【中国】特許開放許諾手続きFAQ(8月28日)

国家知識産権局(CNIPA)は、2024年8月28日にそのSNSサイトで、特許開放許諾届出手続きに関するFAQを掲載した。特許開放許諾届出手続きについては、特許法実施細則と特許審査指南などに詳細な説明があるが、CNIPAは、以下の4項目に34の質問を上げ、それに回答している。
 特許開放許諾届出は、中国版のライセンスオブライト(LOR)であり、年金を15%減額できるなど知的財産権部門には厳しい予算措置の環境で、ヨーロッパなどのように活用できるとの考えもあろうが、営業秘密やノウハウ、また顧客情報などが指導の名目で流出し、取り返しのつかないことになるため、個人的にはお勧めしていないが、以下はそのQ&Aの質問をご参考まで。

1.特許開放許諾宣言の提出
問1.特許開放許諾とは何か、どのような機能があるか?
問2.特許開放許諾宣言を提出する前にどのような資料を準備すべきか?
問3.特許開放許諾宣言様式に記入する時どのような事項に注意すべきか?
問4.特許権者は簡単な説明にどのような内容を明記すべきか?
問5.特許代理機構に開放許諾宣言手続きを委に関して、どのような要件があるか?
問6.「その他の資料」とは、どのような資料をいうか?
問7.特許業務処理システムを通じて開放許諾宣言を提出する時に、注意すべき事項は何か?
2.特許開放許諾実施契約の届出
問8.特許開放許諾実施契約を届出する人に制限はあるか?
問9.特許開放許諾実施契約の届出の提出時期はいつか?
問10.開放許諾が達成された書面とはどんな文書か?
問11.特許開放許諾実施契約の届出手続き前に準備すべき資料は何か?
問12.被許諾者が特許権者に出した開放許諾特許実施の意思を示す通知書の具体的な要件は何か?
問13.被許諾者が特許権者に許諾使用料を支払った証憑(或いは特許権者が許諾使用料を受取った証憑)について、届出手続きの時に注意しなければならない事項は何か?
問14.「特許実施許諾契約届出申請書」を記入するとき、注意する事項は何か?
問15.特許開放許諾実施契約の届出手続きで、請求人の身分証明書類はどのような書類か?
問16.特許開放許諾実施契約の届出手続きの委託において、注意する事項は何か?
問17.特許開放許諾実施契約の届出請求を提出する方法に何があるか?
問18.外国人、外国企業或いは外国のその他の組織が開放許諾特許を実施する要件は?
問19.当事者は、電子形式のオンラインで特許開放許諾実施契約の届出を処理する場合、どの事項に注意しなければならないか?
問20.特許開放許諾実施契約届出が承認された場合、特許権者は特許開放許諾実施期間中、規定に従い特許年金の減額を享受できるが、ここでいう「特許開放許諾実施期間」はどの期間をいうのか?
問21.特許開放許諾実施期間の減額手続きはどのように提出するか?
問22.特許開放許諾実施期間中の減額にはどのような注意が必要か?
問23.特許権者が開放許諾宣言を撤回した場合、特許開放許諾の実施期間中の減額に対して、どのような影響があるか?
問24.開放許諾を実施している特許権者と被許諾者は許諾使用料について協議し許諾契約を締結した場合、年金は減額されるか?
3.特許開放許諾宣言の撤回
問25.特許開放許諾宣言は撤回できるか?
問26.特許開放許諾宣言を撤回する場合、どのような資料を準備する必要があるか?
問27.提出された特許開放許諾宣言撤回文書は、どのような記載要件があるか?
問28.開放許諾宣言の公告後、特許権者が特許開放許諾宣言を自発的に撤回する必要がある情況は何か?
問29.特許開放許諾宣言の撤回はどのように提出しなければならないか?
問30.特許開放許諾宣言の撤回に関する事項は、どこで調べることがでるか?
4.関連法律手続き業務の処理
問31.既に開放許諾を実施している特許は、権利譲渡できるか?
問32.開放許諾実施特許について、特許権者は当該特許権を自発的に放棄できるか?
問33.既に開放許諾実施している特許を担保に供し、特許権質権設定登記手続きを行うことができるか?
問34.当事者名で公開されている開放許諾宣言、特許質権設定登録、特許実施許諾契約届出情報をどの照会できるか?

参照サイト:CNIPAのSNSサイト
仮訳

【中国】「特許開放許諾紛争調停業務弁法(試行)」の施行(7月15日)

国家知識産権局(CNIPA)は、7月15日に国家知識産権局公告第590号で、7月2日に制定した「特許開放許諾紛争調停業務弁法(試行)(专利开放许可实施纠纷调解工作办法(试行))」を公示した。これは、特許法第52条に規定する特許開放許諾が実施される過程で発生した紛争を速やかに解消するため制定したもので、公告日から施行する。

本弁法は、5章30条からなり構成は以下の通り:
第1章 総則   1~3条
第2章 事件受理 4~9条
第3章 事件調停 10~20条
第4章 決定   21~28条
第5章 付則   29~30条
添付:調停申請書式

当事者が特許開放許諾の使用料の支払基準と方法、契約期間などの実施について発生した紛争について、自発的に調停を受けたい場合は国家知識産権局に書面で調停申請を提出することができる(4条)と規定し、受領後5日以内に受理の可否(7条)を決定する。基本原則が自発、そして、合法、公平、秘密保持である(3条)、国家知識産権局は原則30日以内に調停を終える(18条)としている。以下の場合は受理しない(8条):
①他方当事者が調停を受け入れない場合
②当事者が訴訟を提起し、受理された場合
③当事者が仲裁機関に仲裁申請を提出した場合
④人民法院或いは仲裁機関が当該紛争に対して審判を行った場合
⑤受理できないその他の状況がある場合。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/7/15/art_545_193576.html

【中国】特許開放許諾制度の全面的実施推進の通知(7月12日)

国家知識産権局は、7月12日、地方政府の知識産権局及び関連センターに、特許開放許諾制度の全面的実施推進の通知(全面推进专利开放许可制度实施工作的通知)(国知発運字〔2024〕19号)を7月2日付で送付したことを公示した。
 通知によると、2024年1月20日から正式に施行された改正特許法実施細則により特許開放許諾制度が全面的に実施されたことを受けて、これまで主に全国の大学や研究機構において部分的に実施されていた特許開放許諾制度が簡便・迅速・マルチ型ライセンスの実現に有利であり、効率的で取引コストが下がるなどの利点を注目した効率的な運営を推進し、特許転化運用モデルとルートを広げることを目的としている。そして、以下の9つの観点から指導している。

1.開放許諾制度の実施の重要な意義に対する認識と展開
各地の知識産権局には、この制度を重視し宣伝を強化するともに、制度に対する正しい理解、科学的運用の指導が求められ、特に、大学と科学研究機関の保有特許の活用、中小企業が比較的低コストで特許技術を入手する支援などにより、特許転化運用の推進が期待されている。
2.規範的な開放許諾書の作成を指導
各地の知識産権局には、特許権者に対し関連規定に従い特許開放許諾書の作成を指導しなければならない。特許開放許諾書は、特許番号、特許権者、許可使用料基準と支払い方法、許諾期限などの事項を明記し、特許業務取扱システム(https://cponline.cnipa.gov.cn/)で送信する。なお、実用新案及び意匠の特許の場合、同時に特許権評価報告書を提出しなければならない。
3.試行プロジェクトの移行処理推進
すでに開放許諾の試行プロジェクトを展開している各地の知識産権局は、試行案件の質や見通しもよいため、2024年末までに正式に移行することを支援する。
4.合理的なライセンス料の指導
各地の知識産権局は、一般的な特許ライセンス料の支払い方式を広く宣伝し、特許権者にライセンス料のレートと支払い方式を指導する。「特許評価ガイド(专利评估指引)」、「特許開放許諾使用料試算ガイド(試行)(专利开放许可使用估算指引(试行))」、「特許審査指南」の規定に基づき、特許権者が公平で合理的、互恵、少額で確実な成功を堅持し、ライセンス料が定額の場合は2000万元を超えない、レートを適用する場合売上の20%或いは利益の40%を超えないよう指導する。
5.開放許諾情報の公開共有を強化
国家知識産権局は、開放許諾対象特許を特許公報で公告し、中国特許公告システム(http://epub.cnipa.gov.cn/)で検索、確認することができる。各地の知識産権局は、運営するサービスプラットフォームや運営センターなどを通じて、関連産業分野の企業マッチングや特許情報の利用を指導する。
6.需給連携の推進
各地の知識産権局は、大学と科学研究機関の保有特許の活用、中小企業の特許活用による成長促進、重点産業の知的財産権の連携強化などを図るために、大学と科学研究機関に在庫特許棚卸の指導し中小企業との連携を展開する。また、開放許諾手続きや保険などのコンサルティングを提供する。
7.開放許諾契約届出の指導
各地の知識産権局は、特許権者或いはライセンシーが速やかにライセンス登録するよう指導する。
8.開放許諾の監督管理と紛争調停の強化
国家知的財産権局は、特許開放許諾業務における異常な状況の監視と違法違反の調査を強化する。各地の知識産権局は、特許開放許諾手続きでの不正行為に対して、法に基づき信用監督管理を行う。違法行為については、特許法実施細則第100条の規定に基づき処罰する。「特許開放許諾実施紛争調停作業方法(試行)(专利开放许可实施纠纷调解工作办法(试行))」の関連規定に基づき、当事者が自主的に協議、調停などで紛争を解決するよう指導する。
9.制度と典型的事例の普及び強化
国家知識産権局の「知的財産権政務サービス事項処理指南(第2版)(知识产权政务服务事项办事指南(第二版))」により特許開放許諾業務でよくある問題について解答している。各地の知識産権局は、多種多様な方法を通じて、開放許可制度の宣伝、解読、研修を行い、典型的な経験と実例を総括・抽出し、国家知識産権局に適時に報告する。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/7/12/art_550_193719.html