、その内、国家クラスの精鋭注目小企業は5700社を超えている。
②知的財産権紛争の多元的解決システムの持続的最適化
知的財産権分野の「総対総」によるオンライン紛争解決(調停や裁定含む)作業は、全国31の省(自治区および直轄市)すべてをカバーした。全国の知的財産権システム指導管理の調停組織は1900社に達し、700社増加した。受理件数は13.4万件(前年比+45%)、民間企業10.9万社、外資企業1500社に調停サービスを提供した。
③知的財産権での信義誠実の推進
知的財産分野における不誠実行為を規制する「知的財産債権管理規程」が施行され、知的財産権の故意侵害、特許や商標代理で重大な違法行為に従事するなど107主体を深刻な違法信用喪失リストに追加した。北京、上海、浙江など19の省(自治区および直轄市)と福建省アモイ、チワン族自治区柳州など12の地域に分けて等級別監督管理試験を展開する。
④知的財産権の権利擁護支援活動能力の向上
権利保護支援の業務手順や業務基準のさらなる標準化を図るため「知的財産権保護支援業務ガイド」を発行し、 全国に2,600以上の権利保護支援機関を設立し、13.3万件以上の権利保護支援申請を処理し、7.4万件以上の相談・指導サービスを提供し、1.7万件以上の侵害判断参考意見を発行した。
積極的な活動が分かる内容となっている。