最高人民法院は、2021年2月7日に最高人民法院裁判委員会第1831回会議で可決された「最高人民法院による知的財産権侵害民事事件の審理における懲罰的賠償の解釈(最高人民法院关于审理侵害知识产权民事案件适用惩罚性赔偿的解释)」を司法解釈〔2021〕4号を3月3日付公示し、同日に施行した。
本解釈は全7条からなり、知的財産権民事事件における懲罰的賠償の適用範囲について、故意、情状の重大の認定、損害額基礎算定、倍額の確定などに具体的な規定をしている。懲罰的賠償の条件としては第7条に以下のように具体例を規定している。
(1)権利侵害により行政処罰或いは法院で判決を受けた後、再度同一或いは類似の権利侵害行為を実施した場合;
(2)知的財産権侵害に従事していた場合;
(3)権利侵害証拠を偽造、毀損或いは隠匿した場合;
(4)保全裁定を履行せず拒んだ場合;
(5)権利侵害で獲得した利益或いは権利者が受けた損害が巨額の場合;
(6)権利侵害行為が国家の安全、公共の利益或いは人身の健康に危害を及ぼす可能性がある場合;
(7)その他の情状が重大な情況と認定できる場合。
なお、審査基準を明確化し、各クラスの裁判所が懲罰的賠償を正確に適用するよう指導し、知的財産権侵害行為を厳重に処罰することを目的としている。
加筆:最高人民法院は、3月15日付、以下の懲罰的賠償事件典型事例6件を公示した。
1.広州天賜公司などと安徽紐曼公司などによる営業秘密侵害事件
(2019)最高法知民終562号
従業員による技術情報の漏洩に関する事件で、第一審での被告の主観的な悪意の程度の判断を主体的権利侵害従事、侵害規模、持続期間、立証妨害行為などの重大な情状の観点を改め、事前の刑事事件や情状が重大であることなどから最大の5倍の懲罰的賠償を決定した。
2.鄂爾多斯公司と米琪公司の商標権侵害紛争事件
(2015)京知民初字第1677号
鄂爾多斯(オルドス)はモンゴルの草原で原告はその地方のカシミヤを利用した衣服などで有名な会社であり、被告は同社の商標をECサイトT-Mallで突出した使用を行い巨額の利益を上げたことに主観的悪意があると認定し、懲罰的賠償額と対応する倍数を確定するプロセスを明確にした。
3.小米科技公司などと中山奔騰公司などの商標権侵害及び不正競争事件
(2019)蘇民終1316号
小米(Xiaomi)は携帯電話などで急成長している通信機器の会社で、被告は「小米生活」、「智米」など原告の商標更に他の有名商標と類似する商標を90件以上登録し、ECサイトで炊飯器など多様な製品を販売したこと、係争中も販売を止めず、製品の品質に問題もあったことから懲罰の対象とされ3倍賠償を適用する確定要素を明確にした。
4.五粮液公司と徐中華などの商標権侵害紛争
(2019)浙8601民初1364号,(2020)浙01民終5872号
原告の「五粮液」は白酒で有名なスピリッツで、被告はニセモノの「五粮液」を販売し行政処罰を受けた後再犯で刑事処罰を受けた。民事訴訟では侵害に従事し、持続期間など侵害の情状が重大であるとして、2倍の懲罰的賠償が認定された。
5.アディダスと阮国強などの商標権侵害事件
(2020)浙03民終161号
被告は「adidas」商標を侵害するスニーカーを1.7万足販売し、3年間に3回逮捕され行政処罰を受けた、民事訴訟では持続期間や結果から主観的悪意と情状が重大であると3倍賠償が認定されたが、侵害品が完成品でないことから賠償額算定の単価を40%割引く合理的な適用がされた。
6.欧普公司と華升公司の商標権侵害事件
(2019)粵民再147号
原告は電灯などに「欧普」などの登録商標を保有し広東地区では有名な会社で、被告は他の商品に「欧普特」などの商標を登録し、マーケットやECサイトで販売したことから商標権侵害紛争になり、一審、二審とも非侵害との裁定に広東高級人民法院に再審請求し、誤認混同、フリーライドなどを確認し、主観的悪意と情状が重大であることからライセンスレートと侵害期間に基づく侵害額の3倍賠償が認定された。
参照サイト:http://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-288861.html
仮訳
典型事例 http://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-290651.html

