【WIPO】グローバル・イノベーション・インデックス 2024年版発行(9月26日)

世界知的所有権機関(WIPO)は、9月26日付、毎年発行しているWIPO加盟133国のイノベーション力を評価するグローバル・イノベーション・インデックス(GII、Global Innovation Index)の17回目2024年版を公示した。

2024年版GIIによると、トップは昨年同様、スイス、スウェーデン、アメリカ、シンガポール、イギリスが上位にランキングされ、中国、トルコ、インド、ベトナム、フィリピンが過去 10 年間での急成長の国に挙げられるとしたが、2020年から2022年にかけてのイノベーション投資ブームの反転、金利上昇などでベンチャーキャピタル(VC)資金が2023年比約40%減少、研究開発(R&D)支出の伸びは鈍化し、国際特許出願と科学出版物は減少し、イノベーション投資に暗雲が立ち込めていると報告している。なお、近年、サウジアラビア、カタール、ブラジル、インドネシア、モーリシャス、パキスタンが最も順位を上げており、いずれも3~4年連続好成績を維持していることも指摘している。日本は、一つ落ちて13位、地域では4位である。

GII2024年では、 「社会的起業家精神は増加しているのか?」という調査を主題にしているが、全体的な調査結果を以下のように挙げている。
・2020年から2022年にかけてブームが見られたが、2023年は科学出版物、VC、国際特許出願は低迷し、R&Dは減速した。
・VCや科学出版物はコロナ前の水準まで急激に減少し、ラテンアメリカやアフリカなどの新興地域で顕著である。
・リスクファイナンスを取り巻く環境悪化を反映し、VC投資額は2022年から36%減、2023年にさらに39%減となった。
・VC取引件数が2023年には9.5%減少見込である。
・国際特許出願件数が2023年に1.8%減少、2009年以来初めての減少となった。
・世界の研究開発費は2022年に5%増加しが、2023年は実質3%に減少が予測される。
・企業のR&D支出は、2023年実質約6%増加したが、過去10年間の長期成長率(約8%)を下回っており、2019~2021年の10~15%のピークやパンデミック前の成長率よりも低下した。
・成長技術分野は、健康関連とコンピュータ処理能力が急速に増加し、5G(2022年比約25%増)、ロボットや電気自動車(EV)では、EV投資が2022年比54%増加した。
・一方、グリーンテクノロジーは過去10年間の平均よりも遅く、スーパーコンピュータのエネルギー消費削減、電池価格のコストダウンの難しさが浮き彫りになった。

参照サイト:https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2024/article_0013.html

【WIPO】 「生成AI特許ランドスケープレポート」公表(7月3日)

世界知的所有権機関(WIPO)は、7月3日、2014年から2023年の特許出願を統計分析し、生成AI特許ランドスケープレポート(WIPO Patent Landscape Report on Generative AI)を公表した。主な分析結果を以下のようにまとめている。

・2014年から2023年末までに特許発明54,000件が出願され、技術文献75,000件以上が出版された。
・成長は急速で、ディープラーニング2017 年に導入後特許数は 8 倍に増加した。
・2023年だけでも、特許の 25% 以上が公開され、論文の 45% 以上が公開された。
・生成AIの特許は、AI特許全体のわずか6%を占めるにすぎない。
・生成AI特許出願上位10社は、Tencent(2,074件)、Ping An Insurance(1,564件)、Baidu(1,234件)、Chinese Academy of Sciences(607)、IBM(601)、Alibaba Group(571)、Samsung Electronics(468)、Alphabet(443)、ByteDance(418)、Microsoft(377)。
・発明者の所在地上位5位は、中国(38,210件)、アメリカ(6,276件)、韓国(4,155件)、日本(3,409件)、インド(1,350件)。
・生成AI特許出願分野上位は、画像とビデオデータ (17,996件) で、文章 (13,494件)、音声/音楽 (13,480件)で、分子・遺伝子・タンパク質ベースのデータを使用するGenAI特許出願が急増しており (2014 年以降 1,494 件)、過去5年の年間平均成長率は 78% 。
・生成AI特許は、ライフサイエンス (5,346件)、文書管理と出版(4,976 件)、その他、ビジネス ソリューションなど各分野に多岐の分野にわたる。

参照サイト:https://www.wipo.int/web-publications/patent-landscape-report-generative-artificial-intelligence-genai/en/key-findings-and-insights.html

【国際】WIPO2023年度国際出願統計を公表(3月7日)

 WIPOは、3月7日付、2023年度の国際出願統計を公示した。

◆PCT国際特許出願2023年は1.8%減少
2023年度は、272,600件(前年277,632件、前年比-1.8%)と減少した。上位5か国で韓国を除きいずれも減少した。出願国ごとの内訳は、上位5か国は変らず、中国 (69,610件、前年70,017件、-0.6%)、アメリカ55,678件,前年58,823件、-5.3%)、日本(48,879件、前年50,351件、-2.9%)、韓国(22,288件、前年22,023件、+1.2%)、 ドイツ(16,916件、前年17,469件、-3.2%)である、増加が注目されるのは、インド(3,791件、+44.6%)とトルコ(1,921件、+8.5%)であり、オランダ(+5.8%)とフランス(+2%)も増加した。

 技術分野では、コンピュータ関連(構成比10.2%、前年10.4%)、デジタル通信関連(同9.4%、前年同じ)、電機(同7.9%)、医療技術関連(同6.7%)、医薬品関連(同4.7%)が上位で、電機関連が+8.8%増加した。

 出願人ランキングは、華為(6,494件、前年7,689件)、三星電子(3,924件、前年4,387件)、Qualcomm (3,410件、前年3,855件)、三菱電機(2,152件、前年2,320件)、BOE京東方科(1,988件、前年1,884件)、LG 電子 (1,887件、前年1,793件)、Ericsson(1,803件、前年2,158件)、CATL寧徳時代新能源科技(1,799件、前年266件)、OPPO広東移動通信(1,766件、前年1,963件)、日本電信電話(1,760件、前年1,884件)、で、BOEとLGがEricssonを抜き、CATL寧徳時代新能源科技が84位から初めてトップ10に入った。以下日本企業は、パナソニック(12位、1,722件)、NEC(15位、1,592件)、ソニー(16位、1,433件)、村田製作所(20位、1,051件)と続く。

◆マドプロ国際商標出願2023年は7.2%減少
2023年度は、64,200件(前年69,022件)と-7.2%減少し、2年連続の減少となった。出願上位5かの国は、アメリカ (10,987件、前年12,456件、-11.8%)、ドイツ(6,613件、前年7,690件、-14.0%)、中国(5,473件、前年5,082件、+7.7%)、フランス(4,267件、前年4,394件、-2.9%)、イギリス(3,817件、前年4,194件、-0.9%)で中国を除き減少した。日本は7位、2,846件で前年は3,117件で-8.7%と連続して減少した。増加した国は、中国以外に韓国で(2,090件、+2.9%)である。

 出願区分は発表に詳細がないが、9類が全体の11%を占め、35類(同8.8%)、42類(同8.1%)となっている。

 出願人ランキングは、L’Oréal(199件)、BMW(124件)、EURO Games (118件)、Boehringer Ingelheim(110件)、Novartis(110件)、Berlin-Chemie(107件)、資生堂(103件)、ミズノ(79件)、華為(78件)、Apple(74件)である。BMW、Boehringer Ingelheim、Berlin-Chemie、資生堂、アップルがトップ10に入ってきている。

◆ハーグ国際意匠出願2023年は7.4%増加
2023年度は、前年+1.0%増の8,565出願(前年7,978件)、25,343意匠(前年25,085意匠)になり、意匠数による出願国ごとの内訳は、ドイツ (4,517 意匠、前年4,910意匠、-8.0%)、中国(3,758意匠、前年2,558意匠、+46.9%)、アメリカ(2,668意匠、前年2,443意匠、+9.2%)、スイス(2,198意匠、前年2,188意匠、-0.45%)、イタリア(2,196意匠、前年2,188意匠、-0.4%)、フランス(1,554意匠、前年1,484意匠、+4.7%)、韓国(1,240意匠、前年1,346意匠、-7.9%)、日本は(1,001件意匠、前年936意匠、+6.9%)、イギリス(941意匠、前年1032意匠、-8.85%)、トルコ(736意匠、前年505意匠、+45.7%)、であった。アメリカ、日本、フランスが増加した。

 出願区分は、輸送12類11.2%、記録・電気通信14類8.6%、家具6類 (7.6%), 包装関係9類(6.9%)、家庭用品7類 (5.6%).

 出願人ランキングでは、三星電子(544件、前年451)、Procter & Gamble(525件、前年687件)、LG電子(352件、前年368件)、Porsshe(352件、前年117件)、北京小米(315件、前年251件)、Volkswagen(312件、前年233件)、Philipps Electronics(294件、前年633件)、Jellycat(255件、前年403件)、Hermes(251件、前年73件)、Alfred Karcher (189件、前年47件)である。日本企業は、39位に三菱電機(73件)と利用は少ない。

参照サイト:https://www.wipo.int/export/sites/www/pressroom/en/documents/pr-services2024-annexes.pdf

【WIPO】「World Intellectual Property Indicators – 2023」発行(11月6日)

世界知的所有権機関(WIPO)は、11月6日付、2022年度の世界各国での知的財産権出願統計である「World Intellectual Property Indicators – 2023 (世界知的財産指標)」を発行した。同インディケーターでは、以下のように2021年度と2022年度の各権利種別ごとに各国の統計情報を分析しているため、特許などの世界各国での出願状況を把握するうえでは大変参考になる。

権利種別2021年度出願2022年度出願伸び率
特許3,400,5003,457,400+1.7
商標18,182,30015,543,300–14.5
意匠1,513,8001,482,600–2.1
植物新新種25,20027,260+8.2

権利種別ごとの出願国別ランキングは以下の通りであるが、意匠に注目するとトルコの意匠出願が急増しており、主に国内の出願であることには注目が必要であろう。

参照サイト:https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2023/article_0013.html
報告書 https://www.wipo.int/edocs/pubdocs/en/wipo-pub-941-2023-en-world-intellectual-property-indicators-2023.pdf

【WIPO】グローバル・イノベーション・インデックス 2023年版発行(9月27日)

世界知的所有権機関(WIPO)は、9月27日付、毎年発行しているWIPO加盟各国のイノベーション力を評価するグローバル・イノベーション・インデックス(GII、Global Innovation Index)の2023年版を公示した。2023年版GIIによると、スイス、スウェーデン、アメリカ、イギリス、シンガポールが上位にランキングされる世界で最も革新的な経済国となり、過去 10 年間で中間所得経済圏の国々がランキングの急上昇国と報告している。

日本についての報告は、以下の通りです

レポートの全文(250頁)は、10月24日に発行された。

参照サイト:https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2023/article_0011.html

【国際】WIPOは2022年度国際出願統計を公表(2月28日)

世界知的所有権機関(WIPO)は、2022年度のPCT国際特許出願、マドプロ国際商標出願、及びハーグ国際意匠出願争の統計データと分析を公表した。最終集計ではないので最終的な変動がある数字であることにご留意ください。

◆PCT国際特許出願

2022年度は、前年比+0.3%増(前年0.9%)の約278,100件(前年277,500件)と微増、出願国ごとの内訳は、中国 (70,015件、前年69,604件、+0.6%)、アメリカ(59,056件,前年59,403件、-0.6%)、日本(50,345件、前年50,275件、+0.14%)、韓国(22,012件、前年20,723件、+6.2%)、 ドイツ(17,530件、前年17,266件、+1.5%)と上位5か国は変わらない、増加が注目されるのは、インド(2,618件、+25.4%)と大きな増加を示している。
 技術分野では、コンピュータ関連(構成比10.4%、前年比+8.1%)、デジタル通信関連(構成比9.4%、前年比+8.7%)、医療関連(構成比7.0%、前年比+2.5)が相変わらず上位であるが、繊維機械(前年比-7.5%)、光学(前年比-6.6%)、AV機器(前年比-6.3%)などの技術分野が減少している。
 出願人ランキングは、華為(7,689件、前年6,952件)、三星電子(4,387件、前年3,041件)、Qualcomm (3,855件、前年3,931件)、三菱電機(2,320件、前年2,673件)、Ericsson(2,158件、前年1,887件)、OPPO広東移動通信(1,963件、前年2,208件)、日本電信電話(1,884件、前年1,508件)、BOE京東方科E(1,884件、前年1,980件)、LG 電子 (1,793件、前年2,885件)、パナソニック(1,776件、前年1,741件)で、日本電信電話が初めてトップ10に入り、ソニーが12位(1,513件)に落ちた。以下日本企業は、NEC(14位、1,479 件)、富士フィルム(18位、1,181 件)、村田製作所(19位、1,043件)と続くが、中国企業の進出が目立っている。

◆マドプロ国際商標出願

2022年度は、69,000件(前年73,500件)と-6.1減少した。出願国ごとの内訳は、アメリカ (12,495件、前年13,282件、-5.9%)、ドイツ(7,695件、前年8,794件、-12.5%)、中国(4,991件、前年5,273件、-5.3%)、フランス(4,403件、前年4,891件、-9.9%)、イギリス(4,227件、前年4,266件、-0.9%)であり、日本は7位、3,145件で前年は3,229件で-2.6%と上位陣総崩れで減少した。主な増加した国は、トルコ(2,389件、+5.2%)、韓国(2,021件、+2.1%)、オランダ(1,556件、+7.4%)、である。
 出願人ランキングは、L’Oréal(160件)、Novartis(131件)、Glaxo(128件)、EURO Games (120件)、現代自動車(108件)、資生堂(92件)、Maplebear(82件)、Syngenta Crop(80件)、華為(74件)、任天堂(70件)である。

◆ハーグ国際意匠出願

2021年度は、前年+11.2%増の7,973 出願(前年6,714件)、25,028 意匠(前年22,4800意匠)になり、意匠数による出願国ごとの内訳は、ドイツ (4,909意匠、前年4,400意匠、+11.6%)、中国(2,558意匠、前年621意匠、+312%)、イタリア(2,414意匠、前年2,046意匠、+17.9%)、アメリカ(2,412意匠、前年2,649意匠、-8.9%)、スイス(2,178意匠、前年1,824意匠、+19.4%)、フランス(1,484意匠、前年1,585意匠、-6.3%)、韓国(1,346意匠、前年1,419意匠、-5.1%)、イギリス(1,034意匠、前年858意匠、+20.5%)、オランダ(980意匠、前年1,222意匠、-19.8%)、日本は(436件935意匠、前年421件913意匠、+2.4%)であった。中国の加盟による急増とイギリスの増加が顕著である。
 出願人ランキングでは、Procter & Gamble(687件、前年665件)、Philips Electronics(633件、前年678件)、三星電子(451件、前年862件)、Wenko-Wenslaar(414件、前年2件)、I. Paleohorinos(414件、前年138件)、LG電子(366件、前年655件)、Ferrari(329件、前年99件)、北京小米(251件、前年227件)、EIS(233件、前年78件)である。日本企業は、32位に株式会社ビッグウエスト、42位に三菱電機と低調な利用であった。

参照サイト:https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2023/article_0002.html
データ https://www.wipo.int/export/sites/www/pressroom/en/documents/pr-2023-899-annexes.pdf

【WIPO】PCT出願ガイドの新形式eGuide発表(12月15日)

WIPO国際事務局は、12月15日付、PCT出願ガイド(PCT Applicant’s Guide)の新形式eGuideを発表した。

 eGuide には、従来のガイドに含まれる締約国ごとのすべての内容である、一般情報 (国際段階の概要と国内段階の概要)、締約国の情報、データとその国のさまざまな付属書の内容やデータが含まれるが、新しい形式で法律条項やその他の PCT 情報へのハイパーリンクが一覧で表紙される形式になっている。現在は、バツ(X)印の部分が提供されているが、今後順次追加の情報が提供される予定である。なお、情報は毎週更新されるとのこと。

WIPOは利用者からのフィードバックを希望している。

参照サイト:https://www.wipo.int/pct/en/guide/index.html#J

【WIPO】2021年の全世界の知的財産権出願は増加 

国際知的所有権機関(WIPO)は、11月21日付、世界知的財産指標2022(World Intellectual Property Indicators 2022)を公表し、2021年度の各種知的財産権の出願状況を分析し、2020年に比べて+3.6%増加し、その67.6%をアジア各国で占めているとした。

World Intellectual Property Indicators 2022

特許、実案、意匠、商標及び植物新品種ともに中国が全体の大半を占めていることは良く分かる。

参考サイト:https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2022/article_0013.html

【WIPO】グローバル・イノベーション・インデックス 2022年版発行 (9月29日)

世界知的所有権機関(WIPO)は、9月29日付、毎年発行しているWIPO加盟各国のイノベーション力を評価するグローバル・イノベーション・インデックス(GII、Global Innovation Index)の2022年版を公示した。

1.イノベーション投資の減速
 ⦁ 全世界で公開された科学論文が2021 年に初めて 200 万部を超えた。
 ⦁ 2020 年の世界の R&D投資は 3.3% 増加しているが減速傾向である。
2.技術の進歩、イノベーション主導の成長に陰り
 ⦁ 半導体、電池、再生可能エネルギー、米国での医薬品承認などの減速。 .
 ⦁電気自動車での成長が見られる
3.スイスは12年連続トップ、アメリカが2位、オランダ5位、ドイツ8位とランクアップし、日本は変わらず13位、トルコとインドが40以内に入ってきている。

など、詳細はレポートを参照ください。

参照サイト:https://www.wipo.int/global_innovation_index/en/2022/

【国際】WIPOは2021年度国際出願統計を公表(2月10日)

世界知的所有権機関(WIPO)は、2021年度のPCT国際特許出願、マドプロ国際商標出願、ハーグ国際意匠出願及びドメイン名紛争の統計データと分析を公表した。最終集計ではないので最終的な変動がある数字であることにご留意ください。

●PCT国際特許出願

PCT出願国別推移

2021年度は、前年比+0.9%増の約277,500件(前年274,889件)と微増、出願国ごとの内訳は、中国 (69,540件、前年68,923件、+0.9%)、アメリカ(59,570件,前年58,477件、+1.9%)、日本(50,280件、前年50,578件、-0.6%)、韓国(20,678件、前年20,045件、+3.2%)、 ドイツ(17,322件、前年18,499件、-6.4%)と主要国では日本とドイツが2年連続減少している。一方、増加が注目されるのは、スイス(5,386件、+5.2%)、フィンランド(1,907件、+13.8%)、シンガポール(1,617件、+23%)、トルコ(1,829件、+13.2%)で、過去10年のアジアの増加が大きく全体の54.1%を占め、近年ではシンガポールの増加が顕著である。
 技術分野では、コンピュータ関連(構成比9.9%)、デジタル通信関連(構成比9.0%)、医療関連(構成比7.1%)、電機関連(構成比.9%)、計測関連(4.6%)が上位であるが、成長率では医薬品関連(+12.8%)、バイオ関連(+6.5%)、減少率ではITシステム関連(-10.1%)や内燃機関など関連(‐13.3%)が注目される。
 出願人ランキングは、華為(6,952件、前年5,464件)、Qualcomm (3,931件、前年2,173件)、三星電子(3,041件、前年3,093件)、LG 電子 (2,885件、前年2,759件)、三菱電機(2,673件、前年2,810件)、OPPO広東移動通信(2,208件、前年1,801件)、BOE京東方科E(1,980件、前年1,892件)、Ericsson(1,887件、前年1,989件)、ソニー(1,789件、前年1,793件)、パナソニック(1,741件、前年1,611件)で、2021年と同じ顔ぶれであるが、QUALCOMMの増加が目立った。

●マドプロ国際商標出願

マドプロ出願国別推移

2021年度は、前年比+14.4%の73,100件と前年の減少に対し反発し増加した。出願国ごとの内訳は、アメリカ (13,276件、前年10,017件、+32.7%)、ドイツ(8,779件、前年7,458件、+17.7%)、中国(5,272件、前年6,696件、-21.3%)、フランス(4,888件、前年3,741件、+30.7%)、イギリス(4,215件、前年3,679件、+14.6%)であり、日本は3,255件で前年は3,117件で+4.4%増加した。増加が顕著な国は、スウェーデン(1,254件、+42.5%)、カナダ(1,061件、+49.4%)、フィンランド(636件、+43.2%)、ノルウェー(433件、+49.8%)、である。
 出願人ランキングは、L’Oréal(171件)、ADP Gauselmann(120件)、GLAXO(90件)、華為(98件)、Novartis(94件)、EURO Games(93件)、Apple(92件)、HENKEL(90件)、資生堂(89件)、SYNGENTA(85件)である。
 2021年の新規加盟国は、パキスタン、トリニダード・トバゴ、UAEであった。2022年は3月27日からジャマイカの指定が可能となる。

●ハーグ国際意匠出願

ハーグ国際意匠出願国推移

2021年度は、前年+20.8%増の6,711件22,4800意匠になり、意匠数による出願国ごとの内訳は、ドイツ (4,469意匠件、前年3,666意匠、+21.9%)、アメリカ(2,610意匠、前年2,220意匠、+17.67%)、イタリア(2,051意匠、前年1,231意匠、+66.6%)、スイス(1,826意匠、前年1,944意匠、+82.4%)、フランス(1,528意匠、前年935意匠、+63.4%)、韓国(1,419意匠、前年1,669意匠、-15%)、オランダ(1,223意匠、前年1,001意匠、+22.2%)で、日本は(421件907意匠、前年408件942意匠、-3.7%)であった。イタリア、フランスの大きな増加が目立っている。
 出願人ランキングでは、三星電子(862件、前年859件)、Philips Electronics(678件、前年463件)、Procter & Gamble (665件、前年623件)、LG電子(655件、前年478件)、Volkswagen (403件、前年524件)、PSA Automobiles(303件、前年187件)、THUN(284件、前年175件)、北京小米(227件、前年516件)、LUQOM(216件、前年0件)、Harry Winston(196件、前年132件)である。日本企業はトップ50社に1社のみで三菱電機150件(前年107件)である。

参照サイト:https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2022/article_0002.html

【WIPO】グローバル・イノベーション・インデックス 2021年版発行 日本は13位 (9月20日)

世界知的所有権機関(WIPO)は、9月20日付、WIPO加盟各国のイノベーション力を評価し例年発行しているグローバル・イノベーション・インデックス(GII、Global Innovation Index)の2021年版をそのサイトで公示した。対象は昨年に1か国増えて132か国、調査項目は81で、今年度版ではCOVID-19危機のイノベーションに対する影響を調査対象としている。

short description

2021年度版では以下の項目が注目されるポイント:
・科学的成果、研究開発支出、知的財産とベンチャーキャピタル(VC)取引は2020年も引き続き増加し、危機前の強力な業績を構築
・世界のトップ企業の研究開発支出は2020年に約10%増加、研究開発集約型企業60%増加
・VC取引数は2020年に5.8%増加、過去10年間の平均成長率を上回った。2021年はさらに活気のあるVC活動
・危機の影響は業界間で不均一。

イノベーション能力と生産量に関する年間ランキングでの注目されるポイント:
・スイス、スウェーデン、アメリカ、イギリスが引き続きがリード
・韓国は2021年に初めてGIIのトップ5に
・中国は14位から12位に上昇
・トルコ(41位)、タイ(43位)、ベトナム(44位)、ロシア(45位)、インド(46位)、ウクライナ(49位)、モンテネグロ(50位)が今年のGIIトップ50に入った
・インド、ケニア、モルドバ、ベトナムは11年連続でイノベーション向上持続記録を保持
・ブラジル、イラン、ペルーは2021年に初めて前年度を上回った。

参照サイト:WIPOサイト 日本語サイト

【国際】WIPOの2020年度年次報告書

WIPOは、6月に入り、PCT国際特許、マドプロ国際商標、ヘーグ国際意匠の各2020年度の出願統計を詳細に分析した年次報告書を公示した。

参照サイト:
PCT   6/11 https://www.wipo.int/edocs/pubdocs/en/wipo_pub_901_2021.pdf
マドプロ 6/28 https://www.wipo.int/edocs/pubdocs/en/wipo_pub_940_2021.pdf
ヘーグ  6/17 https://www.wipo.int/edocs/pubdocs/en/wipo_pub_930_2021.pdf

【国際】WIPOは2020年度国際出願統計を公表(3月2日)

WIPOは、2020年度のPCT国際特許出願、マドプロ国際商標出願、ハーグ国際意匠出願及びドメイン名紛争の統計データと分析を公表した。

●PCT国際特許出願
 2020年度は、前年比+4%増の275,900件と過去最高になり、出願国ごとの内訳は、中国 (68,720件、+16.1%増)、アメリカ(59,230件、+3%増)、日本(50,520件、-4.1%減)、韓国(20,060件、+5.2%増)、 ドイツ(18,643件、-3.7%減)と主要国では日本とドイツが減少している。一方、増加が注目されるのは、サウジアラビア(956件、+73.2%増)、マレーシア(255件、+26.2%増)、チリ(262件、+17.0%増)、シンガポール(1,278件、+14.9%増)、ブラジル(697件、+8.4%増)で、過去10年を見るとアジアの増加が顕著で全体の53.7%を占めるようになった。
 出願ランキングトップは、華為(5,464件)、三星電子(3,093件)、三菱電機(2,810件)、LG 電子 (2,759件)、Qualcomm (2,173件)、Ericsson(1,989件)、京東方科BOE(1,892件)、広東移動通信OPPO(1,801件)、ソニー(1,793件)、パナソニック(1,611件)と中国企業が目立つようになった。
参照サイト:https://www.wipo.int/edocs/infogdocs/en/ipfactsandfigures/

●マドプロ国際商標出願
 2020年度は、前年比-0.6%減の63,800件と初めて前年(64,168件)比減少した。出願国ごとの内訳は、アメリカ (10,005件、-0.8%減)、ドイツ(7,334件、-4.7%減)、中国(7,075件、+16.4%増)、フランス(3,716件、-16.2%減)、イギリス(3,679件、+5.1%増)であり、日本は3,117件と―1.3%減少であった。増加が顕著な国はイタリア(2,748件、+3.6%増)、韓国(1,578件、+13.4%増)、カナダ(698件、+94.4%増)、デンマーク(630件、+11.5%増)である。
 出願ランキングでは、Novartis(233件)、華為(197件)、資生堂(130件)、ADP Gauselmann (123件)、L’Oréal(115件)、任天堂(90件)、EURO Games(84件)、Apple(80件)、Syngentia(78件)、RIGO(70件)である。
2020年の新規加盟国はないが、2021年は1月1日よりイギリス指定にジブラルタルとガンジーが拡張され、1月12日よりトリニダード・トバゴ、5月24日よりパキスタンの指定が可能となった。

●ハーグ国際意匠出願
 2020年度は、前年比-1.7%減の5,792件18,580意匠になり、意匠数による出願国ごとの内訳は、ドイツ (3,666意匠、-18.7%減)、アメリカ(2,211意匠、+62.7%増)、スイス(1,944意匠、-10.8%減)、韓国(1,669意匠、-39%減)で、日本は(408件1,151意匠、+18.2%減)であった。増加した国はアメリカ、中国(826意匠、+13.4%増)とトルコ(524意匠、+13.4%増)のみである。
 出願ランキングでは、三星電子(859件)、Procter & Gamble (623件)、Fonkel Meubelmarketing (569件)、Volkswagen (524件)、北京小米(516件)、LG電子(478件)、Philips Electronics(463件)、Wenko-Wenselaar(362件)、Magic Leap(320件)、Lampenwelt(276件)である。日本企業のトップは三菱電機で107件である。

参照サイト:https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2021/article_0002.html

【イギリス】Brexit後の国際条約批准(10月1日)

合意無きEU離脱後に向けて、グレートブリテン及びアイルランド連合王国(以下、イギリス)政府は、10月1日付、以下の宣言の手続きが行われたことをWIPOは公示した。同宣言は、2021年1月1日より発効する予定である。

●パリ条約(Paris Convention for the Protection of Industrial Property [Paris Notification No. 224])
●マドプロ協定(Protocol Relating to the Madrid Agreement Concerning the International Registration of Marks [Madrid (Marks) Notification No. 227])
●ニース協定(Nice Agreement Concerning the Classification of Goods and Services for the Purposes of the Registration of Marks [Nice Notification No. 137])
●PCT条約(Patent Cooperation Treaty [PCT Notification No. 217])
●ベルヌ条約(Berne Convention for the Protection of Literary and Artistic Works [Berne Notification No. 286])

12月31日の経過措置期間が差し迫っており、最低限の注意をすべきことは以下のようにまとめることができる。
・マドプロと欧州登録商標でEUを指定し登録となった商標はイギリスを2021年1月1日よりカバーしなくなる。一方、イギリス政府は自動的にイギリスでの権利を発生させるので、既得権は維持される。
・マドプロと欧州登録商標出願が2020年12月31日までに登録にならなかった場合、2021年9月30日までに移行出願を行わなければならず、別途費用の負担が必要である。この移行期間を過ぎた場合、先願権はなくなるため注意が必要である。
・2021年1月1日以降の欧州商標及び共同意匠出願をする場合、イギリスはカバーされないために、イギリスに個別の出願をしなければならない。
・今現在に出願がある場合、個別に出願することが望ましい。
・欧州商標及び共同体意匠の更新については、権利者は社内的に別のデータを管理用に追加し、イギリスのみの登録として管理を開始する。それぞれの管理期限は同じであるため、2021年1月1日以降の更新期限を持つ権利は、個別に更新手続きを行わなければならない。特に、2021年1月や2月に期限を迎える権利には十分注意をする必要がある。

参照サイト:https://www.wipo.int/treaties/en/notifications/paris/treaty_paris_224.html?utm_source=WIPO+Newsletters&utm_campaign=fbb9795dde-EMAIL_CAMPAIGN_2020_10_20_02_00&utm_medium=email&utm_term=0_bcb3de19b4-fbb9795dde-254581677

【WIPO】WIPO-PROOF 証拠認証サービス開始(5月27日)

WIPOは、5月27日付、WIPO-PROOFという、証拠預かりサービスを開始した。これは、あらゆるデジタルファイル( データを含む )の特定の日での存在の立証証拠を提供するもので、改竄されていないことも含みます。簡単に言うと、研究成果の技術情報、デザインを含む製品情報、営業秘密から著作物までさまざまな情報を受け付け、タイムスタンプを付けて、そのハッシュタグを提供する。
 利用者は、1件当たり20スイスフラン(約2500円)のトークンで利用料金を支払い、当該データとタイムスタンプのハッシュタグを保管する。
 後日、必要に応じて、証拠として活用するときには、WIPOにハッシュタグととともに認証を依頼すると証明書が発行され、これを証拠として利用することができる。

参照サイト:
https://wipoproof.wipo.int/wdts/how-it-works.xhtml
案内文: https://wipoproof.wipo.int/wdts/