【中国】最高人民検察院による新型生産力の発展に貢献した典型事例の公示(4月2日)

最高人民検察院は、4月2日、高度な科学技術自立の加速と新しい生産力の発展の主導に関する第15次五か年計画の主要な決定、及び知的財産国家建設綱要(2021~2035年)の実施を徹底するため、3月25日に作成した新型生産力の発展に貢献した検察機関の典型事例6件を公表した。

本典型事例には、営業秘密侵害3件、外国企業への提供による営業秘密侵害1件、著作権侵害1件、商標権侵害1件が含まれ、ハイテク企業の知的財産権に関する司法保護に積極的に応え、イノベーションを重視する強い雰囲気を醸成することを目的としている。以下は典型事例の概要ですが、原文を確認して頂けると検察院が公安局との協働した事件対応が行われていることや被害者に対して業務管理の指導を実施していることも注目される。

事例1.張某氏など14人による営業秘密侵害事件(上海人民検察院第三分院)

張氏は、元の勤務先で無線周波数チップ開発部門の責任者をしていたが退職し、自ら会社を設立し元の勤務先と同様のWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)チップを開発するために元の勤務先から4名を採用した。更に、7名を追加採用するときに、元の勤務先の従業員と共謀するなどして、元の勤務先の技術情報をスクリーンショット、コピー、WeChat送信などの不正な手段で入手した。上海市公安局は営業秘密侵害で調査を開始し、検察院に移送し、起訴した。検察院は、技術秘密の認定、共同で行った不正な手段による取得を犯罪行為と認定、犯罪での合理的損害額などを確認し、上海市第三中級人民法院に告訴した。被告は、自発的に有罪を認め、刑罰を受け入れたため、中級人民法院は、張被告に懲役6年、罰金300万元、その他の被告には禁固が5年~執行猶予付きの懲役、罰金が150万元~20万元を科した。被告14名全員が控訴せず、判決は確定した。

事例2.張某氏が外国企業に営業秘密を提供した営業秘密侵害事件(浙江省杭州市人民検察院)

張氏は、元の勤務で先半導体集積回路分野の技術開発に従事した後退職し、元の勤務先の顧客を含む複数の海外顧客に有料コンサルティングサービスを提供し、元の勤務先の「具体的な生産工程データ」および「生産能力配分、生産計画、スケジュール」に関する営業秘密を漏洩し、2,760元の不正な利益を得た。張氏は、元の勤務先と機密情報保護同意書、競業避止契約書、秘密保持契約書などに署名していた。情報提供を受けた杭州市公安局は出頭を要請したところ、犯行を正直に自白し、有罪を認めたので、検察院に移送し、起訴した。検察院は、秘密の範囲を明確に確定し、営業秘密を不正に提供した罪で杭州市中級人民法院に告訴した。中級人民法院は、検察の意見及び量刑勧告を採用し、有罪とし、懲役1年6か月(執行猶予2年)及び罰金1.2万元を科した。被告は控訴せず、判決は確定した。

事例3.胡某氏と王某氏の営業秘密侵害事件(四川省広漢市人民検察院)

胡氏は、元の勤務先で圧延生産ライン設備に関する顧客関係およびプロジェクトの維持・管理を担当した後退職し、自ら会社を設立し、スケール除去装置及び元の勤務先の圧延生産ライン設備のスペアパーツとコンポーネント事業を行った。この事業のために元の勤務先の子会社で設計者であった王氏を雇い、王氏は元勤務先のPDM機密図面システムから前述の機器の製造図面を違法にダウンロードおよびコピーし、簡単な修正を加えた後、胡氏に提供した。胡氏はその図面に基づく製品を外注し、完成品を販売した。徳陽市公安局は情報を得て調査を開始し、王氏を営業秘密侵害で検察院に起訴した。検察院は、調査・起訴の過程で胡氏が営業秘密と知りながら使用した共謀罪の疑いから補足調査をするとともに、技術秘密の認定とドイツ企業への売上利益から損害額の確定を行い、広漢市中級人民法院に両名を告訴した。中級人民法院は、胡氏に懲役1年6か月(執行猶予3年)と罰金70万元、王氏に懲役1年(執行猶予2年)と罰金50万元の判決を下した。両被告は控訴せず、判決は確定した。

事例4.某科技有限公司、温某氏他3人の営業秘密侵害事件(山東省濰坊市浜海経済技術開発区人民検察院)

低毒性除草剤であるメトラクロール製造会社とその子会社の従業員の温氏らが勧誘を受けて入社した某科技有限公司で元の会社のメトラクロールプロジェクトの関連資料に基づきプロジェクトを適用するとともに、元の勤務先の従業員よりメトラクロールプロジェクトの技術情報と試作報告書を入手、事業を実施し126万元の利益を得た。濰坊市公安局浜海経済開発区支局は被害を受けた会社から通報を受けて捜査を行い、関連証拠を確保し、某科技有限公司、温某氏他3人を刑事告訴した。検察院は、当事者個人の契約状況、権利者の秘密保持措置、損害額などを確定し、濰坊浜海経済技術開発区中級人民法院に告訴し、被害会社も刑事付随民事訴訟を提起した。中級人民法院は刑事民事判決を下し、被告の某科技有限公司に営業秘密侵害罪で100万元の罰金、温氏らにそれぞれ懲役3年と15万元の罰金を科するとともに、被害会社に損害賠償800万元超(ライセンス相当額)を共同で支払うよう命じた。

事例5.謝某氏と王某氏の著作権侵害訴訟(深圳市南山区人民検察院)

某創新科技有限公司は、写真測量技術に基づいた3D再構築ソフトウェアをアカウント登録とアクティベーションコードの購入を条件として販売し、試用版も提供していた。王氏は同ソフトウェアの認証コードの制限を回避できるプラグインをオンラインで販売した。謝氏も試用版の使用期間を無制限に使用できるようにて販売した。その後、ソフトウェアのアップデートで利用できなくなり、謝氏は新たにアクティベーションコードを生成するプラグインを作成して販売を続け6万元以上の利益を上げ、王氏は謝氏からプラグインを購入し、被害会社の農業版アクティベーションコードと併せて販売し5万元以上の利益を上げた。深圳市公安局南山支局は、被害会社の事件捜査で、謝氏と王氏を逮捕し、コンピュータ情報システム破壊容疑で検察院に移送した。検察院は、刑法第217条第6項の「著作権者の許可なく、著作物、録音物、映像記録等を保護するために権利者が講じた技術的措置を故意に回避或いはは妨害する」行為に該当すると認定し、著作権侵害で両氏を深圳市南山区基層人民法院に告訴した。中級人民法院は合併審理し、謝氏に著作権侵害で懲役8か月と罰金6万元、王氏に懲役6か月と罰金6万元の判決を下した。両は控訴せず、判決は確定した。

事例6.羅某氏の登録商標偽造及び横領事件(重慶市九龍坡区人民検察院)

広州鋭某生物科技有限公司はsiRNA(遺伝子サイレンシング)及び過剰発現プラスミド製品製造、非コードRNA技術と医薬品開発を事業として、同社に営業技術者として入社した羅氏は会社の許可を得ずに蔡某氏から過剰発現プラスミド試薬を購入、会社の品番・名称・仕様などの情報を模倣したラベルを勝手に印刷し試薬管に貼り、会社の商標の付いた製品箱スに入れ偽造品として、関連会社を通じて複数の大病院及び研究機関に販売し、10万元以上を得た。その他、羅氏は職務上の立場を利用し、他人の名義で会社のブサイトから生物オ試薬を購入し、転売することで31万元以上を横領した。重慶市公安局九龍坡支局は、羅氏を逮捕し捜査を開始し、登録商標偽造品の販売及び横領の容疑で九龍坡区検察院に移送した。検察院は、侵害行為、違法所得額、資産差押えの上、登録録商標の偽造と横領罪で羅氏を重慶市九龍坡区基層人民法院に告訴した。人民法院は、懲役1年9か月、罰金18万元を科した。羅氏は控訴したが、棄却された。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/xwfbh/wsfbt/202604/t20260402_725211.shtml

【中国】最高検察院「技術調査官」60名採用(2月9日)

最高人民検察院知的財産検察庁は、2月9日、技術調査官の選考分野、選考方法、選考条件、責任、事件参加要件などを明確にした「技術調査官管理弁法」を1月に施行し、最高人民検察院知的財産検察庁と検察技術情報研究センターが第1期の技術調査官60名を任命したことを公示した。

最高人民検察院が扱う事件のうち技術関連の事件が60%を占め、複雑な技術事実の解明が伴う特許再審査、特許侵害、営業秘密侵害、不正競争防止、独占禁止、著作権紛争事件でも、技術的な問題の検討・判断が必要であることから、技術調査員は主に機械、通信、化学工学、光学、材料、電子情報、コンピュータ、医学、生物学などの分野で生産、管理、研究開発、設計または特許審査、特許代理に従事する専門技術者から選抜しており、技術案件の処理の質と効率を向上させることが期待される。任期は5年である。

弁法は、事件の専門的技術的問題に関して、技術調査官が遂行すべき8つの職務を規定しており、技術的事実に関する争点の明確化、技術的事実の確定に関する勧告、検察官の監督下での捜査・証拠収集、検査、審査への参加、事件の取調べ、尋問、審問、弁論活動への参加、必要に応じて検察合同会議、検察委員会会議に出席し、事件の専門的問題の説明や質問の受け付け、裁判所の許可を得て専門知識を有する者として出廷し、技術的事実の説明を行うことなどが含まれている。

人民法院と地方政府の知識産権局がすでに技術調査官の活用を開始していることから、検察院が導入を開始したことで、ほぼすべての技術系事件に技術調査官が活用されることになる。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/zhuanlan/202502/t20250209_681876.shtml

【中国】最高検察院2023年度活動報告(3月15日)

2024年3月8日の第14回全国人民代表大会第2回会議で最高人民検察院検事長が行った最高人民検察院活動報告が、3月15日付、同サイトに公示された。知的財産関係のコメントは以下の通り。

イノベーションによる発展の保障
 検察院は知的財産権事件を扱うための45の措置を打ち出し、総合的保護を強化する。商標権、特許権、著作権、営業秘密侵害などの犯罪を告訴人数は、1万8000人で前年比40.8%増加した。訴訟では営業秘密保護を強化し「二次秘密漏洩」を防止した。 知的財産権民事行政訴訟監督は、2,508件と前年比2.7倍であった。知的財産権分野の公益訴訟は、873件を処理した。知的財産権に関する悪意訴訟の特別監督を実施したが、某文化メディア会社による音楽ビデオ作品著作権者を偽装し悪意訴訟を5800件以上提起し、広東省、山東省など9つの省・市の検察機関が同時に法に基づき再審監督を指導し5人の犯罪容疑者の逮捕した特徴的な対応を行った。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/tt/202403/t20240315_649599.shtml

【中国】最高検察院による知的財産権司法保護と指導性事件の発表(2月8日)

最高検察院は、2月8日付、「法により知的財産権の司法保護サービスの強化、イノベーション型国家建設の保障」と題する新聞発表会を開催し、検察院での司法保護活動の状況及び第26回目となる指導性事件を公表した。主なポイントは以下の通り:

1.最高検察院は昨年11月に、知識産権検察弁公室を設置し、党中央の政策決定に従い、知的財産権にまつわる刑事、民事、行政の検察機能を統合し、一体化して事件を処理することを推進している。これに合わせて、北京、天津、上海など8省市の検察機関で一年間の知的財産権検査機能集中実施プロジェクトを実施している。
2.「検察機能を十分に履行し、知的財産権保護強化に関する意見」などを公布し、知的財産権に関わる事件の処理の規範化を進めた。特に、現実的ニーズに応え、刑事と民事の対応を総合的に運用し、商業秘密の司法保護を強化するために、技術調査や二次的漏洩メカニズムを健全化し、公平で秩序ある市場競争秩序を維持するよう努めた。
3.知的財産権保護のために部門間のコミュニケーションと協力を強化するために、関係機関と緊密に協力し、権利侵害や偽造品分野での情報共有プラットフォームの確立し共同推進を開始した。今後は政府組織やこくがいとの連絡や調整を行い、積極的に検察の機能を発揮し、知的財産権の全てのチェーン保護を強化し、知的財産権保護全体の効果を高める
4.知的財産権の刑事事件としては商標や著作権にかかるものが多数を占めるが、商業秘密犯罪の基本状況としては、事件数の増加幅は大きいが絶対数は少なく、起訴数は知財侵害刑事事件総件数の0.5%である。事件受理地域に偏りがあり、11の省での起訴受理数が全体の80%を占める。逮捕や起訴に至らない状況が多く、全刑事事件のよりそれぞれ10ポインと5ポイント高い。軽い処罰や執行猶予が多く、事件の約80%で被告人に懲役3年以下が言い渡される。犯罪の多くは企業のコア技術秘密で従業員或いは元従業員による犯罪である。
5.今回発表する指導性事件は、虚偽登録商標罪、虚偽偽登録商標商品販売罪、著作権侵害罪、商業秘密侵害罪が含まれる。犯罪手段としては伝統的な知的財産侵害犯罪やインターネット環境での新しいタイプの犯罪が含まれている。
 (1) 鄧秋城、双善食品(厦門)有限公司などの“STARBUCKS VIA”商標虚偽登録商標商品販売事件
 (2) 広州卡門実業有限公司の“KM”商標虚偽登録商標商品事件監督事件
 (3) 陳力など8人の著作権侵害事件
 (4) 姚常龍など五人の“CISCO”“HP”“HUAWEI”虚偽偽登録商標事件
 (5) 金義盈氏の営業秘密侵害事件

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/zgjjxyfjqzscqsfbhfwbzcxxgjjsxwfbh/xwfbh.shtml
      https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbh/202102/t20210208_508826.shtml