【中国】代理人との業務委託契約書ひな形に意見募集(9月24日)

国家知識産権局(CNIPA)は、9月24日、特許及び商標代理人と締結する業務委託契約書ひな形(代理委托合同示范文本)とその締結ガイド(签订指引)を作成し、一般からの意見募集を開始した。
 CNIPAは、国務院弁公庁が公布した「特許転化運用特別行動プロジェクト(2023-2025年)」、「国家知識産権局など17部門の知的財産権サービスの高品質発展の加速に関する意見」に基づき、特許や商標の代理サービスの質の向上、特許の転化運用や商標ブランド構築促進のため、中華全国特許代理師協会、中華商標協会と協力し特許及び商標に関する代理委託契約の雛形と締結ガイドを制定した。

 背景としては、特許代理条例(14条)や商標代理監督管理規定(13条)に書面による委託契約を締結しなければならないとの規定があり、雛形を提示することで当事者双方の合法的権益の確保や業界の事業秩序を標準化しようとする方針がある。
 契約書のひな形は、特許も商標も概ね統一されており、前文、委託事項、委託者の権利・義務、受託者の権利・義務、秘密保持義務、作業期限、料金、双方の明確な共通認識、違約責任、その他の約定事項、紛争解決、契約期間及び解除、契約発効・変更と終了の12項目からなる。
 締結ガイドは、それぞれの条項について、解説と意義を説明する内容となっている。

 代理人によっては税務問題もあるので、既に業務委託契約の締結を顧客に通知し、締結している場合もあると思われるが、締結ガイドで内容を確認する意味はあるので、一読をお勧めする。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/9/24/art_75_195107.html

【中国】国家知識産権局2023年度報告(9月3日)

国家知識産権局(CNIPA)は、9月3日付、特許や商標の出願統計データを含む国家知識産権局2023年度報告を公示した。この年報は、CNIPAの2023年度の活動内容を紹介するものであるが、2023年度の特許と商標の出願状況を唯一知ることができる。

2023年度の特許出願は全体で対前年比3.7%の増加し、2022年まで減少し続けた実用新案と意匠特許出願で、国内出願がそれぞれ3.8%、3.4%と伸びたことは大きな変化である。非正常特許出願対策が一段落したといえるだろう。発明特許出願は167.7万件と+3.6%の増加となってる。
 一方、2023年の外国からの出願は意匠出願が▲4.1%と減少した、実用新案特許出願が4.1%増加している。日本からの発明特許出願は近年減少を続けていたが対前年比+2.2%と増加に転じた。実用新案と意匠特許出願は引き続き減少している。
 2022年5月に加盟が発効したヘーグ協定国際意匠の中国企業の出願は1814件(前年1286 件)と41%増加した。外国からの中国指定は1974件(前年607件)と3.25倍と大きく増加した。

発明特許取得トップ10は以下の通り:
(中国)1.Huawei華為技術4,529件、2. Tencent騰訊4,480件、3.Sinopec中国石油化学4,257件、4.Baidu百度3,638件、5.Oppo広東移動通信3,236件、6.BOE京東方科技2,895件、7.Gree珠海格力電器2,844件、8.inspur浪潮2,587件、9.平安科技1,862件、10.NONOR荣耀2,193件。
(外国)1.Samsung三星電子2,301件、2.トヨタ自動車1,490件、3.Qualcommクアルコム1,398件、4.セイコーエプソン1,184件、5.LG電子1,157件、6.本田技研工業1,066件、7.三菱電機1,053件、8.SKハイニックスる955件、9.ボッシュ932件、10.サムソンディスプレイ854件。

審査関連では、発明特許の平均審査期間が16か月(前年16.5か月)と目標を達成した。

復審(審判)関連は、以下の通り。特許出願拒絶不服再審は実用新案特許出願が2022年より急増しており、2023年19%弱減少したもの、6千件を超えている。意匠特許出願も21%増加しているが、AIを活用した非正常や進歩性判断による拒絶査定に対する不服が多いと考えられる。特許無効は前年が減少したが、何れの種別も前年を大きく上回る増加を示している。

商標は出願も登録も減少した。悪意出願などに対する却下処理や地方政府の知識産権局の対応によるものと思われる。外国からの出願も▲5.8%減少したが、日本からは▲19.8%と大きく減少している。

異議申立は▲21.1%減少し、無効申立も▲0.7%減少し、悪意出願が減少しているものと思われる。不使用取消のみが+33.7%と増加しており、まだ不正出願の登録対策が多くあることがわかる。

詳細は報告書でご確認ください。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/col/col3430/index.html

【中国】特許開放許諾手続きFAQ(8月28日)

国家知識産権局(CNIPA)は、2024年8月28日にそのSNSサイトで、特許開放許諾届出手続きに関するFAQを掲載した。特許開放許諾届出手続きについては、特許法実施細則と特許審査指南などに詳細な説明があるが、CNIPAは、以下の4項目に34の質問を上げ、それに回答している。
 特許開放許諾届出は、中国版のライセンスオブライト(LOR)であり、年金を15%減額できるなど知的財産権部門には厳しい予算措置の環境で、ヨーロッパなどのように活用できるとの考えもあろうが、営業秘密やノウハウ、また顧客情報などが指導の名目で流出し、取り返しのつかないことになるため、個人的にはお勧めしていないが、以下はそのQ&Aの質問をご参考まで。

1.特許開放許諾宣言の提出
問1.特許開放許諾とは何か、どのような機能があるか?
問2.特許開放許諾宣言を提出する前にどのような資料を準備すべきか?
問3.特許開放許諾宣言様式に記入する時どのような事項に注意すべきか?
問4.特許権者は簡単な説明にどのような内容を明記すべきか?
問5.特許代理機構に開放許諾宣言手続きを委に関して、どのような要件があるか?
問6.「その他の資料」とは、どのような資料をいうか?
問7.特許業務処理システムを通じて開放許諾宣言を提出する時に、注意すべき事項は何か?
2.特許開放許諾実施契約の届出
問8.特許開放許諾実施契約を届出する人に制限はあるか?
問9.特許開放許諾実施契約の届出の提出時期はいつか?
問10.開放許諾が達成された書面とはどんな文書か?
問11.特許開放許諾実施契約の届出手続き前に準備すべき資料は何か?
問12.被許諾者が特許権者に出した開放許諾特許実施の意思を示す通知書の具体的な要件は何か?
問13.被許諾者が特許権者に許諾使用料を支払った証憑(或いは特許権者が許諾使用料を受取った証憑)について、届出手続きの時に注意しなければならない事項は何か?
問14.「特許実施許諾契約届出申請書」を記入するとき、注意する事項は何か?
問15.特許開放許諾実施契約の届出手続きで、請求人の身分証明書類はどのような書類か?
問16.特許開放許諾実施契約の届出手続きの委託において、注意する事項は何か?
問17.特許開放許諾実施契約の届出請求を提出する方法に何があるか?
問18.外国人、外国企業或いは外国のその他の組織が開放許諾特許を実施する要件は?
問19.当事者は、電子形式のオンラインで特許開放許諾実施契約の届出を処理する場合、どの事項に注意しなければならないか?
問20.特許開放許諾実施契約届出が承認された場合、特許権者は特許開放許諾実施期間中、規定に従い特許年金の減額を享受できるが、ここでいう「特許開放許諾実施期間」はどの期間をいうのか?
問21.特許開放許諾実施期間の減額手続きはどのように提出するか?
問22.特許開放許諾実施期間中の減額にはどのような注意が必要か?
問23.特許権者が開放許諾宣言を撤回した場合、特許開放許諾の実施期間中の減額に対して、どのような影響があるか?
問24.開放許諾を実施している特許権者と被許諾者は許諾使用料について協議し許諾契約を締結した場合、年金は減額されるか?
3.特許開放許諾宣言の撤回
問25.特許開放許諾宣言は撤回できるか?
問26.特許開放許諾宣言を撤回する場合、どのような資料を準備する必要があるか?
問27.提出された特許開放許諾宣言撤回文書は、どのような記載要件があるか?
問28.開放許諾宣言の公告後、特許権者が特許開放許諾宣言を自発的に撤回する必要がある情況は何か?
問29.特許開放許諾宣言の撤回はどのように提出しなければならないか?
問30.特許開放許諾宣言の撤回に関する事項は、どこで調べることがでるか?
4.関連法律手続き業務の処理
問31.既に開放許諾を実施している特許は、権利譲渡できるか?
問32.開放許諾実施特許について、特許権者は当該特許権を自発的に放棄できるか?
問33.既に開放許諾実施している特許を担保に供し、特許権質権設定登記手続きを行うことができるか?
問34.当事者名で公開されている開放許諾宣言、特許質権設定登録、特許実施許諾契約届出情報をどの照会できるか?

参照サイト:CNIPAのSNSサイト
仮訳

【中国】「優先権回復、優先権主張の追加或いは訂正に関するガイド」の公示(8月22日)

国家知識産権局(CNIPA)は、そのSNSサイトに「優先権回復、優先権主張の追加或いは訂正に関するガイド(关于优先权恢复、优先权要求的增加或者改正的指引)」を公示し、改正された特許法、特許法実施細則と特許審査指南の施行に基づき、追加された優先権回復、優先権主張の追加或いは訂正を正確に理解し、活用できるよう指導することを目的とするとしている。

本ガイドの構成は、具体事例を含む21ページで構成され、その内容は以下の通り:
一、優先権回復制度
(一)優先権回復制度の紹介
(二)国内出願の優先権回復
 1.優先権回復請求の条件
 (1)出願時に優先権主張陳述
 (2)期限内に優先権回復請求提出
 (3)期限内に費用納付
 (4)期限内に必要書類提出
 2.審査と通知
 3.救済ルート
(三)PCT主張の国内段階で優先権回復
二、優先権主張の追加或いは訂正制度
(一)優先権主張の追加或いは訂正制度の紹介
(二)優先権主張の追加或いは訂正請求の条件
 1.特許出願時に1件以上の優先権主張
 2.期限内に追加或いは訂正の請求
 3.期限内に費用納付
 4.期限内に必要書類提出
(三)審査と通知
(四)救済ルート
三、その他の注意すべき事項
(一)優先権の主張の追加或いは訂正に関するその他の事項
(二)援用追加に関する注意事項

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/module/download/down.jsp?i_ID=194339&colID=66
仮訳

【中国】新三製品技術の特許分類体系の公示(8月9日)

国家知識産権局(CNIPA)は、近年、電気自動車、リチウム電池、太陽光発電製品に代表される中国製の「新三製品」の輸出が大幅に伸びていることから、着実な増加と貿易の継続的な最適化を推進・支援することを目的に、対象の特許分類と技術用語のからなる新三製品技術に関する特許統計分析に適する分類体系を地方の知識産権局向けに公示した。

分類体系は、電気自動車、リチウム電池、太陽光発電の3つの関連技術について4レベルに分けている。電気自動車は電気自動車車両の製造、電気自動車の機器および付属品の製造、電気自動車関連設備の製造、電気自動車関連サービスをトップレベルに以下14カテゴリー、リチウム電池は正極材料、負極材料、電解質、セパレーター、リチウム電池モジュールおよびバッテリー パック (PACK)をトップレベルに26カテゴリー、太陽光発電は 多結晶シリコン、単結晶シリコン、セル、太陽光発電モジュールをトップレベルに20のカテゴリーに分け、IPCとキーワードが提示されている。

この体系は、特許調査の上で便利に利用することができる。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/8/9/art_543_194141.html

【中国】特許料金の一部の調整と政策的減額の公示(8月6日)

国家知識産権局(CNIPA)は、8月6日付、「国家知識産権局の特許料金基準の部分的調整と政策的減額の公告(国家知识产权局关于调整部分专利收费标准和减缴政策的公告)第594号を公示し、以下に掲げる特許料金の改定を公示日から適用する。

この公示は、「財政部国家発展改革委員会の特許料金徴収政策の調整・最適化に関する通知」(財税〔2024〕23号)、「国家発展改革委員会財政部の特許権利期間補償の年金基準などの事項に関する通知」(発改価格〔2024〕1156号)に基づき、一部の特許料金徴収基準と政策的減額調整を行った、その内容は以下の通り:
1.特許権利期間補償関連
 ・特許権期限補償請求料 200元/件
 ・特許権補償期間の年金 8000元/件、1年未満は徴収しない
2.特許開放許諾実施期間中の特許年金関連
 ・当該年度の納付年金額から15%減免
 ・同時に他の特許料減免政策が適用される場合、
  最恵優遇措置を享受し重複適用はない
3.ハーグ国際意匠出願関連
 ・第1回目、第2回目の個別指定料(更新)の減額 
4.書誌的事項の出願人(或いは権利者)名称の一括変更関連
 ・譲渡を伴わない場合、1回の変更につき書誌事項変更手数料を支払う
5.PCT特許出願中国国内移行関連
 国家知識産権局が受理官庁で調査した場合、国際調査・国際予備審査を実施した場合、
 ・移行時の出願手数料及び出願付加手数料を免除
 ・移行後の実体審査料金を免除
6.WIPOなど他の機構、国と地域の法制度の手続き関連
 ・代行受領料金は当該機構、国と地域の約定や契約に基づき処理する。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/8/6/art_74_194102.html
料金表(Wordファイル) https://www.cnipa.gov.cn/module/download/down.jsp?i_ID=155983&colID=1518

【中国】「2024年中国企業の外国知的財産紛争調査報告」(7月31日)

中国知的財産研究協会(CNIPS)は、7月31日、「2024年中国企業の外国知的財産紛争調査報告」(2024中国企业海外知识产权纠纷调查)をそのサイトで報告した。これまで2年に亘り「アメリカでの知的財産権紛争調査報告」としていたが、2023年度は欧米や日本など諸外国も含む調査報告書と収録範囲を拡大し、下記の3部約80頁の構成となっている。

第 1部 アメリカにおける知的財産紛争
第1章 全体の訴訟状況
第2章 特許訴訟
第3章 商標訴訟
第4章 営業秘密訴訟
第5章 越境電子商取引訴訟
第6章 337調査
第2部 その他の主要国・地域における知的財産紛争
第7章 全体の訴訟況
第8章 特許訴訟
第9章 商標訴訟
第3部 海外の知財制度視察

 報告内容で、2023年に中国企業がアメリカでの知的財産権訴訟は、1,173件と前年比+19.0%と増加し続けている。この内訳では、特許訴訟447件(対前年比+56.1%、以下同じ)で中国企業2,452社(+167.4%)、商標訴訟757件(+5.4%)で中国企業16,793社(+98.8%増)、営業秘密訴訟23件(+27.8%)で47社(+27.0%)である。業種別にみると、特許では製造業(36.6%)、卸売・小売業(36.6%)、商標訴訟では主に卸売・小売業(82.56%)で、地域では主に広東、福建、浙江などの省市に分布し、広東企業は3割近くを占める。訴訟結果は、特許訴訟で和解・取下での結審が65.7%の、商標訴訟では被告が訴訟に応じず敗訴66.1%である。平均賠償額は、特許で2371.72万ドル、商標訴訟で117.98万ドルであった。

 他の国と地域での特許、商標訴訟事件は89件、結審は141件。この内、特許訴訟事件は71件(前年比+47.9%、以下同じ)、商標訴訟事件は18件(-43.75%)で、関与する中国企業165件(+60.2%)増加し、そのうち77%が中国企業だった。特許訴訟の平均賠償額は約330万元だった。

参照サイト:http://www.cnips.org.cn/a18979.html

【中国】「国務院の外国知的財産権紛争処理に関する規定(意見募集稿)」の公示(7月29日)

司法部は、知的財産権の保護を強化し、ビジネス環境を最適化し、中国の国民や企業などの組織が法に基づき外国での知的財産権紛争を処理することを促進し、合法的権益を維持し、高水準の外国開放を促進し、経済の質の高い発展を推進するため、「国務院の外国知的財産権紛争処理に関する規定(意見募集稿)(国务院关于涉外知识产权纠纷处理的规定)」を7月29日に公表し、一般からの意見募集を開始した。意見の提出期限は、2024年8月28日まで、

中国の外国貿易、投資の継続的な増加に伴い、中国企業は外国事業で知的財産権紛争に遭遇することが増えて、例えば海外での商標権先取り、権利侵害訴訟に遭遇し、さらに国家レベルの貿易調査、制裁などに直面している。中国企業は外国の知的財産権紛争に対応する能力の不足や外部の支援不足などの多くの弱点と困難に直面している。中国の国民や企業が外国での知的財産権紛争を処理し、正当な権益を保護できるようにより適切に指導および支援するために、法務省は、関係部局と協力し、既存の法律、規制、政策、措置を見直し、研究し、関係者の意見を考慮し、本規定を起草した。

意見募集稿の主な内容は以下の通り:
1.国務院の関係部門、地方人民政府とその関係部門が外国での知的財産権紛争の処理に対する指導とサービスを強化することを明確にし、商会、業界団体、国境を越えた電子商取引プラットフォームなどの組織が外国知的財産権の権利保護支援プラットフォームを構築することを奨励する。(第2条、第3条、第10条)
2.情報サービスを強化。知的財産権情報公共サービスシステムを整備し、外国の知的財産権に関する法律制度情報を速やかに収集、公表し、外国の知的財産権制度の変更や重点情報について追跡と把握を強化し、典型的な事例分析や研究を実施し、一般公衆に情報検索サービスと早期警報を提供する。(第4条、第5条)
3.対応指導の強化。外国知的財産権紛争処理指導業務機構と作業手順を健全化し、中国の国民と組織に外国知的財産権紛争処理での対応戦略の指導と権利保護支援を提供する。(第6条)
4.専門サービスの強化。商事調停組織や仲裁機関が外国での知的財産権紛争の解決に参画できるよう支援し、弁護士事務所、知的財産権サービス機関などが外国知的財産権サービス能力を向上させることを奨励し、中国の国民や組織に効率的で利便性のある外国知的財産権紛争の解決と良質で効率的な外国知的財産権と法律サービスを提供する。(第7条、第8条)
5.企業の能力構築を強化。企業はコンプライアンス管理を強化し、企業の広報、研修を明確に強化し、外国知的財産権紛争の処理能力を向上させることが求められる。保険機関は外国知的財産権に関する保険業務を展開することを奨励し、企業は権利保護コストを下げるために、外国知的財産権保護互助基金を構築することを支援する。(第9条、第11条)

こうした国上げての対策は、やりすぎると自由主義経済では不正競争の対象になるため、アメリカや欧州を中心に非難したり、中国企業に対する制裁に繋がりうるものとを思料する。

参照サイト:https://www.moj.gov.cn/pub/sfbgw/lfyjzj/lflfyjzj/202407/t20240729_503608.html

【中国】「重点産業知的財産権チェーン強化・効率化の推進に関する若干の措置」通知(7月29日)

国家知識産権局は、教育部、科学技術部、工業情報化部、国務院国有資産監督管理委員会、国家市場監督管理総局、国家金融監督管理総局、中国科学院、中国国際貿易促進委員会と協力して、2024年6月21日の「重点産業知的財産権チェーン強化・効率化の推進に関する若干の措置(关于推进重点产业知识产权强链增效的若干措施)」を7月29日に、国知発運字〔2024〕21号で、関係各部門に通知した。

本若干の措置は、「特許転化運用特別行動計画(专利转化运用专项行动方案)(2023-2025年)』(国弁発〔2023〕37号)の設定要件を徹底して実施するために、重点産業を中心に知的財産権チェーンの強化と効率化の向上を徹底的に実施し、伝統産業の高度化、新興産業の成長、未来産業の育成に重点を置き、知的財産権の効率的な転化と強調的運用を協力に推進し、知的財産権の戦略的設定とリスク防止を強化し、特許チェーンとイノベーションチェーン産業チェーンの深い統合を積極的に推進し、イノベーションチェーンにおける特許の権利と情報リンク機能を発揮させ、産業チェーンにおける特許の相乗的役割を強化し、新たな生産力の発展を加速のために有効なサービス支援を提供するために、以下の5部15項目の措置を提案している。
1.質の高い知的財産権創出の強化と基幹産業の競争力強化
(1)重要なコア技術の知的財産権備蓄の強化
 優先審査、迅速審査、集中審査、審査延期などの審査方式を総合的に活用し、重量コア技術分野のイノベーション成果の特許の質と効率を向上させ、知的財産権の源泉で高価値の特許を拡大させる。
(2)産業イノベーション特許ナビゲーションサービスの強化
 重要産業分野の特別データベースを整備し、産業界共通ニーズを満たす多数の特許ナビゲーションプロジェクト(ランドスケープを指す)の実施を奨励し、結果の共有・利用メカニズムを確立・改善する。
(3)標準と特許の共同イノベーションの促進
 主要国・地域、及び国際的標準化団体における標準必須特許ルールを総合的に整理し、標準と特許に関する政策ガイドラインを策定する。標準必須特許情報の統計分析と傾向分析を強化する。
2.特許産業化プロセスを加速し、重点産業の規模効率の向上
(4)重点産業の特許転化の連携強化
(5)特許産業化促進メカニズムの完備
3.産業知的財産権の共同開発メカニズムを構築し、重点産業のイノベーションと発展エコロジーを最適化
(6)産業知的財産権運用センターの構築指導
(7)産業知的財産権イノベーションコンソーシアムの設立奨励
(8)重点産業特許プールの構築推進
 グローバルな視点に基づき、産業チェーンの中核となる特許リソースを収集し、重点産業におけるパテントプールの構築を促進し、ガイドラインや運営モデルを通じて公平性、合理性、無差別の原則に従い特許権者とライセンシーの利益のバランスを効果的に調整する。
4.知的財産権の国際協力と競争の統一的に調整し、産業安全を効果的に保障
(9)知的財産権の国際協力交流の深化
(10)知的財産権管理とリスク制御能力の構築強化
5.業務調整と保障サポートを強化し、強力な知的財産権チェーンの効率的に推進
(11)組織と実施の強化
(12)業務連携の強化
(13)政策保障の強化
(14)人材育成の加速
(15)サービス支援の強化

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/7/29/art_75_194012.html
https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/7/29/art_66_194010.html

【中国】医薬品特許行政裁決事件2023年度分(7月25日)

国家知識産権局(CNIPA)は、7月25日にパテントリンケージに係る複数の医薬品特許行政裁決事件を公示したので、2023年に提出された事件の内、公示されている13特許30事件について、以下の通りまとめた。取下の裁決が多いが、理由はわからないが特許自体を譲渡している案件もある。特許自体が無効になった事件が1請求項の範囲に入る入らないとの裁定結果になっているので、記載上は侵害、非侵害と記載した。日本企業が1社含まれる。
8月2日公告分まで13事件を追加。

1)200580036180.8(CN101043878B) GENZYME CORPORATION
(2023)国知药裁0038号 取下
2)200680047103.7(CN101365432B) MERCK & CO., INC.
(2023)国知药裁0001号 侵害 
(2023)国知药裁0002号 非侵害
(2023)国知药裁0009号 取下 
(2023)国知药裁0010号 取下 
(2023)国知药裁0011号 取下
(2023)国知药裁0012号 侵害
(2023)国知药裁0013号 取下
(2023)国知药裁0046号 取下
(2023)国知药裁0060号 取下
(2023)国知药裁0061号 取下
3)200780039567.8(CN101573106B) HELSINN HEALTHCARE S.A.
(2023)国知药裁0030号 取下
(2023)国知药裁0031号 取下
4)200880012425.7(CN101662937B) SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION 
(2023)国知药裁0037号 取下
(2023)国知药裁0044号 取下
(2023)国知药裁0051号 取下
(2023)国知药裁0056号 取下
5)200980112028.1(CN101983073B) BOEHRINGER INGELHEIM INTERNATIONAL GMBH 
(2023)国知药裁0043号 非侵害
6)200980138060.7(CN102164585B) EGIS GYÓGYSZERGYÁR NYILVÁNOSAN MŰKÖDŐ RÉSZVÉNYTÁRSASÁG
(2023)国知药裁0014号 取下
(2023)国知药裁0022号 却下
(2023)国知药裁0047号 取下
(2023)国知药裁0048号 取下
(2023)国知药裁0062号 却下
7)200980140931.9(CN102186490B) FOREST LABORATORIES HOLDINGS LIMITED
(2023)国知药裁0026号 侵害
(2023)国知药裁0027号 侵害
(2023)国知药裁0055号 侵害
8)200980150172.4(CN102238945B) ASTRAZENECA UK LIMITED
(2023)国知药裁0003号 取下 
(2023)国知药裁0004号 取下 
(2023)国知药裁0020号 取下
(2023)国知药裁0021号 取下
9)201080060545.6(CN102724970B) WYETH LLC
(2023)国知药裁0005号 非侵害
(2023)国知药裁0017号 取下 
10)201210006776.5(CN102580084B) GENENTECH, INC.
(2023)国知药裁0036号 特許無無効
11)201210191052.2(CN102702119B) Novartis AG
(2023)国知药裁0032号 取下
(2023)国知药裁0033号 取下
12)201410082103.7(CN103893140B) WYETH LLC
(2023)国知药裁0007号 非侵害
(2023)国知药裁0016号 取下
13)201410468293.6(CN104324015B) 第一三共株式会社
(2023)国知药裁0015号 非侵害
(2023)国知药裁0023号 非侵害
14)201480015788.1(CN105101952B) PFIZER INC.
(2023)国知药裁0045号 侵害
(2023)国知药裁0050号 非侵害
15)201610795817.1(CN107050455B) HELSINN HEALTHCARE SA
(2023)国知药裁0028号 取下
(2023)国知药裁0029号 取下

以上

【中国】2024年6月までの特許登録、知財訴訟情況(7月19日)

国家知識産権局(CNIPA)が公示した第2四半期6月までの特許と商標の登録などの統計データが更新された。これによると、発明特許が前年比+28%増、実案特許と意匠特許がそれぞれ前年比‐12.5%、‐11.4%となり、3月末の時点から増減率がそれぞれ半数ほどになっている。注目は、外国からの意匠特許登録が+2.2倍と急増しており、ハーグ国際意匠制度を利用した出願が増加していると思われる。
 商標登録は+22%増と安定した回復を示しており、外国からの登録も+28.2%増と回復の傾向を示している。また、異議、無効宣告、却下再審は増加傾向を示している。

なお、中国企業の発明特許取得上位5社は以下の通り:
1.Tencent騰訊2533件、2.Huawei華為技術2478件、3.Baidu北京百度2077件、4.PingAn平安科技1944件、5.BOE京東方科技1860件

最高人民法院の公示によると、2024年上期の知的財産権紛争の一審受理件数は24.1万件と前年同期比1.17%増加した。そのうち、刑事事件は4,273件と前年同期比44.02%と大きく増加している。民事事件は22.6万件と前年同期比0.81%増、行政事件は1.1万件と前年同期比2.94%減であった。なお、多くの知的財産権紛争が調停などの方法で実質的に解決されることが増加しており、知的財産権民事一審事件の調停率は74.45%で、前年同期比4.84ポイント上昇している。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/col/col61/index.html
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1804973228394875807&wfr=spider&for=pc

【中国】「特許開放許諾紛争調停業務弁法(試行)」の施行(7月15日)

国家知識産権局(CNIPA)は、7月15日に国家知識産権局公告第590号で、7月2日に制定した「特許開放許諾紛争調停業務弁法(試行)(专利开放许可实施纠纷调解工作办法(试行))」を公示した。これは、特許法第52条に規定する特許開放許諾が実施される過程で発生した紛争を速やかに解消するため制定したもので、公告日から施行する。

本弁法は、5章30条からなり構成は以下の通り:
第1章 総則   1~3条
第2章 事件受理 4~9条
第3章 事件調停 10~20条
第4章 決定   21~28条
第5章 付則   29~30条
添付:調停申請書式

当事者が特許開放許諾の使用料の支払基準と方法、契約期間などの実施について発生した紛争について、自発的に調停を受けたい場合は国家知識産権局に書面で調停申請を提出することができる(4条)と規定し、受領後5日以内に受理の可否(7条)を決定する。基本原則が自発、そして、合法、公平、秘密保持である(3条)、国家知識産権局は原則30日以内に調停を終える(18条)としている。以下の場合は受理しない(8条):
①他方当事者が調停を受け入れない場合
②当事者が訴訟を提起し、受理された場合
③当事者が仲裁機関に仲裁申請を提出した場合
④人民法院或いは仲裁機関が当該紛争に対して審判を行った場合
⑤受理できないその他の状況がある場合。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/7/15/art_545_193576.html

【中国】特許開放許諾制度の全面的実施推進の通知(7月12日)

国家知識産権局は、7月12日、地方政府の知識産権局及び関連センターに、特許開放許諾制度の全面的実施推進の通知(全面推进专利开放许可制度实施工作的通知)(国知発運字〔2024〕19号)を7月2日付で送付したことを公示した。
 通知によると、2024年1月20日から正式に施行された改正特許法実施細則により特許開放許諾制度が全面的に実施されたことを受けて、これまで主に全国の大学や研究機構において部分的に実施されていた特許開放許諾制度が簡便・迅速・マルチ型ライセンスの実現に有利であり、効率的で取引コストが下がるなどの利点を注目した効率的な運営を推進し、特許転化運用モデルとルートを広げることを目的としている。そして、以下の9つの観点から指導している。

1.開放許諾制度の実施の重要な意義に対する認識と展開
各地の知識産権局には、この制度を重視し宣伝を強化するともに、制度に対する正しい理解、科学的運用の指導が求められ、特に、大学と科学研究機関の保有特許の活用、中小企業が比較的低コストで特許技術を入手する支援などにより、特許転化運用の推進が期待されている。
2.規範的な開放許諾書の作成を指導
各地の知識産権局には、特許権者に対し関連規定に従い特許開放許諾書の作成を指導しなければならない。特許開放許諾書は、特許番号、特許権者、許可使用料基準と支払い方法、許諾期限などの事項を明記し、特許業務取扱システム(https://cponline.cnipa.gov.cn/)で送信する。なお、実用新案及び意匠の特許の場合、同時に特許権評価報告書を提出しなければならない。
3.試行プロジェクトの移行処理推進
すでに開放許諾の試行プロジェクトを展開している各地の知識産権局は、試行案件の質や見通しもよいため、2024年末までに正式に移行することを支援する。
4.合理的なライセンス料の指導
各地の知識産権局は、一般的な特許ライセンス料の支払い方式を広く宣伝し、特許権者にライセンス料のレートと支払い方式を指導する。「特許評価ガイド(专利评估指引)」、「特許開放許諾使用料試算ガイド(試行)(专利开放许可使用估算指引(试行))」、「特許審査指南」の規定に基づき、特許権者が公平で合理的、互恵、少額で確実な成功を堅持し、ライセンス料が定額の場合は2000万元を超えない、レートを適用する場合売上の20%或いは利益の40%を超えないよう指導する。
5.開放許諾情報の公開共有を強化
国家知識産権局は、開放許諾対象特許を特許公報で公告し、中国特許公告システム(http://epub.cnipa.gov.cn/)で検索、確認することができる。各地の知識産権局は、運営するサービスプラットフォームや運営センターなどを通じて、関連産業分野の企業マッチングや特許情報の利用を指導する。
6.需給連携の推進
各地の知識産権局は、大学と科学研究機関の保有特許の活用、中小企業の特許活用による成長促進、重点産業の知的財産権の連携強化などを図るために、大学と科学研究機関に在庫特許棚卸の指導し中小企業との連携を展開する。また、開放許諾手続きや保険などのコンサルティングを提供する。
7.開放許諾契約届出の指導
各地の知識産権局は、特許権者或いはライセンシーが速やかにライセンス登録するよう指導する。
8.開放許諾の監督管理と紛争調停の強化
国家知的財産権局は、特許開放許諾業務における異常な状況の監視と違法違反の調査を強化する。各地の知識産権局は、特許開放許諾手続きでの不正行為に対して、法に基づき信用監督管理を行う。違法行為については、特許法実施細則第100条の規定に基づき処罰する。「特許開放許諾実施紛争調停作業方法(試行)(专利开放许可实施纠纷调解工作办法(试行))」の関連規定に基づき、当事者が自主的に協議、調停などで紛争を解決するよう指導する。
9.制度と典型的事例の普及び強化
国家知識産権局の「知的財産権政務サービス事項処理指南(第2版)(知识产权政务服务事项办事指南(第二版))」により特許開放許諾業務でよくある問題について解答している。各地の知識産権局は、多種多様な方法を通じて、開放許可制度の宣伝、解読、研修を行い、典型的な経験と実例を総括・抽出し、国家知識産権局に適時に報告する。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/7/12/art_550_193719.html

【中国】中国日本商会「中国経済と日本企業2024年白書」発表(7月10日)

中国の日系企業などで構成される中国日本商会は、7月10日付、「中国経済と日本企業2024年白書」を発表した。本白書は、毎年、在中国日系企業が直面するビジネスの課題の分析や解決のための建議をまとめ、対中国政府関係機関との対話を促進する目的で作成し、活用している。従って、日本から中国の現状を理解する上で、大変分かりやすく良い資料である。
 今年度の白書は、「人的交流に関する問題」、「データの越境・管理に関する問題」、「政府調達に関する問題」が重点分野であるが、全28章からなり569件の建議が記載されている。第2部は、競争、知的財産、技術標準など、第3部は、各産業別、第4部は、各地方での現状と建議が記載されている。

知的財産については、第2部6章にまとめられているが、現状を「知的財産の保護強化に向けた取り組みに関する中国政府の姿勢にぶれはなく、目標の実現に向けた歩みは着実に進められているといえる」と評価しながらも、不正な商標出願問題から懲罰的賠償の適用まで幅広く提案をしていることは、それぞれ評価できる内容となっている。
1.現状の概要
2.知的財産の保護の現状と課題
3.知的財産に関する競争環境の現状と課題
4.知的財産に関する紛争処理の公平化・合理化
5.建議 23項目
 ① 知的財産の適切な保護の促進
 ②知的財産にかかわる公正な競争環境の実現
 ③知的財産にかかわる紛争処理の公平化・合理化

参照サイト:https://www.cjcci.org/detail/576/576/4679.html
知的財産部分 https://www.cjcci.org/cj_pdf/2024bs/japan/2-6_Chitekizaisan_JP.pdf

【中国】「知的財産保護システム構築プロジェクト実施計画」(5月27日)

国家知識産権局は、中央宣伝部、最高人民法院、最高人民検察院、公安部、司法部、商務部、海関総署、市場監督管理総局とともに、4月22日に共同で「知的財産保護システム構築プロジェクト実施計画(知识产权保护体系建设工程实施方案)」を制定し、5月27日に関係部署に通知(国知発保字〔2024〕10号)した。
 同計画は、「知的財産権強国建設綱要2021-2035」及び「第14次5か年国家知識産権保護と運用計画」の実施に当たり、世界水準のビジネス環境を支える知的財産権保護システムを構築し、高水準の科学技術の自立の実現と経済の発展を推進することを目的として策定された。全体は3部13項目から構成されており、概要目次と注目するポイントは以下の通り。

一、全体的要求
(一)指導思想
(二)構築目標
 2027年までに知的財産権保護システムの実質的な措置を講じ、2035年までに基本的実現する。
二、知的財産権保護システムの構築
(一)知的財産権の保護政策と標準体系(保護政策制度の整備や標準保護規範の制定)
(二)知的財産権法執行司法体系(司法、行政による保護の強化)
(三)知的財産権登録権利確認体系(2025年までに発明特許の審査期間を15か月、商標出願の審査は7か月、発明特許の結審精度を95%以上、商標審査の抜取り検査合格率を97%以上とする。その他健全な出願環境の整備)
(四)知的財産権保護管理体系(関係部門の連携強化)
(五)知的財産権保護社会共同統治体系(多元的紛争解決、信義誠実の環境整備など)
(六)知的財産権分野における国家安全管理体系(国家安全保障全体の概念に基づき、知的財産分野での重大なセキュリティリスクを排除する)
(七)知的財産権保護能力支援体系(専門人材確保、鑑定と技術調査の強化、情報プラットフォームの構築など)
三、組織実施の強化
(一)組織リーダーシップの強化
(二)法治保障の強化
(三)条件保障の強化
(四)追跡効果の強化

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/5/27/art_75_192629.html