【アルゼンチン】商標出願異議のみ審査制度に改正(2026年3月1日施行)

アルゼンチン知的財産庁(INPI)は、12月11日、決議583/2025公示し、商標登録プロセスを近代化し、よりシンプル、迅速、そして予測可能なものとするために、商標出願に対して、方式審査のみ実施し、30日間の異議申立期間に異議がなければ登録する手続きに改正し、2026年3月1日より正式に施行することを通知した。

決議583/2025によると、決議案RESOL-2025-583-APN-INPI#MECを承認し、商標登録審査を国際基準に準拠させ、新規商標出願に対する審査(決議1条)は、絶対的理由と公​​序良俗に関連する面に限定し、先行商標との類似や私的性質などの相対的理由は、利害関係者の異議申立に基づき、法第22362号に規定される異議申立手続きで対応する改正を2026年3月1日から適用する。なお、新制度は現在係属中の出願から即日(2025年12月11日)試験的に適用を開始するとしている。

アルゼンチン商標法での絶対的拒絶理由(第3条)は以下の通り:
・同一の商品或いはサービスを区別するために、既に登録或いは出願されている商標と同一の商標
・国内外の原産地名称
・道徳或いは善良な慣習に反する文字、数字、その他の記号
・国、州、市町村、或いは宗教団体または衛生団体が使用している、或いは使用されるべき文字、単語、名称、識別標識、シンボル
・アルゼンチン政府が承認する外国或いは国際機関が使用している文字、単語、名称、或いは識別標識
・独創性に欠ける広告表現

改正法では、方式審査が終われれば商標出願が公報に公告され、30日間の異議申立期間が適用される。異議がなければ、相対的拒絶理由の審査を行わずに、登録されることになる。アルゼンチンでの異議申立手続きは、概ね15か月程度で結審する。

このように異議申立がなければ相対的拒絶理由の審査を行わずに登録する国が他にもあるが、異議申立のウォッチングがさらに重要になる。また、韓国も異議申立期間が30日になるなど、短期間になる傾向があるため、社内での判断や手続きも短期間に行わないとならないことに注意が必要である。こうしたことを考えると、必要不可欠な商標については、現状で保有する登録商標を見直し、不足があれば速やかに新規出願することをお勧めする。

参照サイト:https://www.argentina.gob.ar/noticias/el-inpi-actualiza-el-procedimiento-de-examen-de-marcas-para-agilizar-los-tramites

【マレーシア】特許付与後異議制度の施行(2025年12月31日施行)

マレーシア知的財産庁(MYIPO)は、10月10日、2022年の改正特許法が制定されながら、発効さていなかった特許登録付与後異議制度(第54条)を含む改正が2025年12月31日に施行することを公示(通知1/2025号)した。この施行を受けて、特許規則も改正され発効する。この改正は、従来の裁判所における無効取消手続きが庁内で先ずは行われることになるため、当事者には早期かつ費用対効果のある手続きになり、有益な改正になると思われる。

異議申立制度概要
1.異議申立(法L.56A条)
 異議申立対象:特許(Patent)、実用新案(Utility innovation)
 異議申立期間:官報公告日起算6か月以内、延長不可、
  対象特許が無効係争中でないこと
 異議申立人:政府機関を含む、利害関係者(any interested person)
  外国人は、補償金(特許:MyR2500、実案:MyR1500、MyR=約38円)の支払い
 申立要件:登録要件(L.56(2)条(a), (b), or (c))に対する異議理由を説明した申立書、証拠、宣誓書
 補充提出:異議申立期間中であれが補充提出可能
 異議取下:異議申立人はいつでも取下げることが可能
2.特許権者の弁駁意見書・補正書提出(規則R.43E)
 提出期間:MyIPOの異議申立通知書発行日から3か月以内
  期間中に提出できなければ未提出として扱われる
 弁駁意見:反論理由、証拠、宣誓書
 補正書:クレーム減縮、曖昧な表現の明確化、形式上の欠陥の是正、異議申立の根拠の対処
3.異議申立審理
 理由補充期間が3か月あり、追加の証拠や意見書の提出が可能、英語やマレーシア語以外の証拠は翻訳文の提出が必要である。登録官から3か月以内の最終意見書の提出通知があり、追加の提出が完了後、審査が行われ、暫定異議申立委員会(ad hoc opposition committee)が有効維持、補正後の有効維持、無効のいずれかの裁定を下だし、無効の裁定の場合、特許権者に2か月以内の補正の機会を与える。登録官は、暫定異議申立委員会の決定に基づき、最終裁定を発行する。この最終裁定に不服の場合、高等裁判所に行政訴訟(L.88条)が可能である。
 登録官は、費用負担は勝訴側に負担を命じることができる。

マレーシアで事業を展開している企業にとっては、特許付与後異議申立制度の導入に早急な対応が必要であり、第三者の権利化に対するウォッチングのみならず、特許出願に対する異議申立が無効訴訟よりも安易にかけられるリスクが発生するとの理解も必要である。今後、異議申立の活用事例をいくつかモニターすることで、今後の活用や対策を検討することになろう。

参照サイト:https://www.myipo.gov.my/notice-of-effectiveness-of-the-patent-act-1983-and-the-patents-amendment-regulations-2025/
現行特許法 https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2025/02/LAMPIRAN-D37-Patents-Act-1983-Act-291-As-at-30-June-2023-Online-version-of-updated.pdf
改正規則 https://www.myipo.gov.my/patents-amendment-regulations-2025/

【韓国】改正商標法、デザイン保護法施行(7月22日)

韓国知的財産庁(KIPO)は、改正商標法が2025年7月22日から施行されると発表した。

1.異議申立期間の短縮(現行2か月→30日)
 出願公告された商標に対する異議申立期間が、現行の公告日から「2か月」から「30日」に短縮される。出願公告日が2025年7月22日以降の商標出願から適用される。
 韓国では、商標出願情報は出願と同時に公開されるため、第三者は情報提供制度を通じていつでも意見を提出できる。また、異議申立理由を補正可能な延長申請の30日が設けられている。
 かねてより長期化している韓国の商標審査期間を短縮させることが予想されるが異議申立対象の商標出願を見逃さないよう対応に注意が必要である。

2.懲罰的損害賠償額の上限を5倍に引上(現行3倍)
 故意による侵害行為が認められる場合、懲罰的賠償を請求することができるが、今回の改正はその上限額を5倍に引上げた。特許法、不正競争防止法では、すでに2024年8月21日から5倍と改正されている。2025年7月22日以降の事件から適用される。

【中国】2023年商標異議無効10大事件(4月26日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月26日、2023年の商標出願の異議申立と商標権無効取消の10大事件として、異議申立5件、無効取消審判5件を公示した。国家知的財産権局は知的財産権の源流保護をさらに強化し、商標審査の質と効果の向上を推進するとともに、商標出願秩序を規範化し、公平な競争市場環境を維持し、商標審査政策での審査基準、規則、モデルを持続的に整備するとしている。

1.「黄塔膏薬」商標第61172988号35類(滑県黄塔寺骨傷医院)異議申立事件
 本商標には9類に同一標章で河南省の老舗(老舗ブランド)と認定された先登録商標があり、かつ出願人も同一地域であり、市場での誤認混同を制止、無形文化遺産の商標保護で出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000125642号、条文13条、申立人:滑県骨科医院

2. 「只此青绿」商標第59222968号41類(福建匠心巧思文化発展有限公司)異議申立事件
 本商標の事件は同名の舞踊詩劇の名称として先に使用され既に高い知名度が認定され、悪意先取り登録行為を規制し、優れた伝統文化の発展で出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000021546号、条文32条、申立人:中国東方演芸集団有限公司

3. 「慢飞天使MAN FEI ANGEL及び図」商標第64310227号33類(姚娜)異議申立事件
 本商標の「慢飛天使」は障害のある児童に使用される特殊な意味や指定商品が白酒など強い酒類であることを総合的に考慮し、不良な社会的影響の規定を適用し、社会的配慮で出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000098977号、条文10条1項(8)号、申立人:中国貴州茅台酒厂(集団)有限責任公司

4. 「宝鲁日」商標第60172218号29類(内蒙古牛牛勇敢商貿有限公司)異議申立事件
 本商標は有名な農村生活記録ブロガーの名前であり、出願日前にすでにSNS上で多くのファンと再生数があり、一定の知名度を認定し先取り行為を規制し、農村経済の新たな発展に配慮し出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000012871号、条文32条、申立人:宝鲁日

5. 「白水畈」商標第60596619号31類(武漢市沁野実業有限責任公司)異議申立事件
 本商標の「白水」は「白水畈萝卜(白水産大根)」など湖北省農産物の地理的表示として使用されていることや出願人と地域の関係がないことに加え、このほかに大量な地理的表示に関する出願があるため悪意先取りと認定し、商標登録秩序を乱すと判断し出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000074081号、条文4条、申立人:咸寧市咸安区高橋白水畈萝卜協会

6. 「DEMARSON」商標第47589108号14類(泉州市弘康電子商務有限公司)無効宣告事件
 本商標の事件は複数の関連する会社がその関係を隠蔽し、申請人を含む多数の会社の商標と同一或いは類似する商標を大量に先取りや買い溜めしていることを認定し無効とし、商標の悪意先取りの取締りと抑止力を高めた。審決:商评字[2023]第0000070611号、条文44条、申立人:Demarson Company

7. 「蜂花佳人」商標第55926680号3類(滕州市業明蜜蜂養殖服務専業合作社)無効宣告事件
 本事件は有名商標の保護を求める適用要件を明確にし無効とし、企業の権利維持コストを下げ、民族ブランドの合法的権益の保護に意義がある。審決:不明、条文不明、申立人:不明

8. 「MASTRO’S STEAKHOUSE M及び図」商標第36365304号43類(天津津服教育信息諮詢有限公司)無効宣告事件
 本商標は類似関係にあり、商標代理機構と権利者の代表者などが同一と利害関係あり法律を回避する悪意のある登録行為がある認定し無効とし、本件以外にも大量の業務に関係のない商標登録があるため信義誠実の原則違反を判断した意義がある。審決:商评字[2023]第0000288394号、条文19条4項、31条、44条、申立人:Mastro’s Restaurants LLC

9. 「十万个为什么100000 WHYS及び図」商標第17085619号16類(上海少年児童出版社有限公司)無効宣告事件
 「10万のなぜ」は書籍、印刷出版物などの分野で長期的に使用されてすでに高い知名度と識別度があり商標の出所を区別する役割を果たすことができると認定し無効とし、有名図書ブランドの権利の安定性を維持した意義がある。審決:商评字[2021]第0000155297号、条文44条、申立人:四川天地出版社有限公司

10. 「铂金优选(プラチナ優先)」商標第52695434号など8件(奥倫潤滑油(無錫)有限公司)無効宣告事件
 一連の事件は、同業者でありながら申立人の国際的によく知られた商標を知りながら、類似する商標を出願登録している状況は正当化されるものではないと認定し、信義誠実の原則に違反し法律効果と社会効果の統一を図るためにも無効とした。審決:商评字[2023]第0000310547号、条文15条2項、申立人:奥倫国際貿易(蘇州)有限公司 POLSKI KONCERN NAFTOWY ORLEN SPOLKA AKCYJNA 

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/4/26/art_3382_6.html

【欧州】EP異議手続きの審査促進(2月22日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、2月22日、異議申立の対象特許に関連する侵害或いは無効訴訟が提起されたことを知らされた場合の異議申立手続きの審査促進について、追加の公示を行った。

 昨年 11 月に官報に掲載された通知 (OJ EPO 2023、A99) に加え、統一特許裁判所(UPC)、国内裁判所、或いは締約国の管轄当局において並行して侵害或いは無効訴訟が行われていると通知された場合、EPO は異議申立の審査を促進する。しかし、異議申立手続きがどのように促進されるかは、EPO が並行訴訟をいつ通知されたかにより決まる。
 EPOは、当事者の利益のみならず、裁判所や一般の利益の観点から同時並行の異議申立手続きの迅速な終結のために品質と一貫性を保ちながら法的確実性と手続きの効率を図るとしており、そのために、EPC の法的枠組みを尊重しながら、異議申立部門は可能な限り迅速な措置を講じ、特に口頭審理への召喚状を迅速かつ最小限の通知で発行すとともに、当事者の協力が不可欠と指摘している。

 そこで、適用される具体的促進措置は、EPO が並行する裁判手続きの通知をいつ受けたかによって異なるとしている。
・異議申立期間中 (EP特許付与後 9 か月)
 異議申立期間満了後、(通常の4か月ではなく)3か月以内に異議申立に対する反論が特許権者に求められ、特許権者の返答受領後2か月以内に召喚状が発行され、当事者は最小限の通知で召喚される(規則115(1) EPC)。

・異議申立期間終了後、異議申立に対する特許権者の応答前
 口頭審理への召喚状は、特許権者の応答受領後2か月以内に発行される。当事者は最小限の通知で召喚される(EPC規則115(1))。

・特許権者が応答後、召喚状発行前
 口頭審理手続の呼出状は、並行する手続に関する情報の受領後2か月以内に発行される。当事者は、最小限の通知で召喚される(EPC規則115条1項)。

・召喚状発送後
 口頭審理は可能な限り早い日に再スケジュールされる(時間の大幅な節約が条件)。

・決定宣告後
 決定と議事録は1か月以内に発行される。

これらの促進措置は即時適用され、係属中の訴訟にも適用されます。

参照サイト:https://www.epo.org/en/news-events/news/acceleration-opposition-proceedings-cases-parallel-court-actions

【中国】 2021年度商標異議及び評審典型事例の公示(4月26日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月26日付、2021年度特許商標異議及び評審の典型事例9件を公示した。その概要は以下の通り:

1.商標出願37486163号“法雷奥”(21類)異議申立事件
  (2021)商標異字第0000015561号
  出願人:東莞市智可班貿易有限公司
  申立人:VALEO
  要旨:多数の悪意出願に適切な対応がされた。

2.商標出願35539392号“子腊贡米ZILAGONGM+図”(30類)異議申立事件
  (2021) 商標異字第0000015561号
  出願人:花垣県石欄鎮子臘村錦秀農業専業合作社
  申立人:花垣県品牌保護発展学会
  要旨:地方の特色ある農産物の商標出願行為を規制し、公平な競争市場秩序が維持された。

3.商標出願42073902号“诗词大会”(16類)異議申立事件
  (2021) 商標異字第0000084470号
  出願人:河南好字学堂文化伝播有限公司
  申立人:中央電視台
  要旨:有名TV番組の名称に類似する商標の悪意先取り登録に適切な対応がされた。

4.商標出願33696336号“LAB HERCULES”(5類)異議申立事件
  (2021) 商標異字第000008299号
  出願人:深圳我要発科技有限公司(代理人:深圳好牌品牌管理有限公司)
  申立人:上海睿雅実業有限公司
  要旨:代理人による悪意先取り、買いだめ商標登録行為に適切な対応がされた。

5.商標出願46826528号“七个桔儿”(35類)異議申立事件
  (2021) 商標異字第0000148652号
  出願人:紹興恒熙商貿有限公司
  申立人:蕲春七个桔児文化伝媒有限公司
  要旨:有名オンライン生放送ブランドの先取り商標登録行為に適切な対応がされた。

6.商標出願41971424号“冰墩熊Temperament Bea+図”(42類)却下再審事件
  商評字[2021]第0000007791号
  出願人:郭石偉
  要旨:北京2022年冬季五輪とパラリンピックのマスコットキャラクターを剽窃した商標登録行為に適切な対応がされた。

7.登録商標16647402号“康涅克”(33類)無効取消事件
  商評字[2021]第0000299642号
  権利者:浙江臻酒網絡科技有限公司
  申立人:フランス国立コニャック産業局
  要旨:地理的標識を剽窃した商標登録行為に適切な対応がされた。

8.登録商標29135506号“麦乐兹MAILEZI”(30類)無効取消事件
  商評字[2021]第0000231565号
  権利者:香港誉豊集団(国際)有限公司
  申立人:McDonald’s
  要旨:他人の知名商標を商品やサービスに400を超える商標を先取り登録した商標登録行為に適切な対応がされた。

9.登録商標36878950号“姚安娜”(3類)無効取消事件
  商評字[2021]第0000039624号
  権利者:郭輝
  申立人:姚思為、華為技術有限公司
  要旨:有名な一般人の氏名権を保護し、悪意のある商標先取り登録行為に適切な対応がされた。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/4/26/art_53_175221.html

【中国】2020年上期の商標出願の異議申立成功率は50.1%(7月3日)

国家知識産権局商標局は、7月3日付、2020年上半期の商標出願に対する異議申立件数は、68,162件で前年比+71.85%増加したことを報告し、上半期の平均異議申立の成立率(含一部成立)は50.14%と2019年の47.65%から2.5%上がったとしている。商標法第30条の先登録の適用で成功した事件が約70%、第7条(信義誠実、悪意)、第13条(著名商標)、第15条(冒認出願)、第32条(先の権利)などの適用で成功した事件が約30%としている。
商標局としては、コロナ対策や迅速処理のプレッシャーのなか、悪意による商標登録を効果的に抑制し、先の権利の保護に良好な環境を提供したとしており、再審請求件数比率も年々減少しており、サービスレベルが向上し、商標異議決定の審査基準と品質が全体的に高く、安定していると報告している。

参照サイト:http://sbj.cnipa.gov.cn/gzdt/202007/t20200703_319355.html