【中国】「商標3年連続不使用取消」申請厳格化後の現状(9月6日)

国家知識産権局商標局が登録商標に対する3年連続不使用取消の手続きを厳格化したことを、本サイトでは6月1日に掲載した。9月5日から中国商標協会が主催する中国国際商標品牌節(中国国際商標ブランドフェスティバル)が開催されており、この件についての現状の報告がされているので、情報を更新する。

商標局によると、今年1月から7月までの商標3年連続不使用取消申請件数は、約127,100件、前年同期比▲3.2%減少した。この内、商標局は、6,736件を却下し、前年同期比+58.9%増加した。この却下申請には、悪質な申請が841件が含まれる。一方、不使用取消申請に対して商標局が修正指示を出した案件は毎月減少しており、4月の38.6%が6月は6.9%まで減少し、提出された申請書類の標準化が進んでいることが分かる。

この間、商標局は異常な申請行為を行った申請人10名以上に対応しており、特に、個人2名が商標代理人事務所4社に依頼して、3件の商標に不使用取消申請440件以上を依頼していたことが判明している。その代理人も身分証明書を偽造するような不正行為が行っている。商標局は悪意や不正な商標出願を監視しており、現状で961件のそうした情報を保有しており、これには16件の悪意による不使用取消も含まれている。

いずれにしても、通常の手続きで不使用取消申請ができるようになることが好ましいところである。

出所:中国知的財産報ほか
https://www.iprchn.com/cipnews/news_content.aspx?newsId=143703

【中国】「商標不使用取消」申請要件厳格化(5月26日)

国家知識産権局(CNIPA)商標局は、5月26日、申請効率を向上させるとして、2023年3月に公示された商標三年連続不使用申請の要件をさらに厳格化し公示した。

本公示はガイド(手引き)の位置づけと思われるが、公示の趣旨や理由の明確な記載がないものの、最近中国では不正や悪意による不使用取消申請が増加している情況があるための措置と理解できる。現行商標法の規定は、誰でも三年連続不使用による取消申請ができるために、不正や悪意による申請を防ぐために、下記の15項を追加することで、簡単な申請書の記載要件を厳格化するとともに、不使用の立証を少なくともインターネット検索結果を提出させるように改正したと思料する。現状では、商標代理人が悪意による手続きに加担或いは主導している情況もあることから、不使用取消手続きが架空の名義であったり、申請人の意思でなかったりするようなこと想定されるために、商標局がそれらを確認する補充提出を要求することもあるようである。

以下は、商標局の公示内容である。
法律根拠: 商標法49条2項 正当な理由なく連続する3年間に使用がない場合、如何なる単位或いは個人は商標局に当該登録商標の取消を請求することができる。関連規定:商標法実施条例66条 請求するときにその状況を説明しなければならない。
提出書類:

(1)申請書類
 1.三年連続不使用商標取消申請書(定型書式)
 2.不使用を示す事前調査証拠(オンライン検索結果、市場調査報告書など)
 3.申請人の身分証明書(営業許可証、現在事項証明書、身分証明書など)のコピーに社判或いは署名
 4.商標代理人に委託する場合、委任状
(2)具体的要件
 1. 申請人は、申請書に必要事項を忠実に記入し、勝手に書式を変更してはならない。申請書は、タイプまたは印刷により作成する。
 2. 申請人の氏名及び押印(署名)は、身分証明書の氏名と一致しなければならない。申請者が個人である場合は、氏名の後に身分証明書番号を記入する。
 3. 申請人の住所には、省、市、県その他の行政区画名を記載しなければならない。申請人は、身分証明書に記載の住所を記入する。申請人が個人の場合、送付先住所を記入することができる。
 4. 商標代理人に申請を委託する場合、代理機構の氏名を記入し、「代理機構印/代理人署名」に代理機構の社判の押印と代理人が署名する。
 5. 共有商標の取消を申請する場合、「商標登録人」に当該共有商標人の代表者の氏名を記入する。
 6. 認可商品/役務の一部を取消申請する場合、「取消す商品/役務」の欄に取消申請する商品/役務名を記入するが、認可された商品/役務の名称と同じでなければならない(別紙を追加して記載できる)、各商品/役務名はセミコロンで区切る。認可商品/サービスの全部を取消申請する場合、「すべて」と記入する。  
 7. 商標法実施条例の規定に基づき、申請人は取消理由で対象商標が正当な理由なく3年連続使用されない関連状況を説明するとともに、対象商標が3年使用されない初歩的調査証拠、インターネット検索結果、市場調査報告などを添付する。
 8. 申請人が法人或いはその他の組織の場合、「申請人印(押印)」の欄に押印する。申請人が個人の場合、ここに署名する。押印或いは署名は完全で明瞭でなければならない。
 9. 申請は申請前に、取消対象商標の登録状況を照会し、対象商標の現在の登録人の状況を申請書に記入する。 
 10. 登録商標の取消を申請する場合、対象商標の公告日から満3年が過ぎてから国家知識産権局に申請することができる。
 11. 商標法第49条2項により国際登録商標の取消申請は、対象商標の国際登録出願の却下期限満了日から3年後に国家知識産権局に申請することができる。却下期限が満了しても再審却下或いは異議申立に関する手続きがある場合、国家知識産権局が下した登録査定の発効日から満3年が過ぎてから国家知識産権局に申請することができる。
 12. 当事者が決定に不服の場合、取消決定受受取日から15日以内に国家知識産権局に再審を申請することができる。
 13. 申請人は、申請する前に「申請人承諾」の承諾内容をよく確認し。申請が提出されたときに、申請人は承諾内容を受入れたものと見做される。
 14. 申請人が提出した資格証明書類は商標審査審理指南上編第一部第一章5.1節の要件に適合する、商標第理委任状などの書類は商標審査審理指南上編第一部第一章5.2節の要件に適合するものを提出する。
 15. 初歩的調査証拠には、申請商標の登録人の事業範囲或いは業務範囲、事業状態或いは存続状態などの情報、申請商標の市場調査状況、関連する調査は専門調査プラットフォームに限らず、申請商標の登録人の公式サイト、WeChat番号、電子商取引プラットフォーム、オフライン生産事業所などのインターネット調査、市場調査、実地調査などの証拠材料など証拠資料が含まれるが、これらに限らない。
 16. 手数料の納付を行う。電子申請は区分ごと450元、紙申請は同500元である。
(3)手続き
 申請人が規定通りに手数料を納付後、申請人に取消申請通知書を発行するとともに、商標登録人に「登録商標使用証拠提供に関する通知」を発送する。国家知識産権局は、商標登録人が提供した登録商標の使用証拠を受取後、証拠資料を審査し、対象登録商標について取消かどうかを決定し、商標登録人と申請人に文書で通知する。商標代理人に依頼した場合、国家知識産権局は裁定書を当該商標代理人事務所に郵送する。  

日本から手続きを行う場合、代理人に委託することになるため、通常は、現在事項証明書と委任状を提供し、使用情況をインターネット検索してまとめてもらうことになるため、使用実態について、インターネット検索や現地調査により予め予備調査をすることが重要である。また、実務上、商標局は、インターネット検索を少なくとも検索エンジン、電子商取引サイト、業界サイトの3つ以上での実施結果を補充提出することを求めるなど、上記の基準以上の要求が事案により商標局より要求されることが生じているようであるため、十分な事前対策に注意が必要である。しかし、個人名での商標登録が多く、そうした情況で使用証拠を収集することは容易でなく、追加提出を要求されても準備できず、却下されるようになるのであれば、何のための法規定や制度なのか疑問となるので、あるべき姿での運用を期待するところである。

参照サイト:https://sbj.cnipa.gov.cn/sbj/sbsq/sqzn/202303/t20230330_26201.html

【インドネシア】商標不使用取消期間が5年に(7月30日)

インドネシア憲法裁判所(Constitutional Court)は、2024年7月30日、登録商標不使用事件の第二審で控訴人の主張の一部を認め、連続した3年間の使用を5年間、不可抗力による除外規定を追加する商標法改正を示した。同改正は、即日発効した。

 本事件は、中国企業が登録商標IDM000553432(HDCVI &図形、9類:CCTVカメラなど、権利者:Ricky Thio)に対し商標法77条1項に規定される3年連続不使用による取消をジャカルタ中央商事裁判所(Commercial Court of Central Jakarta)に申立て、審理を経て係争商標は取消された(判決28/Pdt.Sus HKI/Merek/2023/PN Niaga Jkt.Pst)。
 係争商標権者は、憲法裁判所の控訴審で、登録商標が3年連続で使用されなかった場合に商標権を取消す現行商標法の規定する期間は短く、商標権者、特に中小企業(SME)に十分な保護を与えていないこと、また、COVID-19を引用し、不使用期間の免除理由に不可抗力として含められるべきであると主張した。
 この主張を受けて、裁判官は、2024年7月30日の公開審理で、上訴人の主張の一部を認め、商標法の無効取消の5年に不使用取消の期限も調整することはすべての商標権者の公平性を確保し、内国民待遇の原則に沿い、商標取消に関する規制と調和すること、さらに、商標法77条2項に規定される不使用の例外規定に経済危機や通貨危機、自然災害、パンデミックなどの不可抗力の条件なども明確にすることが重要であると判断を示した(決定書144/PUU-XXI/2023)のである。
 これに基づき、憲法裁判所は、商標法77条1項の「3年間」を「5年間」、起算日を「登録日または最終使用日」とし、また2項c号の「政府の規制により制定されるその他の同様の禁止事項。」を「政府の規制により定められた不可抗力の条件を含む、その他の同様の禁止事項。」と改正することも決定したのである。
 インドネシアでは、憲法裁判所 の決定は最終的なものであり、その決定が宣告された時点で直ちに恒久的な法的効力を持つとされているため、商標法に対する憲法裁判所の決定は最終的なもので拘束力があると判断される。つまり、2024年7月30日より上記の法改正が施行されたことになる。

 インドネシアで不使用取消を申立てる場合、申立人が商標権者の不使用を立証する義務があり、主だった地域での使用状況を調査する必要があるため、調査費用が高額になる上に裁判所に申立てることになるため、申立人には負担の大きな手続きとなっている。この改正で、各国が3年としている不使用期間が5年間になるとその調査の難しさが加わることになる。悪意のある第三者による先取り登録など難しい案件では、さらに難しくなるため、異議申立の重要性が高まる。

参照サイト:https://en.mkri.id/news/details/2024-07-30/Court_Extends_Non-Use_Trademark_Period_from_Three_to_Five_Years

【アメリカ】商標近代化法による取消手続きガイド(3月8日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、3月8日付、商標近代化法(the Trademark Modernization Act (TMA) of 2020)で取消手続きのガイドに新たな実務ガイドを公示した。

新たに不使用を理由に異議申立をする抹消(Expungement)および再審査(Reexamination)手続きが導入されたが、公示では手続き時の使用証拠の評価、手続き時期を効率的に決定するために役立つ、いくつかの新しい実務を説明している。 また、手続きの上の制限との影響についても概説している。

新しい実務ガイドは、“Limitations of proceedings” と“Best practices”の項目を開くことで確認することができる。以下の事項に注目してください:
 不使用の証拠でデジタル的に変更された見本
 Petitionの準備
 関連性があり、読みやすい証拠の提出

なお、取消手続きの比較表を作成したのでご参照ください。

参照サイト:https://www.uspto.gov/trademarks/laws/2020-modernization-act

【中国】北京知識産権法院の商標権取消復審事件と偽証罪に関する報告(9月10日)

北京知識産権法院は、9月10日、商標権取消再審不服行政訴訟における偽証での処罰状況の説明会を開催した。説明会では、商標権取消復審不服行政訴訟事件の審理状況を報告するとともに、この種の事件で3年連続不使用の使用証拠の偽証行為の現状、規制する主な方法と知的財産権の一連の保護強化に対する提案、及び典型的事例6件を発表した。
以下は、その報告の抜粋を紹介する。全文は当社サイト「ひとりごと」でご確認ください。

1.商標権取消復審不服行政事件に関わる偽証での処罰情況の報告

(1) 北京知識産権法院での商標権取消復審不服行政事件の審理状況
 2019年以降、本院は商標登録権利確認事件40,114件を結審した。その内、商標権取消復審行政事件は3,843件と全商標登録権利確認事件の9.6%を占める。この内、国家知識産権局が商標を取消した事件は970件と取消率は27.7%で商標登録権利確認事件の平均取消率を上回る。本院が審理したこうした商標権取消復審不服行政事件には以下の特徴がある。
①商標権取消復審不服行政事件は商標3年連続不使用行政事件が占める比率が高い。
②商標権者は通常行政訴訟手続きで新しい証拠を補充提出する。
③商標権者は十分な使用証拠を提出できない場合、虚偽の証拠を提出することさえある。
④行政訴訟での取消率は行政事件の平均取消率より高い。

(2) 商標権取消復審行政訴訟事件における偽証行為を規制する主な方法
 商標の価値はその使用にあり、使用を通じて商品或いはサービスの出所を識別する役割を発揮する。しかし、商標権者が行政訴訟で商標の使用証拠を偽造する行為は、商標の使用事実を捏造し、信義誠実の精神の欠如や希薄な遵法意識などの問題を反映している。このような行為に対して、本院は多くの商標権取消復審不服行政事件で処罰を科した。2016年10月、登録商標第146278号「家家JIAJIA及び図」の商標権者には虚偽の証拠を提出した行為があると認定し、行政訴訟で初めて、行政訴訟法の関連規定に基づき偽証に対し1万元の罰金を科した。信義誠実による商標登録と使用の秩序を構築するため、本院は今後も以下の多くの措置を採り全面的に偽証行為を規制する。
①証拠原本との検証や証拠審査のレベルを向上する。
②公的サイトを利用し、主導的に証拠の真実性を検証する。
③提出理由の説明と偽造証拠の結果の釈明を命じる。
④審査基準を厳格化し、3年連続不使用の商標は取消す。
⑤偽証行為を厳格に処分し、法に基づき処罰する。
⑥原因を整理し、訴訟ガイドラインを補強する。

(3)偽証行為のさらなる規制と全てのチェーンにおける保護強化に関する提案
 知的財産権保護は一つの体系的プロジェクトであり、審査登録、司法保護、業界自律などの連携における協同と協力を必要とし、知的財産権の大規模な保護活動の枠組みを構築する必要がある。商標権取消復審不服行政事件での偽証行為をさらに規制し、知的財産権の全てのチェーンにおける保護を強化するため、本院は以下に掲げる内容を提案する。
①商標の使用行為を完備する。
②信義誠実の原則を強化する。
③商標の使用証拠の審査と処罰レベルを強化する。
④司法手続きと行政手続きの連携を強化し、連動メカニズムを確立する。

2.商標権取消復審行政事件での偽証処罰典型事例
①登録商標第1486278号“家家JIAJIA及び図”事件 (2015)京知行初字第1165号
 提出された検査報告書のコピーと原本の商標の不一致、ハラル食品営業許可証の事業対象の不一致、屋外広告登録証の宣伝期間の不一致、提出された領収書の品名が不一致などの事実により1万元の罰金。対象登録商標取消。
②登録商標第3084001号“茶馬古道及び図”事件 (2020)京73行初14664号など6事件
 提出された商品の写真にある商標と中国商品情報サービスプラットフォームでの商標が不一致、領収書に記載された販売者が国家企業信用情報公示システムと当該地区の工商行政管理局で確認したが不存在及び納税者識別番号もそれぞれ不一致、領収書のコピーに記載の商品と全国増値税領収書検査プラットフォームのデータに記載されている商品とが不一致及び商標の表示なしなどの事実により3万元の罰金。対象登録商標取消。
③登録商標8403409号“緑森林小屋”事件 (2020)京73行初13177号
 提出された3枚の領収書の記載と全国増値税領収書検査プラットフォームのデータの内容が不一致などの事実により1万元の罰金。対象登録商標取消。
④登録商標第9841494号“ITSTYLE ”事件(2020)京73行初13083号
 提出された領収書のコピーには商標と商品の記載があるが、全国増値税領収書検査プラットフォームのデータに記載されている商品が不一致などの事実により1万元の罰金。対象登録商標取消。
⑤登録商標第10048229号“美琪琳”事件(2021)京73行初8597号
 提出された5枚の領収書には商標の記載があるが、全国増値税領収書検査プラットフォームのデータには記載がない、商標権者が不一致を認め証拠を撤回したためきょぎこういとして1万元の罰金。対象登録商標取消。
⑥登録商標第4579231号“Black Diamond”事件(2021)京73行初3275号
 提出された2枚の領収書のコピーは領収書の作成日と番号が同じで商品名は不一致の事実により1万元の罰金。対象登録商標取消。

参照サイト:北京知識産権法院SNSサイト

【韓国】2018年商標不使用取消増加傾向

特許審判院は2014年から2018年の商標取消審判の請求件数が増加傾向であることを発表した。取消請求件数は、この5年間で74%増加、不使用取消審決も49%増加している。

審判項目/年  2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
取消請求   1,449件 1,903件 2,122件 2,124件 2,523件
不使用査定   970件  1,124件  1,207件  2,172件  1,444件

韓国では不使用取消請求を何人も可能としており、商標権者は請求日より3年間遡及した期間に継続して使用したことを立証する証拠を提出しなければならない(商標法第119条第1項第3号)。日本企業の韓国での登録商標も例外でなく、具体的な立証証拠を定期的に確保することが勧められる。

日本の商標実務家の間では日本国内での不使用取消に注目しているが、日本特許庁の年次報告書では、毎年平均1000件程度の取消請求がある一方、審決結果の統計データが公示されていないため、不使用取消件数は調べければならない。誰かご教示ください。

(出展:HA&HA)