【中国】上海市営業秘密侵害十大典型事例(9月3日)

上海市場監督管理局は、9月3日付、昨年に続き2023年度の営業秘密侵害にかかる十大典型事例を発表した。すべて元従業員による犯罪であり、不正競争防止法の適用であるが、特に、9番目は外国への情報漏洩を刑法に新設された条項で処罰した事例である。また、10番目は行政、刑事、民事のセットの事件として注目される。その概要は以下の通り:

事例1:中某半導体設備(上海)股份有限公司vs科某研究開発股份公司などの営業秘密侵害事件
(上海市高級人民法院(2017)沪民终169号)
原告のプリモD-RIE誘電体エッチング設備にかかる営業秘密侵害で、当事者の秘密保持期間満了後も一般に開示されていない技術は営業秘密であり、不正な手段で技術秘密を獲得、使用した場合、侵害の停止、損害賠償などの責任を負わなければならないとして、使用禁止と損賠賠償を命じた。

事例2:容某実業(上海)有限公司vs吴某氏らの営業秘密侵害事件
(上海市徐汇区人民法院)
原告は金属材料の輸出入会社で、被告は元従業員でビジネス情報である外国顧客対応を5年間担当し、退職時に顧客情報を獲得し自らの事業に違法に利用した。原告が損害を立証できないところ、裁判所が税関に開示請求を行い、1500万ドル位以上の取引を確認し、侵害停止と損害賠償を命じた。審理の必要に応じて裁判所が立証責任を合理的に担当し、侵害停止と損害賠償を命じた。

事例3:蔡某氏の営業秘密侵害事件
(上海市楊浦区人民検察院)
耐某実業(上海)有限公司が秘密管理する商品(シューズ)の価格と在庫情報にかかるビジネス情報を従業員がダウンロードしていることを知った被告はその情報を入手し、自らのWeChat「ディスカウントストアの商品一掃」で会員に提供した。検察は新業態における営業秘密侵害での隠蔽された手段、複雑な証拠収集、営業情報や営業秘密の特定方法などの侵害立証に積極的に対応し、処罰した。

事例4:陸某X氏、陸某Y氏の営業秘密侵害事件
(上海市虹口区人民検察院)
被告らは元勤務先の上海某信息科技有限公司が開発し秘密保持措置を採っていた「ドラゴンボール伝奇」ゲームのアプリケーションコードを使用し、自ら設立した上海某網絡科技有限公司で「ドラゴンボールZ戦士」ゲームを開発し、オンラインで運営した。検察は、ゲームソフトコードを営業秘密の対象と認定し、違法所得に基づき処罰した。

事例5:青島信某高新材料有限公司、金某氏らの営業秘密侵害事件
(上海市人民検察院第三分院)
被告らは上海邁某貿易有限公司に勤務中に青島信某高新材料有限公司を設立し、秘密保持義務に違反し、青島信某社の技術情報を利用して有機ケイ素化合物を製造販売した。検察は、難易度の高い化学工業分野で、「技術情報+製品効果」や「データの新規調査+研究開発証拠」などの手法を用いて、被告人のリバースエンジニアリングの抗弁を排除し、処罰した。

事例6:徐某氏、上海恒某建築工程有限公司らの営業秘密侵害事件
(普陀区市場監督管理局)
徐氏は、勤務先の建設会社の仕入部長でありながら秘密保持義務に違反し、入札時に入札予定価格などに加えて関係図面などを応札会社3社に無断で開示し、応札会社は取得した営業秘密を事業に使用していたことが判明し、当局は侵害当事者に罰金の処罰を科した。こうした隠ぺいし易く検証が難しい事件を当事者の関係文書のハッシュ値の検証などの方法で立証に成功している。

事例7:高某(上海)工業設備有限公司の商業秘密侵害事件
(奉賢区市場監督管理局)
退職した会社で生産監督であった呉某氏が高某(上海)工業設備有限公司を設立し、前職で取得したファンの図面で影響のない一部の部品を修正し、当該ファンの生産を外注していた。当局は外注の電子メール、送信図面などの証拠の固定、鑑定機構により図面は実質的に同一との判断とともに当該図面は営業秘密との認定し、罰金の処罰を科した。

事例8:上海涵某工程技術有限公司の商業秘密侵害事件
(金山区市場監督管理局)
退職した会社でセールスマネージャーであった陳某氏は、退職時に技術情報などのバックアップファイルを削除せず、上海涵某社に就職し、製品の研究開発や設計などを担当した時に、顧客のプロジェクトに退職した会社の製品図面の社名を変更するだけでそのまま転用するなど、秘密保持義務に違反し、当該会社も知りうる立場でありながら事業に従事させたことから、当局は違法所得の没収、罰金の処罰を科した。

事例9:鄭氏の国外への商業秘密提供事件
(上海市浦東新区人民検察院、上海市浦東新区人民法院)
被告の陳某氏は中国企業のエンジニアであったが、コンサルティング仲介会社のハンティングを受け専門コンサルタントに就任した。その後、外資系コンサルティング会社から電話インタビューをうけ、勤務していた会社との秘密保持義務に違反し、研究開発、生産計画、生産能力などの営業秘密を当該外資系コンサルティング会社を通じて、外国企業やその人員に提供し利益を受けたとして、刑法に新設された第2119条の1つ海外に商業秘密不法提供罪に基づき、禁固と罰金の懲罰が科された。

事例10:上海堃某知能設備有限公司などの商業秘密侵害事件
(上海市松江区市場監督管理局、上海市松江区人民検察院、上海市人民検察院第三分院、上海市普陀区人民法院、上海市第三中級人民法院、上海知識産権法院)
被告の李某氏は豪某機械(上海)有限公司に機械エンジニアとして入社後、第三者と共同で上海堃某知能設備有限公司を設立し、総経理に就任した。その後、前職時の秘密保持義務に違反し、勤務時に入手した「HOMGシーリングマシン」の技術情報と図面を利用し、シーリングマシンを外注で生産販売したことから、当局は違法行為の差止と罰金の処罰を科した。これに不服の李氏は行政訴訟を提起したが棄却された。一方、検察は営業秘密侵害罪で違法所得の没収、侵害品や製造機器などの没収、禁固と罰金が命じられ、二審に上訴したが請求棄却された。一方、豪某機械社は営業秘密侵害による損害賠償を請求し、請求した損害賠償全額が認められた。行政、刑事、民事のフルセットの事例として注目される。

参照サイト:https://scjgj.sh.gov.cn/1073/20240903/2c984a72918c23f10191b6cabd9b4c7d.html

【中国】「商標行政法執行証拠規定」(意見募集稿)の公示(8月19日)

国家市場監督管理総局(SAMR)は、8月19日、「商標行政法執行証拠規定(商标行政执法证据规定)」(意見募集稿)を公示し、一般からの意見募集を9月19日まで受け付ける。

党中央委員会と国務院は、知的財産権強化に関する一連の施策を実施しているが、本証拠規定は、商標行政執行、証拠収集、証拠審査と認定などの内容と要件をさらに明確にし、事業主体の正当な権益を保護することを目的としており、2023年12月1日に「商標行政法執行証拠基準規定(商标行政执法证据标准规定」)(意見募集稿)を商標行政法執行の専門的指導を強化し、法執行基準を統一し、商標の違法事実を正確に認定し、証拠の収集、審査、認定を規範化するためのもので、これまで商標行政法執行法には専門的な証拠規定が制定されいなかったために本規定と同様の構成で5章46条で起草された。
 今回は、2度目となり、全24条に減縮されている。主な内容は、目的と法律根拠、適用主体と事件範囲、証拠の概念、証拠の種類を明確にし、主に、書類証拠、物証、視聴覚資料、電子データ、証人証言、当事者の陳述、鑑定意見、現場記録及び外国での証拠などを対象とし、各証拠に対する収集要件と認定を明確にしている。

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/hd/zjdc/art/2024/art_275583fb35664df595acaf3c38cba102.html
仮訳

【中国】特許開放許諾制度の全面的実施推進の通知(7月12日)

国家知識産権局は、7月12日、地方政府の知識産権局及び関連センターに、特許開放許諾制度の全面的実施推進の通知(全面推进专利开放许可制度实施工作的通知)(国知発運字〔2024〕19号)を7月2日付で送付したことを公示した。
 通知によると、2024年1月20日から正式に施行された改正特許法実施細則により特許開放許諾制度が全面的に実施されたことを受けて、これまで主に全国の大学や研究機構において部分的に実施されていた特許開放許諾制度が簡便・迅速・マルチ型ライセンスの実現に有利であり、効率的で取引コストが下がるなどの利点を注目した効率的な運営を推進し、特許転化運用モデルとルートを広げることを目的としている。そして、以下の9つの観点から指導している。

1.開放許諾制度の実施の重要な意義に対する認識と展開
各地の知識産権局には、この制度を重視し宣伝を強化するともに、制度に対する正しい理解、科学的運用の指導が求められ、特に、大学と科学研究機関の保有特許の活用、中小企業が比較的低コストで特許技術を入手する支援などにより、特許転化運用の推進が期待されている。
2.規範的な開放許諾書の作成を指導
各地の知識産権局には、特許権者に対し関連規定に従い特許開放許諾書の作成を指導しなければならない。特許開放許諾書は、特許番号、特許権者、許可使用料基準と支払い方法、許諾期限などの事項を明記し、特許業務取扱システム(https://cponline.cnipa.gov.cn/)で送信する。なお、実用新案及び意匠の特許の場合、同時に特許権評価報告書を提出しなければならない。
3.試行プロジェクトの移行処理推進
すでに開放許諾の試行プロジェクトを展開している各地の知識産権局は、試行案件の質や見通しもよいため、2024年末までに正式に移行することを支援する。
4.合理的なライセンス料の指導
各地の知識産権局は、一般的な特許ライセンス料の支払い方式を広く宣伝し、特許権者にライセンス料のレートと支払い方式を指導する。「特許評価ガイド(专利评估指引)」、「特許開放許諾使用料試算ガイド(試行)(专利开放许可使用估算指引(试行))」、「特許審査指南」の規定に基づき、特許権者が公平で合理的、互恵、少額で確実な成功を堅持し、ライセンス料が定額の場合は2000万元を超えない、レートを適用する場合売上の20%或いは利益の40%を超えないよう指導する。
5.開放許諾情報の公開共有を強化
国家知識産権局は、開放許諾対象特許を特許公報で公告し、中国特許公告システム(http://epub.cnipa.gov.cn/)で検索、確認することができる。各地の知識産権局は、運営するサービスプラットフォームや運営センターなどを通じて、関連産業分野の企業マッチングや特許情報の利用を指導する。
6.需給連携の推進
各地の知識産権局は、大学と科学研究機関の保有特許の活用、中小企業の特許活用による成長促進、重点産業の知的財産権の連携強化などを図るために、大学と科学研究機関に在庫特許棚卸の指導し中小企業との連携を展開する。また、開放許諾手続きや保険などのコンサルティングを提供する。
7.開放許諾契約届出の指導
各地の知識産権局は、特許権者或いはライセンシーが速やかにライセンス登録するよう指導する。
8.開放許諾の監督管理と紛争調停の強化
国家知的財産権局は、特許開放許諾業務における異常な状況の監視と違法違反の調査を強化する。各地の知識産権局は、特許開放許諾手続きでの不正行為に対して、法に基づき信用監督管理を行う。違法行為については、特許法実施細則第100条の規定に基づき処罰する。「特許開放許諾実施紛争調停作業方法(試行)(专利开放许可实施纠纷调解工作办法(试行))」の関連規定に基づき、当事者が自主的に協議、調停などで紛争を解決するよう指導する。
9.制度と典型的事例の普及び強化
国家知識産権局の「知的財産権政務サービス事項処理指南(第2版)(知识产权政务服务事项办事指南(第二版))」により特許開放許諾業務でよくある問題について解答している。各地の知識産権局は、多種多様な方法を通じて、開放許可制度の宣伝、解読、研修を行い、典型的な経験と実例を総括・抽出し、国家知識産権局に適時に報告する。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/7/12/art_550_193719.html

【中国】中国日本商会「中国経済と日本企業2024年白書」発表(7月10日)

中国の日系企業などで構成される中国日本商会は、7月10日付、「中国経済と日本企業2024年白書」を発表した。本白書は、毎年、在中国日系企業が直面するビジネスの課題の分析や解決のための建議をまとめ、対中国政府関係機関との対話を促進する目的で作成し、活用している。従って、日本から中国の現状を理解する上で、大変分かりやすく良い資料である。
 今年度の白書は、「人的交流に関する問題」、「データの越境・管理に関する問題」、「政府調達に関する問題」が重点分野であるが、全28章からなり569件の建議が記載されている。第2部は、競争、知的財産、技術標準など、第3部は、各産業別、第4部は、各地方での現状と建議が記載されている。

知的財産については、第2部6章にまとめられているが、現状を「知的財産の保護強化に向けた取り組みに関する中国政府の姿勢にぶれはなく、目標の実現に向けた歩みは着実に進められているといえる」と評価しながらも、不正な商標出願問題から懲罰的賠償の適用まで幅広く提案をしていることは、それぞれ評価できる内容となっている。
1.現状の概要
2.知的財産の保護の現状と課題
3.知的財産に関する競争環境の現状と課題
4.知的財産に関する紛争処理の公平化・合理化
5.建議 23項目
 ① 知的財産の適切な保護の促進
 ②知的財産にかかわる公正な競争環境の実現
 ③知的財産にかかわる紛争処理の公平化・合理化

参照サイト:https://www.cjcci.org/detail/576/576/4679.html
知的財産部分 https://www.cjcci.org/cj_pdf/2024bs/japan/2-6_Chitekizaisan_JP.pdf

【中国】「知的財産保護システム構築プロジェクト実施計画」(5月27日)

国家知識産権局は、中央宣伝部、最高人民法院、最高人民検察院、公安部、司法部、商務部、海関総署、市場監督管理総局とともに、4月22日に共同で「知的財産保護システム構築プロジェクト実施計画(知识产权保护体系建设工程实施方案)」を制定し、5月27日に関係部署に通知(国知発保字〔2024〕10号)した。
 同計画は、「知的財産権強国建設綱要2021-2035」及び「第14次5か年国家知識産権保護と運用計画」の実施に当たり、世界水準のビジネス環境を支える知的財産権保護システムを構築し、高水準の科学技術の自立の実現と経済の発展を推進することを目的として策定された。全体は3部13項目から構成されており、概要目次と注目するポイントは以下の通り。

一、全体的要求
(一)指導思想
(二)構築目標
 2027年までに知的財産権保護システムの実質的な措置を講じ、2035年までに基本的実現する。
二、知的財産権保護システムの構築
(一)知的財産権の保護政策と標準体系(保護政策制度の整備や標準保護規範の制定)
(二)知的財産権法執行司法体系(司法、行政による保護の強化)
(三)知的財産権登録権利確認体系(2025年までに発明特許の審査期間を15か月、商標出願の審査は7か月、発明特許の結審精度を95%以上、商標審査の抜取り検査合格率を97%以上とする。その他健全な出願環境の整備)
(四)知的財産権保護管理体系(関係部門の連携強化)
(五)知的財産権保護社会共同統治体系(多元的紛争解決、信義誠実の環境整備など)
(六)知的財産権分野における国家安全管理体系(国家安全保障全体の概念に基づき、知的財産分野での重大なセキュリティリスクを排除する)
(七)知的財産権保護能力支援体系(専門人材確保、鑑定と技術調査の強化、情報プラットフォームの構築など)
三、組織実施の強化
(一)組織リーダーシップの強化
(二)法治保障の強化
(三)条件保障の強化
(四)追跡効果の強化

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/5/27/art_75_192629.html

【中国】「2024年知的財産権強国建設推進計画」の通知(5月16日)

国家知識産権局(CNIPA)の国家知識産権強国建設工作部際聯席会議弁公室(合同会議事務局)は、5月11日付の国知聯弁〔2024〕6号により「2024年知的財産権強国建設推進計画」を知財関係部門及び国務院の各関係部門に通知した。

同通知は、「知的財産権強国建設綱要2021-2035」及び「第14次5か年国家知識産権保護と運用計画」に基づき、2024年度の計画を詳細に示したもので、7部110項目の内容となっている。その構成はと主なポイントは以下の通り。

一、知的財産権制度の整備(1-21)
(一)知的財産権法律法規の整備
 商標法、集積回路配置設計保護条例、著作権法実施条例、不正競争防止法、植物新品種保護条例、税関保護徐冷、国防特許条例などの改正
(二)知的財産権の重要政策の改革、整備
(三)新興分野と特定分野の知的財産権規則の整備
二、知的財産権の保護強化(22-83)
(一)知的財産権の司法保護強化
 知的財産審判規則、独占禁止及び不正競争、知的財産権刑事事件及び悪質な知的財産訴訟や知的産権の乱用や虚偽訴訟などの対策を推進
(二)知的財産権の行政保護強化
 商標と特許分野の行政法執行の業務の強化、著作権侵害及び営業秘密保護業務を推進、独占禁止及び不正競争対策、税関での保護強化
(三)知的財産権共同保護メカニズムの健全化
三、知的財産権市場運営メカニズムの完備(84-77)
(一)知的財産権の創造品質の向上
(二)知的財産権の総合運用の強化
(三)知的財産権の市場化運営の促進
四、知的財産権の公共サービスレベルの向上(78-86)
(一)知的財産権公共サービスの提供強化
(二)知的財産権公共サービスの効率向上
五、知的財産権のための良好な人文社会環境の構築(87-94)
(一)知的財産権の文化理念の強力推進
(二)知的財産権事業の発展に向けた基礎強化
六、グローバル知的財産権ガバナンスに徹底的参加(95-104)
七、組織保障の強化 (105-110)

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/5/16/art_75_192497.html

【中国】市場監督管理総局2023年知的財産権執行10大典型事例(5月10日)

国家市場監督管理総局(SAMR)は、5月10日、2023年度の知的財産権法執行で、商標権侵害、特許虚偽表示、悪意商標出願、違法な商標使用や特許代理活動を取締り、以下の典型的事例を選定し公示した。

1.孫氏らの有名ブランド自動車ガラス偽造販売調査処分事件(浙江省海寧市市場監督管理局)
 被疑者は、2018年からガラスメーカーから自動車ガラスを購入し、BMW、ベンツ、ホンダ、フォルクスワーゲン、トヨタ、GM、フォード、マツダ、フィアット、ロードタイガー、レクサス、ジャガーなどのブランドの商標を印刷し、浙江、江蘇、山東、河南、湖北、湖南などで販売し、2億元以上を売り上げた。商標法57条違反し、市場監督管理局は公安局と協働し、9人を逮捕、26人を拘束した。

2.劉氏らの偽造化粧品不法製造販売調査処分事件(江蘇省東台市市場監督管理局)
 被疑者らは、2022年から住宅でL’Oreal、Fresh、Lancome、Olayの化粧品の偽物を製造販売し、正規品に近い価格で販売し1.3億元に達した。市場監督管理局と公安機関は、生産拠点3か所、販売拠点2か所で大量は包装材料などを押収、上海、広東、浙江など5省8市にまたがる化粧品の不法製造販売ネットワーク1カ所を捜査破壊し、容疑者17人を逮捕した。

3.南寧市日月泉茗茶店の「中茶」登録商標侵害調査処分事件(広西チワン族自治区南寧市市場監督管理局)
 被疑者の店内で「中茶」の標章、「中国土産畜産輸出入会社雲南省茶支社」と商標権を侵害する大量のプーアル茶500万元相当が発見され、公安機関と連携して製造販売拠点を追跡し、11人を逮捕し、9000万元相当の茶葉を押収した。

4.天津北江軽自動車技術有限公司の「DENSO」「TOYOTA」登録商標侵害調査処分事件(天津市北辰区市場監督管理局)
 被疑者の事業所の捜査でDENSO」「TOYOTA」ブランドの偽点火コイル5.4万本、約1,717.5万元相当が発見され、商標法57条に違反し、犯罪行為があるとして公安局に移送し処理した。

5.楊某氏の「FION」登録商標虚偽表示調査処分事件(湖北省利川市市場監督管理局)
 被疑者は、住宅で2022年11月からインターネットを通じて「FION」ブランドの偽バッグを販売し、既に1000個以上販売し、4524個の在庫があり600万元相当し、商標法57条に違反し、犯罪行為があるとして公安局に移送し処理した。

6.新疆阿加依普国際貿易有限責任公司の化学肥料特許虚偽表示調査処分事件(新疆ウイグル自治区和田地区市場監督管理局)
 被疑者の事業所の捜査で包装に「錯化チタン特許配合ZL 201610715940.8」と印刷されたフルボ酸硫黄系窒素肥料、窒素配合肥料、尿素アンモニウム窒素肥料を発見したが、既に76トン15.86万元に相当するが、同特許は拒絶査定されており、特許権が付与されていないにもかかわらず特許表示したことが判明し、違法所得1.13万元を没収、罰金7.5万元で処罰した。

7.上海聖貝企業服務有限公司の無権専利代理行為調査処分事件(上海市市場監督管理局)
 被疑者は、「執業許可証」を取得せずにそのウェブサイトで宣伝し、2021年9月から109社と特許出願委託代理契約110件を締結し、発明、実用新案など特許出願831件を受任し497件を出願した。専利代理条例9条に違反し、違法所得5.22万元没収、罰金5.22万元で処罰した。

8.中知産(北京)知識産権運営管理有限公司の偽造証明書による商標出願調査処分事件(北京市市場監督管理局)
 被疑者は、「青龍絨毯カシミヤ」など3件の地理的標識証明商標出願代行過程で、出願人と共謀し必要書類や公印を改ざんしたことが判明し、市場監督管理局は警告と罰金8万元で処罰した。

9.済南成和知識産権代理有限公司の無権商標代理行為調査処分事件(山東省済南市市場監督管理局)
 被疑者は、2019年11月1日以来、49社を代理し大量の商標出願をしたが、当該出願商標はAdidas、SKAJ USA、Lacoste、New Balance及びその他の著名商標或いは非常に類似した商標であり、「便乗」「すり寄り」の意図は明らかで出願秩序を乱しているとして、商標法19条3項に違反し、悪意商標出願の違法行為を構成するとして、警告、違法所得0.5万元の没収、罰金4万元、また責任者に警告、罰金2万元で処罰した。

10.成都愛爾眼科病院有限公司の第31回ユニバーシアード大会ロゴ無断使用調査処分事件(四川省成都市青羊区市場監督管理局)
 被疑者は、第31回ユニバーシアード夏季大会実行委員会の許可を得ずに、成都ユニバーシアードのエンブレム、文字、図形を微信公式アカウントのツイートに使用し、特殊標識管理条例16条に違反するとして、罰金3000元で処罰した。

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/xw/zj/art/2024/art_67e05d6c113943f58b0bd19e2ead74ea.html

【中国】CNIPA「2023年知識産権保護状況」白書を公示(4月30日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月30日付、例年発行している「2023年知識産権保護状況」白書を公示した。構成内容は、保護効果、制度建設、承認登録、文化建設、国際協力からなり全38頁である。

1.保護効果では、司法保護で民事訴訟第一審受理が46.2万件(+5.4%)、行政第一審受理は2万件(-0.3%)、刑事第一審が7千件(+37.4%)であった。行政保護では、各地の市場監督管理局の知的財産権侵害紛争は6.8万件(+18.8%)、商標違法処理3.94万件などである。

2.制度建設では、特許法実施細則が改正され、商標法、商標法実施条例、植物新品種保護条例が改正途中である。そのほか、不正当競争法、電子商取引法、著作権法実施条例、著作権団体管理条例も改正中である。また、部門規定、司法解釈、規範的文書も改正された。

3.承認登録では出願登録件数が紹介され、発明特許登録92万件(+15.3%)、PCT出願国内受理7.4万元(-0.9%)、拒絶査定不服審判10.6万件(+1.0%)、無効宣言審判8.7千件(+23.2%)。商標登録738.3件(-29%)、マドプロ出願国内受理6.2千件(+6.3%)、異議申立11.5万件(-21.1%)。著作権登録は892.3万件(+40.7%)コンピュータプログラム登録249.5万件(+35.9%)。

4.文化建設では、宣伝普及で年次報告、典型事例の紹介、また小中学校のレベルから知財教育課程を設けるだけでなく、行政組織の担当者にもトレーニング課程を設けレベルアップを図っている。

5.国際協力では、意匠法条約や知的財産及び遺伝資源に関する外交会議に関連する協議積極的に推進し、中国とEUの地理的表示の保護協定などを推進、また一帯一路の国家と地域の知的財産権交流、5局の協力体制などに取り組んだ。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/4/30/art_91_192134.html

【中国】知的財産権法治保障の強化、協同保護の深化に関する意見(4月25日)

国家知識産権局と司法部は、4月25日、地方政府の知識産権局と司法局に「国家知的財産権局、司法部による知的財産権の法治保障の強化、協同保護の深化に関する意見」(国知発保字〔2024〕12号)を通知し、知的財産権の「厳格保護、広範囲保護、迅速保護、同時保護」活動の構築を共同で推進するための意見を通知した。

本意見では、以下の7項目を挙げている。
(一)知的財産権法制度の整備強化
データの知的財産保護ルールの確立、改正行政処罰法の総合的実施、特に処罰しない具体例を明確化
(二)知的財産権侵害紛争の行政裁決推進
特許権侵害紛争の行政裁決業務を地方行政法に組み入れ、行政裁決業務に対する政策誘導と業務指導を強化する。
(三)知的財産権紛争解決に社会的共同統治(調停、仲裁)の推進
(四)鑑定公証機関の支援発揮
   「知的財産権鑑定業務の強化に関する指導意見」を推進し、知的財産権鑑定機構の育成強化と基準の健全化を計り、公証機関によるサービスを活用した証拠保全を強化する。
(五)弁護士の知的財産権法律サービスの深化
(六)知的財産権文化理念の宣伝活動拡大
(七)知的財産権の国際交流協力深化

司法事件の増加による人員不足や審理遅延に対応するため、行政保護や行政調停・仲裁を推進するための課題を解決するための協力関係を明確にしたものである。

参照サイト:https://mp.weixin.qq.com/s/ZSMwLi7B7UhEZygOj-Li9g

【中国】2024全国知的財産権行政保護業務計画(4月25日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月26日、地方政府の知識産権局に「2024全国知的財産権行政保護業務計画」(国知発保字〔2024〕13号)を通知し、貫徹、実行を指示しました。業務計画では、この1月に施行された特許法実施細則と特許出願行為を規範化させる規定を確実に実行することを最初に据え、特許権、商標権と地理的表示の保護の4項目を中心にしている。

特許と商標については、適正な出願行為となるよう、非正常特許出願、悪意先取り商標出願があれば刑事訴追することも視野に入れることを含めている。また、保護重点分野として、食品と医薬品、リハビリテーション補助具、子供のおもちゃ、家庭用電化製品、種子産業、セメント、公衆衛生、公共の利益や国家の重要な利益に関連するグリーン技術や低炭素技術などの主要分野への重点を引き続き強化するとともに、半導体、量子技術、人工知能、モバイル通信、ハイエンド機器製造、新エネルギー、新素材、バイオテクノロジー、省エネ、環境保護などの戦略的新興産業の保護を強化するとしている。

地理的表示については、登録業務を厳格に行うとともに、一次農産物、加工食品、医薬品素材、伝統工芸品などの分野に焦点を当て特別な保護作業を引続き実施するとしている。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/4/26/art_546_191948.html

【中国】2023年知的財産権行政保護典型事例(4月26日)

国家知識産権局は、4月26日、2023年に行政保護を行った特許、商標及び地理的表示の紛争事件からそれぞれ10件の典型事例を公示した。対象事件は以下の通り、地理的表示事件は省略する。

●特許行政保護典型事例
1.「窓貼り機の切断予圧装置」実案特許201721264785.9(温州荘達印刷機械有限公司)侵害紛争事件、広東省広州市知識産権局、浙江省温州市知識産権局の合同処理(行政調停和解、合理的権利維持費用の支払)
2.「トナーカートリッジ及び画像形成装置」発明特許201010211753.9(富士ゼロックス株式会社)侵害紛争事件、北京市知識産権局処理(製造販売停止、製造機器などの廃棄、在庫などの市場投入禁止)
3.「新型汚水遮断環境配慮型雨水流入口」実案特許201920377144.7(安徽省亜京雨水利用技術有限公司)侵害紛争事件、南京市知識産権局処理(販売停止)
4.「薬瓶のラベル」意匠特許202130389718.5(河北坤安薬業有限公司)侵害紛争事件、河北省石家庄市知識産権局処理(製造販売停止、製造機器などの廃棄、在庫などの市場投入禁止)
5.「ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物含有医薬品」発明特許201210201489.X(AstraZeneca (Sweden) Ltd.)侵害紛争事件、上海市知識産権局処理(販売停止、サイトのネット接続切断)
6. 「包装箱(果汁文旦)」意匠特許202230645195.0(頼友陽)侵害紛争事件、福建省平和県知識産権局、山東省無棣県知識産権局共同処理(行政調停和解、司法確認)
7.「グリチルリチン酸ジアンモニウムの組成物」発明特許200610040759.8(江蘇正大天晴薬業股份有限公司)侵害紛争事件、浙江省杭州市知識産権局調停(行政調停、和解契約締結、司法確認)
8.「コンドーム(テクスチャーシリーズ)」意匠特許201530111370.8(蘇州翰墨科技有限公司)再犯侵害紛争事件、天津浜海高新技術産業開発区市場監督管理局処理(侵害停止、違法所得没収、罰金1万元)
9. 「不規則なシャーシ構造」実案特許202222656483.3(東莞市金河田実業有限公司)侵害紛争事件、安徽省馬鞍山市知識産権局処理(侵害停止、後日保護センターでの和解)
10. 「陶磁器花器(奇異)」意匠特許202130401899.9(景徳鎮市貝漢美陶磁有限公司)侵害紛争事件、江西省景徳鎮市知識産権局処理(侵害停止、後日行政調停、司法確認、賠償金支払)

●商標行政保護典型事例
1.「小米」商標第8228211号9類(小米科技有限責任公司)侵害紛争事件、広東省深圳市市場監督管理局(知識産権局)処理(侵害停止、罰金1265万元、営業許可取消)
2.「図+Castol」商標第5212636号、「嘉实多」商標第1972857号4類(Castrol Limited)侵害紛争事件、安徽省合肥市市場監督管理局(知識産権局)処理(侵害停止、侵害品没収、罰金20万元、拘留7日、信用喪失名簿記入)
3.「蓝月亮」商標第7613055号3類(広州藍月亮実業有限公司)侵害紛争事件、浙江省麗水市遂昌県市場監督管理局処理(侵害停止、教育指導)
4. 「〇に牛栏山」商標第866912号33類(北京順鑫農業股份有限公司欄山酒廠)侵害紛争事件、広西壮族自治区河池市天峨県市場監督管理局処理(5人逮捕、検察起訴中)
5. 「喜丰+図」商標第1372525号1類(広西鹿寨万強化肥有限責任公司)侵害紛争事件、広西壮族自治区賀州市市場監督管理局処理(12人逮捕、70万元資金凍結、3人検察起訴審理中)
6. 「〇にUL」商標第13084672号42類(UL LLC)侵害紛争事件、四川省成都市成華区市場監督管理局処理(罰金41万元)
7. 「kuka/顾家家居」商標第45419791号20類(顧家家居股份有限公司)侵害紛争事件、江蘇省南通市通州区市場監督管理局(知識産権局)処理(故意侵害、侵害標識没収、罰金17.5万元)
8. 「贵州茅台」商標第3159141号、「贵州茅台酒+図形」商標第10195605号など33類(中国貴州茅台酒廠(集団)有限責任公司)、「WULIANGYE+五粮液」商標第3467940号など33類(四川省宜賓五粮液集団有限公司)侵害紛争事件、遼寧省沈陽市市場監督管理局(知識産権局)処理(5人逮捕、2~3年の禁固、罰金)
9. 「図」商標第283610号、「柒牌」商標第12212099号25類(福建柒牌時装科技股份有限公司)侵害紛争事件、浙江省桐郷市市場監督管理局処理(侵害停止、罰金18万元、信用喪失名簿記入)
10. 「超级飞侠+図形」商標第18169925号20類(奥飛娯楽股份有限公司)侵害紛争事件、重慶市大渡口区市場監督管理局処理(侵害停止、製造用器具没収、罰金3万元)

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/4/26/art_3382_5.html

【中国】2023年税関知的財産権保護状況と10大典型事例(4月25日)

中国海関総署(税関総署)は、4月25日付、2023年は中国税関での知的財産権保護活動30周年でもあり、2023年の統計から保護活動の推移と変化、国際関係や宣伝教育まで9項目からなる包括的な報告書を公示した。また、4月26日には、10大典型事例を公示している。

1)2023年全国税関知的財産権保護施行情況
 2023年に全国の税関は輸出入関連で6.7万件の知的財産権保護措置を実施し、実際に被疑権利侵害貨物を62,100ロット、8,289万個を差押えた。

―商標権保護事件が依然として捜査の重点
 全国の税関が差押えた被疑権利貨物は、商標権、特許権、著作権、オリンピック標識など多くの種類の知的財産権に関連している。その中で、商標権侵害事件は特に際立っており、被疑商標権侵害貨物を61,610ロット、8,172,7500件を差押え、それぞれ年間総差押数の99.12%と98.6%を占めている。被疑著作権侵害貨物を534ロット、101.2万件を差押え、それぞれ全体の0.86%と1.22%、被疑特許権侵害貨物10ロット、14.53万件を差押え、それぞれ0.02%と0.18%を占めている。
―職権調査処理モデルが依然として主流
 全国の税関は貨物輸送ルートで被疑権利侵害貨物2,832ロット、7459.11万件を差押えた。その内、職権による被疑権利侵害貨物の差押件数は2,803ロット、74,356,400件で、それぞれ貨物輸送ルートの総差押数の98.97%、99.68%である。申請による被疑権利侵害貨物は29ロット、23.46万件で、それぞれ貨物輸送ルートの総差押数の1.02%、0.32%である。
―新業態分野の法執行効果は持続的に向上
 インターネット発展に伴い、越境電子商取引ルートの法執行は長年に渡って増加してきた。2023年の全国税関は越境電子商取引ルートでの被疑権利侵害貨物を26,600ロット、430.3万件差押え、対前年比26.4%、6.6%それぞれ増加した。また、市場購買取引方式で申告した被疑権利侵害貨物は967ロット、28,064,900件で、対前年比44.3%、3.2%それぞれ増加した。

―中西部税関の法執行能力が向上
 東部沿岸地区の税関が依然として知的財産権保護の主流で、2023年、上海、寧波、広州、深圳などの地区の税関は、被疑権利侵害貨物49,500ロット、8,179.3万件を差押え、年間総差押数はそれぞれ79.71%、98.67%である。南昌、南寧、成都、昆明、西安など中西部地区の税関は被疑権利侵害貨物12,600件、109.65万件、その内、太原、重慶、貴陽などの税関の差押ロットは前年比2倍以上増加し、合肥、鄭州などの税関の差押件数は前年比2倍以上増加した。
―権利侵害貨物に明らかな変化はない
 差押ロットの統計によると、衣服・靴・帽子、革のバッグ、電子機器などの貨物が依然として上位3位を占め、それぞれ3.9万ロット、1万ロット、0.5万ロットである。差押数から見ると、電子機器、スポーツ用品、タバコなどの貨物が上位3位を占め、それぞれ2,007.8万件、1,314.2万件、1,156万件である。
―知的財産権税関登録は安定
 2023年もより多くの権利者が税関保護を通じた権益の保護を選択しており、税関登録システムは利用者登録申請4,217件を受理、4,054件を登録した。2023年の税関登録申請は、21,203件を受理し、19,009件を登録、その内、12,911の国内権利者が増加し、受理総数は3年連続で2万件を超えた。

税関はこの30年間さまざまな状況の変化に合わせて、対策を整えている。税関の能力向上のために、2023年12月には「税関行政処罰裁量基準(三)」を公示し、知的財産権保護の作業手順を策定し各地の税関での業務ガイドラインに反映された。また、知的財産権保護では「龍騰活動」の特別プロジェクト7年連続継続しており、上海などの沿海では家庭用品、重慶など内部では機械・自動車部品などが押収しており、中欧の貨物列車には多くの対策をとっている。そのほか、個人による小口貨物の輸出入、積替え貨物、ECサイト取引の貨物などにスマート税関を構築するなどとして、高レベルの検出や作業チームのネットワーク構築などを進めている。

2)2023年税関差止10大典型事例
事例1:南京・常州税関でのビックデータを利用した商標権侵害ベアリング一括摘発事件
事例2:黄埔・沙田税関での同一輸出ルートの商標権侵害電源アダプタ一括摘発事件
事例3:深圳・蛇口税関での内外企業の商標権侵害イヤホン一括摘発事件
事例4:広州・江門税関での大量な特定個人の小口郵便の商標権侵害衣料一括取締事件
事例5:厦門と南昌など複数の税関の協働による商標権侵害ウェットティッシュ摘発事件
事例6:杭州と天津税関の協働による商標権侵害南京錠摘発事件
事例7:青島・成都・合肥税関が連係した複数の商標権、著作権侵害貨物摘発事件
事例8:ウルムチ、福州、重慶、鄭州税関での越境ECルート商標権侵害品摘発事件
事例9:上海、大連、南寧、長沙税関での「一帯一路」共同建設での商標権侵害貨物摘発事件
事例10:北京、寧波、ラサ、昆明税関でのマルチルートの権利侵害貨物摘発事件

参照サイト:http://xian.customs.gov.cn/customs/xwfb34/302425/5837035/index.html
http://xian.customs.gov.cn/customs/xwfb34/302425/5837268/index.html
https://mp.weixin.qq.com/s/CQ5kj5vyVodcDFNc6zip1w

【中国】「商標権侵害違法事業額算定弁法」の意見募集(4月11日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月11日、商標権侵害事件での違法事業額算定弁法(意見聴取稿)(商标侵权案件违法经营额计算办法)を公示し、5月15日まで一般からの意見を募集する。

商標行政保護事件で違法事業額の算定は、行政処罰の重要な根拠であるが、現行商標法及び実施条例に違法事業額算定に対する比較原則が規定されているが、関連の詳細な基準がない。地方政府の法執行機関は、統一規範となるガイドラインがなく、複雑な事件での違法事業額の算定でのリスクがある。そのため、商標行政保護の専門的指導、法執行基準の統一、行政処罰の根拠の透明性と予測可能性を高めるために本弁法が起草された。

意見募集稿は19条からなり、制定目的と法律根拠、適用主体と事件範囲、原則遵守などの内容が第1〜第3条。違法事業額の定義が第4条、違法事業額の一般的な算定基準が第5~第7条、複雑な権利侵害情況における違法事業額の算定基準が第8条~第15条、その他の違法事業額の決定が第16~18条に規定されている。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/4/11/art_78_191520.html
仮訳

【中国】2023年法治政府建設状況報告(3月29日)

国家知識産権局(CNIPA)は、3月29日、記者会見を開き、3月11日に終わった第14期全国人民代表大会(全人代)第2回会議での活動報告における本年度の知財活動の指針として、「新たな生産力開発の加速による科学技術イノベーションによる産業イノベーションの促進」、「知的財産権保護強化による科学技術成果の変革と応用を促進するための政策と措置の策定」、「市場化、法治化、国際化による一流のビジネス環境の構築」およびその他の知的財産に関連する業務を上げ、次の6項目を目標に挙げた。第一に知的財産権の法治保障の強化、第二に知的財産権の保護強化、第三に知的財産権の転化運用の推進、第四に質の高い産業の発展支援、第五に高いサービスレベルの対外開放、第六に知的財産権業務の基盤強化。こうした目標を達成することで、知的財産権強国建設要綱と「第14次5カ年計画」の達成を図るとしている。

同時に、CNIPAは、「2023年法治政府建設状況報告」を公示し、全9部29項目の対策方針で知的財産権の法治保障を持続的に強化するとしている。その概要は以下の通り:
一、政治主導強化による法治建設に対する党の指導強化
(1)共産党総書記の法治思想の学習・宣伝・貫徹
(2)法治政府建設の統一的推進
(3)法治建設に局長の職責履行
二、政府の役割の発揮
(1)知的財産権強国建設要綱(2021-2035年)と「第十四次五か年計画」の遂行
(2)国家知識産権局事業環境の最適化
(3)インターネットを活用した知的財産権関連業務の監督管理の強化
三、法に基づく行政制度体系の健全化、政府のガバナンスの推進加速
(1)特許法制度改正施行の組合せ実施による最適化
(2)商標法制度の改正推進
(3)地理表示法律制度の改正推進
(4)問題対応の「ツールボックス」(ガイドブック)の提供
(5)規範的文書管理の強化
(6)公職弁護士チームの構築強化
(7)地方政府の行政法立法の指導強化
四、行政政策決定の公信力と実行力の向上
(1)法に基づく意思決定意識の強化
(2)重大な行政決定手順の厳格な実行
五、行政法執行の規範化を全面的に推進
(1)行政法執行の規範化を推進(CNIPAによる指導)
(2)行政法執行指導強化(典型事例の活用)
六、行政調停・処分の健全化
(1)行政調停の役割を積極的な発揮
(2)行政裁決業務の強化
(3)再審業務の厳格な実施(行政裁決再審、特許や商標出願の審判など)
七、行政権力の制約と監督システムの健全化(内容省略)
八、法治教育の宣伝による環境整備(内容省略)
九、課題と専門性の対応(内容省略)

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/3/29/art_541_191295.html
記者会見サイト https://www.cnipa.gov.cn/col/col3368/index.html

【中国】偽物・粗悪品製造販売犯罪典型事例(3月14日)

最高人民検察院は、3月14日付け、検察機関が法に基づき偽物・粗悪品の製造販売を処罰した模範となる典型的事例5件を発表した。
2023年に、中国の検察機関は、偽物粗悪品犯罪で8,503件14,560人を逮捕、18,777件38,936人を起訴し、行政法執行機関に偽物や粗悪品に関わる刑事事件1,634件1,778人を移送し、公安局に2,645件2,879人を刑事事件で立件するよう勧告した。最高人民検察院は、重大な偽物や粗悪品の刑事事件に監督と指導を強化するとともに、公安部、農業農村部、国家市場監督管理総局と共同で、偽造品や粗悪な農産物の製造・販売に関わる14件を刑事事件で処理した。さらに、国家著作権局及びその他の部門と共同で3 回に分けて 150 件の重大な侵害および著作権侵害事件の処理し、事件の大幅な進展を推進している。以下は、典型事例5件の概要である

事例1:解氏ら8名による粗悪レンジフード・ガスコンロ製造販売事件
概要:被告らは広東省や山東省から部品を購入しIROBAIN(老板时代)、OPAICN(广欧)などのブランドで粗悪レンジフードやガスコンロを製造し、WeChatで販売し、解氏など8名はそれぞれ228万元~21万元を売上げた。公安局は現場で偽造レンジフード408台とガスコンロ1,640台を押収し検査したところ、規格に不適合であった。
地域:江蘇省関雲県人民検察院、上訴棄却。
処罰:各被告ごと、禁固10年から1年、罰金120万元から1万元。
意義:(1)模倣品・粗悪家電製品の製造・販売犯罪を厳罰、(2)対象商品の品質とインターネットでの販売量を正確に把握。

事例2:袁氏ら4名による粗悪肥料、商標偽造肥料の製造販売事件
概要:被告らは某農業集団の保有する2つの登録商標を無断で使用し、WeChatやECサイトにショップを開設し、模倣品や粗悪な肥料を製造販売し、778万元以上を売上げた。また、品質は国家基準を満たさない不良品であった。
地域:山東省林樹県人民検察院
処罰:袁氏は禁固15年と罰金500万元、郭氏らは、禁固8年6か月から8年と罰金200万元から130万元、商標権侵害罪には禁固3年、執行猶予3年、罰金15万元の判決を追加された。
意義:(1)農業生産の安全を確保、(2) 検察機関と郡農業農村局を含む13部門の連携。

事例3:青島某生物科技有限公司ほかの有害催淫性食品販売事件
概要:被告らは、ホスホジエステラーゼ及びその誘導体等の成分の食品への添加を禁止することを知りながら錠剤キャンディを青海、浙江省の拠点でそれぞれ30万錠以上生産し、チャットアプリやECサイトで腎臓強化などの虚偽広告を掲載し、上海、青海省、安徽省などで販売し、130万元以上を売上げた。食品からは国が禁止する成分シルデナフィルが含まれていることが判明した。
地域:上海鉄道運輸検察局
処罰:被告企業には50万元の罰金。賈氏ら被告13人には5年3か月から8か月の禁固、一部の被告には執行猶予と44万元から3000元の罰金が併科された。
意義:(1) 有毒・有害食品の製造・販売の厳格取締、(2) 検察と警察の協力と執行連携メカニズムを強化

事例4:武氏らによる偽薬品販売事件
概要:被告らは、共謀して偽のアジブジン薬を共同製造し、2,700 箱以上販売、総額74.9万元を売上げた。対象薬物からはアジブジン成分は検出されなかった。
地域:河南省平頂山市湛河区人民検察院、二審で王氏に追加の禁固刑。
処罰:被告の武氏には禁固11年、罰金115万元の罰金、寧氏には禁固10年と罰金35万元、王氏には禁固6年、罰金2万元、被告の武氏と寧氏には懲罰的損害賠償が追加された。
意義:(1) 偽造医薬品の製造・販売の厳格取締、(2)犯罪と刑罰に相応の適用保証携

事例5:王氏ら約20名による登録商標偽造、商標虚偽表示パイプ継手販売事件
概要:被告の王氏らは浙江某パイプライン技術有限公司の登録商標の複数の登録商標を無断で使用し、PPR管継手を製造し、WeChatなどで販売し、総売上高は593万元を超え、不当利得は約50万元を超えた。葛氏、莫氏、魏氏などは模倣品であることを知りながら販売し、12.5万元から123.6万元を売上げた。
地域:浙江省新昌県人民検察院
処罰:被告の王氏には、登録商標偽造罪で禁固5年3か月、損害賠償101万元。葛氏、莫氏、魏氏など19人の被告に商標虚偽表示商品の製造販売罪で3年から8か月の禁固・執行猶予付きの禁固刑と罰金刑。肖氏と袁氏はそれぞれ懲役3年と懲役2年と罰金。民事賠償総額は280万元を上回った。
意義:(1)犯罪チェーンの捜査と適切な処罰、(2)刑民事による適切な権利者保護

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/xwfbh/wsfbt/202403/t20240314_649482.shtml