国家市場監督管理総局(SAMR)は、8月26日、「ブランド保護・官企業対面(守护品牌—政企面对面)」イベントを開催し、全国の市場監督管理局の商標法執行成果、「ブランド保護(守護品牌)」官民連携メカニズムの構築を発表、国家市場監督管理総局の白清源副局長が講演を行った。
各地の市場監督管理部門が商標権者と連携し、商標権侵害や模倣品の取締りを強化することで、市場環境の改善を効果的に図り、消費者の正当な権益を守る活動をしている。知的財産権の尊重と保護に向けた社会的なコンセンサスと積極的な雰囲気をさらに醸成するため、以下の「ブランド保護」典型事例18件を選定し公表した。
事例1:李某氏などの「南孚(南風)」登録商標権侵害事件(内モンゴル自治区フフホト市市場監督局)
投訴により、当局は査察し、李某氏と羅某氏が長期にわたり河南省の偽造品密売組織から「南孚」商標の付いた偽造電池を仕入、販売していることを確認した。偽造電池の仕入が248万、販売が139万元超えていることが判明し、公安局に刑事移送した。現在、手続き中。
事例2:ウェディングカーレンタル会社の「劳斯莱斯(ロールスロイス)」登録商標権侵害事件(上海市普陀区市場監督管理局)
ネットパトロールにより、当局はウェディングカーレンタル企業15社とウェディング関連企業がウェディングカーのプロモーションビデオでフロント、ボディ、ホイールに劳斯莱斯の商標を取り付けた偽のロールスロイス車が使用されていることを確認し、違法行為を行った15社に総額71万元以上の罰金を科した。
事例3:林某氏などの「HERMÈS」など登録商標権侵害事件(広東省市場監督管理局)
情報提供により、当局は、恵州市恵東県黄渭鎮と基龍鎮の10以上の工場が国際的有名ブランドの偽造シューズを製造・販売していることを確認し、公安局との共同で27工場を査察し、「HERMÈS(爱马仕)」「CHANEL(香奈儿)」「DIOR(迪奥)」などの登録商標が付いた偽造シューズ2.1万足、包装材6.3万点を押収、総額は2.16億元に相当し、林某氏を含む54人の容疑者を逮捕し、19人に1年5か月から4年の禁固と総額380万元の罰金を科した。
事例4:占某氏などの「始祖鳥(ARC’TERYX)」登録商標権侵害事件(浙江省台州市三門県市場監督管理局)
消費者の投訴により、当局は公安局と共同で、占某氏らのカナダブランド「ARC’TERYX」の中国での商標「始祖鳥」の偽造ジャケットの製造・販売を査察したところ、ECサイトを悪用しWeChatへ誘導、WeChatで代理店募集し、虚偽の販売ルートと受注による集中生産ルートを構築しており、そのネットワークは浙江、四川、福建、広東など9つの省にまたがっていることを確認した。12の拠点で、42人を逮捕、4組織を解体し、販売額は3億元に及んだ。本件は、刑事告訴され、主犯19人は7か月から3年4か月の禁固、罰金総額149.7万元が科された。残りの犯罪者は処理中である。
事例5:黄某氏の「城市英雄」登録商標権侵害事件(吉林省吉林市市場監督管理局)
投訴により、当局は黄某氏の経営するゲームセンターを査察し、営業許可証に「吉林市川営区成世映雄アニメゲームセンター」とあるものの、店舗の看板や設備にアメリカの映画「Falling Down」の中国名で商標登録されている「城市英雄」と同一の標章が使用されていることを確認し、当事者に違反行為の停止を命じ、違法所得4.9万元の没収、罰金4.9万元を科した。
事例6:天佑成機電汽車配件経営部の「図形(一汽)」登録商標権侵害事件(甘粛省蘭州市市場監督管理局)
投訴により、当局は当事者の事務所を査察し、ドアに「中国一汽解放部品」が目立つように表示され、事務所内には「図形商標」「一汽解放元工場備品」「中国一汽備品元工場付属品」と表示された潤滑油と凍結防止液が保管されていることを確認した。当事者は商標権者の一汽解放集団股份有限公司の代理店ではなく、商品の偽造防止QRコードをスキャンしても関連する正規品情報が表示されないことから商標権侵害と判定し、権利侵害品を没収、罰金5万元を科した。
事例7:希尔頓歌庁の「希尔顿(Hilton)」などの登録商標権侵害事件(貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州榕江県市場監督管理局)
ヒルトン・ワールドワイド・マネジメント社の投訴を受けて、当局は希尔頓歌庁(ヒルトン・カラオケクラブ)を査察し、許可なく「希尔顿」及び「H図形+Hilton」の登録商標を店頭、内装、販促物に使用し、美団や大衆の紹介Webサイトで宣伝し、1,114万元の売上があることを確認した。犯罪を構成するとして、公安局に移送し、現在、捜査中である。
事例8:彩旅游汽車有限公司の「孔雀図形」登録商標権侵害事件(雲南省西双版納タイ族自治州景洪市市場監督管理局)
商標権者から12315投訴窓口へ投訴を受けて、当局は当事者が運用する車両に南金孔雀交通運輸集団有限公司の保有する「孔雀図形」商標であることを知りながら許可なく使用していることを確認し、違反行為の停止を命じ、罰金7.5万元を科した。
事例9:黄某氏などの「翠宏」などの登録商標権侵害事件(四川省広漢市市場監督管理局)
投訴を受けて、当局は公安局と共同で拼多多(Pinduoduo)プラットフォーム上で販売されている「翠宏」登録商標を侵害する偽つけだれ食品を調査し、黄某氏らの偽造食品製造・流通組織の生産と流通拠点を査察し、偽造拠点3か所、保管施設3か所、流通拠点4か所を摘発して16名を逮捕した。偽造つけダレ以外に、他の登録商標を侵害する偽チキンエキス、調味料など2,010万元を超える製造・販売が判明した。当事者は刑事告訴され、3名に禁固3年から3年3か月と、合計45万元の罰金を科した。残りの関係者は現在公判中である。
事例10:桔荣益禾堂奶茶店の「益禾堂」登録商標権侵害事件(海南省昌江黎族自治県総合行政法執行局)
商標権者から2年以上前の登録商標「益禾堂」侵害と不正競争停止命令の民事判決書とともに投訴を受け、当局は当事者を査察したところ、店舗の看板、商品の写真、メニュー、従業員の制服などに「益禾堂」と同一或いは類似する標章を広く使用し続けていること確認し、違反行為の停止を命じ、罰金7.6万元を科した。
事例11:富泰包装材料販売店の「寧夏枸杞」などの登録商標権侵害事件(寧夏回族自治区中衛市中寧県市場監督局)
当局の日常検査で、クコの実を生産販売していない包装材料店で地理的表示証明商標が印刷された包装袋を大量に発見し査察したところ、当事者は商標権者の許可を得ずに、「寧夏枸杞」「中寧枸杞」を印刷した包装物8万個作成したことを確認し、権利侵害包装物を没収、違法所得256元を没収するとともに、罰金4770元を科した。
事例12:聖賢茶荘の「三鶴」登録商標権侵害事件(広西チワン族自治区梧州市市場監督管理局)
投訴を受けて、当局は聖賢茶荘がWeChatや対面で商標権を侵害する偽の「三鶴0703」六堡茶6.2万元相当を販売していることを確認し、公安機関に移送した。現在、公安機関が捜査している。
事例13:劉某氏らの「舍得」登録商標権侵害事件(四川省甘孜チベット族自治州雅江県市場監督管理局)
消費者から購入した「舍得」ブランドの白酒に異変があるとの投訴を受けて、当局は舍得酒業に鑑定を依頼したところ偽造品との報告があったことから査察し、複数の市・県にまたがる偽造酒の犯罪組織を確認した。公安局と共同で摘発し、偽造酒3,026本、偽造用の器具2,500点以上を押収し、押収総額は257.4万元に及んだ。刑事告訴し、当事者の3人は禁固刑1年8か月から5年と総額116万元の罰金を併科した。
事例14:李某氏の「五粮液」など登録商標権侵害事件(新疆生産建設兵団第三師団図木舒克市市場監督局)
投訴を受けて、当局は李某氏が保管していた「剣南春」「国蔵1573」など8種類の白酒90本、アルコール飲料60キロ、空瓶、包装箱、ラベルなど製造用品を押収した。更なる調査で商標権者の許可を得ずに、複数のブランドの偽白酒を生産していることが判明し、総額6.15万であった。刑事告訴のために公安局に移送した。
事例15:烏蘇劲爽酒業有限公司の「烏蘇啤酒(鳥蘇ビール)」登録商標権侵害事件(河南省開封市市場監督管理局)
「烏蘇啤酒」の商標権者の新疆烏蘇啤酒有限責任公司から投訴を受けて、当局は某倉庫で「烏蘇啤酒」と類似する「烏蘇劲爽啤酒」が使用された9800箱を発見した。当事者は当該登録商標の侵害を回避するため意匠特許に当該商標を適用し、消費者を誤認混同させる権利侵害ビール12800箱を生産・販売し、違法事業額が18.8万元を確認し、権利侵害行為の停止を命じ、罰金47万元を科した。
事例16:尤里克啤酒販売有限公司の「百威(Budweiser)」登録商標権侵害事件(河北省唐山市市場監督管理局)
バドワイザー(唐山)ビール有限公司からディーラー8社が「星の図にTUNO」登録商標を侵害する缶ビールを販売しているとの投訴を受けて、当局は当該商標に類似した標章が「唐冰爽牌唐山清爽」や「12°唐山原漿」など5種類のビール包装箱や缶に使用していることを確認し、権利侵害品を没収、罰金25万元を科した。ディーラー8社も行政処罰を科した。
事例17:全潤啤酒有限公司の「Старый мельник」登録商標権侵害事件(黒龍江省王奎県市場監督管理局)
アイヴァース・ホランド・テクノロジー・マネジメント・コンサルティング社から当事者の製造したビールが登録商標を侵害しているという投訴を受けて、当局は査察により当事者の使用する標章は登録されておらず、侵害ビール800本、総額1.6万元分が製造・販売されたことを確認し、違反行為の停止を命じ、罰金2.6万を科した。
事例18:張某氏らの「野格(Jägermeister)」など登録商標権侵害事件(新疆ウイグル自治区クラマイ市クラマイ区市場監督管理局)
当局の法執行検査で、Jägermeister(野格)、Jack Daniel’s(杰克丹尼)、JOHNNIE WALKER(尊尼获加)などの包装、書体に正規品との違いを発見し、当局は公安局と共同で調査したところ、張某氏らは他の省のオンラインサイトから偽のウィスキーなどを購入し、訪問販売した。公安局は容疑者8人を逮捕し、逃亡犯1人をオンラインで追跡するとともに3つの犯罪組織を摘発した。この事件の被害総額は2,000万元を超え、現在、刑事告訴手続き中である。
参照サイト:https://www.samr.gov.cn/xw/zj/art/2025/art_3c247dad09a24fa393e6b28c40e7c452.html
https://www.samr.gov.cn/xw/zj/art/2025/art_e5b7e2cd2e354a26b96a698196e9fe24.html
https://www.samr.gov.cn/xw/zj/art/2025/art_27b56c59d43f49abb1dc0618a21b9832.html