アメリカ特許商標庁(USPTO)は、10月1日の官報で特許審判部(PTAB)の決定に対する
AIAに基づく長官レビュー(Director Review)の最終規則を公示し、10 月 31 日に施行する。最終規則は、USPTOが2024年4月に意見募集した規則案に多くの意見提出があったもののと概ね変わっていない。
長官レビュー請求対象の決定は以下の通り:
(1) Decision on institution 審理開始決定
(2) Final decision (defined as a final written decision in an inter partes or post grant review proceeding or a final decision in a derivation proceeding) 審判合議体による最終審理結果( IPR、PGR、派生手続きに関する審決)
(3) Decision granting rehearing of a decision on institution or a final decision 審理開始の決定或いは審決に対する再審理の決定
(4) Other decision concluding an AIA proceeding その他、AIA手続き結果の決定
最終規則では、IPR当事者系(Inter Partes Review)やPGR付与後(Post Grant Review)の決定、135 条に規定される派生手続きに関する決定や、IPR や PGR の請求却下なども長官レビューの対象となる点が明確化されている。また、長官レビューの請求期間が延長された場合、審判合議体の決定が確定しない点も明確にしている。
最終規則ではさらに、局長が自らの判断で(sua sponte)その決定の審査開始できること、当事者による請求のタイミングと形式を規定すること、基礎となるPTAB手続きに及ぼす影響に言及すること、CAFC控訴すべき期限を明確にすること、長官による審査委任などが規定されている。
なお、USPTOは、6月18日に特許審判部(PTAB)の手続きで、PTAB の審理パネルによる審決に関して、庁幹部からの独立性と公正性を高めることを目的としたPTAB 審決案の回付・レビューに関する最終規則を公示し、7月12日から施行しており、回付方法や手順を定めたほか、PTAB 幹部が審決発行前に審理パネルに連絡を取ることを禁止、長官はが個別事件の審理パネルの構成や再構成の指示や影響を及ぼすことなどの禁止が規定されている。
参照サイト:長官レビュー規則 § 42.75 https://www.federalregister.gov/documents/2024/10/01/2024-22194/rules-governing-director-review-of-patent-trial-and-appeal-board-decisions
回付レビュー規則 https://www.federalregister.gov/documents/2024/06/12/2024-12823/rules-governing-pre-issuance-internal-circulation-and-review-of-decisions-within-the-patent-trial