【中国】特許開放許諾制度の全面的実施推進の通知(7月12日)

国家知識産権局は、7月12日、地方政府の知識産権局及び関連センターに、特許開放許諾制度の全面的実施推進の通知(全面推进专利开放许可制度实施工作的通知)(国知発運字〔2024〕19号)を7月2日付で送付したことを公示した。
 通知によると、2024年1月20日から正式に施行された改正特許法実施細則により特許開放許諾制度が全面的に実施されたことを受けて、これまで主に全国の大学や研究機構において部分的に実施されていた特許開放許諾制度が簡便・迅速・マルチ型ライセンスの実現に有利であり、効率的で取引コストが下がるなどの利点を注目した効率的な運営を推進し、特許転化運用モデルとルートを広げることを目的としている。そして、以下の9つの観点から指導している。

1.開放許諾制度の実施の重要な意義に対する認識と展開
各地の知識産権局には、この制度を重視し宣伝を強化するともに、制度に対する正しい理解、科学的運用の指導が求められ、特に、大学と科学研究機関の保有特許の活用、中小企業が比較的低コストで特許技術を入手する支援などにより、特許転化運用の推進が期待されている。
2.規範的な開放許諾書の作成を指導
各地の知識産権局には、特許権者に対し関連規定に従い特許開放許諾書の作成を指導しなければならない。特許開放許諾書は、特許番号、特許権者、許可使用料基準と支払い方法、許諾期限などの事項を明記し、特許業務取扱システム(https://cponline.cnipa.gov.cn/)で送信する。なお、実用新案及び意匠の特許の場合、同時に特許権評価報告書を提出しなければならない。
3.試行プロジェクトの移行処理推進
すでに開放許諾の試行プロジェクトを展開している各地の知識産権局は、試行案件の質や見通しもよいため、2024年末までに正式に移行することを支援する。
4.合理的なライセンス料の指導
各地の知識産権局は、一般的な特許ライセンス料の支払い方式を広く宣伝し、特許権者にライセンス料のレートと支払い方式を指導する。「特許評価ガイド(专利评估指引)」、「特許開放許諾使用料試算ガイド(試行)(专利开放许可使用估算指引(试行))」、「特許審査指南」の規定に基づき、特許権者が公平で合理的、互恵、少額で確実な成功を堅持し、ライセンス料が定額の場合は2000万元を超えない、レートを適用する場合売上の20%或いは利益の40%を超えないよう指導する。
5.開放許諾情報の公開共有を強化
国家知識産権局は、開放許諾対象特許を特許公報で公告し、中国特許公告システム(http://epub.cnipa.gov.cn/)で検索、確認することができる。各地の知識産権局は、運営するサービスプラットフォームや運営センターなどを通じて、関連産業分野の企業マッチングや特許情報の利用を指導する。
6.需給連携の推進
各地の知識産権局は、大学と科学研究機関の保有特許の活用、中小企業の特許活用による成長促進、重点産業の知的財産権の連携強化などを図るために、大学と科学研究機関に在庫特許棚卸の指導し中小企業との連携を展開する。また、開放許諾手続きや保険などのコンサルティングを提供する。
7.開放許諾契約届出の指導
各地の知識産権局は、特許権者或いはライセンシーが速やかにライセンス登録するよう指導する。
8.開放許諾の監督管理と紛争調停の強化
国家知的財産権局は、特許開放許諾業務における異常な状況の監視と違法違反の調査を強化する。各地の知識産権局は、特許開放許諾手続きでの不正行為に対して、法に基づき信用監督管理を行う。違法行為については、特許法実施細則第100条の規定に基づき処罰する。「特許開放許諾実施紛争調停作業方法(試行)(专利开放许可实施纠纷调解工作办法(试行))」の関連規定に基づき、当事者が自主的に協議、調停などで紛争を解決するよう指導する。
9.制度と典型的事例の普及び強化
国家知識産権局の「知的財産権政務サービス事項処理指南(第2版)(知识产权政务服务事项办事指南(第二版))」により特許開放許諾業務でよくある問題について解答している。各地の知識産権局は、多種多様な方法を通じて、開放許可制度の宣伝、解読、研修を行い、典型的な経験と実例を総括・抽出し、国家知識産権局に適時に報告する。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/7/12/art_550_193719.html